アナキン達と別れた後、どこぞのゴロツキ達数人に囲まれた。
男達はブラスター・ピストルを持っていて、私を舐め回すように見る。
「酒場にいた奴だな。」
「少しの間、俺達の相手をしてくれねぇか?」
「なーに、怖がることはないさ。楽しいことをするだけだ。」
散々な言い様に、私は溜め息を吐く。
本当は問題を起こしたくないけど、絡まれているんだから仕方ない。
「うん、仕方ないよね。」
フォース・ドレインは使えないから、静かにライトセーバーに手を伸ばす。殺気をチラつかせ、私はゴロツキ達を睨み上げた。だけどゴロツキ達は力の差を測れず、私に近付こうとする。
逆に、殺気に気付いたのは他のゴロツキの方だった。
そんなことは気にせず、私はマントの下でヒルトを掴む。
「待て。」
パイクの男が、ゴロツキ共を止めた。
「お前、エレノア・クラウドか?」
「そうだけど……何?」
「俺のことなんか覚えちゃいねぇらしいな。」
「?」
男の顔に見覚えはない。
私が憶えているのは、ロム・パイクだけ。彼はティラナスが殺したけど、今は何も未練はない。今愛しているのは、フェラスなんだ。
「お前達、この女には手を出すな。敵わねぇし、死ぬぞ。少しでも手を出せば、俺はお前達を庇うことはしねぇ。」
「やだぁ冗談きついって!」
「………」
「嘘、ごめん。止めてくれてありがとう。私も面倒事は嫌だからね。」
手を振って去ろうとすると、男はまた私を呼び止める。
「そっちには帝国軍がいる。こっちだ。」
どうやら抜け道を教えてくれるらしい。
男に付いていき、私達は地下道へと潜る。何度かタトゥイーンに来たけど、地下道があるとは知らなかった。さすがに帝国軍も知らないだろう。
しばらく沈黙が続くが、ある程度進んだところでパイクが先に口を開いた。
「………パイク・シンジケートは全面的にお前を支持する。」
「え?」
「俺達はシンジケートだが、ロムの意向を汲んだ亡きモール卿の指示だ。必要なら呼べ。」
「申し訳ないけど……あんた達は必要ない。」
パイク・シンジケートやブラック・サンが、モールのシャドウ・コレクティブの傘下にされていたのは知っていた。ロムが殺された後のパイクも、モールの指揮下にあった。だけど、ロムはただの記憶の一部に過ぎない。
伝があるのは良い事だけど、これ以上は誰かを巻き込めない。
これは、“私”と“主”のゲームだ。
「この銀河のプレイヤーは、たった2人。私と……皇帝。」
「………」
「皇帝はフェアな戦いをしない。だけど、私はフェアな戦いで勝つ。だから必要ない。」
今だって、フェアな戦いとは言えない。でも皇帝と同じレベルで戦う気はない。自分の格を上げてまで、同じ盤上で戦いはしない。
異端者は異端の戦い方を選ぶ。
「そうか……」
「気持ちだけもらうよ。」
「だが、助けを必要としているなら呼べ。パイク・シンジケートではなく、ロムの友人としてお前に手を貸す。」
「ありがとう。」
やがてある梯子の前に着き、男は立ち止まる。標識や看板はなく、何も目印はない。あるとすれば、足元の汚れくらいだ。
「この上を出れば、宇宙港だ。」
「あんたは出ないの?」
「部下に帝国軍の気を引かせている。そろそろ潮時だからな。」
騒ぎを起こせば、帝国軍はそっちへ向かう。宇宙港の警備も薄くなるだろう。パイク・シンジケートに恩ができてしまった。
パイクの隠し財産を使ったことは黙っておこう。
「案内ありがとう。気を付けて。」
またお礼を言って、私は梯子を登る。
シャッターを開けて地上に出ると、本当に宇宙港だった。
出てきたシャッターを閉じて、私はソロの船があるドッグに走る。パイク達のお陰で警備は手薄。出航するなら今しかない。
ドッグに入ると、既にアナキン達が待っていた。
「ネル!」
「警備が薄いが、お前の仕業か?また問題を起こしたんじゃないだろうな?」
「オビ=ワン、何でもかんでも私が悪いみたいに言わないでくれる?」
睨み合っていると、ソロ船長が私達に声をかけてくる。
「おいジジババ共、早く乗ってくれねぇか?」
「ちょっと小僧、誰がババだって?」
「あんた中身は40代なんだろ?」
「お黙り。私が年齢詐称してるって教えたの誰!?」
アナキンとオビ=ワンが目を逸らす。仲直りしてないのに、そういうこところだけ意気投合しているのが不思議だ。とりあえず、早く仲直りしろ。
「どうした?」
何度も欠伸をしていると、オビ=ワンが顔色を伺ってくる。
「やけに眠いんだよね。」
「寝不足とはお前らしくないな。」
「ちゃんと寝てるんだけどなぁ。」
その時、帝国軍のトルーパーが私達を追ってドッグに踏み込んできた。
撃ち合いが始まり、私とソロがブラスターで応戦する。
「早く入れ!!」
「あんたが先に入ったら?ついでにエンジンを立ち上げていいよ。」
「はぁ!?」
「早く行って。」
ソロはハッチを駆け上がり、私は入口近くの燃料タンクに狙いを定める。船は低空飛行して、ハッチは開いたまま飛び始める。
増援が来たタイミングで、私は燃料タンクを狙い撃つ。
タンクは爆発して、トルーパーの小隊が吹っ飛んだ。
私は背を向けて走り、フォース・ジャンプでコンテナに跳び乗り、その勢いで一気にコンテナからハッチに跳んだ。私が乗るとハッチは閉まり、船は軌道へと逃げる。少しの衝撃を感じた後、ハイパースペースへと突入した。
向かう先は、惑星オルデラン。
何もしていないのに、眠気と吐き気を催している。
悪いことは何も起きないと信じたい。