ハイパースペースに入った後、私達は休憩室で寛ぐ。
ルークにはジェダイの訓練を付けることになり、私とアナキンは休憩室から出て格納庫で組手を始める。
プラズマの刃をぶつけ合って、私はアナキンにライトセーバーを首に添えられる。アナキンの一手が決まって、私はヒルトを持ったまま手を上げた。勝ったというのに、なぜか不満顔をされる。
「ネル、全力じゃないだろ。」
「手は抜いてないよ。」
「何かおかしいぞ。」
「別に何もないけど?」
アナキンは私の顔を覗き込むと、不思議そうな表情をする。
「何?」
「眠いって言っていただろ。シスの危ない秘術でも使ったのか?」
「何もしてないってば。」
アナキンはライトセーバーを収めて、格納庫を出て行く。私も後を追い、オビ=ワン達がいる休憩室へと入った。
休憩室では、オビ=ワンがルークに基本を教えていた。
私とアナキンが休憩室に入ると、ソロが私に訝しげな目を向ける。
「その酒、どこから持ってきた?」
ソロの視線は、私が持つボトルに向けられていた。
これは、この船のキッチンに寄って持ってきたものだ。
「あんたの船のキッチン。」
「なんだと!?今すぐ戻せ!」
勝手に持ってきたウォッカに、ソロは私の手から取り返す。
「俺の酒だ!」
「ネル、酒はやめておけ。」
「なんで?」
「………飲まない方が良い気がしただけだ。」
オビ=ワンに問い返すも、煮え切らない返事ばかりだった。
「クラウド先生、質問いいですか?」
「聞いたオビ=ワン!?先生だって!!」
「ルーク、ネルは先生には向かんのだ。」
「なぜです?」
「ネルはジェダイじゃない。」
「ジェダイじゃない?けど、お父さんやベンのように戦うじゃないですか。」
その言葉に、ソロも反応する。
「そもそもジェダイ自体すら存在が怪しいってのに、ジェダイですらないなら何なんだ?」
「ネルはシスに与したのだ。ジェダイの敵であるシスにな。」
「彼女が?まさか、」
「本当だよ。シスの名前はルシル。人を殺す訓練も受けてる。」
ルークの言葉を遮り、私は肯定した。
ルークはよく分かっていないみたいだけど、ソロは私の危険性がよく分かったみたいだった。ジェダイじゃないという、オビ=ワンの言葉は間違いではない。共和国を裏切ったのは事実だ。
「それで、質問って?」
「なぜ僕やレイアを訓練しなかったんですか?」
「どういう意味?」
「僕達が訓練を受ければ、反乱軍の戦力になったはずです。」
それには、いくつかの理由がある。
1つは、時が来るまで皇帝に知られないように隠す為。2つ目が、アナキンの願いだった。自分と同じ苦労をさせたくないと、子供を鍛えることに難色を見せた。私もアナキンに同意した。
その話をすると、ルークはアナキンに対して悲しげな表情を見せる。
「僕達にも選ぶ権利はあるでしょう?」
「ああ、僕らが間違っていた。だが、親が子を守りたいと思うのは当然のことだ。」
「それなら……」
「訓練は僕とオビ=ワンが見る。だから、お前も最善を尽くすんだ。いいな?」
「はい!」
一件落着したところで、私は欠伸をしながら休憩室を出て行こうと背を向ける。
「オルデランに着いたら起こして。」
「ネル」
「何?」
「………いや、何でもない。」
アナキンの納得していないような顔に、私は知らないふりをした。
知らなきゃいけないことがある気がしたけど、本能は知りたくないと言っている。
休憩室を出た後、私は個室を借りて寝台でうつ伏せに寝込む。吐き気に耐え、押し寄せる眠気に逆らえずそのまま眠ってしまった。寝ても寝ても眠気は消えないけど、こうする以外に改善はしない。
眠る直前、フォースの乱れを感じた。
人が死ぬ時の騒めきのような、息苦しさのようなものを感じる。それもたくさんの人だ。悲鳴のようなフォースの乱れに、私は頭が痛くなった。
どこか遠くで、何かが起きたみたいだ。
深い眠りに落ち、私は船が揺れる音で再び目を覚ました。
コックピットに走ると、ソロとチューバッカが必死に操縦していた。
「何があったの?」
「オルデランに着いたはずなんだが、小惑星帯の中に飛び出したんだ。」
ソロの言葉に、チューバッカはオルデランの座標を入れたと主張する。私がパネルを見ても、オルデランの座標だった。チューバッカは間違えていない。
それなら、オルデランはどこ?
「戦闘機だ!」
ルークの声に窓の外を見ると、TIEファイターが飛んでいた。近くにスター・デストロイヤーはいない。辺りを見渡すと、少し先に丸いステーションが見えた。
全員が気付き、ソロはTIEファイターを追いかける。
「攻撃されてるけど?」
「反撃する!!」
ルークとアナキンが銃座に走り、ソロが舵を握る。
私は後ろのベンチのベルトを締め、衝撃に備える。やがてTIEファイター4機中2機を撃破し、逃げていく敵機を追っていく。
「ステーションに逃げるぞ!」
「任せろ。あんなステーション、吹っ飛ばして……やる………」
ソロはステーションを見て、唖然となる。
それもそのはず。ステーション、もといデス・スターは想像以上に大きい。私も驚くしかなかった。
こんなに大きいなんて、聞いてない。
私が知っているデス・スターとは規格違いだ。
「ちょ……なんで揺れてるの!?」
「トラクター・ビームに捕まった!」
「はぁ!?」
「ソロ船長、どうにかならんか?」
「なるわけねぇだろ!!」
私はオビ=ワンやアナキン、ルークを見て打開策を考え続ける。
このまま行けば、アナキンもルークも捕まる。オビ=ワンも捕まるだろう。だけど、何人も捕まるわけにはいかない。
捕まるなら、1人でいい。
「おい、床下に……何してんだ?」
「下に入って。私が1人で交渉する。」
「ダメだ!」
「アナキン、ルークを鍛えるあんたが捕まれば、皇帝に力を与えることになる。早く床下に入って。」
アナキンは渋々ながら、床板を閉める。
囮は私1人で良いんだ。
「船を降りろ!」
ハンガーに格納され、ハッチが下りた瞬間にトルーパーが乗り込んでくる。
私が手を上げると、トルーパーの後ろから異様な雰囲気を放つ尋問官が現れた。
その尋問官は、今までの尋問官とは違うと悟った。暗黒面のフォースが強い。下手に戦えば、殺されかねない。
人工尋問官にしては、強すぎる。
私の本能が、戦うなと言っている。
「エレノア・クラウド、仲間はどこだ?」
「なんだ、私のこと知ってんだ?」
「答えろ。」
「ここにはいないよ。」
そう答えると、トルーパーは私に手錠を着ける。
「デス・スターへようこそ。」
私はファルコンを降り、連行される。
逃げる隙を探さなきゃ。
それに、ここにはレイアとフェラスの気配を感じる。2人はここにいる。2人を連れて、一刻も早く逃げるべきだ。
暗黒面は私の領分のはずなのに、今は目の前の尋問官が怖い。
まるでシディアス卿を見ているかのようだった。
背中の傷跡が、治ったはずの傷が疼く。