【完結】理想主義者(笑)の自由奔放記   作:夭嘉

89 / 159
捕虜のアンコール公演

ハイパースペースに入った後、私達は休憩室で寛ぐ。

 

ルークにはジェダイの訓練を付けることになり、私とアナキンは休憩室から出て格納庫で組手を始める。

 

プラズマの刃をぶつけ合って、私はアナキンにライトセーバーを首に添えられる。アナキンの一手が決まって、私はヒルトを持ったまま手を上げた。勝ったというのに、なぜか不満顔をされる。

 

 

「ネル、全力じゃないだろ。」

「手は抜いてないよ。」

「何かおかしいぞ。」

「別に何もないけど?」

 

 

アナキンは私の顔を覗き込むと、不思議そうな表情をする。

 

 

「何?」

「眠いって言っていただろ。シスの危ない秘術でも使ったのか?」

「何もしてないってば。」

 

 

アナキンはライトセーバーを収めて、格納庫を出て行く。私も後を追い、オビ=ワン達がいる休憩室へと入った。

 

休憩室では、オビ=ワンがルークに基本を教えていた。

 

私とアナキンが休憩室に入ると、ソロが私に訝しげな目を向ける。

 

 

「その酒、どこから持ってきた?」

 

 

ソロの視線は、私が持つボトルに向けられていた。

 

これは、この船のキッチンに寄って持ってきたものだ。

 

 

「あんたの船のキッチン。」

「なんだと!?今すぐ戻せ!」

 

 

勝手に持ってきたウォッカに、ソロは私の手から取り返す。

 

 

「俺の酒だ!」

「ネル、酒はやめておけ。」

「なんで?」

「………飲まない方が良い気がしただけだ。」

 

 

オビ=ワンに問い返すも、煮え切らない返事ばかりだった。

 

 

「クラウド先生、質問いいですか?」

「聞いたオビ=ワン!?先生だって!!」

「ルーク、ネルは先生には向かんのだ。」

「なぜです?」

「ネルはジェダイじゃない。」

「ジェダイじゃない?けど、お父さんやベンのように戦うじゃないですか。」

 

 

その言葉に、ソロも反応する。

 

 

「そもそもジェダイ自体すら存在が怪しいってのに、ジェダイですらないなら何なんだ?」

「ネルはシスに与したのだ。ジェダイの敵であるシスにな。」

「彼女が?まさか、」

「本当だよ。シスの名前はルシル。人を殺す訓練も受けてる。」

 

 

ルークの言葉を遮り、私は肯定した。

 

ルークはよく分かっていないみたいだけど、ソロは私の危険性がよく分かったみたいだった。ジェダイじゃないという、オビ=ワンの言葉は間違いではない。共和国を裏切ったのは事実だ。

 

 

「それで、質問って?」

「なぜ僕やレイアを訓練しなかったんですか?」

「どういう意味?」

「僕達が訓練を受ければ、反乱軍の戦力になったはずです。」

 

 

それには、いくつかの理由がある。

 

1つは、時が来るまで皇帝に知られないように隠す為。2つ目が、アナキンの願いだった。自分と同じ苦労をさせたくないと、子供を鍛えることに難色を見せた。私もアナキンに同意した。

 

その話をすると、ルークはアナキンに対して悲しげな表情を見せる。

 

 

「僕達にも選ぶ権利はあるでしょう?」

「ああ、僕らが間違っていた。だが、親が子を守りたいと思うのは当然のことだ。」

「それなら……」

「訓練は僕とオビ=ワンが見る。だから、お前も最善を尽くすんだ。いいな?」

「はい!」

 

 

一件落着したところで、私は欠伸をしながら休憩室を出て行こうと背を向ける。

 

 

「オルデランに着いたら起こして。」

「ネル」

「何?」

「………いや、何でもない。」

 

 

アナキンの納得していないような顔に、私は知らないふりをした。

 

知らなきゃいけないことがある気がしたけど、本能は知りたくないと言っている。

 

休憩室を出た後、私は個室を借りて寝台でうつ伏せに寝込む。吐き気に耐え、押し寄せる眠気に逆らえずそのまま眠ってしまった。寝ても寝ても眠気は消えないけど、こうする以外に改善はしない。

 

眠る直前、フォースの乱れを感じた。

 

人が死ぬ時の騒めきのような、息苦しさのようなものを感じる。それもたくさんの人だ。悲鳴のようなフォースの乱れに、私は頭が痛くなった。

 

どこか遠くで、何かが起きたみたいだ。

 

深い眠りに落ち、私は船が揺れる音で再び目を覚ました。

 

コックピットに走ると、ソロとチューバッカが必死に操縦していた。

 

 

「何があったの?」

「オルデランに着いたはずなんだが、小惑星帯の中に飛び出したんだ。」

 

 

ソロの言葉に、チューバッカはオルデランの座標を入れたと主張する。私がパネルを見ても、オルデランの座標だった。チューバッカは間違えていない。

 

それなら、オルデランはどこ?

 

 

「戦闘機だ!」

 

 

ルークの声に窓の外を見ると、TIEファイターが飛んでいた。近くにスター・デストロイヤーはいない。辺りを見渡すと、少し先に丸いステーションが見えた。

 

全員が気付き、ソロはTIEファイターを追いかける。

 

 

「攻撃されてるけど?」

「反撃する!!」

 

 

ルークとアナキンが銃座に走り、ソロが舵を握る。

 

私は後ろのベンチのベルトを締め、衝撃に備える。やがてTIEファイター4機中2機を撃破し、逃げていく敵機を追っていく。

 

 

「ステーションに逃げるぞ!」

「任せろ。あんなステーション、吹っ飛ばして……やる………」

 

 

ソロはステーションを見て、唖然となる。

 

それもそのはず。ステーション、もといデス・スターは想像以上に大きい。私も驚くしかなかった。

 

こんなに大きいなんて、聞いてない。

 

私が知っているデス・スターとは規格違いだ。

 

 

「ちょ……なんで揺れてるの!?」

「トラクター・ビームに捕まった!」

「はぁ!?」

「ソロ船長、どうにかならんか?」

「なるわけねぇだろ!!」

 

 

私はオビ=ワンやアナキン、ルークを見て打開策を考え続ける。

 

このまま行けば、アナキンもルークも捕まる。オビ=ワンも捕まるだろう。だけど、何人も捕まるわけにはいかない。

 

捕まるなら、1人でいい。

 

 

「おい、床下に……何してんだ?」

「下に入って。私が1人で交渉する。」

「ダメだ!」

「アナキン、ルークを鍛えるあんたが捕まれば、皇帝に力を与えることになる。早く床下に入って。」

 

 

アナキンは渋々ながら、床板を閉める。

 

囮は私1人で良いんだ。

 

 

「船を降りろ!」

 

 

ハンガーに格納され、ハッチが下りた瞬間にトルーパーが乗り込んでくる。

 

私が手を上げると、トルーパーの後ろから異様な雰囲気を放つ尋問官が現れた。

 

その尋問官は、今までの尋問官とは違うと悟った。暗黒面のフォースが強い。下手に戦えば、殺されかねない。

 

人工尋問官にしては、強すぎる。

 

私の本能が、戦うなと言っている。

 

 

「エレノア・クラウド、仲間はどこだ?」

「なんだ、私のこと知ってんだ?」

「答えろ。」

「ここにはいないよ。」

 

 

そう答えると、トルーパーは私に手錠を着ける。

 

 

「デス・スターへようこそ。」

 

 

私はファルコンを降り、連行される。

 

逃げる隙を探さなきゃ。

 

それに、ここにはレイアとフェラスの気配を感じる。2人はここにいる。2人を連れて、一刻も早く逃げるべきだ。

 

暗黒面は私の領分のはずなのに、今は目の前の尋問官が怖い。

 

まるでシディアス卿を見ているかのようだった。

 

背中の傷跡が、治ったはずの傷が疼く。

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。