ヨットがコルサントの軌道に出て、私は個室からブリッジへと戻る。
あれから、何も考えたくなくてずっと寝ていた。
コルサントのプラットフォームにヨットが着陸して、私は船から降ろされた。出迎えたのはヴァローラム議長とパルパティーン議員だった。そして、パルパティーン議員が私を訝しげに見てきて、屈んで視線を合わせる。
「君は確かマスター・フィストーのパダワンだね?」
「はい、議員。」
「報告によれば、君はこの任務を受けていない。なぜ女王陛下と共にいる?」
「私の独断です。」
クワイ=ガンを見ると、溜め息を吐く。
「エレノアの処遇は、ジェダイ最高評議会が決めます。」
「ああ、分かっている。私は口出しするつもりはない。だがその前に、彼女と話がしたい。掛け合ってもらえるかね?」
「承りました。エレノア、後でパルパティーン議員のオフィスへ。」
「はい。」
女王陛下一行とアナキン、ジャー・ジャーがパルパティーン議員と一緒にアパートメントビルへと向かい、私達ジェダイは聖堂へと戻った。
クワイ=ガンとオビ=ワンが最高評議会の間へ行き、私は真っ直ぐマスターの下へ行かされた。
短い時間しか離れていないのに、マスターとの再会は久しぶりに感じた。
「ネル、お前は何をしたのか分かっているのか?」
「はい、マスター。」
「暗黒面に踏み込んだな。」
「……」
「掟を忘れたか?」
「いいえ、覚えています。」
掟では、暗黒面のフォースと繋がることは禁じられている。破滅の元であり、混乱を招く。幼い頃から、そう教えられてきた。
「では、なぜ暗黒面に踏み込んだ?」
「私にジェダイの生き方は苦痛なんです…」
「待つんだ!ネル!!」
マスターの声を無視して、私は師の前から逃げ出す。
掟で禁じられているのは、よく分かっている。でも私には、暗黒面が魅力的に見える。それが間違いだとしても、抗う理由が見つからない。
「パダワン・クラウド、何の用だ?」
元老院議員のアパートメントに着くと、ブルー・ガードが道を塞ぎ、用件を尋ねられる。
「パルパティーン議員に呼ばれて来た。」
「許可証はあるか?」
「ある。」
携帯型パッドを見せると、ブルー・ガードは道を開ける。エレベーターに乗り、パルパティーン議員の部屋の階で降りてノックした。
中に招かれて、私は入室する。
入れ違いでアミダラ女王が出ていこうとしていて、陛下に恭しく頭を下げた。
「パダワン・クラウド、偶然とはいえ、助けていただきありがとうございます。」
「身に余るお言葉です。事態の速やかな収束を願います。」
陛下は微笑むと、アパートメントを出て行った。
「こちらに来てくれ、パダワン・クラウド。」
「はい、議員。」
パルパティーン議員に案内され、私はソファーに座るように促される。
言われた通りに座ると、議員も向かい側に座る。
「近頃、君は問題行動が多いようだ。」
「否定はしません。」
「ふむ…自覚はあるのに、なぜルールを破る?」
議員の言うルールとは、掟のことだ。
一介の議員であるパルパティーン議員にまで言われて、私がどれだけ異端なジェダイなのか身に滲みて分かった。ジェダイだけでなく、フォース感応者でない者からも異端に見えてしまう。私はそれ程捻くれているんだ。
「ジェダイでいる意味が、分からないんです。」
「ほぅ……?」
「他者を優先し、他者の為に、銀河の為に尽くせ。聖堂でそう教わりました。でも、自分の望みは……?どうして叶えてはいけないのでしょうか?」
ただの議員に、本音を言ってしまった。ジェダイの概念が分からない議員に言ったところで、何も変わらないのに。でも、言わずにはいられなかった。
パルパティーン議員にも責められているような気がして、不満を吐いてしまった。
今の私は、きっと泣きそうな顔になっているだろう。
「君の望みは何だね?」
「ジェダイをやめて、好きな人と幸せになりたい。」
「そんな些細なことだったか。」
「え……?」
「君の望みは、誰もが当たり前に思うものだ。ジェダイには為し得ないものだが、その願いは普通のことだ。悩む必要はない。間違いではないのだから。」
これこそ、私が欲しかった言葉だ。
ジェダイにとって普通ではなくても、ジェダイじゃない人々からすれば普通のことなんだ。
どうすれば叶えられるのか、答えは一つしかない。
「ジェダイをやめたい……」
「今の君では無理だ。」
「………」
「エレノア・クラウド、君はまだパダワンの身。ジェダイ最高評議会は離脱を認めないだろう。ナイトになるまで、もう少しの辛抱だ。忍耐はジェダイの代名詞ではないのかね?」
「はい……」
議員の言う通りだ。私はまだパダワン。半人前の私を見過ごしてはくれないだろう。パダワンの私に、ジェダイ最高評議会の目は誤魔化せない。
「泣くな泣くな。私が虐めたと思われてしまうだろう?」
「申し訳ありません……」
「私で良ければ、いつでも話を聞こう。」
「ありがとうございます。」
マントの袖で目元を拭い、再度お礼を言う。
親を知らないけど、議員が父親のように見えた。元老院議員に偏見を持っていたけど、パルパティーン議員は良い人だ。少なくとも、ジェダイよりは善良だと思える。
「議員、半人前ジェダイの話を聞いていただき感謝します。」
「君は充分立派だよ。ところで、パダワン・ケノービが君を“ネル”と呼んでいたが、あれは愛称かね?私もそう呼ばせてもらっても構わないかな?」
「もちろんです。」
「ではネル、また会おう。」
「はい、議員。」
ソファーから立ち上がって、議員に頭を下げる。
パルパティーン議員の部屋から退室して、私は聖堂へと戻った。
聖堂に戻った私を待っていたのは、最高評議会からの詰問だった。暗黒面に踏み込んだことを責められた。特に、マスター・ウィンドゥからの言葉が胸に刺さった。
道を誤れば、己だけでなく周りも巻き込む。それが破滅だ、と。しばらくの間、謹慎を申し渡されて、自室に引き籠ることになった。
あぁ、このどす黒い感情をどうにかしたい。
いろんな人にオヤスミ!って言ったのに眠れなくてずっと書いてました。
夜中のテンション最高\(^ω^)/