私が連行されたのは、警備が厚い監房だった。
歩きながら、逃げる隙を探す。
私は1人だ。枷も邪魔もいない。憚る相手もいない。一瞬の隙さえあれば、どうにでもできる。
尋問官は私を独房に放り込み、ライトセーバーを起動させる。
それを私に突き付け、詰問してきた。
「反乱軍はどこにいる?」
「さぁ?」
「痛い目に遭いたいか?」
「ご立派な帝国も拷問するわけ?」
「生意気な女だ。立て。」
私はテレキネシスで立たされ、壁へフォース・プッシュされる。
いつもならここで立ち上がるはずなのに、吐き気がして眩暈が私を襲い座り込んでしまった。様子がおかしいことに気付いた尋問官は、なぜか私の服を剥がして腹部を凝視する。意味が分からず、逆に拷問はどうしたのかと聞いてしまう。
「おい、シスの秘術はどの範囲で使っている?」
「急に何?外見だけだよ。それが?」
「トルーパー!」
尋問官はトルーパーを呼び出す。
トルーパーが2人入ってきて、尋問官はあり得ない命令を下した。
「医療ベイに連れていけ。」
「「「はぁっ!?」」」
思わずトルーパーと3人で、声を被らせてしまった。
これから拷問されるというのに、医療ベイに連行しろ、と。囚人の健康診断でもするつもりなのか?逃げるチャンスを与えるかもしれないのに。
「どういうつもり?」
「俺の推察が正しければ……」
尋問官はマスクを外す。
その素顔に、私は背筋が凍った。尋問官はミラルカの、ジェレクだ。あのジョカスタ・ヌーの元弟子だ。
ミラルカは、目がない。眼窩があるだけ。その代わり、ミラルカはフォース・サイトで情報を得る。
ジェレクも、何かを視たんだ。
「何?」
「医療ベイに行けば分かる。連れていけ。」
私は医療ベイに連れて行かれて、強引にポッドに横にされた。
四肢は当然拘束され、台はポッドの中へ入っていく。医療ドロイドが何かを操作してしばらくすると、台はポッドから出た。私は拘束されたまま、医療ドロイドに声を掛けられる。
「妊娠しております。」
「………は?」
「推定、妊娠6週です。」
「冗談でしょ……?」
思考が混乱している。私が妊娠するはずがない。シスの秘術を使っているから、受精なんかするわけないんだ。
「ドロイド、いい加減なことを言うな。」
「間違いありません。エコー検査で、胎芽も確認できます。」
「やめてよ……」
呆然となっていると、ジェレクが医療ベイへと入ってくる。トルーパーは退室し、ドロイドとジェレクの3人になった。そして、拘束を外される。
起き上がった途端、私は首に赤いライトセーバーを添えられる。
「下手な真似はするな。お前達の命は、俺が握っている。」
「“お前達”………」
「父親は誰だ?」
そう問われ、1人の男が脳裏に浮かぶ。
ジェレクはそれを見抜き、私を嘲笑った。
「裏切り者の子供か。」
「裏切ったのはあんたでしょ!」
「お前も裏切り者だ。お似合いじゃないか。」
「………」
言い返せなかった。
私は共和国とジェダイを裏切った。フェラスも皇帝を裏切った。どちらも胸を張れるものじゃない。
子供にとって、悪いことでしかない。
「お互い選ぶ相手を間違えたな。」
「っ……フェラスとレイアを返して!」
「良いだろう。だが、1人だ。2人は渡さん。お前に選ばせてやろう。」
「この……!」
「おっと、フォースは使わない方がいい。胎児に良くない影響を与えるかもしれんぞ。最も、お前に出産の勇気があればの話だがな。」
どこまでも最低な奴だ。他人のことなんか、どうでもいいんだ。私を医療ベイに連行させたのも、妊娠を確かめたかったたけ。
酷く息苦しい。
ジェレクに肩を押され、私は病室に閉じ込められた。
「あの2人に何かしたら殺してやる!!」
「できるものならやってみろ。」
「尋問官如きに私を止められるもんか!!」
「俺は尋問官じゃない。“ダース・ヴェイダー”だ。役立たずのスカイウォーカーの後釜だ。」
「ヴェイダーに成り代わったってわけ!?」
「お前達とは違って、俺には強い力がある。」
怒りを滾らせて、私はジェレクに怒鳴る。
「うるさい!開けろ!お前なんか、」
「妊娠を知り、考えが変わったはずだ。今のお前に人は殺せない。シスの奇才、ルシル卿よ……処刑されるのが惜しいくらいだ。」
ジェレクはそう笑い、医療ベイを出て行く。
窓を叩くが強化ガラスは破れず、拳を痛めただけだった。何度も叩き続けるが、破ることはできなかった。ひっそり脱出するつもりが、胎児の為に何もできなくなった。
自分でお腹を触るけど、実感が沸かない。
だけど、理解できない。
私はシスの秘術を使って、若い外見を装っている。培ってきた生命エネルギーを使っているから、生理も起きないようになっている。どうして妊娠したのか、よく分からない。
「なんで………?」
それにジェレクから報告を受けた皇帝が、そのままにするはずがない。良くて処刑、最悪の場合は私と子供、両方利用されることになる。フェラスは確実に殺される。
私を支えるフェラスは、邪魔者だ。
「フェラス………」
先が見えなくて怖ろしい。
ジェレクの言う通りだ。出産する勇気がない。母親として、人として最低だ。
怖くてたまらない。
私は卑怯で、臆病だ。
作者は妊娠経験も出産経験もありません!
なので知識はネットから⭐︎