船が脱出してすぐに、TIEファイターが追跡してきた。
帝国が諦めるはずがない。
「アナキン!船を見てくれ!俺が銃座に着く!」
「分かった。ルーク、お前も銃座に行け。」
「はい!」
私も何かしようとすると、アナキンに止められた。
「君は絶対安静だ。」
「お父様、彼女は私に任せて船をお願いします。」
「レイア、もしネルが暴れたら……」
アナキンは娘に何かを耳打ちする。レイアは何か納得したように、父親に頷いた。話が終わると、アナキンは私に向き直る。
「ネル、君は2人分の命を抱えているんだ。大人しくしていてくれ。」
「プレイヤーが外れたら、戦いじゃなくなると思うけど?」
「ゲームじゃないんだぞ!これをゲーム扱いするなら、君は棄権すべきだ!」
「アニー、この戦いは皇帝と私の戦いなの………巻き込んでごめん。」
その時、船が大きく旋回して私はバランスを崩す。フォース・コントロールできず、倒れそうになる。すんでのところで、私はアナキンに支えられた。
「これでも大人しくしないって言うのか?」
「ごめん………」
「レイア、ネルと一緒にいてくれ。」
レイアが頷くと、アナキンはエンジンルームへと走る。
ベンチに座り、レイアも隣に座ると、改めて安静にするように言われた。私ができることはなく、背もたれに寄り掛かる。
「ハイパースペースに入ったよ。」
ルークがそう教えてくれて、私はコックピットへ向かう。
ヤヴィンの座標を入れてもらい、私はコックピットのベンチに座った。後からルークとアナキンも入ってきて、フェラスもコックピットに入ってくる。
「ネル、」
「船に追跡装置が仕掛けられてるかもね。」
「そうじゃない。」
「可能性はあるでしょ?」
「ネル、現実から目を逸らすな。」
「分かってるよ!」
声を張り上げれば、アナキン達は何か言いたげに私を見る。妊娠に関して言いたいんだろうけど、私はちゃんと事実を受け入れている。ただ、動揺しているだけだ。
「出産するのは私なんだよ!?」
「そうだ。だから安静にしていてほしいんだ。」
「エレノア、授かった命だ。お前は何もせず、子供を第一に考えるんだ。」
「及ばずながら、僕も協力します。」
「ありがとう……」
一つ、決めなきゃいけないことがある。
産まれてくる子供に、名前が必要だ。女の子と男の子、どっちなのか分からないけど、この子に名前を付けなきゃ。
その前に、デス・スターを破壊しなければならない。
あの鉄の星を破壊しなければ、子供諸共死ぬことになる。
「貴方達、妊婦にストレスは良くないって知らないんですか?」
「レイア、」
「行きましょう。」
レイアが声をかけに来て、ルークを無視して私の手を引く。
休憩室に戻ると、C-3POが慌てて寄ってきた。
「エレノア様!ご懐妊なされたとは本当ですか!?」
「そうだよ。」
「私めはパドメ様にも付き添いました!入用でしたら、いつでもお申し付けください!」
「ありがとう。でも大丈夫だから。」
C-3POがお節介なのは、よーーく知ってるから。
C-3POとR2-D2を追い出し、私はレイアと2人になる。ロザルではあまり会話がなかったから、こうして2人になるのは初めてだ。
「オルデランのこと、聞いたよ。大丈夫?」
「悲しんでいる暇はないわ。クラウド“将軍”、」
「私は将軍じゃないよ。知ってるでしょ?あんたのお父さんにも嫌われてたし。」
レイアの養父のオーガナは、私を嫌っていた。子供の手前、嫌いだとはっきり言わなかっただろうけど、私がどういう人かは聞いているはずだ。私は敬う相手でもない。
「私は自分で見たものを信じます。貴女は極悪人ではないと、分かっているわ。」
「本当にそうならいいけどね……」
「貴女は努力しているわよ。」
「でも、悪事は否定しない。」
そう言うと、レイアは少し驚いたような顔をする。
私を本当に悪人じゃないと信じていたようで、驚いた顔の後に悲しそうな表情を見せる。
「ダース・ルシルだったというのは本当なのね。」
「本当だよ。今は違うけど。私にはエレノア・クラウドという名前がある。遠慮なくエレノアと呼んで。」
その時、船がハイパースペースを抜けて、惑星ヤヴィンの軌道へと出る。
ミレニアム・ファルコンはヤヴィン4の基地に連絡を取り、基地のベイに着陸した。アナキンを筆頭にハッチを降りて、私達はすぐに司令部へと向かった。
パドメが抱き締めてくるのは、もう日常の習慣と化している。アナキンを差し置いて抱き付かれるのは、もう慣れっこだ。
アナキンやルークがブリーフィングに向かう中、私は参加を禁じられた。まぁ、戦いたくなるから言われて当然だ。
私はパドメとフェラスを伴ってメディカル・ルームへ入り、医療ドロイドに診察してもらった。
結果は、間違いなく妊娠だった。
「ドロイド、何か注意することはあるか?」
「過度なストレス、激しい運動は避けてください。アルコールやカフェインもダメです。」
「酒もダメ!?」
「マスター・ケノービの勘が当たって良かったな。」
「良くない……酒………」
「ネル、この際だからお酒はやめたら?」
子供の為だ、仕方ない。
診察台から起き上がって、私はお腹を摩る。その内このお腹も膨らむ。動けなくなるなら、やれることは今やるしかない。
私はポケットから小さなカプセルを取り出して、フェラスに渡す。
「なんだ、これは?」
「イサラミリのバブル。」
「なぜそんなものがある?」
「イサラミリはどうしたの?」
「イサラミリは森に返した。そのバブルは、レイアとルーク用に作ったの。2人を隠そうと思ってね。でも不要みたいだから尋問官に使おうと思ったけど、ジェレクは手強くて。」
あわよくば飲ませてやろうと思った。一時期にでも、フォース感応力を消してやろうとした。だけど私の妊娠が分かって、戦うことができなかった。
それなら、フェラスやアナキンに武器の1つとして使ってもらえば、と。
「こんな物騒なものを持っていたのか。」
「あの時戦えてたら、ジェレクの口に捩じ込んでやろうとしたの。」
「ネル……どうなるか考えたの?」
「さぁ?試したことないし。」
2人は呆れたように溜め息を吐く。
まぁジェレクもフェアな戦いはしないだろうし、お互い様だ。
「もう名前は決めたの?」
「決めたよ。」
「おい、適当に付けたりしないよな?」
「しないしない!」
「どうだかな?ミスマッチの前科があるだろ。」
「あれは適当に、あ……」
「ネル!!」
適当に名前を付けたことを認めてしまい、パドメに叱られた。
でも!子供はちゃんと付けるよ!!
「男の子ならダニエル、女の子ならステファニーかな。」
「旦那様、異論は?」
「やめろ。良いんじゃないか?」
「よし決定!!」
今後、私は出産までドロイドの保護下に置かれることになった。
運動やストレスはダメ、フォースの使用も禁止。できることは、安静しておくことだけ。私の退屈パラメーターは、あっという間に溜まりそう。
我慢できるのは、子供の為だからだ。
産むと決めたら、子供と会うのが待ち遠しくなった。
早く我が子に会いたい。