基地内が騒がしくなって、私は通りかかったパイロットに声をかけた。
「どうしたの?」
「デス・スターがハイパースペースから現れたんてす!」
パイロットの彼は急いでベイへと向かう。
ステーションだから、ハイパースペースを抜けるのは当然だろう。私の予期通りだ。あとは迎え撃つだけだけど、時間との勝負になる。
「よぉ」
なぜか荷支度をしたソロが、個室にいた私を訪ねてきた。
どうやら戦いには参加しないらしい。
「出て行くんだね。」
「ああ。礼金はもらったからな。別れの挨拶に来たんだ。」
チューバッカは不満な顔をしている。聞く話によれば、チューバッカはソロに借りがあるという。義理深いウーキーは、こんな男でも黙って付いていくんだ。
私には真似できない。
「ババアなんて言って悪かったよ。」
「ねぇソロ、お金が全てじゃない。反乱軍を助けることで、お金じゃ買えないものを手に入れられると思わない?」
「そんなもので借金は返せねぇだろ。」
「小一時間くらい平気でしょ。」
「ジェダイとやらの助言か?」
ジェダイという言葉に、吹き出してしまった。
何度も説明してきたけど、私はジェダイじゃない。それに、助言できる程親切でもない。ソロに言っているのは、ただの勧誘だ。
「違う。誘惑してんの。」
「なっ……!?バカ言ってんじゃねぇ!」
「勘違いしないでよ。戦いへの誘惑だから。私ジェダイじゃないし。」
「ジェダイじゃないなら何なんだ?」
その問いに、私は口端を吊り上げる。
「昔はシスの暗黒卿だったけど、今はただのエレノア・クラウド。ジェダイ達から言わせれば、ダーク・ジェダイかな。」
「良い意味には聞こえねぇぞ。」
「まぁ、私善人じゃないから。」
声に出して笑ってやれば、食えない奴と言われた。
ここでソロが考えを変えなければ、彼とウーキーには二度と会わないだろう。
「もう行くぜ。」
「うん、じゃあね。」
「元気なガキ産めよ。」
「ありがとう。おっと、ありがとうチューバッカ。」
チューバッカに優しくハグされ、2人はメディカル・ルームを出て行った。
入れ違いにパドメが来て、私は寝台に横になる。
「戦況は?」
「………始まったわ。」
ルークとフェラス、アナキンもXウィングに搭乗したという。
デス・スターのスーパー・レーザーは、チャージに時間がかかる。照射までにリアクターを破壊すれば、ヤヴィンの壊滅は免れる。反乱軍の運命は、ルーク達の手に懸かっている。
「パドメ、司令部にいていいよ。」
「いいえ、貴女といるわ。」
「どうして?空にはアニーが、」
「忘れたの?貴女も私が妊娠している時に隣にいてくれたわ。」
嫌々だったとはいえ、確かにパドメの傍にいた。でも、あの頃の私は酒に溺れていた。パドメのように心で寄り添っていない。
だから、パドメが私の傍にいる必要はないんだ。
「あの頃と今じゃ状況が違う。」
「変わらないわ。フェラスは戦場にいるのよ。心細い気持ちは分かるわ。」
そうか、パドメも不安だったんだ。どんな形であれ、私が近くにいるということが重要だったんだ。1人が不安というのは、よく分かる。
「それに、私はアナキンと息子を信じているわ。貴女もそうでしょう?」
「そうだね……」
「今大切なのは、貴女よ。」
「ありがとう、パドメ。」
感謝を伝えると、パドメは私の手を取る。
「ネル、助っ人も連れてきたのよ。」
「助っ人?」
パドメが外に声をかけると、ミスマッチが入ってくる。
「ハンル!アルやディンも!」
「エレノアサマ、オ加減如何デスカ?」
「大丈夫だよ。あれ?エピは?」
ベイやグレイもいるのに、エピだけいなかった。
パドメを見ると、予想外の話を聞かされた。
「エピは……フェラスといるわ。」
「はっ!?」
「ドロイド・ソケットにいるの。」
私は聞き間違いをしたらしい。
B1バトル・ドロイドがドロイド・ソケットに鎮座?冗談だよね?バトル・ドロイドにできることは限られているのに?
「パドメ、面白い冗談だね!」
「本当よ。」
ミスマッチのドロイド達を見渡すと、本当みたいだ。
「マジで乗ってんの!?」
「ハイ。エピノ強イ希望デス。」
「信じられない……」
「ネル、エピは優秀なのよ?」
「優秀なのは知ってる……知ってるけど………」
不安要素しかない。
フェラスの無事を祈るばかりだ。
────────
その頃、ヤヴィン上空では激しい戦闘が行われていた。
ルークとアナキンは子午線トレンチに入り、リアクターを狙う。フェラスは2人を狙うTIEファイターを追っ払っていた。
フェラス機のドロイド・ソケットにいるエピは、急激な旋回に悲鳴を上げる。
「うわああああああっ!!」
「叫んでないで手を動かせ!!」
「だって急に旋回するから!」
「おい!右側面にシールド!」
「ハイイイイイイイイッ!!」
そこへ、動きの早いTIEファイターが現れた。
TIEファイターはジェレクの指示で、フェラスのXウィングを執拗に狙い、何度も撃ち込んでくる。アナキンとルークは助けることができず、フェラスはひたすら逃げ回る。
ところが、エピに弾が当たり、右腕が吹っ飛ばされた。
「ヒィィィィィィッ!?」
「大丈夫か!?」
「これが大丈夫に見えます!?」
エピは残された左腕だけで、シールドの配線を繋ぎ直す。シールドが戻ったXウィングは子午線トレンチから離脱して、他のTIEファイターを相手取る。
『フェラス!』
「俺は大丈夫だ。お前達はリアクターに集中しろ。」
その時、TIEファイターを誰かが撃ち落とした。
それは、ソロとチューバッカが乗るファルコンだった。
『こいつは俺に任せろ!』
『ありがとう!ソロ!』
ルークがお礼を言うと、彼はオビ=ワンの声に従って照準器を切る。
次の瞬間、弾はリアクターに届いた。
ルークとアナキンが離脱した瞬間、デス・スターが吹き飛んだ。
これで、究極兵器の脅威はなくなったのだった。