帰ってきたXウィング部隊は、たくさんの歓声に迎えられた。
私も出迎えに出て、フェラスを抱き締めた。
そんな中、1体のドロイドが泣き叫ぶ。
「腕がぁぁっ!オレの右腕があああああっ!!」
「落ち着きなよ、エピ。」
「エレノア様ぁっ……!」
表情はないけど、エピがぐずってるように見えた。ちゃんと修理してくれると言えば、大人しくなった。ドロイドなのに、感情豊かすぎる。
「これで、デス・スターはなくなった。問題は………」
「ジェレクは生きている。」
そう、ジェレクはTIEファイターでそのまま逃走。
デス・スターが消えたくらいで、脅威は変わらない。
「フェラス」
フェラスから離れた後、私は声をかける。
高官達がデス・スターと一緒に吹っ飛んだとはいえ、戦いは終わってない。戦いは更に激化するだろう。私とフェラス、どちらも死ぬ可能性は否定できない。
私の夢は、こんなところで終わらせない。
「なんだ?」
「結婚しよう。」
その言葉に、フェラスは飲んでいたブルーミルクを吹き溢す。
「何かおかしい?」
「げほっ……普通はっ…男から求婚するものだろ……!」
「どっちだっていいよ。フェラス、一生私に付き合ってくれる?」
「なんて求婚だ……」
「答えは?」
「YESだ。」
フェラスの答えに、私は彼にキスをする。
これで、私の夢はほぼ叶った。愛してくれる人と結婚できた。あとは邪魔者さえいなければ、私の夢は叶う。
邪魔者、皇帝さえいなければ……
「早速婚姻の儀をやろ!」
「騒がしい恋人だな。」
「パドメー!」
散り散りになった人の中からパドメを見つけ出し、司令部へ戻ろうとする彼女を呼び止めた。
「どうしたの?」
「フェラスと結婚する。」
「あら、ついに結婚するのね。おめでとう。」
「婚姻の儀をやりたいんだけど、付き添ってくれない?」
結婚したということを証明する人が必要なんだ。
私はパドメに助けられてきた。私の人生にパドメは欠かせない。私がパドメの一部であるように、パドメも私の一部だ。
付き添い人は、パドメじゃなければダメだ。
「お願いできない?」
「もちろん付き添うわ。」
「今からお願い。」
「今から!?」
善は急げ。
結婚するなら今しかないんだ。私はこれから動けなくなるし、出産の後は子育てが待っている。だから、婚姻の儀を執り行うのは今しかない。
「それなら、フェラスの付き添い人はアナキンに頼むわ。きっと了承してくれるはずよ。」
「やった!ありがとう!」
すぐにフェラスの下へ行き、彼を連れてベイを出る。
ドレスやタキシードは必要ない。私とフェラスは部屋に戻り、マントを着て、フードを被る。私達は手を繋いで、待ち合わせの場所に向かった。
マサッシ遺跡の外にある沢には、アナキンとパドメだけでなく、ミスマッチのドロイド達もいた。
驚いていると、ハンルが前に出てきた。
「自分ガ神父役ヲヤリマス。」
「え、ハンル、そんなのどこで覚えたの?」
「企業秘密デス。」
ハンルがいろいろ隠れてやっていることは、今回の手柄でチャラにしてあげよう。
神父役は必要だから。
「じゃあお願い。」
「ラジャラジャ!」
ハンルが婚姻の言葉を告げ、私とフェラスは復唱する。
そして、誓いの接吻を交わした。
私達は、これで夫婦だ。例え私が暗黒面にいても、フェラスが受け止めてくれる。フェラスが暗黒面にいても、私も同じように受け入れる。
それから、子供の為に悪意は捨てると互いに約束した。
「ネル、夢が叶って良かったよ。」
「ありがとう、アニー。」
「フェラス、これで安心ね。」
「ああ。」
婚姻の儀は終わった。
あとは、出産が待っている。
部屋に戻って、私は医療ドロイドから借りたデータパッドを開く。
「へぇ、出産前ってお腹も痛くなるんだ。」
陣痛は、尋常じゃないくらい痛いらしい。
でも、人1人産むんだ。痛くて当たり前だ。問題は、痛みは人それぞれだということ。
覚悟が必要だ。
私は、もうすぐ母親になる。
できる限りの愛情を、子供に与えよう。
────────
遥か遠く、コルサントにて。
“ダース・ヴェイダー”は、ホログラムの皇帝に跪いていた。
『ネルが妊娠したか。』
「はい。」
ダース・ヴェイダー、もといジェレクは頷く。
『ヴェイダー卿、ネルの望みを知っているか?』
「いいえ。」
『ネルの夢は、ほぼ叶ったと言ってもいい。』
「どういうことですか?」
『最後の望みを叶えてやれば、ネルは敵ではなくなる。ダース・ルシルが戻るだろう。』
皇帝、パルパティーンの口元には笑みが浮かんでいた。
エレノアを暗黒卿にしたのはダース・シディアスであり、今のエレノアを作り上げたのもダース・シディアスだ。それが、エレノアに恐怖を抱かせる要因だった。
「では、奴は交渉次第で丸め込めると?」
『左様。エレノア・クラウドを知るのだ。さすれば、ダース・ルシルを操ることも可能ぞ。期待しているぞ、ヴェイダー卿。』
皇帝は通信を切り、ジェレクは立ち上がる。
ジェレクの心の中にあるのは、嫉妬だった。皇帝に仕えて分かったことは、皇帝のエレノアに対する期待だった。忠誠を誓った自分より、シス・マスターから逃げ出した元暗黒卿の方が優れていると知り、ジェレクは嫉妬した。シスの秘術を1つすら使えないジェレクは、更なる嫌悪を抱えたのだった。
そして今回のエレノアの妊娠で、逃げ出したはずの女が幸せそうなのを見て、妬まずにはいられなかった。
なぜ自分は恵まれないのか、と。
憎しみを強くさせ、ジェレクは己の望みさえ忘れていく。
偽りの暗黒卿は、後戻りのできない道へ踏み出していった。