10ヶ月後。
私は無事に女の子を出産した。女の子だから、名前はステファニーだ。ステファニー・オリン、私とフェラスはそう名付けた。
ミスマッチのドロイド達が、珍しそうに娘を見る。
「これが人間の赤子……」
「乳児、トテモ弱イ生キ物。」
「そうだよ。みんな気を付けてね?」
「ラジャラジャ!」
医療ドロイドがフェラスやパドメを招き入れ、娘の顔を見せる。
入れ替わりに、ミスマッチ達は退室していく。
「ステファニーだよ。」
「とても愛らしいわ。」
「ほーら、パパですよぉ。」
「やめろ、エレノア。」
フェラスに抱かせると、パドメが声を上げる。
「フェラスと目がそっくりね。」
「女の子は父親に似るらしいから。」
「良かったわね、フェラス。」
「2人してやめろ。」
「入っていいか?」
アナキンが顔を覗かせて、承諾を求める。
私が中に促すと、嬉しそうに入ってくる。パドメ達と同じように、娘の誕生を祝福してくれた。アナキンが抱っこすると、ステファニーはにっこり笑う。
笑ったのは、私の時だけだった。
「なんで俺には笑わない……?」
「フェラス、妬いているのか?」
「17年も子供達から離れていたくせに……」
「おい、僕は子供達の為に、」
「2人共、子供の前でやめなさい。」
パドメに怒られて、アナキンとフェラスは口を閉じる。
男は子供だと、よくも言ったものだ。小さな子供と大きな子供と言っても、過言じゃない。母親は大変だ。
「少し休んだ方がいいわ。」
「ダメだよ。私は、」
「ネル、産後は安静してなきゃ。」
「妊娠中も安静で、産後も安静?冗談でしょ?」
パドメに賛同するように、医療ドロイドも安静指示を出してくる。
ここはお言葉に甘えて、大人しくしていよう。
「後でルークとレイア、ソロ船長も来るそうだ。」
「娘を自慢しよう。」
「早速親バカになったな。」
「アニーうるさい。」
我が子は可愛いんだ、仕方ない。
フェラスとアナキン、パドメは退室して、私は娘と2人になる。
「ステファニー、ママが手出しさせないからねぇ。」
妊娠のことは、皇帝にも伝わっているはずだ。娘が狙われる可能性は否定できない。ステファニーは必ず守る。
あんな奴に、私の幸せを壊されるわけにはいかない。
「可愛い我が子の為なら、ママは何でもする。愛してるよ、ステファニー。」
そこで、部屋がノックされた。
医療ドロイドは、ルーク達を中に入れる。レイアは娘を見て、天使だと呟く。レイアの言葉に、思わず頷いてしまった。
「可愛いでしょ。」
「親バカも大概にしろよな。」
「ソロ、子供を持つと考えか変わるよ?」
「エレノア、ソロには無理だって。」
「分からないわよ?人は変われるものだから。」
レイアの言葉に、ルークとソロは否定する。
「そう簡単に人は変わらないよ。」
「そんなことない。私だって、昔はとんでもない極悪人だったんだよ?」
「あんたがか?」
「うん。クローン戦争を誘発したし、フォース・ドレインでたくさん人を殺したし、友達も傷付けたから。」
笑顔で言う私に、ルーク達の顔が引き攣る。
でも、それがシスの暗黒卿だ。愛や絆なんてない。情けもない。冷酷無慈悲で、他人なんかどうでもいい。
暗黒面に身を捧げるのが、シスなんだ。
こんなこと、ルーク達は理解しなくていい。
いや、してほしくないのが本音だ。
「今じゃ母親だし、子供に嫌われない人間になるよ。」
「だといいがな……」
「エレノア様……」
「あぁ、ごめんなさい。ゆっくり休んで、エレノア。」
「うん。」
医療ドロイドに急かされ、レイア達は背中を押される。
ところが、なぜかルークは立ち止まった。
「ルーク?」
「エレノアに頼みがあるんだ。」
「今じゃなくてもいいでしょう?」
「いいよ。ルーク、聞くよ。」
レイアとソロは出て行き、ルークは残って寝台脇に屈み込む。
ステファニーは腕の中で眠ってしまい、医療ドロイドがベビーベッドへと寝かせた。
「頼みって?」
「回復したら、僕の敵役をしてほしいんだ。」
「先生なら、アナキンとフェラスがいるでしょ?」
「それだけじゃダメだ。僕は父達とは違って、実戦経験がない。本物のシスを相手にしたことがないんだ。」
ルークの言っている意味が分かった。
私に、シスの役をやってほしいということだ。
「両親が反対するよ。」
棘のあるトーンになったけど、ここで下がれない。
特に、パドメが反対する。ルークに危険な訓練をさせることも反対するだろうけど、パドメは私に暗黒卿の力を使わせたくないんだ。ルークだけじゃなくて、私も危険な橋を渡ることになる。
「お父さん達には秘密で、」
「それはできない。今のあんたじゃ、私が全力で戦ったら殺しかねない。あんたを殺したら、パドメは二度と許してくれない。」
「だけど……」
ルークは尚も食い下がる。
強くなりたいのは分かる。気持ちも理解できる。妹と両親を守りたいんだ。私だって、フェラスとステファニーが大事だ。
ベビーベッドに眠る我が子を眺め、妥協した答えを出した。
「じゃあ、条件がある。」
「条件?」
「私がルークと戦う時は、アナキンとフェラス、2人のストッパーが必要不可欠。だから、2人の了承をもらって。アナキンとフェラス、両方の同意がなければ相手はしない。」
「分かった。」
私が出した条件に、ルークは受け入れた。
「説明不足の同意は認めないからね。」
「はい。」
ルークが出て行き、私はベッドに横になる。
私には娘がいる。隣で寝ている我が子を見て、安易に了承はできないと思った。それは、息子と娘がいるアナキンやパドメと同じだ。もちろん、フェラスも同じ。
あとは、ルークがどんな言葉で2人に伝えるのかが重要だ。
その後は、フォースの導きに従おう。