パドメと2人でステフの遊び相手をしていると、アナウンスが流れた。センターに、各司令官が招集をかけられた。私は外されているけど、パドメはステファニーに謝って部屋を出て行った。
入れ違いで、アナキンが部屋に入ってくる。
「司令官を招集って、何かあったの?」
「基地から遠くない地点に、隕石が落ちたんだ。今司令部が調べている。」
「そう……」
「ステフ、ママといるんだぞー」
「おたんこなす!」
「ステフっ………!」
アナキンではなく、もうオタンコナスと覚えてしまったらしい。
笑いを堪えていると、アナキンが通信機を手渡してくる。
「何これ?」
「持っていてくれ。ホスを脱出するなら、君は他の隊員と輸送船に乗るんだ。君に何かあったら、輸送船を守る人がいなくなる。僕とフェラスがすぐに行けるように、肌身離さず持っていろ。」
「私が足手纏いになるとでも?」
「君にはステフがいるんだ。昔のような無茶はするな。」
アナキンは私の返事を聞かず、さっさと出て行った。
なんか最近、アナキンとフェラスが強引な気がする。過保護というか、妙に気を配りすぎているというか。私の気にしすぎかもしれないけど、本当に過保護だと思う。
「おぢたん、やさしい。」
「そうだねぇ……」
優しいとは言えないけど、気遣ってくれているのは分かる。
感傷に浸る間もなく、非戦闘員は輸送船に乗るようにアナウンスが入った。帝国の艦隊に見つかったらしい。私は娘を抱き抱えて、部屋を出て行く。
ベイへ入ると、病み上がりのルークがスノー・スピーダーに乗り込んでいた。
私より先に、ステファニーが声を上げる。
「にぃに!」
「ステフ!エレノア!」
「ルーク、気を付けて。」
「必ず戻るよ。」
「にぃに……」
「ステフ?」
「にぃに、あそんで。」
「帰ってきたら遊んであげるよ。」
ルークはそう言って、乗り込む。スピーダーが発進して、ステファニーはそれを寂しそうに眺める。泣きそうな顔にキスをして、すぐに会えると言い聞かせた。
気持ちを切り替え、私はステフを抱きながら、非戦闘員を輸送船に誘導する。
「あの、貴女は乗らないのですか?」
「乗るよ。早く入って。」
1グループが乗り込んだのを確認して、私とステファニーは別の輸送船に搭乗する。搭乗した後、私は真っ先にコックピットに走る。操縦席に座り、ステファニーを隣に座らせて舵を握った。副操縦席には、伍長が座った。
エンジンを立ち上げ、私は舵を目一杯押す。
「ひゃっ」
「ごめん、ステフ!」
突然襲った推進力による衝撃に、ステファニーは小さな悲鳴を上げる。
スター・デストロイヤーが撃ってきたレーザー砲を避け、必死に舵を動かす。怯える娘に、私は防音耳当てを着ける。膝に突っ伏させ、娘には何も見せないようにした。
子供は怖いことなんて知らなくていい。
「クラウド!クローキングは使わないのか!?」
「今使っても遅い。」
伍長には悪いけど、荒い操縦をさせてもらう。武器が搭載されていない輸送船は、戦うことはできない。だけど、目を眩ませる方法は少なからずある。
伍長を格納庫に走らせ、私はスイッチを押してハッチを開ける。
通信機で指示しながら、伍長にコンテナを順番に落とさせた。
『落としたぞ!』
「ハッチを閉めるから、すぐに戻って。」
コンテナを落とす間、スター・デストロイヤーを撹乱させるように飛び回った。目立たないようにコンテナをばら撒いた後、私は手元のスイッチを押す。
次の瞬間、コンテナの蓋が爆発した。
コンテナの中身は、バズ・ドロイドだ。ディスコード・ミサイルは手に入らなかったけど、バズ・ドロイドは簡単に入手できた。大量のバズ・ドロイドはスター・デストロイヤーに落ち、中に侵入していく。
皮肉だけど、私が独立星系連合にいたことが功を奏した。
連合軍のドロイド保管庫の場所をいくつか覚えていて、今回のバズ・ドロイドもその内の1つで入手したものだ。
「全輸送船、今の内にハイパースペースへ。」
『了解!』
『了解しました!』
全輸送船から確認が取れて、戻ってきた伍長にハイパースペースへ入るように頼んだ。
私はこれから大仕事だ。
「ステフ、おじさんと良い子に待っててね。」
「ママ、めーそー?」
「そう、瞑想。」
私は2人に背を向けて、座禅を組む。
意識を集中して目を閉じ、エコー基地にフォースの幻影を飛ばした。
目を開けると、私は崩壊しかけの司令部にいた。スター・ファイターは出立した後で、倒れた椅子を起こしていると帝国軍が突入してきた。先頭には当然、ジェレクがいる。
私は笑顔で出迎えて、椅子に座った。
「久しぶり、ジェレク。」
「俺はダース・ヴェイダーだ。」
「違う。“ヴェイダー”の名はあんたのものじゃない。まぁあんたがその気なら、私も言い直さないとね。」
私は脚を組み、太腿の上に両手を重ねる。
「私は“ダース・ルシル”。ジェレク、暗黒面に堕ちただけじゃ、シス卿にはなれないよ。」
「なんだと……?」
「だって、あんたはただ残酷なだけ。シスに必要なものが欠けてる。」
「小賢しい女だ。俺が惑わされると思っているのか?」
ジェレクが合図すると、スノー・トルーパーは構えたブラスターの安全装置を切る。
撃ったところで、私には無意味だけどね。
「別にあんたのことは嘗めてない。今日は警告だけ。お前はシスを理解していない。」
「シスをやめたお前が、今更何を警告する気だ?」
私は無表情ながら、口元に微笑を浮かべる。
「平和は偽り、情熱があるのみ。」
「は……?」
「情熱を通じて強さを得る。強さを通じて力を得る。力を通じて勝利を得る。勝利を通じて己の鎖は千切れる。フォースは己を自由にする。平和は偽りである。」
「何を言っている?」
「“シス・コード”。これを知らないってことは、あんたはシスじゃない。シスを研究してきたのに、シス・コードも知らないんだ?意味も分からないだろうけどね。」
シス・コードを知らないジェレクは、やはりヴェイダーの名を騙っているだけだった。それを黙認する皇帝もよく分からないけど、ジェレクがシスとして見られていないのは確かだ。半端者は見向きもされない。
ジェレクは哀れな奴だ。
「黙れ。知識など無意味だ。皇帝陛下の強大な力の前では、知識など役に立たん。ルシル卿、子供が産まれたな?」
「それが何?」
「抱えるものができたお前に、できることなど何1つない。」
「娘に何かしたら殺してやる。あぁ、それと……」
私はシスの言葉を吐き、緑色の煙を地に這わせる。
「シスの秘術、見せてあげるよ。その身で思い知るといい。」
「今すぐ外に出ろ!!」
「もう遅いよ。何の為に反乱軍の撤退を待ったと思ってんの?」
ジェレクは部下を煙の餌食にして、1人シャトルに乗り込む。
私の煙はエコー基地を取り巻き、煙に触れたトルーパーは風化していく。大昔にクローン・トルーパーに使った術と同じだ。基地内にいたトルーパーは皆死んで、私は椅子からゆっくり立ち上がる。
ジェレクは取り逃したけど、まだチャンスはある。
意識を集中させ、私は輸送船で再び目を開いた。
戻ったことに気付いたのか、ステファニーが私に抱き付いてくる。
「ママ!!」
「ただいま、ステフ。」
娘の純粋な笑顔に、心が癒される。
そう、ステファニーは闇なんか知らなくていい。この子には、私の悪事を見せたくない。数分前にトルーパーを殺したことも、娘は知らなくていいんだ。
私の可愛いステファニー……
私が娘を守るんだ。