負け犬ヒロインの育て方2   作:きりぼー

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つづきだよ。


第三章

 ピーマンが嫌い。そんな子供じみたことは言わない。ナポリタンにはピーマンが入っていた方がいいと思うし、ピザに入っているのは構わないと思う。まぁよけるけど。

だけど、あのサラダに入っているピーマンは納得がいかない。なんであんな青臭いものを生で食べようとするんだ。ピクルスならまだわかる。食わないけど。

 余談になるが、昔、料理のできる彼女に「ピーマンの肉詰め」なる料理をリクエストして作ってもらったことがある。そして、俺はピーマンをよけて中のハンバーグみたいのところだけ食べた。本当に刺されるかと思うぐらいにはキレられた。後にも先にもあれほどまっとうな怒りを受けたことはない。話を戻そう。

 

 目の前に生ピーマンのスライスが山盛りある。

 

「安芸くんは出海ちゃんがどう思っていると思っているのかな?」

「このサークルで楽しくやってくれていると思っているよ?」

「ふーん」

「あの、加藤さん・・・ところでこのピーマンなんだけど」

「あー、ピーマン、体にいいらしいよ?」

「そういう問題なの!?」

「でもさ、そうやって他の女の子の気持ちをさー」

「はい・・・」

「あっ、食べながらでいいよ?安芸くん」

「あの、加藤さん・・・さすがにこのピーマンの山盛りは・・・」

「安芸くんってさ、ピーマン嫌いだよね?子供みたい」

「いえけっしてそのようなこともないような、あるような」

「でね、この女の子をとっかえひっかえ家に泊めてさー」

「それは、ゲーム制作の進行のためじゃん?」

「そうだねー」

「あのー、お二人が熱々のところ割って入っても申しわないけれど、あたし蚊帳の外みたいだし、ちょっと先に風呂はいってきていいかな?」

「ああ」「どうぞー」

美智留はため息をついて風呂場へ向かう。

 

「だからね、安芸くん?そうやっていろんな女の子の気持ちに対してどうやって向き合っているのかな?」

「なんだかその言い方だと、ハーレム主人公みたいだな」

「ちがうの?」

「ちがうだろ・・・」

「本当に?」

「だいたい、それだとあいつらがサブヒロインになっちゃうだろ」

「どういうこと?」

「・・・言わすのかよ」

「いや、本当によくわからないのだけど?」

「だからな、加藤。俺がみんなを選んだのはそれぞれが才能があったからで、相手が女子なのはたまたまだ。ほら伊織だっているし」

「で?」

「俺が選んだのはメインヒロインである加藤恵、お前だけだろ?」

「なんだから安芸くん、三次元に対しても照れがなくなってきた?」

「・・・」

 

 加藤がピーマンの皿を持ってキッチンへ向かった。どうやら緊急事態は回避できたらしい。確かにそれぞれの気持ちはわかる。でも、それは恋愛感情とはちょっと違うだろ。違うはずだろ。そうだよね?

 

 加藤がまた台所で料理を作っている。今度の音はリズムがよく機嫌がいいのがわかる。その間に俺は美智留について考えた。美智留と付き合う未来は考えられない。それは従姉妹だから?たぶん違う。それが恋愛感情と違うことはわかっても、恋愛感情が何かわかることを認めるわけには今はいかない。

 

「はい、お待たせ」

 

 お皿には青椒肉絲。小鉢にはダイコンとニンジンの酢の物。キャベツの千切りはスープの具材へと見事な変貌を遂げた。これが料理だよ。さっきまでの?あれも料理だ。危なかった。

 

「うまいっ」

「ありがと」

 

 語彙のなさというか表現の貧しさに我ながら驚くが、素直に感嘆する。加藤は掃除も整理も上手だし、細かいことも気が利く。「おまえ、いい奥さんになるよ」なんて、どっかで聞いたような言葉はとてもじゃないけれど言えないが。

 

「料理の腕あがってるよね?」

「そうかな?」

「うん。なんか凝ってるものも作るけれど、こんなに素早くおいしいものが作れるのは正直すごいと思う」

「そんなに褒められると照れるし、何もでてこないよ」

 

「あのー。あっつあっつのところすみませんが、風呂からあがったよー」

「おう」

振り向くとバスタオルに一枚の美智留が立っていた。

「お前、なんちゅーかっこうをしているんだ・・・」

「んー、正攻法で落ちないなら色気仕掛けかなって」

「服を着ろ、服を」

「いいじゃん、どうせ後で脱ぐんだし」

「脱ぐのぉ!?」

 

 健康的な高校生男子にもなれば、好きとか嫌いとか恋愛感情とかそっちのけで体のほうが反応する。それは従姉妹とはいえ例外ないわけで・・・

 

「じゃあ、わたしはそろそろ帰るね」

加藤が立ち上がった、表情がフラットになっていて、機嫌がよくわからなくなっていた。

「片付けものはお願いね」

「ああ、うん。ご馳走様でした」

 

 加藤が軽く会釈して荷物を持って家から出るまでの間、ちょっと見えにくかったから、やっぱり多少機嫌を損ねたようだ。それでもあっさり帰ったところをみるに、俺は信用されているようだ、むしろ男としてバカにされているような気がしないでもないが。

 

 食器を片付けながら、今夜は不穏だなぁっと考えていた。美智留は鼻歌を歌いながら部屋に行ってしまった。あいつマムシドリンクでも飲んだのだろうか?

それにしても次の話はどう展開する?R15かR15なのか?いやいや、まさかね。

とはいえ加藤が帰ってしまったから邪魔するものはいないわけだし。

 

「邪魔?」

 

幻聴が聞こえた気がするが気にしない。美智留とは何度も過ごした夜だ。いつも何もない。だからといって、今日、それがない理由も見つからないわけで。




続けるべきか エタるべきか。
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