Rockman 偽りの野望   作:グルルre

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vol12 雷神は笑わない

「ワシはっっ!!ワシのロボットを愛しておるんじゃ!!」

朦朧とする意識の中でその声だけが聞こえた。

もう一方の声はその言葉を否定する。

いや正確には理解出来ないと言った所か。

起動して考える間もなく己の思考を奪われたラ・トールは、暗い暗い闇の中でその言葉だけを反芻し続ける。

(愛とは・・・なんだ?)

無限に思える長い間、その事だけを考えていたラ・トールは幸いと言うべきか新しいボディを与えられ再び己の足で歩きだす事となる。

 

バチバチバチバチッッ!!

 

己の掌中に電流を集めながらスパイクプッシャーズが放つ巨大な鉄球を僅かな動作で回避する。

自身らを取り囲むように現れる横穴から東洋の鬼を思わせる顔のメカが次々と攻撃を仕掛けてくる。

侵入者を包囲した上で彼らが放つ光弾と巨大な鉄球で敵を仕留めるのがコンセプトなのだろうとラ・トールは思った。

 

ズンッッ!!

 

スパイクプッシャーズの光弾に押される形で前進した鉄球をラ・トールは片手で軽々と受け止める。

あくまでもカタログスペックでしか無いがウッドマンの倍の出力を持つと言われる彼は、見た目以上の膂力を誇る。

 

ブオォォッッ!!

 

一瞬の内に鉄球を両手で抱えたラ・トールはそれを鬼の顔が見える横穴へと放り投げる。

 

ズガアアアンンッッ!!

 

投げ放たれた鉄球の衝撃で直撃した鬼の顔は勿論の事、周囲の壁に潜んでいた鬼の顔も壁の崩壊に巻き込まれる。

「・・・・・・」

単純な思考を持つ防衛システムと言うのもあるのだろうが、想定外と言える被害を受けてもスパイクプッシャーズは怯まない。

がそれはラ・トールも同じ事。

変わらず攻撃を仕掛けてくる敵に先程と同じように鉄球を放り投げる。

数度鉄球を壁に放り投げた時点でラ・トールを取り囲む壁の殆どが崩壊していた。

周囲からノイズ交じりの駆動音が響くが、それは感情の無い防衛システムの苦悶の声の様にも聞こえた。

「プラズマキャノン・・・」

片腕から電撃弾を放ち僅かに残った鬼の顔をラ・トールが破壊した所で一室に甲高いエラー音が響き渡る。

だがそれも一瞬の事、場には静寂だけが残される。

「流石は新ワイリーナンバーズってか?実質俺らやフォルテと同じ特別製なのは知っていたがここまで強いとはな・・・やるじゃねえか」

自身の能力もあって基本受け身となった事で鬼の顔を数体破壊しただけに留まったエンカーは、ラ・トールの肩を叩きながら彼の活躍を労う。

対してラ・トールの方は何時もの調子で特に何か感情を表す事は無い。

当初こそ不愛想な奴だと思ったが、元々感情が希薄なのだと理解すれば悪い感情は沸かない。

「じゃあ奥に行ってライオーマン達を止めるぞ。俺の愛する京の都を水で流されてたまるかってんだ」

バリヤードスピアを突き上げながら先頭を行くエンカー。

その彼の後ろに付き従いながらラ・トールは僅かに唸る。

「・・・愛ってなんだ?」

「・・・あ?」

ラ・トールがぼそりと呟いた言葉にエンカーが眉を寄せながら振り返る。

「愛とは・・・なんだ?」

元々無表情だが真顔で問うてくるラ・トールにエンカーも若干困った様子であったが、すぐさに笑みを返す。

どういう理由かは知らぬがラ・トールにも感情らしき物が芽生えている事が素直に嬉しかったからだ。

「愛ってのはな。てめえの命を張ってでも守りたいもんの事だよ。俺の場合は和の文化。まああれだ、パンクとアースを見れば分かるだろ互いにああいう風になっているのを愛し合うって言うんだぜ」

「パンクとアースの関係が・・・愛?」

首を傾げつつラ・トールは二人の行動を思い出す。

互いにどことなくそわそわし話をするのも若干気まずそうに見えた二人。

そんな状況でありながらも決して離れようとしなかったのをラ・トールは不思議に思ったのだが、それが愛なのかと彼は一応は納得する。

「守るか・・・まだ俺にはよく分からないな。とりあえず先に進もう」

「おうよ」

ラ・トールの言葉にエンカーは笑みを浮かべつつ先を進む。

 

バチバチバチバチバチバチバチッッッ!!

 

気象コントロールセンターの中心部へと入った二人が見たのは、自身らの力で気象装置を意図的に暴走させるライオーマンとフウオーマンの姿であった。

「まさかスパイクプッシャーズがこうもあっさり破壊されるとは思わなんだぞ」

「ピューピュー!!だが如何にワイリー軍団の者とは言え我らに勝つ事は」

互いに言葉を口にしながら両者は身構える。

「「出来ぬぞ!!」」

異口同音に言葉を発しながらライオーマンとフウオーマンが真上に飛び上がる。

雷神と風神を模したロボットである事からも分かるが、彼ら二人には飛行能力がある。

足元に雲を思わせる気体を生じさせながら、空中に浮かぶその姿は屏風の絵その物。

「轟雷陣ッッ!!」

「暴風陣ッッ!!」

自身の背に背負ったユニットから雷撃と暴風が放たれる。

「くっ・・・危ねえ!!」

咄嗟に手にした槍を避雷針代わりにして雷撃を回避したエンカーが叫ぶ。

ラ・トールの方は向かってくる風を持ち前の敏捷性で回避していた。

 

タンッッ!!

 

「・・・・・・!!」

一瞬の内に跳躍したラ・トールがライオーマンへと迫る。

跳躍した敵を迎撃せんとライオーマンが周囲に電撃を巻き散らすがそれらは悉くラ・トールに吸収されてしまう。

「ゴロゴロッッ!!貴様も電撃使い・・・やはり効果は薄いか」

対してライオーマンはあくまでも予想済みとばかりに薄笑みを浮かべる。

「ピューピュー!!暴風陣ッッ!!」

真横より己目掛けて放たれる暴風。

それを拳に絡め取ったライオーマンは眼前のラ・トールに叩きつける。

 

ビュオオオオッッッ!!

 

全身を小型の竜巻に包み込まれ弾き飛ばされるラ・トール。

地面に勢いよく叩きつけられた彼の口から小さく呻く声が響く。

「おいラ・トール。大丈夫か!?」

慌ててエンカーが駆け寄る中、ラ・トールが無言のまま起き上がる。

「如何に性能が優れようとも我ら二人の連携を打ち破れるものか」

「今は亡きエンオー共々、我らは同じ開発計画で生み出された兄弟機!!今の様に互いの技を利用する事も可能なのだ!!」

上空で高笑いをする両者。

 

プシュウウウゥゥゥ!!

 

同じタイミングで蒸気を吐き出す二人にエンカーは歯を軋ませる。

ロボットエンザに感染した事で暴走している両者なのだが、その辺の事情を知らないエンカーからすると挑発に見えたからだ。

「もはやワイリー軍団に参加するまでもない。我らだけの力で気象コントロールセンターを暴走させ京の都を水の底に沈めるのだ。さすれば我らを道具扱いした人間共も己の過ちに気づくであろう」

「その通りだ。全てを吹き飛ばし更地にしてしまえばよい。そうすれば我々は自由となる!!」

如何に重要文化財が多く存在する都市とは言え、そこを浸水させた所で果たして人類が根を上げるだろうか。

普通に考えて明らかに無駄な破壊活動でしかない上に却ってロボットに対する人類側の反感を買うだけの行為なのだが、その事に熱暴走する両者は気づかない。

「我らの怒りを!!」

「我らの憎しみを!!」

 

バチバチバチバチッッ!!ビュオオオオォォォォッッ!!

 

「「思い知るがよい!!」」

頭上に陣取りながら最大出力まで高められた一撃をライオーマン達は容赦無く叩きつけていた。

 

バチイイィィィッッ!!

 

放たれた電撃をラ・トールが受け止めたのも一瞬、放たれた暴風に全身の感覚が持っていかれる。

「ちぃっっ!!」

呻くエンカーが踏ん張る様に地面に槍を突き刺すが僅かな抵抗にしかならない。

「ゴロゴロゴロゴロッッ!!」

「ピューピュー!!」

後方の壁に叩きつけられる両者にライオーマン達が迫る。

「轟雷拳ッッ!!」

「暴風拳ッッ!!」

自身らの腕を絡ませ電撃と真空波を纏った拳が叩きつけられる。

反射的にエンカーが身構え目を閉じるが、壁を背にした状況もあって殆ど意味の無い行動だ。

(・・・やべえ)

と思ったのと『ズンッ』と言う鈍い音が響いたのは同時であった。

恐る恐るエンカーが目を開けた先で見えたのは。

 

「「なにぃぃっっ!?」」

 

驚いたように異口同音の声を上げるライオーマン達。

エンカーの視界に収まるのは仁王立ちするラ・トールの背であった。

自身の胸部に突き刺さる拳をそのままに彼は驚愕する両者をじっと見据える。

「お前達に聞きたい事がある」

「な・・・なにを」

自身らの攻撃を受けながら尚も倒れないラ・トール。

あろう事か己らに問いかける彼に対しライオーマン達はその独特の空気に呑まれていた。

「天候を操り街を一つ消した所で連邦政府はロボットの権利とやらを認めるのか?文化財の重要さは俺には分からないが・・・大した軍事的価値も無い街を攻撃した所で何の意味は無い。まだ我々ワイリー軍団と連携しての活動であれば多少の意味はあるというのに。単独で犯行をしてその後はあるのか?政府軍やロボットアーミーを返り討ちに出来るのか?我々二人だけで突破出来た脆弱なセキュリティでロックマン達を倒せると思うのか?」

無感情にただ淡々と問うてくるラ・トールにライオーマンの顔が真っ赤になる。

矢継ぎ早に質問を浴びせられた彼は感情のままに反論しようとしたのだが、彼の言う通り自身らの行動にはキョートシティに多大な被害をもたらす事は出来たとしても後が無い事を今更の様に悟ってしまったからだ。

「ロックマンや政府の狗どもが来た所で我らの力で・・・」

「・・・出来るのか?たった二人で?言っておくがロックマンはお前達が思っている以上に強いぞ?」

目を逸らしそうになるのを必死に堪えながらライオーマンは呻くが、ラ・トールがまるで純粋な子供の様に疑問を向けてくる。

「むぐぐぐぐぐぐっっ!!」

「だ・・・黙れっっ!!」

唸りながら電撃と暴風で攻撃を仕掛けるライオーマン達だが、苛立ちもあってか精細さを欠いていた。

カタログスペックでクイックマンの倍と言われる俊敏さを見せるラ・トールにそのような攻撃が当たる筈も無い。

「お前達は今、何に突き動かされている?」

ラ・トールの問いにライオーマン達は答える事が出来ない。

互いに困惑する様な顔で呻くのみだ。

「以前の俺もそうだった。ただ己の内に湧き上がる何かに動かされる。本来であればそれが間違った事だと分かっているのに・・・」

「わ・・・我々は自らの意思で・・・動いている。ワイリー軍団に参加を決めたのだってそうだ」

ラ・トールの言葉にライオーマンが反論するように口を開く。

だがその顔には苦悩の念がありありと浮かび、発する言葉ほど強い感情は出せない。

「私は・・・人間に対する不満はあるがそれでもライオーの様に反乱を起こすのは時期尚早だと思っていた・・・のか?」

ここに来て同型機でありながら二人の考えにずれが出る。

元より反乱に参加するつもりだったライオーマンと違い、フウオーマンはあくまでも人類は裏切れぬと言う立場であった。

共に暴走した事もあって一緒に連れ立って動いた二人だが、若干の意見の違いが綻びを生み出す。

「もしや・・・我々は何か操られているのか?そこの者の言う通り、この施設を暴走させてキョートシティを壊滅させても何の利も無いのでは無いか?」

 

プシュウウウウッッッ!!

 

愕然した状態で口を開くフウオーマンが蒸気を吐き出す。

(なんだってんだあの蒸気は・・・さっきから二人とも挙動がおかしい。まるで博士の洗脳プログラムにでもやられたみたいな・・・)

両者の様子を窺っていたエンカーがその事実に気づいた時だった。

 

ピシャアアアァァァァァンッッ!!

 

ライオーマンが放った電撃がフウオーマンを貫く。

声さえ上げる間もなくフウオーマンが地面に倒れ伏す。

「敵の奸計に惑わされるとは!!情けない奴め!!」

味方である筈のフウオーマンにそう吐き捨てながらライオーマンは背中の太鼓を思わせるユニットに電撃を集め始める。

「おい・・・こんなのまともに受けたら」

全身を発光させながら片腕を上げるライオーマンにエンカーが声を上げる。

が次の瞬間にラ・トールの姿が掻き消える。

瞬時に間合いを詰めたラ・トールがライオーマンの片腕を掴み取る。

「自ら攻撃を受けに来るとは!!であれば我が電撃を流し込んでくれるわあぁぁぁ!!」

最大の一撃を放たんとした自身に敢えて接近戦を挑んできた彼にライオーマンが不敵に笑う。

 

バチバチバチバチバチバチッッッ!!

 

エンカーらであれば間違い無く戦闘不能に陥っていたであろう電撃を受けても尚、ラ・トールは揺るがない。

 

パキパキパキッッ!!

 

如何に電撃を使うと言ってもその耐電性は万能ではない。

焦げ臭い異臭が辺りに立ち込め、ラ・トールの全身が僅かにひび割れる。

「どうした?お前の怒りとやらはその程度か・・・?」

 

グググッッ!!

 

掴んだ腕をひねり上げる様にしながらラ・トールは無表情のままライオーマンに顔を近づける。

「・・・ええいっっ!!」

怒りに顔を真っ赤に染めライオーマンがラ・トールの腕を強引に引きは剥がす。

時と共に上昇する体内温度に眩暈さえ覚えながらも彼は集めた電撃をラ・トール・・・ではなく側面にあった巨大なコンピューターへと撃ち放つ。

気象コントロールセンターの頭脳と言える部分であり、意図的に暴走させたそれを強引に破壊すれば天候は荒れるに荒れるであろう。

悪足掻きにも近い行動だが、エンカーとラ・トール相手にここまで施設の防衛兵器を破壊され、更に同士討ちに近い形でフウオーマンも失ったのだからこのまま止められるよりはと思ったのだろう。

 

ズガアアアアアアアァァァァァァァァンンッッ!!

 

そんなライオーマンの笑みも放たれた一撃の先に先回りするように動いたラ・トールの姿に凍り付く。

 

ジジジジジジジジジッッ!!

 

放たれた電撃を再びその身で受け止め全身の装甲が弾け飛ぶラ・トール。

「貴様・・・我の動きを読んでいたのか?いやそれ以前に何故にお前は攻撃を仕掛けて来ないのだ」

真っ赤な顔で息荒くライオーマンが問う。

ライオーマンの言葉通りラ・トールは戦いが始まってより積極的に攻撃を仕掛ける事はしていなかった。

エンカーの方はライオーマン達が宙に浮かんでいた事とエネルギー系の武装を有していない事もあって、防戦一方となってしまったのだが。

「・・・お前達が自分の意志で戦っていないからだ」

ぼそりと口を開くラ・トールの息も僅かに乱れが見える。

「だからなんだと言うのだ?仮に我のこの憎しみが紛い物であったとしてもだ。何故貴様は己の身を犠牲にする!?」

「恨みの無い相手とは戦えない。ただそれだけだ・・・それに」

己を凝視するライオーマンにラ・トールは照れた様に視線を逸らす。

「それに・・・俺を倒したロックマンだったら、街も暴れているお前達も同時に守ろうとしたような気がした。だが真似をしただけではやはり分からないな・・・今度、機会があれば本人に尋ねてみようと思う」

考え込むように首を傾げるラ・トールにライオーマンは呆れ顔で仰け反る。

「貴様は思った以上に馬鹿だな・・・ゴロゴロゴロッッ!!いずれにせよ・・・我の負けか」

 

プシュウウウウッッッ!!

 

異常なまでに高温に達した事でライオーマンの意識はぷつりと途切れる。

彼の電子頭脳が高温の為に強制的に停止したのだ。

仰向けに倒れ伏したライオーマンを前にラ・トールも片膝をつく。

続けざまの敵の攻撃を身で受け止め続けた彼のボディも限界に近い状態だ。

「おい・・・大丈夫か」

ラ・トールに駆け寄るエンカー。

彼が軽く手を上げた事でとりあえずは無事である事に安堵しつつも、エンカーは明らかに異音を放ち不気味な振動を続ける施設のコンピューターに顔を険しくする他無い。

「おいおい・・・幾ら何でも操作方法なんて分からねえぞ」

機器の端末に触れた所でアクセス権が無いと警告が表示され、エンカーの顔がますます渋くなる。

何れにせよ施設の暴走を止めねば何ともならないのだが。

「・・・ん。もう終わったのか」

どうしたものかと思案するエンカーだったが、一室にパンクを含め何人かのロボットを引き連れたアースが姿を現す。

彼女は旅館から同行したコンクリートマン、プラグマン、ポンプマンを始めそれ以外の複数の作業用ロボットに合図をするように目配せする。

「こりゃどうなってるんだ?」

コンクリートマンが倒れ伏すライオーマンやフウオーマンに驚く中、早速プラグマン達が端末を調べ出す。

「そういやここの建設にも関わったんだが、まだ権限残ってるかな?」

『あの時は自然保護団体に卵投げつけられて大変だったぜ』と当時の苦労を口にしつつ、コンクリートマンが慣れない手つきで端末へのアクセスを試みる。

途中でポンプマンが施設職員が閉じ込められていた一室を発見し、救出した彼らの手で施設の暴走は止められる事となる。

 

 

「いやあ~ありがとうございました。是非とも貴方にはキョートの名誉市民に推薦したいぐらいですな」

その後、政府軍も駆けつけ暴走したライオーマンらを回収していく中、マスコミと共に駆けつけたキョートシティの市長がエンカーに握手を求めてくる。

「俺、ワイリー軍団なんだけど」

「聞けばエンカーさんはこのキョートをこよなく愛してくれていると友人の知り合いであるカブキマン氏が言っていましてね。何ならワイリー軍団を抜けて我が市に移住されては」

常に腹に一物を持つと言う古都の長の言葉だけに、鵜呑みには出来ないがその言葉に一瞬、エンカーの忠誠心に迷いが出た事だけは付け加えておく。

まあそもそも知り合いの知り合いと言う事でこの市長が、本当にカブキマンと面識があるのかは不明だ。

「一応検討はしておこうかな・・・」

ギリギリのところで迷いは断ち切りつつ、エンカーは挨拶もそこそこに待っていたアースらの所に戻る。

ラ・トールが負傷した事もあり、彼らは最寄りの支部基地に戻る必要が出てきたのである。

「・・・私だ」

アースの方にもワイリースターから連絡が来たらしい。

暫しの間、何やら相手と話をしていた彼女だが一瞬だけその顔が険しくなったのがエンカーには分かった。

「どうやらトラブルが発生したみたいだ・・・」

「ではここで一旦別々に動くとしよう。あまり一か所に我々が居る事を悟られるのもまずいしな」

アースの言葉にパンクが頷く。

今回の異常気象から街を救った事で少なくともすぐには逮捕する気はないだろうが、長居をすれば政府軍なども自身らを捕縛せんと動き出す可能性が高い。

「うむ・・・では今回はトラブルが続いたがここまでだな」

若干名残惜しそうな顔をするアース。

「まあ次の機会がある。とりあえずは今の仕事に集中すべきだ」

「あ・・・ああ」

まるで再会の約束をするかのように軽く互いの腕の先を突き付けながら話す二人。

「・・・・・・」

そんな二人をどこか不思議そうに見つめるのはラ・トールだ。

「そう言えばお前達、付き合ってるんだったな」

どこか空気を読まない彼の言葉に二人が動揺を示す。

「・・・愛ってなんだ?」

ラ・トールは無機質な顔のまま言ったものだ。

その問いに二人の顔が真っ赤に今にも蒸気を噴出しそうになる。

「お前達も暴走しかけているのか?」

首を傾げるラ・トールにエンカーは苦笑いをしつつ肩を竦める他、無かったのであった。




何時もの後書きです。
さらっと読み飛ばして頂いて結構です。

〇ラ・トールについて
スパアド時にラ・ムーンにコントロールされた彼だが、ぼんやりとだが自我らしいものはあったという解釈。
彼自身、感情は希薄だがそのせいもあってか性能ほどに好戦的でもなく意外にも観察力もある。

スパイクプッシャーズ戦での描写もあるがオーバーテクノロジーを使っている事もあり、実力の高さは屈指と言える。
あとこの手の防衛兵器は思考が単純と言うのも一種の欠点となってしまっている。

〇ライオーマン達について
完全に暴走しており行動も支離滅裂となっていた。
そもそもこの手の行動は他のワイリー軍団と連携する事で効果を発揮するのだが、単独で起こした所でただのテロと言う訳である。
仮にエンカーが行かなくてもいずれは政府軍なりが派遣され敗北していただろう。
彼らが自分の意志で動いているようで動いていない状況を看過したラ・トールは、積極的に攻撃を仕掛けようとせず結果として理詰めで冷静さを失う。
ロボットエンザによる電子頭脳のオーバーヒートで敢え無くダウンとなった。
今回の戦いでエンカーはあまり活躍していないが、代わりにラ・トールをぐいぐい引っ張っていく形に終始した。

〇アースと他のロボについて
アースが引き連れたのはコンクリート、プラグ、ポンプマンの三人と他複数の作業用ロボである。
彼らが来たことと拘束が解かれた人間の職員の手で気象コントロールセンターの復旧は極めて速やかに行われた。

当初はアースも駆けつける案だったのだが、それをやると一瞬でケリが付きそうなのでメインはラ・トールとの押し問答にした。
ラ・トールもその気なれば性能差で圧倒出来たのは付け加えておく。


今回は書く事が少ないのだが先月の6月に投稿出来なく申し訳なく思う次第である。
多少はスピードを上げてオリ8ボス戦を消化していきたい。


今回の後書きは以上です。
読んでくださってありがとうございます。
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