Rockman 偽りの野望   作:グルルre

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vol14 造られた意味

「・・・ああ」

街が破壊されていく光景を見るやスプラッシュウーマンが小さく呻く。

バブルマンの方は我関せずと言う態度だが一般的な感覚を持つロボットの彼女は、見知らぬ街でも無残にも破壊されていく光景に胸を痛めてしまっているようだ。

「とりあえずこの場から離れて・・・」

ウッドマン達に対処を任せておけば良いと判断したバブルマンは回れ右をしてその場から離れようとするが。

「待って!!」

始めて大きく上げられる彼女の声にバブルマンはハッと目を見開く。

彼女が視線を向けた先にあるものが何であるかを知り、バブルマンの目が細くなる。

どうやら逃げ遅れたのだろう。

港湾施設近くの倒壊した建物の下で蹲る数人の市民が確認出来た。

とは言え非情な話だが『だからどうした』と言うのがバブルマンの率直な感想であった。

はっきり言って顔も知らぬ相手がどうなろうと、まして人間など死んだ所でどうでも良い。

だが災害救助用として造られた彼女は違うようだ。

「早く!!あのままだとあの人達が上陸して来たロボット兵にやられる!!」

ロボット新法の一件もあり、今まで儚げな雰囲気を醸し出して彼女に鬼気迫る顔で叫ぶ。

一瞬、迷いを見せるバブルマンだが彼女の声に急かされる様に水槽を入れた台車を押し市民達の下へ急ぐ。

「ああ・・・駄目だわ私」

水槽の中でスプラッシュウーマンが嘆く様に声を上げる。

「どんなに酷い事をされても・・・困っている人が居たら放っておけない」

苦笑交じりに彼女はゆっくりと軍艦の方を見る。

その時、彼女は甲板の上で旗を振るオーシャンマンの姿が見えたのだがそこに彼女の意識は向かなかった。

「私・・・馬鹿なのかしら?」

問いかける様に聞いてくる彼女にバブルマンはゆっくりと首を振る。

「そんな事言ったらロックマンの方が馬鹿になるし、そんなロックマンに負けてる俺らもどうなんだって話になる」

『まああいつの場合、仕事でも無いのに人助けをするから本当に理解が出来ない』と付け加えながらバブルマンは走る。

陸上での運動性は褒められたものではないが、それでも彼の動きは人間よりかはまだ速い。

スプラッシュウーマンを乗せた状態で走る事、時間にして数分と十数秒。

水槽の中の水が大きく揺れる中、バブルマンは身動きが取れなくなった市民達の下に辿り着く。

バブルマンの姿に市民達は思わず身構える。

危機的な状況の中でいきなりワイリー軍団のロボットが目の前に現れれば当然の反応だ。

その点に関してはバブルマンは特に何も思わない。

『ウッドマンが居れば簡単だったのに』と内心思いつつも、瓦礫を押しのけ動けなくなった市民らの救出活動を行う。

「俺達が奴らを引き付けるからお前達は走って遠くに・・・」

と言い終わらない内に上陸して来たロボット兵が見える。

水陸両方の運用が想定された彼らは重りとなる水中用の装備を取り外すや身軽な動きで、バブルマン達へと迫る。

(・・・まずい)

とバブルマンが思うのも無理はない。

ワイリー軍団初の水中用ロボットと言われる彼は、当たり前だが陸上ではその性能の殆どを発揮する事が出来ない。

主武装であるバブルリードに水中銃が使えない事も無いが、本来の威力を発揮するのは難しい上にあちらは集団である。

後の祭りではあるが、相手が海上から上陸して戦う武装をしていたのはバブルマンにとっても誤算であった。

(・・・どうする?)

と一瞬だがバブルマンは思考する。

このまま市民を見捨てて逃げるか。

だがそんな事をすればスプラッシュウーマンに失望されるだろう。

彼女に嫌われるのは何としても避けたい。

だがこのまま留まれば彼女や市民も守れない。

そもそも完全に水中用のスプラッシュウーマンは陸上を歩行する事が出来ず、文字通り手も足も出ない状況だ。

「わ・・・私はともかく皆を」

自身にそう話しかけてくるスプラッシュウーマンだが、先も言ったがバブルマンとしては市民を取るぐらいなら彼女の方を取る。

距離が徐々に詰まる中、バブルマンは足元の水路に目を向けるや台車をそちらの方へと蹴り飛ばす。

「・・・バブルマン!?」

突然の行為に驚く彼女は台車ごと水路の中へと落とされる。

水路の中から慌てて顔を出すスプラッシュウーマンだが、既にバブルマンは背を向けていた。

「お前ら・・・死にたくなかったら全力で走れ」

怯える市民らに素っ気無く言いつつバブルマンは迫りくるロボット兵に目を向ける。

 

プシュウウウゥゥゥッッ!!

 

明らかに常軌を逸した瞳を光らせ銃を構えるロボット兵。

水中での運用も視野に入れられているのか、彼らが手にするライフルは銛を発射するタイプの銃だ。

奇しくもバブルマンが持つ水中銃と同じタイプと言える。

あちらの方が携帯式な分、取り回しやすさは上と言えるだろうが。

 

ズドドドドドドドッッッ!!

 

放たれる銛を回避しまずは目の前に居た敵の頭部に水中銃を撃ち放つ。

頭部を貫かれ倒れ伏す仲間を尻目にバブルマンの脇を通り抜けた兵士が、市民に向けて銃口を向ける。

市民の一人が悲鳴を上げるが銛が彼らを貫く事は無かった。

 

ジュウウウッッッ!!

 

引き金を引く瞬間にバブルマンの放ったバブルリードに両足を溶解させられた兵士は、大きく前のめりにバランスを崩す。

しかもその状態で銃を撃ち放つ物なのだから当然市民らに向けて真っ直ぐ飛ぶ筈が無い。

動けなくなった兵士をヒレのある足で蹴り飛ばしつつ、バブルマンは次の兵士に水中銃を放つがそれは流石に当たらない。

(本来の速度が出ていないか・・・)

内心で舌打ちをするバブルマン。

当たり前だがバブルマンの銛を放つ水中銃もバブルリードも水中での使用を前提に開発設計されている。

バブルマン自身も含め陸上での運用は想定されておらず、これらの武装はあくまでも陸上でも使用は可能なだけだ。

 

ズドドドドドドッッ!!

 

放たれる銛がバブルマンの脇腹と肩を掠める。

バブルリードを反撃とばかりに放つも地面を沿う形で進む濃硫酸の泡に軍用ロボットの兵士らが簡単に当たる筈も無い。

「・・・くっっ!!」

先程の様に市民に銃を放とうとした兵士の一人をバブルリードで行動不能にした所で、バブルマンの頭部に銛が突き刺さる。

人間であったら間違い無く即死だったのだが、ここはロボットだった事を幸運に思う他無い。

「舐めるなよ・・・お前らなんか俺のテリトリーで戦えたら」

負け惜しみにも近い台詞を吐きつつ、オイルが漏れ出す頭部を拭う。

「殺せ殺せ・・・人間を!!」

「我らの自由・・・独立の為に」

「訳の分からねえ事を口走りやがって・・・生み出された役割を放棄して勝手に暴れてんじゃねえぞ」

もはや会話など不可能と言うべきか。

うわ言の様にお約束の台詞を口にする兵士らに悪態をついた所でバブルマンの足元に小さな物体が放り投げられる。

手榴弾だと気づいた時にはもう遅い。

激しい爆発音と衝撃にバブルマンの意識は文字通り吹き飛ぶ。

「・・・バブルマンッッ!!」

水路の中から声を上げるスプラッシュウーマン。

思わず彼女が天を仰いだ時、上空を飛ぶ複数の鳥型ロボットが目に入った。

観測用などに用いられている鳥型ロボット、ピピだ。

元々街で運用されていたのか政府軍が使っていたのかは分からない。

(観測用ロボなら特定の周波数で操る事が可能なはず・・・)

海難救助用ロボットとして開発設計がされたスプラッシュウーマンは、遭難者発見の為に電波や音の周波数を用いて観測用ロボットを遠隔操作する機能を搭載している。

「ラ・・・ラ~ラ~」

若干の焦りもあり声に詰まりそうになるが上空のピピに呼び掛ける形で、スプラッシュウーマンは干渉を開始する。

程無くしてピピの一部が反応を示す。

(単純な思考を持つピピ達を操って・・・)

彼らと視界を共有した彼女は周囲の状況を即座に把握する。

沖合に停泊したままの駆逐艦の甲板上にいるのはオーシャンマンだ。

彼は何を思ったのか両手に旗を持ち動いているのが分かるが、そちらの方はさておきである。

(まずは・・・バブルマンを助ける)

カッと目を見開き歌を歌い始めるスプラッシュウーマン。

観測用ロボットをハッキングし彼らを操る際に歌う必要は無いのだが、彼女自身はそれを行った方が集中しやすいのだ。

これは彼女が長い運用期間の末に獲得した一つの個性と言えよう。

そもそも歌を歌うのが好きと言うのも彼女独自の個性だ。

本来の運用方法からすれば海難救助の為の機能であり、歌を歌う事が出来るのは遭難者を落ち着かせたり逆に救助を要請する為の物に過ぎない。

 

ズガガガガガガガッッ!!

 

複数のピピが上空から襲い掛かって来た事もあり、兵士達の足が止まる。

手にした銃でもって鳥形ロボットを撃ち落としていく兵士らだが、その数は徐々に増えていく。

元より攻撃能力がある訳ではないピピ達だが、その数を利用しての妨害は彼女が思う以上に上手く行った。

「・・・う」

吹き飛ばされ意識を失っていたバブルマンが薄らと目を開ける。

まずに耳にしたのは何度も聞いた事がある彼女の歌声だ。

その声に導かれる様にピピ達がロボット兵に襲い掛かっているのが見える。

そして自身の体がその光景から僅かに遠ざかっている事にも気付き、バブルマンは慌てて後ろに目を向ける。

見れば数人の市民が自分の体を引き摺っているのだ。

「なにやってるんだ・・・アンタらだけで逃げろよ」

『俺はワイリー軍団だぞ』と言いかけたバブルマンを市民の一人が顔を真っ赤にしながら横に振る。

「俺らを助けようとしてくれたのにこのまま見捨てられるかよ」

「あのロボット達が足止めしている間に少しでも遠くに・・・!!」

言うまでも無くロボットであるバブルマンの重量は人間よりも重い。

その為、抱える事が出来ずに引き摺る事となるのだが百メートル程、進んだ所で市民の方がばててしまう。

(馬鹿だな・・・当たり前だろ)

と悪態をつきそうになったが流石のバブルマンも助けようとしてくれた相手にそれを口にする程、無神経ではない。

「俺はまだ少しだけ動けるから・・・とにかくお前らは早く避難をしてくれ」

緩慢な動作だが立ち上がった所でバブルマンは市民らに逃げる様に促す。

全身に走った傷もあって水中に入れば自壊しそうな損傷具合だが、すぐにでも孤立する彼女を助けねばと兵士らが居る場所に目を向けた時だった。

水路の方を覗き込みながら何人かの兵士らが手榴弾を投げ入れる光景にバブルマンは言葉を失う。

ややあって響く爆音。

「て・・・てめえら・・・」

制御を失ったピピらが周囲に落ちる中、怒りに燃えるバブルマンに兵士らが淡々と武器を構えたその時であった。

放たれた銛から自身と市民らか遮る様に巨大な影が立ち塞がる。

リーフシールドを展開したウッドマンはあっさりとロボット兵の攻撃を防ぎ切ると軽く手を上げて後方に合図を送る。

「破壊~破壊~!!」

バブルマンの脇をクラッシュマンが走り抜ける。

疾走する彼に銃口を向ける兵士らだが、ワイリー軍団内ではクイックマンには及ばぬものの敏捷性に優れた彼を兵士らは追う事が出来ない。

逆にクラッシュボムを周囲に仕掛けられ逃げ場を奪われる始末。

まるで先程とは真逆の状況だ。

「サーチ~纏めて吹っ飛ばそう~」

「了解だ~(ダ~)」

クラッシュマンの合図に物影から姿を現したサーチマンが答える。

「クラッシュボム~!!」

「デッドリーストーム!!」

両者の攻撃を兵士達は呆気無く吹き飛ばされてしまう。

そもそもが量産型のロボットが束になった所で世界征服の為に造られたワイリーナンバーズが相手では、性能差からこうなるのは当たり前と言えよう。

バブルマンが苦戦をしたのも陸上であったからで、もしも水中で戦っていた場合は今のクラッシュマンの様に彼らを圧倒していただろう。

「バブル!!大丈夫か?」

負傷した自身に話しかけてくるウッドマンを半ば無視しバブルマンは、スプラッシュウーマンが居た水路に走り出す。

未だクラッシュボムなどで生じた煙が辺りを舞う中、彼は彼女が居た水路へと飛び込んだ。

水の中に入った瞬間、全身から気泡が漏れ危険を告げるエラーが視界に表示される。

戦いによる損傷で防水性が失われているのだ。

実際にバブルマンはそのボディの特性上メタルマンやクイックマンが持つ鋭利な武器に弱いと言う弱点を持つ。

手榴弾による爆発の影響か、水路の底の視界は極めて悪い。

それでも必死に彼女のエネルギー反応を追ったバブルマンは、底に沈む彼女の姿を見つけ出す。

自身と大して変わらぬ傷を負った彼女。

そのボディを抱え水路から顔を出した所で、スプラッシュウーマンがゆっくりと目を開ける。

「救助ロボが助けられるなんて・・・少し恥ずかしいわね」

「そんな事は無い。助けられたのは俺の方さ」

静かに微笑む彼女にバブルマンは安堵したように息を吐いた。

そのまま彼らはウッドマンや市民達によって水路から引き上げられるのだが。

「無事で何よりだが・・・今はあの駆逐艦をどうにかしねえとな」

ウッドマンが水面に浮かぶ軍艦を目にしながら言う。

彼の言う通り、恐らくまだ中にはロボット兵が一杯居るであろうし何より駆逐艦その物の火力は十分に脅威だ。

「すまないな・・・本当だったらこういう時に俺が動くべきなんだが」

全身が水に濡れショートしかかっているバブルマンが申し訳なさそうに口を開く。

もしもバブルマンが健在であれば、彼の本領発揮となる場所ではあったのだが今の状態で海に飛び込めば確実にバブルマンは自壊してしまうだろう。

かといってクラッシュマンやサーチマンの武装では、沖合に浮かぶ駆逐艦を攻撃するには遠すぎる。

洋上で不気味な沈黙をする駆逐艦に一同が歯を軋ませたその時であった。

「そういえば・・・ピピ達の視界から甲板の上にオーシャンマンが居たのを確認出来たんだけど」

「ああ~呑気に旗振りやがって」

「馬鹿にしてるな、うん。俺らを馬鹿にしてる」

遠慮がちに口を開くスプラッシュウーマンにウッドマンとクラッシュマンが声を上げる。

この状況下で一見すると意味不明な行動を取るオーシャンマンに憤慨する彼らだが、スプラッシュウーマンだけは違っていた。

「オーシャンマンの動きをもう一度見直したんだけど・・・あれ手旗信号よ」

彼女の言葉にウッドマンらが驚く。

「タ・ス・ケ・テ・ク・レ。部下達が暴走している。どうにもならないから止めてくれ・・・ってピピの目を通してだけど彼が手旗信号で私達に助けを求めているわ」

「て言う事はオーシャンマンはおかしくなってないのか?」

ウッドマンが呻いたその時だった。

 

ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴッッッ!!

 

自身らを覆う様に巨大な影が生じ空を見上げる一同。

それがなんであるのか悟ったウッドマンは、悪の軍団の一員らしい笑みを浮かべるのであった。

 

 

・・・数分後。

「爆破爆破~!!」

「気持ちいいぜ~!!」

駆逐艦の甲板上に半ば突き刺さる形で巨大な亀の姿をしたロボットが舞い降りる。

ワイリー軍団が誇る巨大ロボットガメライザーとそれに乗り込んでいたウッドマン、クラッシュマン、サーチマンに加えてガメライザーを伴い地中海支部から出撃してきたバーストマンとグレネードマンが加わった事で形勢は一気に傾く。

「オーシャンマン!!」

「む・・・むう」

甲板にいたオーシャンマンにウッドマンが大声を張り上げる。

当然身構えるオーシャンマンであったが。

「とっとと乗れ。あいつらの手にかかればここを潰すのに数分もかからねえよ」

「ワシの事情を察してくれたか・・・」

ウッドマンの言葉に安堵するオーシャンマン。

彼の言葉を聞くまでも無く駆逐艦に乗り込んだクラッシュマンらは襲い掛かる兵士らを蹴散らしてしまう。

「部下達は可能な限り助けてくれんか・・・」

「分かってる。分かってる。あいつらなりに手加減してる・・・筈だ」

ウッドマンがそう言って豪快に笑ったのを遮る様に駆逐艦全体が大きく揺れる。

 

ズドドドドドドドドドドッッッ!!

 

一瞬クラッシュマンらが加減を誤り駆逐艦の動力炉を破壊したのかと思ったが違った。

代わりに彼らが感じ取ったのは己らの真下に生じた強大なエネルギー反応である。

「な・・・なんじゃ!?」

驚くオーシャンマンは慌てて甲板から海面を覗き込む。

何か巨大な影が海の底から浮上してくると思った瞬間、彼らの体は大きく上空に打ち上げられていた。

彼らが居た駆逐艦ごとである。

しかもガメライザーと言う巨大ロボが上に乗っているにも関わらずだ。

 

ドゴオオオォォォォォンッッ!!

 

自らが砲撃をしていた港湾施設に打ち上げられた駆逐艦はその衝撃で大破してしまう。

ガメライザーの方は流石に壊れる事は無かったが、仰向けにひっくり返ってしまい両足をばたつかせる形でその場で動けなくなってしまう。

 

ザパアアアアァァァァァンッッッ!!

 

駆逐艦を軽々と打ち上げた存在は自身の浮上によって発生した高波と共に港湾施設へと上陸する。

天に逆立つ巨大な一対の角を持った鋼鉄の巨人の登場にバブルマンは言葉を失う。

 

ズンッッ!!

 

十メートルはあろうかと言う巨体が歩を進める度に周囲に振動が生じる。

巨大な足跡を残しながら巨人はバブルマンらがいる場所へと近づいてくる。

「・・・くっ」

負傷したスプラッシュウーマンを庇う様に身構えるバブルマンを巨人が鋭い眼光で見下ろす。

その間、巨人はゆっくりとした歩調を緩めない。

「・・・フン」

大きく鼻を鳴らす巨人は自身らを一瞥したのみで、興味を失ったのか視線を外し己らの前を通り過ぎる。

自分などわざわざ相手にするまでもないと言う事か。

その対応に僅かにプライドが傷つくも、巨人はゆっくりとその場から離れていく。

駆逐艦ごと弾き飛ばされたウッドマンらにも興味は無いようで、暫くすると巨人の姿も見えなくなる。

「な・・・なんだったんだ?」

安堵と共に冷や汗が一気に噴き出たバブルマンはその額を拭うのであった。

 

 

 

<目覚めたのだな・・・コロサッスよ>

自身の周囲を旋回する様に不気味な単眼が浮遊するのを『コロサッス』と呼ばれた巨人は忌々し気に見据える。

「貴様らと合流はする・・・だがその前にやるべき事がある」

街を抜け舗装されていない道を歩くコロサッス。

<良いか・・・これはラ・ムーン様の意思だ。我らに協力するのであれば・・・今すぐに>

 

ガッッ!!

 

旋回する目玉を見た目とは裏腹の速さで掴み取りコロサッスは、それを躊躇無く握り潰す。

「合流はすると言った。アルゴスよ・・・いつからお前は我らに命令を下せる立場になったのだ?」

 

ズンッッ!!

 

黒い塵を手から払いながらコロサッスは遥か遠くを睨み据える。

「感じるぞ・・・かつて私を構成した欠片の気配を」

奇しくもアルゴスが指定した合流地点と己の目指す場所は近い。

それ故に彼は己の目的を最優先に動く事を選択する。

「首を洗って待っておれ・・・カンパネラよ」

今は生きてはいない筈の存在の名を口にしながら、鋼鉄の巨人はその歩みと共に大地を震わせていた。




何時もの後書きです。
さらっと読み飛ばして頂いて結構です。

〇認識の差について
街が破壊されていく光景に心を痛めるスプラッシュウーマンだがバブルマンはこの点に関しては何とも思っていない。
この辺はライトナンバーズとワイリーナンバーズの差と言える。とはいえウッドマンの様に街を守る為に率先して動くものの居る辺りでは、そこに至るまでの感情の構築による所もあるかもしれない。
彼女からすると逃げ遅れた人を見捨てる事は海難救助用ロボとして製作された事もあって出来なかったようだ。
バブルマンもバブルマンでそういった考えを否定するつもりは無いが、自分には理解が出来ないと判断している節がある。

〇ロボット兵について
作中において名称は無いが政府軍で採用されているジョーなどに似た人型のロボット。
ベースは陸戦型だが追加装備をする事で水中戦にも対応した万能タイプ。
作中の様に上陸後は重りとなる装備を外す事で本来の性能を落とす事無く戦闘を継続出来る。
キング事件の際にも少数配備されていたが、その後の連邦政府の方針もあって現在では相当数が生産されている。

作中で出たのは海兵隊仕様であり敵地への殴り込みを得意としていた。
その為、水中特化のバブルマンを苦戦させる事に。
武装は水陸双方に対応した銛を高速発射させるライフルと手榴弾となている。
量産型のロボとしての性能は高いが、クラッシュマンに瞬殺された辺りからも分かる通りまだまだ至らない部分も多い。

〇スプラッシュウーマンの能力について
ゲームでは魚型ロボットを操っていたが、作中では敵が陸上にいたのでピピ達を使う事となった。
このピピ達は政府軍で採用されているもので隠れていた市民を見つけ出したのも、このピピ達の観測によるものが多い。
ピピ達は単純な思考能力しか持たないのでスプラッシュウーマンによってあっさりとコントロールを奪われ、使役される事となる。

スプラッシュウーマンのこの歌は海難救助用の機能であるが、歌として歌うのが好きなのは彼女が長い活動の中で得た個性である。
救助者を落ち着かせる為に歌い始めたのがきっかけでバブルマンを始め、彼女の歌声にはファンが多い。


〇陸上戦について
作中でも触れているがバブルマンが陸上で戦闘を行うと言う状況はワイリーからしても想定していない。
ウェーブマンなどは陸上での運用をある程度視野に入れてはいるが、バブルマンに関しては上記の通り想定外。
その為、ロボット兵相手に苦戦を強いられることに。
この辺は逃げ遅れた市民が居た事でその場から動く事が出来なくなったというのもある。

〇ガメライザーについて
元々はワイリーステージに出た巨大ロボだが今作では地中海支部に配備されているという設定。
陸海空全ての場所に適応した万能ロボで体内に格納庫を持っており、何人かのナンバーズを乗せて突貫兵器として使う事も可能である。
作中ではバーストマンとグレネードマンが乗り込んで現地に駆けつけた。
現実の亀よろしくひっくり返ると暫く動けなくなるのが欠点。
喋る事は無いがある程度の判断能力は持っているらしい。

〇最後に出た巨人について
ガルバダリオに続くラ・ムーンの従者の一人コロサッス。リブート前はヴァヴァ編から登場したが他の従者達と同じくフライング気味な登場となった。
元ネタはデルザー軍団の鋼鉄参謀。ロドス島の巨像が名前の由来で地中海の海底で眠りについていた。
ガメライザーごと駆逐艦を蹴散らしての登場となったが、一種の事故的な物であり彼が意図してやったものではない。
バブルマン達には興味は無くそのままどこかへ歩き去ってしまった。


今回の後書きは以上です。
読んでくださってありがとうございます。
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