Rockman 偽りの野望   作:グルルre

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vol20 鋼鉄の脅威

「シャアアァァァ!!ダルセニョー!!突撃であります!!」

愛馬ダルセニョーに跨ったパッショナーが声の限り叫ぶ。

それに連動する様に動くのはクイックマンとターボマンだ。

「クイックブーメラン!!」

手にしたブーメランをコロサッス目掛けて発射するクイックマン。

それらを前にコロサッスは回避さえしようとしない。

「くだらん・・・その程度の攻撃が私に通用すると思っているのか?」

 

ガキィィンッッ!!

 

真っ向から攻撃を受け止めたコロサッスは次に車へ変形したターボマンへと視線を向ける。

舌打ちをするクイックマンだが、既に何度も同じように防がれている事もあり彼自身も己の攻撃で痛手を与えられるとは思っていない。

「バーニングホイール!!」

巨大な火炎弾を放つターボマンだが、お返しとばかりにコロサッスが傍らにあったビルの残骸を無造作に放り投げてくる。

咄嗟に跳躍する事で難を逃れるターボマンが見たのは己の必殺武器の直撃を受けながらも傷一つ付かないコロサッスの姿。

「押忍!!」

コロサッスの背後を取る様にグルリと旋回したパッショナーがランスを手に叫ぶ。

「バーニングゥゥゥであります!!」

 

ボアアアアァァァァ!!

 

全身を炎に包み込みながら勢いそのままに相手に突っ込むパッショナーとダルセニョー。

「・・・来い!!」

コロサッスの方は臆する事も無く仁王立ちのままダルセニョーを迎え撃つ。

 

ガキィ・・・!!

 

全速力でぶつかった槍の穂先が一瞬だが止まる。

(・・・ぶれた?)

クイックマンとターボマンは僅かに空間が歪む様に見えたのをはっきりと視界に捉える。

 

キィィィィィィンッッ!!

 

コロサッスが胸元で火花を散らす槍を弾き飛ばす様に片腕を振るう。

「ぬぬぬぬっっ」

コロサッスの脇を通り抜けながらパッショナーが呻く。

己の一撃を受けても尚、無傷と言うのは彼にとっても想定外だったのだ。

「間違いない・・・」

クイックマンがターボマンと目配せしながら口を開く。

「ルーラーズの奴らと一緒だな」

ターボマンの言葉にコロサッスが僅かに目を開く。

「ルーラーズの皆と一緒とはどういう事でありますか?」

「要はだな・・・こいつは目に見えない障壁を展開して実際の強度以上の硬さを誇っているって事だ」

「尤も言うまでも無く障壁も素の強度もルーラーズ以上だ」

首を傾げるパッショナーに二人が簡潔に説明する。

「つまりは先程以上の勢いでぶつかれと言う事でありますな!!」

理解したのかどうかは分からないがパッショナーが身構える。

「私が眠っていた間に我らに似た力を持った者達も現れたか。まあ進化の過程で我らに似ると言うのは一種の道理よ。そんな奴らが居ると言うのであれば以前よりかは面白くなりそうだ」

まだこの世に骨のある者達が存在する事に薄笑みを浮かべるコロサッス。

(超エネルギー元素には超エネルギー元素を・・・ただ今の俺らには)

(・・・打つ手がないな)

クイックマンとターボマンが内心で同じ事を思った時であった。

 

ブォォォンッッ!!

 

巨大な鉄塊が自身らの思考を遮る様にして放り投げられる。

左右に散る様にして飛ぶクイックマンとターボマン。

次にクイックマンが見たのは僅かに自身よりも反応が遅れたターボマンに迫る巨人の姿。

鉄球を投げたのと同時に動いたと思われる姿とは裏腹の敏捷性には、彼も内心で唸る他無い。

 

グシャアアァァ!!

 

握り締めた拳が振るわれターボマンの胴体部が瞬時に潰される。

「・・・ぐお!!」

低く呻いたターボマンだが彼の戦意は失われない。

「バーニングホイール!!」

 

ボアアアァァァァァ!!

 

コロサッスの顔面に炎の車輪が至近距離で直撃する。

「ぬううっっ!?小癪な!!」

先程同様に大した痛手は与えられない。

ルーラーズ以上の規格外と言える強度を持つ障壁を打ち破るには如何程の戦力が必要であろうか。

(反則だろ・・・)

足を上げ己を踏み潰さんとする相手に皮肉めいた笑みを浮かべるターボマンだったが。

 

ズゥゥゥゥゥンッッ!!

 

力を込めた片足の先の感触に僅かに目を見開くコロサッス。

確認する様に上げた先にあるのは地面が砕けた際に生じた瓦礫のみ。

「・・・むう」

彼が見たのはターボマンを抱え卑屈気な顔をするロボットだ。

「まさかお前に借りを作るとはな」

「利子付けて返してくれりゃあ良いぜ」

舌打ちをするターボマンにフラッシュマンが何時もの調子で答える。

ターボマンの無事に胸を撫で下ろすクイックマンだが、状況は絶望的だ。

「おのれ・・・こうなれば!!」

「いや・・・待て」

コキュートスランスを構えるパッショナーにクイックマンが手で制する。

「どう足掻いても今の状況で俺達が奴に勝つのは難しい・・・」

「貴様ら如きが私に勝てんのは当然ではあるがな。ラ・ムーン様の従者の中で最も強いのはこの私なのだ」

クイックマンの言葉にコロサッスは誇るでもなくただ淡々と自身の力を誇示する。

「貴様らから私に対する『恐れ』を感じるぞ。・・・ところでどうだ?貴様らの強さは理解した。まさか時を止める力を有する者も居るとは驚きだ」

チラリとフラッシュマンを見据えつつコロサッスは笑みを浮かべる。

今の一瞬の間にフラッシュマンが行った事を理解する時点でコロサッスが尋常の存在で無い事を思い知らされる。

「我々に正確にはラ・ムーン様に従うのであれば命は取らぬ。私はお前達の様な強さを持つ者が好きだ。私に従えば我が力の一端を手にする事も出来るぞ。我らと共に破壊の先兵に・・・」

「ラ・ムーンか・・・あいつとは因縁がある。あいつの下に付くなんて冗談じゃない。それに俺達の主はワイリー博士だけだ」

「残念だ・・・では踏み潰すとしよう」

己の勧誘を断るクイックマンに心底残念そうな声を響かせるコロサッス。

 

ゴゴゴゴゴゴゴゴッッッ!!

 

溜息を吐きつつ高められるコロサッスの闘気に周囲の地面が揺れ始める。

未だに本気を出していなかった事実に心が折れそうになるが、そんな感情を必死で押し殺すクイックマン。

パッショナーもダルセニョーの上で腰を屈め突撃の体勢に入る。

コロサッスも頭上で巨大な鉄球を振り回す。

「スティィィィルッッ!!」

気合の声が響くと同時に巨大な鉄球が投げ放たれる。

まともに食らえば簡単に致命傷を負う一撃がクイックマンらに迫る。

事実あのナイトマンですら戦闘不能に陥らせた攻撃だ。

当然の事ながら全員が取る選択肢は回避行動のみなのだが。

 

ガキンッッ!!

 

真横から飛ぶ光弾が鉄球の軌道を僅かに逸らす。

と同時にコロサッスの脇に無数の光弾が叩き込まれる。

「なに・・・!?」

目を見開くコロサッス。

光弾が着弾した箇所に付くのは僅かながらの傷。

今の今までクイックマンらが与える事が出来なかった傷がコロサッスの装甲に刻まれる。

「何者だ・・・!!」

声を上げながら光弾が飛んできた方向へと振り返る。

その場に佇んでいたのはローブに身を包んだ二つの人影。

「「凍てつく者共よ・・・これ以上の狼藉は我らが許さぬ」」

異口同音に言葉を紡ぎながら突然の乱入者はローブのフードを払い除ける。

コロサッスの体に傷をつけた者達はその姿も実に奇妙な物であった。

空想上の生き物である竜を思わせる頭部を持った二人からは、一切のエネルギー反応がしなかった。

それを言うとコロサッスも同様なのだが、まだコロサッスはボディが金属の塊であるが故にロボットに見えない事も無いのだが。

現れた両者の顔には機械的なパーツは見受けられず、竜の顔を持った生物と考えた方が正しいのではと思えた。

「我が名は黒竜王」

「我が名は白竜王」

「「我らは『灰にするモノ』に仕えしモノ」」

それぞれの名を名乗りつつ黒と白の竜人は拳を構える。

「灰にするモノ・・・だと?」

コロサッスが目を見開きながら呻く。

「まさか・・・『蛾蟲共』の仲間か!?」

巨人が放つ驚愕の言葉に応じる事も無く二体の竜は地面を滑る様に駆ける。

「波動拳!!」

白竜王の両の腕から放たれる光弾に呻く暇も無い。

光弾の間をすり抜け黒竜王はコロサッスの足元へ辿り着くや僅かに腰を屈める。

 

ズガンッッ!!

 

反射的に足を動かし黒竜王を蹴り飛ばそうとするもそれよりも前に黒竜王が真下から飛び上がる。

「昇竜拳ッッ!!」

 

ガギンッッ!!

 

顎先に直撃した拳の一撃はコロサッスの巨体を浮かび上がらせる。

「ぬううっっっ!!おのれっっ!!」

始めて受けた痛打に声を荒げコロサッスは鉄球を振り回す。

コロサッスの周囲を回転する鉄球だが先程の様に流れる様な動作で動く二人を捉える事が出来ない。

クイックマンらには理由は分からねど黒竜王、白竜王とそれぞれ名乗った者達は不可視の障壁を無力化する力を持っている様だ。

圧倒的な力を見せていたコロサッスの牙城が僅かにだが揺らぐ。

尤も傷をつけられたからと言ってコロサッスからすればまだまだ余裕なのだが。

「スティィィィルッッッ!!」

一瞬だが動きを止めた黒竜王を逃さずに鉄球を放り投げるコロサッスだが、粉々に砕いた筈の黒竜王の姿は大きくぶれて消えてしまう。

『残像だ』と苛立つ暇も無い。

「「波動拳」」

左右から放たれる光弾でもって反撃されコロサッスは初めてその場に膝を衝く。

「まさか蛾蟲共以外にも居たとはな・・・」

言葉だけならば苛立った様に見えるが顔を上げたコロサッスの目に浮かぶのは歓喜と言うべき念。

「フハハハハハ・・・ハーッハッハッハッハッハ!!」

狂った様な笑い声を上げる巨人。

「今こそ・・・闘争が時!!」

その巨人の姿が不意に掻き消える。

(・・・速い!!)

クイックマンが驚愕したのは言うまでもない。

先程まで見た目とは裏腹の敏捷性を見せていたコロサッスだが、その彼の巨体が文字通り掻き消えたのだ。

ただでさえ圧倒的な攻撃力と防御力を兼ね揃えた彼が、クイックマンですら見失う速度で動くとあればもはや敵う相手など居ないのではないか。

 

ガキンッッ!!

 

コマ送りの様にコロサッスの剛腕が振るわれるのが見える。

それから遅れる様に拳圧による暴風が周囲に吹き荒れ瓦礫などが舞い上がる。

二体の竜もまたコロサッスと拳や蹴りで鍔迫り合いを起こしながら、周囲を嵐の様に動き回る。

傍から見れば殆ど災害としか思えないだけのぶつかり合い。

ここ最近で言えばデューオと一緒に落ちてきたロボットの対決以来の規模での激突だ。

「真空ぅぅぅ!!」

「滅殺ぅぅぅ!!」

激突の度に互いの身を削りあう中、跳躍した白竜王と黒竜王が両腕にエネルギーを高めていく。

「波動拳ッッ!!」

「豪波動ッッ!!」

 

シュバアアアアァァァァ!!

 

巨大な光弾を同時に放つ二人に対しコロサッスはそれを真正面から受け止める。

両腕を突き出したコロサッスの眼前で空間が大きく歪む。

極限まで高められたエネルギーは暴走し周囲の建物すらも巻き込む形で大爆発を引き起こす。

「フハハハハハ!!そうでなくてはぁぁぁ!!」

 

ズンッッ!!

 

全身を傷つかせたコロサッスが爆風の中から姿を現す。

黒竜王と白竜王も同じ様に傷ついた体で身構えるのが見える。

激突の間の僅かな静寂が場に訪れた時、その静寂は意外な形で破られる事となる。

「お待ち頂きたい!!」

両者を止める様に声を響かせるのは公王であるテオドールその人。

「「・・・・・・」」

黒竜王と白竜王が無言で構えを解く中、コロサッスの方は最初戦いが中断した事に顔をしかめつつも現れた人物に目を見開く。

「カンパネラか・・・?お前からは我が血からなる繋がりを・・・感じ取れるぞ」

自身の眼前に現れるなりその膝を衝く公王にコロサッスは静かに問う。

「全てが全てではないが我が祖先と貴方の間で起こった事は理解している。貴方が我々に対し怒りを覚えるのも無理は無い・・・だがどうか私の命と引き換えにその怒りを鎮めて欲しい。そして貴方から授かった叡智はお返しする」

 

ピカアアァァァァ!!

 

公王が手にするのは淡い光を放つ一つの宝玉。

それを見つめるコロサッスの目に浮かぶのは困惑か或いは。

暫しそれを呆然と見つめていたコロサッス。

「詫びる・・・と言うのか?怒りを鎮めよと言うのか?」

問いかける様な言葉にテオドールははっきりと頷く。

一瞬だけ目を伏せる様に装甲の隙間より垣間見える目を細めた巨人だが。

次に放たれるのは禍々しいまでの殺気だった。

「何故だ?」

その言葉に混じるのは明らかな失望の念。

「何故だカンパネラの末裔よ。何故に・・・貴様は」

血を吐く様な言葉と共にコロサッスの両目が怒りとも違う色を示して歪む。

「貴様は抗わぬ!!このラ・ムーン様に仕えるこの私に敵わぬとは言えども勝負を挑まぬ?醜くともどこまで抗う・・・それが貴様らニンゲンのぉぉぉ」

 

ズドドドドドドドドドドドッッッッ!!

 

「我らには無い強さではないのかぁぁぁぁぁ!!」

 

コロサッスの声と共に放たれる衝撃波は公王の身を後方へと弾き飛ばす。

「危ないであります!!」

もしもパッショナーがダルセニョーを操りその身を受け止めていなければ、テオドールは全身を強打し致命傷を負っていたであろう。

「無抵抗など我が前には何の意味も無い。そして面白くも無い。涙を流せ!!血を噴け!!そして惨たらしく死んでいけ!!」

「言ってる事が無茶苦茶だな・・・」

コロサッスの一方的な怒りにクイックマンも苦笑する他無い。

「・・・むうぅ」

パッショナーに抱えられ呻くテオドールの腕から宝玉が零れ落ちる。

朦朧とする意識の中でそれを取ろうとするがそれよりも前に後から来た小さな手が拾い上げてしまう。

「ほらね・・・やっぱり失敗すると思った。お父様は優し過ぎるのよ」

苦笑いを浮かべながら宝玉を手にするのはテオドールを追いかけてきたプライドだ。

彼女の姿を見たコロサッスの目が再び見開かれる。

「お前もカンパネラか・・・成程面影があるぞ」

薄笑みを浮かべるコロサッスにプライドは凛とした態度を保つ。

内心で言えば今すぐにでも逃げ出したいのだが、それは彼女の名前通りのプライドが許さない。

「歴史とか伝統とか色々と大事なんだろうけど・・・はっきり言って今を生きる私達にそんな大昔の因縁なんて訳が分からないし、迷惑以外の何物でも無いのよ!!」

 

ピカッッ!!

 

プライドの啖呵に反応する様に宝玉が光を強くし始める。

「ここでの乱暴狼藉は例え建国神話の神様が相手でも許さないわ!!覚悟なさい!!」

彼女の叫び声と共にその光は全身を包み込む。

(唱えよ我が名を・・・唱えよ我が言の葉を)

脳裏にそんな声が響いた様な気がするがプライドは気にもしない。

ただただ目の前の突然現れた敵に対する怒りで頭が一杯だった。

次いでいうとデュラハンマンが起こした一件から大きく予定を崩されストレスが溜まっていたのもある。

「ロックオン・・・モデル『コロサッス』」

 

カアアアアアアアアァァァァァァ!!

 

全身を包み込む閃光が収まった後、そこに佇むのは純白の甲冑に身を包むプライドの姿であった。

「・・・え?」

周囲の者が言葉を失う中、真っ先に言葉を上げたプライドは困惑気に己の手や体を見る。

「ど・・・どう言う事?」

「フハハハハ!!ますますカンパネラに瓜二つだぞ。その宝玉はかつて我が体から切り離した物よ。それ故にカンパネラとその血族は我が力の一端を行使する事が出来るのだ」

「ちょっと・・・なんかイメージと全然違うんだけど!?」

プライド個人が宝玉の力をどう思っていたのかはさておきである。

どこぞのヒーローか魔法少女なノリで突然甲冑を身に着けてしまって混乱しない方がおかしいだろう。

 

ブンブンブンブンッッ!!

 

目を白黒させるプライドを余所にコロサッスが無造作に鉄球を回す。

「・・・受けてみろ」

まるでレクチャーする様にそう言葉を投げかけたのと同時に鉄球が飛んでくる。

 

ゴオオオォォォォッッ!!

 

身動きも出来ずに反射的に両手を突き出すがそんな事でコロサッスの鉄球が受け止めれる筈が無い。

と誰もが思う中、その予想は覆される。

 

ガキンッッ!!

 

その場に居た一同が見たのは甲高い金属音と共に弾かれる鉄球である。

「へ?え?え?」

この状況に最も困惑したのはプライドである。

と言うか困惑しっぱなしと言った方が正解か。

自身の前の風景が大きくぶれたのは分かったが何故あれだけの質量を誇る鉄球を弾けたのか分からない。

「言った筈だ。我が力の一端を行使出来ると。今のお前はニンゲンを超えた力を有しているのだ」

攻撃を防がれても寧ろ満足げな様子さえ見せながらコロサッスはプライドに指を向ける。

「いきなりそんな事言われてもってって!!」

 

シュンッッ!!

 

彼女からすれば軽く飛び跳ねたつもりなのだろうが全身の鎧の重さを感じさせぬ形で彼女の身は数メートルは宙に舞い上がっていた。

危うく着地に失敗しそうになるがそれは何とか持ち堪える。

(鎧を着ているのに全然重くないし、普段と違ってあり得ないくらいに体が軽い)

冷や汗を流しながらプライドは己に起きた状況を頭の中で整理する。

あの宝玉なる物は自身の先祖がコロサッスから受け取った物であり、何を以てかは分からぬが自分は宝玉の力で変身してしまった事。

そしてこの力は目の前のコロサッスの力の一端を封じ込めた物で殆ど反射の様な形だが、自分はその力を行使出来てしまっている。

まだ頭の中は混乱気味だが要約するとである。

(今の私にはコイツと戦えるだけの力がある!!)

こういう時にあまり物事を複雑に考えない事もあってか彼女はそう判断した。

両手を握り締めるプライドにコロサッスは装甲の向こうで満面の笑みを浮かべていた。

「武器を念じろ・・・さすれば」

と言い終える前にプライドの手に握りられるのは若干小ぶりではあるが、本来の彼女の細腕では持てる筈が無い鉄球だ。

「ナイトマン達の仇よ!!キングダムクラッシャー!!」

動きも含めナイトマンの見様見真似であるがそれでも鉄球は真っ直ぐに飛んだ。

コロサッスの顔面目掛けて放たれた一撃は軌道を読まれており、軽く首を傾げるだけで回避される。

だがその途上でプライドは鉄球の鎖を大きく引っ張る。

真っ直ぐに飛んだはずの一撃はブーメランの様に戻って来る。

自身も鉄球使いでありその様な動きをすることは不可能ではないのだが、初めての攻撃でここまで器用な事をするのはコロサッスでも予想外だったらしい。

それ故に反応は僅かに遅れ回避は間に合わない。

 

バキンッッ!!

 

鋭い音と共に弾け飛ぶのはコロサッスの頭部にある三日月を模した猛牛の如き角の片方だ。

「ほう・・・」

僅かに目を見開き感嘆の声を上げるコロサッス。

「よし・・・まずは一撃!!」

コロサッスに一矢報いた事に確かな感触を感じながらプライドは驚くばかりの周囲の面々に目を向ける。

「さあ皆、今が反撃の時よ!!私達の国を脅かす輩をここから追い出すのを手伝って頂戴!!」

啖呵を切るプライドにクイックマンが苦笑いを浮かべながら身構える。

黒竜王達も同じく身構え、公王をダルセニョーに任せたパッショナーも続く。

「いいぞ・・・いいぞ!!さあ闘争を楽しもう」

己を取り囲む者達を前にコロサッスはますます笑みを深くする。

満たされぬ筈の渇きが僅かに和らぐのを感じながら破壊の化身はその身に高まるエネルギーを更に高めるのであった。




何時もの後書きです。
さらっと読み飛ばして頂いて結構です。

〇障壁について
元ネタ的にはギガミ版ルーラーズのそれであり、作中でも度々言及されているが超エネルギー元素や悪のエネルギー等を取り込んだ者達が有する不可視の障壁。
コロサッス達はこれを神の楯・・・ラ・ムーンから授かったモノと言う認識でそう呼んでいるが上記の通り超エネルギーに付随するものである。
因みに障壁の役割としては攻撃を受けて防ぐのではなく逸らす、弾くと言った表現の方が適切と言える。
ただしこれらも万能ではなく似たような力を持つ者の攻撃は中和される上に障壁で弾ける質量にも限度がある。
パッショナーの突撃を無傷で防げたのはコロサッス個人の装甲の厚さ故と言える。

〇二人の竜について
後々のリブートの設定変更もありフライング気味に登場させた。
黒竜王と白竜王の二人はモチーフ含め21XX年代に登場する彼とも関係するのだが、彼ら二人は純粋な意味で竜の頭部を持った有機的な存在でありロボットではない。
この辺は性質の違いはあれどコロサッスらと同様の存在と言える。
コロサッスに蛾蟲と言われた存在も含め、彼らは既にこの時代から活動と言うよりかは覚醒し始めている事だけは付け加えておく。

〇宝玉について
作中で言われている通り元はコロサッスの体の一部を切り離した物。
要は原始的なライブメタルとなるのだが、プライド個人はなんか凄いビームとかが出るなり、コロサッスの障壁を突破してダメージを与えられるとかそういう風に思っていたらしい。
コロサッスからするとカンパネラの末裔はこの力で自身に抵抗すると考えていた為、テオドールの降伏はある意味で裏切り行為に他ならなかった。
変身後のプライドはアニメ版エグゼのクロスフュージョンした彼女がモデル。
余談だが彼女の容姿は初代カンパネラに似ているらしい。


今回の後書きは以上です。
読んでくださってありがとうございます。
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