Rockman 偽りの野望   作:グルルre

6 / 33
vol6 ホットスポット(中編)

「・・・・・・」

秘密裏にではあるが自身らが占拠した施設に用意された一室で彼は先程から彼女の気配が周囲から消えた事を感じ取っていた。

『勝手な事はするな』と釘は刺したがそれで大人しくしているようなら苦労はしない。

その先の事を思いつつ彼は深々と溜息を吐く。

「我らが最高傑作の試作機だ・・・後々の為にと排除は出来んか」

反芻する様に頷きながらヴォイドと呼ばれるロボットは部屋の隅に目を向ける。

「アポロか・・・」

「・・・・・・」

 

ボアアアァァァァァ!!

 

ヴォイドが声を掛けたのを合図に部屋の一室で炎が昇る。

部屋の天井まで達しようかという火柱が昇りながらも、施設の火災報知機などは一切反応を示さなかった。

それどころか壁や天井に焼けた跡すらも生じない。

「どうやら小娘が勝手に動いている様だ。私はここを動けん。デューオと交戦したばかりで悪いが連れ戻しに行ってくれ」

「・・・ワカッタ」

ヴォイドの命令にアポロゴーストは素直に従う。

ソローやボーンダインが動けないこの状況下でこれ以上の戦力低下は避けたい所だが、これから彼女がしようとしている事を『知っている』が故にヴォイドも黙っている訳にはいかない。

「ラ・ムーンの従者は信用が出来ん。くれぐれも奴と二人きりにはするなよ」

「・・・ショウチシタ」

自身の言葉に頷くアポロゴースト。

彼の姿が消えるのを見て僅かにその歯を軋ませる。

「全く・・・世話の焼ける身内よな」

呆れたような溜息を吐きつつヴォイドは静かに目を閉じていた。

 

 

 

「ようし・・・来たな」

ロボットアーミーの基地に運ばれてきたマジシャンウーマンの姿を見るなり、白い歯を見せて白衣の腕をまくるのはワイリーである。

周囲をロボット兵が取り囲む中でも悪の天才科学者は至って平然としていた。

「グレゴリオの『目』を通じてワシらも事の詳細は大体把握しておる。とりあえずそこの小娘のボディを調べ暴走の原因を・・・」

このまま勝手に魔女の姿をした少女を作業室に運びそうになるワイリーだが、当然それはロボット兵らに遮られる。

嬉々としていた顔を途端に不機嫌な物に変えるワイリーに周囲のロボット兵も呆れる他無い。

「時に聞きますがワイリー博士はご自分の立場が分かって居るのですか?」

オクターヴが苦笑しながら問いかけてくるが、ワイリーはピクリピクリと眉を動かすのみ。

ロボットアーミーに拘束されているワイリーであるが、そもそも己が世界中で指名手配されている犯罪者である自覚が無いのか先程から勝手に辺りをうろつき対応に苦慮している状態だ。

そもそもワイリーの手には枷さえ嵌められていない。

まあこれは仮に一室に閉じ込めても何らかの形ですぐに出てくるであろうとオクターヴが判断したからなのだが。

「アル・・・貴方の身柄はロボットアーミーが確保しているのだから、勝手な事は厳禁よ」

いつの間にか隣にいた白衣を着た女性リィリィにそう言われ、ワイリーは小さく舌打ちをすると後ろにあった席に座る。

腕を組んだまま回転椅子でグルグル回り出すワイリー。

大人げないが自身のしたい事を邪魔されて不貞腐れている様子だ。

「検査結果のデータは科学省とWRUに送ります。それとライト博士にも協力を仰ぎましょう」

「フン・・・無能揃いの科学省やWRUに何が出来る。ましてや仕事は正確じゃが慎重すぎるライトなんぞに任せておったら、原因究明は来年の話になっておるわい」

大きく鼻を鳴らしながらワイリーが言うが、マジシャンウーマンのボディを調べ始めるスタッフは無視を決め込む。

「しかしロボットを暴走させるプログラムは、一連の事件でも多く用いられてきた手段ではありますが。何故彼女らは熱暴走を・・・」

「現場の話では殆ど自滅に近い形で動けなくなったとか」

「しかし普通の熱暴走にしてはおかしいです。先程からボディの機能をシャットダウンして冷却をしているのに一向に温度が下がらない。このままでは電子頭脳まで重篤な損傷を受ける危険性が」

口々に話すスタッフや科学省から派遣されてきた科学者の話に耳を立てるワイリー。

「・・・」

先程までとは一転、急に黙り込むワイリーだがその様子に気づく者はいない。

時折、明後日の方向を見る様に視線を遠くに向ける彼だが、頭の中では今まで得た情報とスタッフ達の動きや会話から事の次第を反芻されていた。

その間、別件なのか思い出した様にリィリィが一室を後にするのだがそれもワイリーの集中を妨げるには至らない。

「なんなんだ・・・熱による異常行動。一向に下がらない温度。これではまるで」

調査をしていた科学者が思わず声を上げる。

(人間が罹るインフルエンザみたいだ・・・か)

科学者が発した言葉と同じ言葉を心の中で呟きながら悪の天才科学者は立ち上がる。

彼は近くにいたロボット兵に向かって『済まんがトイレじゃ』と告げると銃を構えた彼に引き連れられ、軍施設の用を足す場所に案内される。

流石に中にまで入られなかったがトイレの外にロボット兵が見張りを続けている状況だ。

しかもこのトイレ、窓やダクトと言った類の物は一切無く彼らの目を盗んで逃げる事はまず不可能となっている。

用を終え溜息を吐くワイリー。

それに反応するかの様にトイレ内の空間が僅かに歪む。

その歪みにワイリーは無言のまま、一枚のチップを差し出していた。

オドオドと震える手は落としそうになりながらもそのチップを手にする。

手が引っ込んだ後、空間の歪みから目だけを出すのはアストロマンである。

「あ・・・あの博士は」

恐る恐る問いかけてくる彼にワイリーは軽く掌を向けつつ、無言で彼をそのまま向こう側に行くように促す。

恐らくシャドーマンも何処かに控えてはいるのだろうが、予想以上に監視の目が厳しい。

それ故に空間を自由に行き来できるアストロマンを使う事にしたのだが、果たしてこのアストロマンは自身が造った方なのか或いはキングの手で復元された方なのか。

まあどちらにせよ構わないとワイリーが洗面台に向かった時だった。

「おいおい、漏らしていいのか?男の緊急事態だぜ」

外で自身を監視するロボット兵に止められたのか、声を掛ける彼に本気なのか冗談なのか分からない口調で話しつつトイレに入ってくるのは一人の壮年の男性。

洗面台の鏡越しに視線を合わす両者はどこか似た顔に対照的な感情を浮かべつつ、入ってきた男は用を足し始める。

「なかなか大変な事になったな~」

「・・・フン」

男の独り言の様な口調にワイリーが鼻を鳴らす。

「そう言えば娘が世話になったそうだな。迷惑もかけたみたいだが・・・」

「構わんよ。小娘の一人や二人の面倒くらいワシでも見れる。まあ腕前の方はまだまだ青二才じゃったがな」

娘と言うのはこの間、自身の下に転がり込んできた姪のエストの事だ。

男の方はそのエストの父親でヴァイス=W=ワイリーなる男。

言わずと知れたワイリーの弟。

「それで例のロボットが熱暴走するカラクリはなんなんだ?俺が以前制作したロボット・・・今はマジシャンウーマンと名乗ってるあれも暴走したみたいだが」

「やはりお前の所のか。と言うかキング軍団になんで合流しておるんじゃ?全く自分の制作したロボットくらい。ちゃんと管理せんか」

「おいおい、兄貴がそれ言うかよ。まあちょいとした手違いで行方知れずになってたのさ。それはともかくだ」

手を洗いながら鏡越しに弟と話すワイリー。

「言っとくがこれはワシが意図的に起こした暴走ではないぞ。じゃがあれに似た暴走プログラムを考えた事はあった・・・丁度似たような作用をもたらす悪のエネルギーも手に入ったからの」

「ほうほう」

ヴァイスが相槌を打った段階でワイリーを監視していたロボット兵が銃を構えながら入ってくる。

どうやら長居をし過ぎた様だ。

流石に長話をさせてくれる程、相手の方も甘くはない。

「フン・・・」

わざとらしく鼻を鳴らし兵士に連れていかれるワイリー。

それを見送りながらヴァイスはわざとらしく背を伸ばす。

「リィリィ博士はどこに行かれた?」

「ワイリー軍団から押収したロボットを見に行かれたとの事だが・・・」

目の前で兵士らがそんな話をしながら通り過ぎていく。

「大変です!!今度は政府軍の飛行艦隊が街を空爆しています」

などと緊迫した情報が錯綜する中、ヴァイスは懐からシガーケースを取り出すと近くにいたロボット兵にこう聞くのであった。

「一服出来るところはねえのか?」

自身の問いに渋い顔をする相手に構わず彼は口の端を緩めていた。

そしてその彼に案内される前にヴァイスは姿を現した人物に顔を向ける。

サングラスを付けた一人の青年に彼は眉をピクリピクリと動かしていた。

 

 

 

ヤキが回ったと言わざるを得ない。

馬型サポートメカを全速力で走らせながらバンデットマンは自嘲気味に笑う。

アメリカ西部で泣く子も黙る悪党が何というザマだ。

後ろからはトマホークマンら政府の手の者が追いかけて来ていると言うのに、自身は己の隠れ家へと向かう敵を倒さんが為に一直線に馬を走らせている。

普段であればこの様な短慮な行動など絶対にしないであろうが、己の首を狙う者達がその場所を知っているのであれば話は違ってくる。

どちらにせよ隠れ家は使えなくなる。

いや問題はそんな事ではない。

あそこには自身にとって守るべき宝がある。

それも金銀財宝などの類ではない。

そう言った物では絶対に買えない物がそこにはあるのだ。

もしも数年前の自身に今の状況を話せばどう言うだろうか。

自身の身の為にそれらを切り捨てるべきか。

と問えば間違い無く切り捨てろとかつての己は言うであろう。

何せかつての己は金の為ならば何だってする悪党なのだから。

いやそれは今も変わらないかと考えた所で銃弾がバンデットマン目掛けて飛んでくる。

自身らを追撃せんと迫るバンデットマンを待ち構えていたのか、荒くれロボット達がそれぞれの武器を手に自身の行く手を阻まんとする。

「どけっ・・・!!」

 

ズドンズドンッッ!!

 

瞬時に放たれた弾丸はロボットの脳天をあっさりと貫く。

「リフレクトショット!!」

馬上でありながら百発百中の腕前を誇るバンデットマンの一撃は、物陰に隠れていたもう一人のロボットも瞬時に撃ち抜いていた。

跳弾を用いた一撃に成す術無く倒れ伏すロボットに見向きもせずにバンデットマンは先を急ぐ。

恐らく自身の追撃を妨害する為に何人かの者達を残したのであろう。

時間にして僅か数秒の事であったが、それでも追撃速度は低下する。

舌打ちをしながら進むバンデットマンはややあって数台のバギーやトラックの姿を視界に捉える。

 

ジャキッッ!!

 

得物をリボルバー銃から二挺のマシンガンに取り換えながら、敵へと追い縋る。

 

プシュウウウウゥゥゥッッ!!

 

そんな自身に振り向く彼らのボディから蒸気が溢れ出る。

一様に尋常ならざる容貌でありながらも彼らは組織だった動きでバンデットマンに攻撃を仕掛けてくる。

何時もであれば自身にも味方が居るが、仲間達が荒くれ達同様に暴走した事もあって今は単独。

数の上では圧倒的に不利と言えよう。

無数の弾丸が飛び交う中、バンデットマンも二挺のマシンガンから弾丸をばら撒きながら立ち向かう。

そもそもが彼らの目的は自身の首である。

わざわざバンデットマンの拠点を襲わなくても彼さえ討ち取れれば問題ない。

 

チッッ!!

 

敵の放った弾丸がバンデットマンの肩を掠める。

危うく手にしたマシンガンを落としそうになるが、それを堪える様に歯を噛み締めバンデットマンはマシンガンの掃射で左右のバギーのタイヤを正確に射貫く。

コントロールを失い横倒しになるバギーは捨て置き、バンデットマンは前を走るトラックに迫る。

「これ以上、先にはいかせねえ!!」

叫ぶ彼に応えるかのように一台のトラックが減速しバンデットマンと並走する。

 

ウィィィィンッッ!!

 

真横に開かれるトラックの荷台。

中に居たのは武器を手にした荒くれ達だ。

銃弾や爆発物が向けられ、中には命知らずにも飛び掛かって来る者も居た。

飛び掛かる者を紙一重で回避し、爆発物は投げられる前に射貫く。

 

ジジジジジッッ!!

 

無数の銃弾を体で受けながらも一気に速度を上げたバンデットマンはトラックの運転席にダイナマイトを投げ込む。

 

ドガアアァァァァンッッ!!

 

運転席が爆発で吹き飛びトラックが暴走する中、バンデットマンはオイルで滲んだマントを指で触れた時だった。

「グオオオオォォォォ!!」

前方のトラックの荷台の上部に立ち尽くすのは一人の大柄なボディが特徴的なロボット。

自身と同じ様に西部劇から飛び出してきたテンガロンハットを被ったロボットの名前はレイダーマン。

バンデットマン同様にアメリカ西部では知らぬ者は居ないお尋ね者だ。

彼が手にしたグレネードランチャーをこちらに向けていると認識した瞬間にバンデットマンはリボルバー銃を向けるのだが。

 

パンッッ!!

 

背後から響く銃声と共にバンデットマンの手から銃が滑り落ちる。

暴走し殆ど横転寸前の中、荒くれの一人が放った一撃がバンデットマンの背に命中していたのだ。

今にも地面に投げ出される危機的な状況下でありながら、一撃を放つなど普段の彼らであれば考えられない行動だ。

彼らが半ば正気を失っているが故の行動に対応出来なかった事を悔いる暇など無い。

無慈悲にも放たれるレイダーマンのグレネードが眼前で爆散した。

馬型サポートメカが大きく前足を上げ、勢い余ったバンデットマンの身が宙に投げ出される。

(全くヤキが回った・・・らしくねえ)

眼前に地面が迫ったと思った瞬間、バンデットマンの意識はプツリと途切れる。

 

 

勢いよく足で開け放たれた扉。

今にも倒壊しそうな家へと踏み込んだバンデットマンは油断なく手にした銃を構える。

「そこに居るんだろ?出て来い・・・てめえらが借りた金を耳を揃えて」

とお決まりの文句を口にした所で彼は室内の異常に気が付く。

舌打ちをしながら二つ目の扉を蹴破った先に見えたのは、これまた見事に吊られた二つの影。

異臭をデータとして捉え不快感に顔をしかめつつ室内に目を向けた時だった。

一室の隅にある段ボールの中から小さな生体反応を感知したのだ。

犬か何かかと思った彼だったが、そんな予想を裏切り中から出て来たのは一人の赤子だった。

今思うにこの時、親の後を追わせる形で赤子を殺しておけば自身はただの悪党のままで居られただろう。

だが銃口を向けられたと言うのに自身に向かって笑うそれに引き金を引く事が出来なかった。

今まで散々命乞いをする者も問答無用で殺してきたと言うのにである。

借金の肩代わりにしては不釣り合いな赤子をその場より回収し、根城にする廃屋への帰り道におむつやミルクまで買っていたのだから今考えてもあの時の自身は何かがおかしかった。

当然の事ながら子供をましてや首が座るか座らないか微妙な時期の赤子を何時までも手元に置いておく事など出来ず、自身は近くの孤児院も兼ねた教会に赤子を預ける事となる。

柄にも無い事をと思うが、赤子との関係はそれきりで良かった筈なのだが。

ふと思い出した様に教会を訪ねた所、預けた赤子が熱を出したとシスターから聞かされる。

連邦政府の支援の手から離れている地域もあって、満足な医療品もないと聞かされた自身の足は気づけば隣町の医者の所に向かっていた。

半ば拉致同然に医者を連れていき赤子の容体が安定した所で、孤児院の他の子供達まで似たような状況である事に気づいてしまう。

心底うんざりしたが手元には今までの悪事で手に入れたある程度の金があった。

汚い金である事もあり、それを散財する事に躊躇は無かった。

別にどう使おうが己の勝手と思っていた事もあるが、後日大量の医療品や食料に子供向けの玩具やらを教会の神父やシスターの前に放り投げた時の彼らの顔はある意味で見物であった。

悪党である己が一体何をと思う他無い奇行の数々。

施しを与えるのはあくまでも今回だけとその場を去るバンデットマンであったが、ふと気づけば思い出した様にそこへ足を延ばしてしまう。

しかも決まってそんな時には新たな問題が発生するのだから堪らない。

孤児の一人が親を恋しがって孤児院を出ていった。

学校に行きたいが授業を受ける金がない。

中には教会の屋根が雨漏りをすると言うのもあったか。

それらの問題を事ある毎に解決していく内にバンデットマンの名声は本人が望まぬ形で広まっていく。

ある意味で裏社会の住人であった事も幸いであったのだろう、世間一般は彼が以前に行っていた悪行を殆ど知る者が居なかっただけに自身は弱きを助ける義賊的な扱いを受ける事となる。

『らしくない』と本人は思ったが、気づけばその噂を聞きつけ後にワイルドバンチの構成員となる者達が己の下に集ってくる。

以前の自身であれば誰かと行動を共にするなど考えられなかった。

いずれにせよ世間一般にその存在を認知される頃には、無関係な市民が傷つくような犯罪は行わず地元のマフィアや悪徳政治家などを標的にした物資強奪などの犯罪を繰り返す事となり更に自身の世間での評判は上がる事となるのだが。

(いずれにせよ犯罪は犯罪じゃねえか・・・)

自嘲気味にバンデットマンは己の悪行を振り返る。

無関係な市民は巻き込まないとしては居たが、果たして本当に誰も死ななかったのか。

相手が悪党やそれに雇われた者と言えど問答無用に傷つけていいのだろうか。

結局は己を弁護する為の行いに過ぎない事を悟りながらも、救いを求め伸ばされる手を払い除ける事が出来なかった。

ああ、自分はなんと中途半端な悪党なのだろう。

敵対者には一片の慈悲も無く己の欲望のままに海を荒らしまわる弟のパイレーツマンの方が、この点に関してははっきりしていてまだマシと言えよう。

 

 

 

「・・・くっっ!!」

バンデットマンが意識を取り戻した時には彼のボディは大きく揺れる車体の上にあった。

慌てて銃を取ろうとするが手近な所には無い。

気づけば政府軍のマークが刻印された装甲車の荷台に乗せられていた。

「起きたのか?」

目を白黒させる自身を見下ろすのはトマホークマンだ。

「何が・・・?」

「トマホークマン達、お前を追った。先に進んだロックとグレゴリオ、倒れている荒くれとお前を見つけた。一部の荒くれが先に向かっていた事もあって後から来た我々がお前を回収、ロックとグレゴリオがレイダーマン達を追っている最中だ」

トマホークマンの説明に舌打ちをするバンデットマン。

目的は己であった筈なのだが、恐らく自身が気を失った直後にロック達が追いついたのだろう。

彼らとの交戦は避けレイダーマンは、バンデットマンの拠点に向かったらしい。

いずれにせよ状況は極めて深刻であり、自身が守るべき者達が危機に晒されているのは間違いない。

被っていたテンガロンハットを脱ぎ、バンデットマンはトマホークマンに深々と頭を下げる。

「頼む・・・俺の事はどうでもいい。どうなっても構わないから彼女達を・・・子供達を助けてくれ」

己のプライドすらもかなぐり捨てて、宿敵たるトマホークマンに懇願するバンデットマン。

そんな彼を冷徹な瞳を見下ろしていたトマホークマンであったが。

「トマホークマン達の任務は西部の治安を守る事。荒くれ達が暴走して町を襲うのは何としても避けたい」

彼はコルトンが持っていたバンデットマンの銃を手に取ると、それを持ち主に握らせる。

「間に合うかどうかはロックマン達が追いつけるかどうかに掛かっている。どちらにせよお前の力も借りたい」

彼から手渡された銃を暫しの間、じっと見つめていたバンデットマンであったが意を決したように顔を上げる。

「・・・恩に着るぜ」

何時もの調子に戻った彼は荒野の先を見据える。

レイダーマン達がどこまで先に向かったかは分からないが、町までの距離を考えればそう遠くまで行っていないだろう。

先に行ったと言うロック達が間に合う事を祈りつつ、彼らを乗せた装甲車は荒野をひた走る。




何時もの後書きです。
さらっと読み飛ばして頂いて結構です。

〇冒頭について
やっぱりと言うかフィーネが独断専行で現場を離脱。
待機命令も万が一の時にバックアップとしての役割が必要だからだと言うのにこれである。
尻拭いはアポロゴーストがする羽目になった。

〇ワイリーについて
拘束されている筈のワイリーだが彼自身は本当に好き勝手に動いている。
オクターヴからしても無駄だと思っているので独房に閉じ込めるつもりは無いようである。
ワイリーは既に事の原因の目星はついているのだがそれを簡単に教える様な性格ではない。
まあその場の勢いで話してしまうかもだが。
シャドーマンもどこかに潜んでいるであろうが、ワイリーは自身の指示が入ったチップをアストロマンにトイレで手渡している。
余談だがもしもトイレに行くのを拒否された際は子供の様に騒ぐつもりだったらしい。
当然だがオクターヴも何かするな程度の認識はあったのは付け加えておく。
ここで弟のヴァイスと初の会話となったが、リブート前同様にマジシャンウーマンを制作したのは彼と言うか彼の経営する会社である。
この男も男で何を考えているのか分からず見張りをする兵士達にとって胃痛の種。

〇バンデットマンについて
前回バンデッドと誤植していたと書いたのだがやっぱりまだあったので作者的に凹む次第である。
前半は彼とレイダーマン率いるギャングとのデッドヒートだったのだが、リブート前同様に彼は人間の子供を養子の様な形にして育てている。
リブート前は自身が強盗を働いた際に両親を殺してしまった事になっていたが、流石にあれかなと思い借金取りとして家に踏み込んだらと言う形にした。
話にすると凄く長くなるのと色んな意味でクサイのでだいぶ端折らせてもらった。

金の為なら何でもするパイレーツマンがやってることはあれなのに、寧ろさっぱりしているのとは逆にこっちは常に矛盾を抱え悩んでいるダークヒーロー的な感じに。
己がやっている事が悪事である事を認識していながら、救いを求める手を振り払えない弱さも持つ点は個人的に好みであったりする。

レイダーマンに関してはリブート前にも登場したロボットギャング。
バンデットマン同様にアメリカ西部の荒くれであり、彼にも賞金が懸けられているがそれ以上に金がかかるバンデットマンを付け狙う小悪党的なキャラ。
手にしたグレネードランチャーが武器だが、熱暴走のせいでその動きは精彩を欠いていた。


今回の後書きは以上です。
読んでくださってありがとうございます。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。