Rockman 偽りの野望   作:グルルre

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vol8 天より見下す者

天空・・・それは遮る物の無い、美しき場所。

今より二年と少し前、カルラウーマンは世界を蹂躙するキング軍団と空で戦いを続けていた。

そしてその日も彼女は部隊を率い、敵が現れたと言う地点に向けて空を飛んでいた。

 

ボッボボボッ!!

 

ようやく敵が目の前に現れ、今から戦いだと言う時に彼女の翼に異変が起こる。

「・・・・・え?」

唖然とする彼女の片翼のブースターが突如として止まったのだ。

なんとか動くもう一方の翼で体勢を立て直すが、徐々に彼女の体は高度を失っていく。

戦闘が始まる中、思わぬ失態だ。

思うに連日連夜の戦いもあってメンテナンスに不備があったのかもしれない。

いずれにせよ何とか空中で体勢を立て直そうとしている中、まだ無事だった方のブースターまで動きを止めていた。

「墜ちる・・・・」

如何に強靭なロボットとは言え、この高さから落ちればまず命は無い。

今まで庭を散歩するかの如く、空を飛んでいた彼女は初めて空が怖いと思った。

体感ではゆっくりと空を落ちていくカルラウーマンの視線の先にある一体のロボットが現れる。

彼は一騎当千と言わんばかりに大空を舞台に向かってくる敵を次々と撃破していった。

そして先程まで自分が指揮していた部隊をあっという間に全滅させると、彼は彼女を目指して手に持った扇にエネルギーを込めながら迫って来る。

彼女の目の前に現れるのはニホンの妖怪である天狗を模したロボット。

ワイリーナンバーズでありながら主人を裏切り、今やキング軍団の幹部へと上り詰めたロボットだ。

彼は自ら飛行艦隊を率いるとこの極東の地に攻め込んできたのだ。

そしてその容赦の無い攻め方には自身も含めた政府軍にとっては恐怖の象徴以外の何者でもない。

 

殺されると思った・・・・・・。

彼女はテングマンらを相手に各地で交戦する政府軍所属なのである。

満足に空も飛べず落ちる事しかできない自分など、枝を切り落とす様にすれ違いざまに首を斬り飛ばされるだろう。

(怖い・・・・・・)

彼女は目の端に涙を浮かべながら恐怖のあまり目を閉じる。

せめて一瞬で痛みも感じる暇も無く・・・・残された彼女の願いはそんな物であった。

 

・・・・・だが、いつまでたっても何も起きないので不審に思った彼女はふと目をあける。

「ーーー!!!!??」

彼女は驚きのあまり目を見開いていた、何故なら敵であるテングマンが彼女の手を握って持ち上げていたのである。

(助けてくれた・・・・・?も、もしかしたら・・・・)

死ぬよりも恐ろしい事に遭うのではないか酷い目に遭わされるのではないかと彼女は恐怖に体を震わす。

「なんだ・・・敵の指揮官と思えば小娘か」

テングマンは僅かに失望し蔑んだ目で彼女を睨みつける。

テングマンは何を思ったかカルラウーマンの体を抱き抱えるとそのまま地上へと降りていく。

 

ドサッ!

 

テングマンは眼下に合った戦火で廃墟と化した街の瓦礫の上に彼女の体を放り投げる様にして落とすと、彼女を上空から見据える。

「な・・・・なんで」

そう震える声で言うしかなかった。

「くだらん・・・・空を飛べぬ者など・・・ましてや女など討ち取った所で自慢にもならんでござる」

馬鹿にされたカルラウーマンはそう思った。

「まあこれは不運な事故・・・今回助けてやったのは同じ空を飛ぶ者としての情けでござる。次に会った時には遠慮なくその首、取らさせてもらう」

不敵な笑みを浮かべながらテングマンは再び空へと舞い上がる。

「拙者の名前はテングマン!我こそは天に選ばれし者!!!」

その姿を呆然と見つめるカルラウーマン。

彼女は気付けば彼の姿に見惚れていた。

そしてもう一度会いたいと思った彼女だがその半月後、テングマン率いる艦隊は本格的に反撃に乗り出した政府軍の前に敗れる事になる。

 

 

 

「あー成程。そう言えばそんな事があったでござるな」

自身との出会いを拙い喋りではあるが必死になって話す彼女だったのだが、当のテングマンはその事を今更の様に思い出していた。

ワイリー軍団との事前の打ち合わせもあって、単身彼と出会う事を夢見てやって来た彼女だがテングマンの態度に若干涙目だ。

テングマンが指揮する飛行戦艦エアガッパーのブリッジでは、クルーのスナイパージョー達が『うわぁ・・・あり得ねえ』と言わんばかりの視線を時折向けてくるが、テングマンは咳ばらいをするに留める。

「と・・・ともあれですな。いやはや拙者もあの頃は色々と気が立ってましてな。なんと気障なセリフを貴殿に言ったのやら・・・いやはやお恥ずかしい」

その頃の軍団を裏切り打倒ロックマンに燃えていた自身を振り返りテングマンは真っ赤な顔を更に真っ赤にしていた。

テングマンからするとあの頃の自身は独り善がりな理想に形振り構わず突き進んでおり、己の守るべき者さえ見失った唾棄すべき姿であったと認識している。

その頃の荒れた自身に憧れてくれた事は有り難いが、テングマン自身はその過去とは決別している。

 

ピピピピピピッッ!!

 

ともあれ話をと本題に入ろうとした折に鳴り出したのが彼女の持つ端末である。

仲間達からだと慌てて取ろうとした端末を落としてしまい、それをテングマンが拾い上げた事から事態は動く。

「・・・むっ」

端末に『ワイリー軍団』の宛名のメールが届く。

その宛名に首を傾げるテングマン。

この時、テングマンらは気づいていなかったが同時刻、世界中のワイリー軍団に参加予定だったロボット達に件のメールが送られていた。

「・・・ワイリー軍団からの?」

「まだ博士からは何も合図は届いていないでござるよ。キングの後継機を始めまだ何の準備もしていないのに・・・悪戯や詐欺メールにしては出来過ぎでござるな」

カルラウーマンに端末を返しながらテングマンは、届いたメールがワイリー軍団からの物ではない事を指摘する。

「集合地点と時間は・・・指定のアドレスを開くって書いてある」

「それはどう考えてもハッキング目的の詐欺メールなのでは?」

「こ・・・怖いから開かないでおく」

「それが賢明ですな」

戦闘用ではあるが臆病な性格と言える彼女が、端末の電源をそっと落とすのを見て独り頷くテングマン。

「先程のは置いておいて、半年から一年後辺りを目途に我々は事を起こすでござる。その際には近くに居れば合流、そうでなければ貴殿と貴殿率いる艦隊は」

気を取り直す様にテングマンが合流時の話を詰めようとした際であった。

「テングマン様!!大変です!!」

クルーであるスナイパージョーの一人が声を上げる。

「我々の基地がある街に政府軍の艦隊が攻撃を仕掛けています!!」

「・・・なに?」

予想外にも程がある報告に耳を疑う。

慌ててブリッジのモニターに映像を映したテングマンは、その光景に言葉を失う。

「何故に政府軍が・・・」

「あれ、私が居る艦隊」

テングマンの隣でカルラウーマンが青ざめた顔で呟く。

「なんと・・・だがまだ我々は動いて」

彼女を疑う訳ではないが元より仲間に加わる筈であった政府軍の艦隊が、勝手に動き出し街を攻撃しているのだ。

警告も無しに行われる無差別な攻撃。

世界征服を企むワイリー軍団ではあるが、この手の無用な被害をもたらす破壊活動は暗黙の内に禁止されている。

悪党の癖に綺麗事をと言われるかもしれないが、これはワイリー軍団にとって譲れない一種のポリシーだ。

「かつての己がしでかしていた事をこうして見せられるとはな・・・」

片腕の扇ともう片方の手を叩きながらテングマンは自嘲気味な笑みを浮かべる。

ワイリーを一時見限りキング軍団に加わった彼は、モニターに映る艦隊と同じ様な事をしてきた。

ただただ最強を自らを天の頂に近づく為との方便であったが、今にしてみればあまりにも馬鹿げた事だ。

「・・・許さん」

腕を震わせ憤るテングマンはジョー達と顔を合わせる。

互いに言わんとする事は分かるとテングマンは意を決する。

「ワイリー博士の許可は得ていないが仕方が無い!!総員戦闘態勢でござるよ」

飛行戦艦エアガッパーのブリッジで声を張り上げるテングマン。

彼の指示に従いエアガッパーは街に向かって空爆を繰り返す政府軍の艦隊と対峙する事となる。

 

 

 

一方地上では。

バブルマンがスプラッシュウーマンを連れてライト博士の研究所に乗り込み、その後で彼が彼女を一方的にどこか連れ出したのと同時刻。

「ちょっとアンタ、人の顔を見るなり舌打ちとか凄く失礼じゃないの?」

「うるせえな。お前なんかに会いたくなかったんだよ」

街中で互いに顔を見合わせるなり、喧嘩腰になる少女と少年のロボット二人。

街へ買い物に出かけていたロールと同じくたまたま出歩いていたフォルテだ。

二人は顔を合わせるなり睨み合いの喧嘩を始めるのだが、もしもロールにロック同様の戦闘能力があれば今頃街で戦いを始めていたであろう。

「くぅ~ん」

『やれやれまた始まった』とばかりにゴスペルが呆れた顔で鳴く中であった。

「ピィ~!!」

二人の頭上でビートが声を上げる。

 

「「うるせえ(さいわよ)!!」」

 

ほぼ同時に二人に怒鳴られる哀れなビート。

だが幸いな事にビートが声を上げたそもそもの原因にロールとフォルテは気づく事が出来た。

街に近づきつつある政府軍の飛行艦隊の姿に二人も喧嘩を止め、僅かに首を傾げるのだが。

 

ドドドドドドドッッ!!

 

次の瞬間、無差別に爆弾を投下し始める戦艦に誰もが我が目を疑った。

辺りに悲鳴が響く中、フォルテらの頭上のビルに一発のミサイルが直撃する。

 

ガラララララッッ!!

 

爆発に伴いビルの瓦礫とガラスの破片が容赦なく真下に降り注ぎ、そこに居たロールにも降り注ぐのだが。

何かに首根っこを掴まれたと思った瞬間には地面にひっくり返される。

視界が塞がれ暫くしてロールは自身がフォルテに押し倒された事を悟る。

覆い被さる様にして己を庇ったフォルテは舌打ちをしながら、先に起き上がる。

まるで猫や犬の様に全身を揺らし背中に刺さったガラス片を飛ばすフォルテ。

「な・・・何よ」

結果としてではあるが抱きしめられた事もあってロールの顔は若干赤い。

フォルテの方は『フン』と鼻を鳴らすのみだ。

「とにかく早く避難しろ」

ロールとそれに付き添うビートにそう促すとフォルテはゴスペルと共に背を向ける。

周囲にはガラス片や瓦礫で怪我を負った住人達が何人も居るのだが、フォルテはそちらの方には見向きもしない。

尚も攻撃を続ける政府軍の艦隊にしか興味が無いと言いたげだ。

ある程度の爆撃が終わったと思われた所でゴブリンと呼ばれる鬼の顔をした飛行メカが戦艦より飛び出してくるのが見える。

市民を標的にした無差別攻撃、正しくキング事件の再来だ。

連邦政府に所属する艦隊が守るべき対象を何故攻撃したのかは分からないが、その辺の所で疑問を抱くフォルテではない。

彼からすればせっかくの休日を邪魔する無粋な連中程度の認識であった。

「あ・・・あの」

辺りの混乱が大きくなる中でロールが強張った表情でフォルテに声を掛ける。

『なんだ?』と不快そうに顔を向けてくるフォルテに苛立ちを覚えつつも、ロールは満面の笑みを浮かべるのであった。

「さっきは助けてくれてありがとう」

「フン・・・たまたまだ。気にするんじゃねえよ」

素直に礼を言うロールに意外そうな顔をしつつも、フォルテは鼻を鳴らしゴスペルと一緒に走り出していく。

その背がどことなくロックに似ているように思えたのは、彼がロックを参考に制作されたからだろうか。

「お~いロールちゃ~ん」

とにかくここから逃げねばとビート共にその場を離れようとしたロールに後ろから声がかかる。

見れば路上でクレープ屋を営む少女ローズが店舗を兼ねたワゴン車から手を振っているのが分かる。

「早く早く~逃げないとやばいよ。乗って乗って~」

顔見知りのロールを見つけるなり、彼女は助手席に乗る様に促す。

思わぬ助け舟にロールは迷う事無く駆け出すのであった。

 

 

「一体、なんなんスか?」

一方、当然の事ながらワイリー基地でも突然の政府軍の暴走による混乱は生じる。

「街に攻撃を仕掛けているのはワイリー軍団への参加を打診していたカルラウーマンやストームマンの居る艦隊ではないか」

基地内のモニターに一連の動きが中継され、バラードが首を傾げる隣でエアーマンが呻く。

今後の打ち合わせも兼ねテングマンと彼らが接触している事は把握しているが、まだワイリー軍団として世界征服計画を開始していない状況での勝手な動きに彼らも困惑を隠せない。

「都市や市民への無差別な攻撃はワイリー博士の許可が無ければ、我らワイリー軍団でも御法度だと言うのに」

「うう~羨ましい!!」

ナパームマンが歯を軋ませる中、マースが街が爆炎に包み込まれるのを恍惚とした顔で見ていた。

「確かに羨ましい・・・上空から爆撃のさぞかし気持ちの良い事だろうな」

「・・・おい」

マースの言葉に同意と頷くナパームマンにメタルマンがジト目で突っ込む。

「それでどうするんスか?」

バラードの問いに一同は即座に答えを出せずに黙り込む。

ぶっちゃけると彼らからすれば街がどうなろうと知った事ではない。

攻撃をしているのが自身らの戦力に組み込む予定であった飛行艦隊とは言え、この攻撃は彼らが勝手にしている事でありワイリー軍団の与り知らぬことだ。

「便乗して暴れる?そうしようよ~きっと楽しいよ~キャハハハハ」

ヒートマンが今にも飛び出していきそうな顔で言うもメタルマンがゆっくりと首を振る。

「やめとけやめとけ・・・街を破壊して何も得られる物もねえ。そんな事すればワイリー博士の逆鱗に触れるだけだぞ」

「確かに・・・であれば静観か」

メタルマンの言葉にエアーマンが冷静に口を開くのだが。

「大変です。偵察に出したブンビーよりエアガッパーと政府軍の艦隊が戦闘を開始したと報告が・・・」

スナイパージョーがモニターと端末を触りながら報告をしてくる。

「テングの野郎・・・勝手に動きやがったな」

頭を抱える様にストーンマンが言う中、続いてフォルテが政府軍の降下部隊相手に戦闘を繰り広げていると情報が入る。

それに加えてである。

<ちょっとアンタ達、とりあえず動きなさいよ!!街が壊滅したらアタシの海の家の収入が無くなっちゃうじゃないの~!!>

顔を真っ赤にしたネプチューンからの通信に一同が再度唸った時だった。

「あ・・・あの」

異次元から上半身だけを出して恐る恐る話しかけるのはアストロマン。

緊迫する状況下で一同の鋭い視線が向けられ、その顔を引っ込めそうになるが彼は勇気を振り絞って一枚のチップをエアーマンに渡す。

「博士から・・・です」

震える手からそれを渡されエアーマンは自身の持つ端末にチップを挿入する。

 

<詳しい事は追って話すが、ともあれ各自の手の届く範囲で暴走するロボット達の対処に当たれ。我が軍団に参加予定の連中が相手でも構わん。いずれにせよ諸君らの健闘を祈るぞい。だーっはっはっは!!>

 

簡潔ながらワイリーからのメッセージを受け取り、エアーマンらは大きく頷く。

「ワイリー博士から許可が出た。基地内に居る者達は街へと出撃し攻撃を行う政府軍を止めに掛かるぞ。それと博士からのメッセージを他の基地の連中にも伝えておけ」

鶴の一声と言うべきかワイリーの命令が出るや、今までの迷いが嘘だったかの様に基地内に居るナンバーズ達は動き出す。

「キャハハハハ~!!燃えて来た~!!」

整列を始めるジョー達の隣をヒートマンが笑いながら駆けるのであった。

 

 

 

「逃げろ逃げろ・・・地を這う獣にはお似合いの姿だ」

政府軍の飛行艦隊の旗艦に当たる戦艦のブリッジでモニターに映る逃げ惑う市民達を見据え、それは薄気味悪い笑みを浮かべていた。

艦長席に当たる場所に腰掛けるのは、カルラウーマンと共に艦隊の指揮を執っていたストームマンではない。

彼はゴブリンに搭乗し街へと降下した事もあって、この場には指揮を行う者は不在となっていた筈なのだが。

「クエーケーッケッケッケッケ!!しかし獣共も思った以上に文明を発達させたもんだなあ。まさか空を飛ぶ所かこの星の外にまで少し足を延ばせるようになるとはな」

そう言って笑う者の顔は猛禽類を思わせると言うか猛禽類その物であった。

血を頭から被った様な真っ赤なボディに黄金の翼を背に持つその姿は極東に伝わる巨鳥ガルーダを思わせる。

ロボットにも見えるがそれとも違う異様な姿の彼が自身らの近くで笑い声をあげていると言うのに、周囲に居る政府軍のロボット達は何の反応も示さない。

「我々に似てはいるが所詮は獣共が生み出した不完全な機械。ろぼっとえんざぷろぐらむ・・・だったか?そんな物一つで己の自我を失うとは片腹痛い。まあお蔭さんで俺は楽が出来る訳だがな・・・」

己が嘲笑うのも気にせずに作業を続けるロボット達が蒸気を噴き出すのを見据え、巨鳥の化身は顔をしかめる。

「しかし臭いな。この不完全な機械共から発せられる油の臭さはなんとかならんのか?」

不快気に顔を歪ませる主の言葉に彼の左右に控えていた奇怪な仮面を被っていた二人が頭を下げる。

「申し訳ありません・・・ガルバダリオ様」

「どうやら獣共の文明には燃える水が多く使われているようでして」

左右に控える眷属の言葉に舌打ちをしながらガルバダリオと呼ばれた存在は億劫そうに肩を上下させる。

「フン・・・とにかく存在自体が不快な連中だ。後で利用価値が済んだら一人残らず駆逐してやる」

そう言って周囲のロボット兵に目を向けた時だった。

街に攻撃を仕掛ける自身らの艦隊の側面を衝く形で敵の戦艦が現れたと報告が入る。

テングマン率いるエアガッパーが単騎で攻撃を仕掛けてきたのを見るや、ガルバダリオは伸びをしながら息を吐く。

「あ~面倒臭え~面倒臭え~。ラ・ムーン様の従者であるこの俺が・・・なんで不完全な機械の相手をしなけりゃならねえんだ」

心底鬱陶しそうに口を開くガルバダリオ。

「バロム!!ラムダ!!」

「「・・・はっ」」

気だるげな顔をしつつもすぐさに気持ちを切り替えた彼は自身の眷属に声を掛ける。

「お前ら二人行って来いよ。この空を自由に舞っていいのは誰なのか、獣共とそれが生み出したゴミ共に教えてこい」

「「御意のままに!!」」

自身の命令を受けるやその場より飛び出していく眷属の二人を見送り、ガルバダリオはもう何度目か分からない伸びをした。

「まああのアルゴスの糞野郎が不覚を取ったんだ。俺としても油断するつもりはねえが・・・面倒臭えなオイ」

ラ・ムーンの従者たる彼は文字通りの高見の見物を決め込むと艦長席にふてぶてしく座る。




何時もの後書きです。
さらっと読み飛ばして頂いて結構です。

〇昔のテングマンとカルラウーマンについて
回想にある通り昔の彼については自信家で他者を見下す、ある意味でオフィシャル通りの性格をしていた。
とは言え残忍かと言われればそうではなく自身にとって殺す価値が無いと見れば敵であっても見逃したりと誇り高い性格であった。
現在はその辺の角も取れ、基本的に他人に対しては比較的敬語口調と丸くなっている。
どっちかと言うとギャグ描写が多いが、この時代においてテングマンは一種の飛行型ロボットの完成形と言える性能の高さを持っている。
この性能の高さもキングが彼をスカウトした理由の一つでもある。

ある意味で運命的な出会いと言えるカルラウーマンだがテングマンの方は全く覚えていなかった。
と言うかこの当時は細かい事を覚えている余裕など無かったのだろう。

カルラウーマンに関してリブート前はカルラマンだったが最近の命名法則によってウーマンに。
政府軍所属の戦闘用ロボだが物静かで人見知りな性格でありながら、キング事件及びそれ以降の人類のロボットに対する扱いには不満を覚えワイリー軍団入りを決めるなど行動力はあるタイプ。
まあテングマンに一目ぼれしたと言うのもある。
彼女はテングマンとの打ち合わせを行っており、例の暴走ARプログラムを見ずに済んでいる。
共に参加を決めていたストームマンとは同僚であり、彼及び艦隊の皆は暴走してしまう憂き目に遭うのであった。

テングマンからするとキング軍団時代の自身は大切な者の存在に気づきもせずに、手前勝手な野望に燃えていたとして恥ずべき存在と見ている。
それ故にかつての自身の様に無差別に攻撃を仕掛ける政府軍に怒りを覚えるのも無理は無い。

〇ロールとフォルテについて
出くわすと即喧嘩となる二人。どっちかと言うとロールちゃんの方が向かって行く。
書いてて思うに何故かうちのロールちゃんは非常に好戦的である。
公式だと看護師になりたがって居たりするんですが・・・うちのはどっちかと言うと片手にバットですハイ(汗

突然の攻撃を仕掛けてきた政府軍にフォルテは鬱陶しいぐらいの感情しか抱いておらず、周囲で怪我人が出ようともそこに感情を抱く事は無い。
まあそもそも彼に怪我人を救護するスキルは無い訳なので、即座に暴れる敵に向かって行くのはある意味で妥当な判断と言える。
その辺も含めロックとは全く以って違うのだが一応は手の届く範囲で、知り合いを助ける程度の良心は持っているようである。

〇ワイリー基地の皆さんについて
ワイリー軍団にとって無差別攻撃は御法度となってはいるが、単にワイリーに怒られると言う理由が大きなところで彼らは命令さえあれば平然とそれをするのであしからず。
彼らの言葉にあるがわざわざ逃げ惑う市民を攻撃する理由が無いと言うのもある。
ワイリー軍団の目的は世界征服であり人類抹殺を目標には掲げていない。
いずれにせよワイリーの指示もあって暴走するロボットの対処に動く事となった。
描写に無かったが現在エンカーとパンクは極東方面に出かけており、パッショナーとレントは今後の作戦もあって欧州にある支部基地に異動となっている。
バラードとフォルテの方はエンカーら不在の穴埋めもあって、南米の支部基地には帰らず待機していた。

〇ガルバダリオについて
アルゴスに続くラ・ムーンによって生み出された従者の一人。
リブート前と言うか同じハーメルンに連載しているX4小説ではワイルロックスと名乗りそれの眷属がガルバダリオとなっているのだが、ワイルロックスと言う名前がワイリーやロックを連想させ色んな意味で被り過ぎている事もあって変更となった。
その為、性格等は変えないが名前や姿はおいおいと変更となる事となった。
その姿はそのまんま神話に出てくるガルーダその物。サイズは巨大だったアルゴスと違い並のロボットと一緒ぐらいとなっている。
真っ赤なボディに金色の翼を持つ猛禽類と言う姿だが、性格は狡猾で残忍を地で行く性格。
人間達を獣と蔑む辺りはラ・ムーン達含めて共通の認識で、更に文明の発達で航空機などを使い空を飛べるようになった人類を思い上がっていると認識している。
彼も彼でマキナザウラーの従者達同様に地上を荒らしまわった時期があったようだ。

突然空から眷属達を率いて来襲する彼の姿を恐れ敬った当時の人類が後の世に語り継いだのが神話のガルーダと言うのがこの世界の設定。
いずれにせよ尋常の存在とは違うモノであり、彼が頭を垂れるのは創造主であるラ・ムーンのみである。

書いてる途中で気づいたがテングマンと言いカルラウーマンと言い、神話におけるガルーダが大元のモチーフな訳で彼からすると恐れ多くも神の従者である自身を獣である人間如きが勝手に模して造った不完全な機械となる。
色んな意味で今後の波乱となるのは間違いない。
現在では暴走したロボット達を完全にコントロールしており、街への攻撃を開始したのもガルバダリオの指示からとなる。

彼の眷属であるバロム、ラムダはインドネシアの神話に出てくるバロン、ランダがモチーフ。
二人とも名前を微妙に変えているが、ランダの方はそのまま出すと時系列的に後の世に出る壁画型防衛兵器と同じ名前になってしまう為に変更となった。
と言うか見た目や名前的に元ネタなんだろうなと作者は思う次第である。

今回の後書きは以上です。
読んでくださってありがとうございます。
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