「うわあぁ!!」
「こっちにも居た!!」
自身らを見るなり悲鳴を上げる市民の姿にエアーマンでなくても舌打ちをしたくなるのは無理もない。
突然上空より現れ破壊活動を行い始めた政府軍の艦隊に加え、追い打ちをかける様に街の郊外から姿を現したワイリー軍団の姿に一時であるが混乱に拍車がかかる。
だがスナイパージョー達が隊列を組み市民らを守る様に暴走する政府軍の行方を遮った事で、市民らはすぐさに彼らの意図する事を察する。
「さっさと逃げな」
メタルマンに促され表情を明るくした市民らが走り去っていく。
「あ・・・ありがとう」
「助かったよ~」
口々に礼を言ってくる市民にメタルマンは背中が痒くなるような感触を覚えた。
「キング事件の時もそうだったがどうも・・・な」
「キャハハハハ~僕達、極悪非道の軍団なのにお礼言われたね~」
自身の言葉に続けてヒートマンが笑うのを見てメタルマンが『はぁ~』と溜息を吐く。
彼らとて心はあり、他人に礼を言われれば嬉しくなる。
普段は一般市民から恐れられる存在であり、その反応に慣れている事もあってか心からの礼を言われると恥ずかしさを覚えてしまう。
「礼なら博士に・・・ってあの人の場合は」
「ますます不機嫌になるよねえ~」
迫りくる政府軍のロボットを前に二人は何時もの調子だ。
「ジョー達は一般市民を逃がせ。我々ナンバーズは奴らの足止めだ」
エアーマンの言葉にメタルマンらがそれぞれの声を上げていた。
一方その頃、ワイリー軍団が市民を守るべく動き出した事などこの男が知る由もない。
と言うか次々と降下してくる政府軍のロボットを相手に大立ち回りをするフォルテに、そんなことを確認する余裕もないし意識も向かないだろう。
「おらあぁぁぁ!!吹っ飛べえええぇぇぇぇ!!」
バスターより放たれる巨大な光弾にロボット達が次々と飲み込まれていく。
ズドドドドドドドッッ!!
速射性に優れた光弾は宙に浮かぶゴブリンの急所を的確に射抜き、堅牢であるはずの鬼の顔が浮力を失い地面に落下する。
巨大な鉄の塊が地面に落下すればどうなるかは言うまでもないがそれによる被害をフォルテが顧みる筈も無い。
周囲を逃げ惑う市民の事など眼中に無く、彼は政府軍だけを見据えていた。
「おのれ・・・よくも我が部隊を」
飛行ユニットに乗りながら宙より己を見据えるのはエアーマンによく似た風貌のロボット。
フォルテが知る筈も無いが政府軍に所属するストームマンである。
全身より蒸気を発しながら唸り声をあげる相手にフォルテは無言でバスターを向ける。
「邪魔をするな!!バーストストーム!!」
片腕のバスターから猛烈な突風を放ってくるストームマン。
エアーマンのそれと違い直線的な軌道を持つ武装だが纏まっている分、その威力は倍以上だ。
まともに食らえばフォルテと言えどただでは済まないだろう。
彼は暴風の如き威力を持つ必殺武器を頭上から次々と放つ。
「・・・フン。エアーのバッタモンにしてはやるじゃねえか」
巧みに突風を放つストームマンは徐々に逃げ場を失わせていき、フォルテは路地裏へと追いつめる。
「もはや逃げ場はないぞおおおぉぉぉ!!」
狂気の宿った瞳を輝かせストームマンがバスターから向ける。
それと同時にフォルテが自身に向かって跳躍するのをストームマンは見逃さなかった。
彼はバスターの銃口を跳躍したフォルテへ修正し突風を放つのだが。
タンッッ!!
宙の上でフォルテの体が再び跳ねる。
二段ジャンプを行ったフォルテの動きに反応出来ずストームマンは慌ててバスターの銃口を動かそうとするのだが。
ズドドドドドドッッ!!
己が乗る飛行ユニットに次々と光弾を叩き込まれストームマンは大きくバランスを崩す。
攻撃を中断した彼は爆発しかける足場から慌てるように地面に降り立った。
「ぬううっ・・・」
プシュウウウウッッッ!!
地面に膝をつきながら再度蒸気を発するストームマン。
彼は血走った目でフォルテを睨み据える。
「頭、冷やせよ。てか熱出すぎだろ」
と熱暴走している様にしか見えない相手にフォルテが挑発を仕掛ける。
寧ろ普段であればフォルテの方が言われる台詞なのだが、ストームマンは逆上するように地面を足で蹴った。
「許さん、許さん!!許さん!!」
ダッッ!!
叫びながら己へと迫るストームマン。
己の武装の特性すらも鑑みずに真っ向から突っ込んでくる相手にフォルテは首を傾げる。
振るわれる拳をあっさりと避け、すれ違いざまに足を引っ掛けた事でストームマンは自分から瓦礫の山に顔を突っ込んでしまう。
「ぐぬううぅぅ」
「お前、馬鹿だろ?」
瓦礫の山から起き上がりながら呻くストームマンの背にフォルテが心無い言葉を投げかける。
返答の代わりとストームマンの全身より噴き出る蒸気。
むくりと起き上がったストームマンの周囲は彼が発する熱で歪んで見えた。
「があああぁぁぁぁぁぁ!!」
怒りにより勢いを増大させた竜巻を所かまわず放ち出す彼にさしものフォルテも呆れた様に息を吐く。
「完全に暴走してやがる。全く意味なく力を行使してもこれじゃあ・・・」
『情けない』と言いかけた所で以前の己がそれに近い指摘をロック達から受けた事をフォルテは思い出す。
自身としても痛い所を思い出しただけにフォルテの顔に苛立ちの念が浮かぶ。
「何もかも冷静になんて出来やしねえが・・・」
ゆっくりと明後日の方向に向かって尚も竜巻を飛ばし続けるストームマンへと近づくフォルテ。
そんなフォルテの事を今更の様に思い出したのか、唸り声を上げてバスターを向けるストームマンだが、バスターから竜巻が放たれる前にフォルテの姿が掻き消える。
まずに先ほどの様に軽く足払いを仕掛けられストームマンは大きくバランスを崩す。
即座に態勢を立て直そうとするストームマンだが、武装であるバスターが取り付けられた腕が一瞬の内に切り離される。
エネルギーを纏った手刀の一撃で得物を失った形のストームマンが低く呻くのが耳へと入る。
当然それにいちいち感情を抱く事もなくフォルテはストームマンの胴体を蹴り上げると止めとばかりにチャージしたバスターを問答無用で放つのであった。
バシュウウウウウッッッ!!
受け身の取れない空中で光弾の直撃を受けたストームマンが瓦礫の中に吸い込まれていく。
「・・・フンッッ」
大きく鼻を鳴らすフォルテ。
はっきり言って暴走して冷静な判断が出来ない存在など、今の彼にとっては敵ではない。
彼としては楽しめる程の相手ではなかっただけに、寧ろ折角の休日を邪魔されたと言う気持ちの方が強い。
『まだあの女と喧嘩をしていた方がマシだった』と言う評価を下した彼の前で瓦礫が吹き飛び、その中からボロボロになったストームマンが這い出てくる。
「ぬぐうううぅぅぅ!!」
武装を破壊され見るも無残な姿となった彼は鋭い視線でフォルテを見据えるも、そのままコマ送りの様に地面に倒れ伏すやそれ以上動く事は無かった。
「全く・・・なんだってんだ」
呆れ気味に言い放つフォルテだったが、背後から近づく気配にゆっくりと振り返る。
「キャハハハハ~また暴れてたの~?」
「少なくとも今回は俺が原因じゃねえぞ」
ジョー達を引き連れたヒートマンが笑いながらやって来る。
そんな彼らに肩を竦ませつつ、フォルテはストームマンを指差す。
「誰だか知らねえが、政府軍のロボットだろコイツ」
フォルテの言葉を受けてかジョー達が恐る恐る気を失ったストームマンに近づいていく。
「凄い熱ですね・・・文字通りの熱暴走って奴でしょうか」
「いやはや研究所の冷房が壊れた時よりも酷い熱さですよコレ」
尋常ならざる熱を発するストームマンにジョー達が口を開く。
ボンボンッッ!!
ジョー達がストームマンのボディを調べている間、爆発音が生じた頭上へと視線を向けるフォルテとヒートマン。
彼らの視線の先では政府軍の飛行艦隊とエアガッパーが互いに砲撃を仕掛けているのが見えた。
「あれ~テングマンも暴れてるの~?」
「次から次へと・・・」
街への攻撃を仕掛けていた政府軍もその殆どがワイリー軍団や街に駐留していたロボットポリスなどの手によって鎮圧されつつあり、残す敵は後方に浮かぶ艦隊だけとなる。
互いに顔を見合わせた二人は不敵に笑いあうのであった。
政府軍の飛行艦隊との交戦を開始したテングマンと彼が座するエアガッパーであったが、不気味な仮面を付けた二人組が現れてから戦況は徐々に劣勢に追い込まれる。
敵の複数の飛行戦艦に対しこちらのエアガッパーは一隻と数の不利はあるが、生憎単純な性能であればエアガッパーの方に軍配が上がる。
事実この二人が旗艦より出てくる前までは有利に戦況が進んでおり、テングマンも半ば勝利を確信したのだがやはりそう簡単には終わらない。
「でやああぁぁぁ!!」
勢いよく振り下ろした扇の一閃が相手の持つ楯に軽々と受け止められる。
不気味な仮面を付けた男女の二人組は、テングマンの一撃を受け止めた事を誇る事もなく淡々とこちらに攻撃を仕掛けてくる。
(面妖な奴・・・政府軍にこれ程の者達が居るとは。いやそもそもこやつら、ロボットなのか?)
全身に黒ずくめのローブを纏う両者は背に生えた翼をはばたかせテングマン同様に宙を自在に舞う。
当然の事だがその戦闘力も含め彼らが人間である筈が無い。
だがテングマンのエネルギー感知器は自身らロボット特有のエネルギーを彼らから感じ取る事は出来なかった。
「・・・死を」
「・・・恐怖を」
左右から迫る両者にテングマンがその場から上昇し回避に徹する。
ズドドドドドドドドドドッッッ!!
上空へと逃げた自身に二人が光弾で追撃を仕掛けてくるのだが、それらは扇に纏った風を真横に払う事で掻き消す事が出来た。
「やってくれる・・・まさかこれ程の実力を持つ存在が世に居たとは。いやはや世の中は拙者が思う以上に広いでござるな」
フッと笑みを浮かべ片腕の扇に風を集束していくテングマン。
「一つ質問しても宜しいかな?」
「「・・・・・・」」
問いかけるテングマンに二人は無言だ。
「貴殿らの名前は?拙者の名前はテングマン・・・ワイリー軍団に属するものでしてな。これ程までに強く空中で戦える者と相まみえるなど」
無言の相手に構う事無く一方的に口を開くテングマン。
そんな彼に両者から僅かながら殺気と苛立ちが生じる。
ヴォォォンッッ!!
「・・・貴様らに名乗る名など無いっっ!!」
二人の内、男の方が瞬時にテングマンとの距離を詰め手にした巨大な斧を振り下す。
「・・・外連味も大事でござるよ」
振り下ろされた斧を紙一重で回避し空いた腕で相手の肩を掴むテングマン。
「トルネードホールド!!」
至近距離で生じた竜巻に声を上げる間もなく吹き飛ばされる。
全身を真空の刃に切り刻まれローブの切れ端が次々と落ちていく。
ズドドドドドドドドッッ!!
「・・・バロムッッ!!」
手にした楯を前に掲げ吹き飛んだ相方へと向かおうとする女。
不用意に前へと出た事もあり、彼女はテングマンにあっさりと側面を衝かれてしまう。
「カミカゼでござる!!」
無数の真空波を伴った風の塊が彼女の全身を包み込む。
相方同様に身に纏っていたローブを剥ぎ取られ、両者は十数メートル離れた所で静止した。
「・・・おのれ」
仮面の向こうで瞳に苛立ちを宿らせながら男の方が呻く。
女の方は僅かに残っていたローブを破り捨てていた。
ローブの下に隠されていた男女の姿にテングマンは息を呑む。
明らかに両者はロボットではない事が分かったからだ。
羽毛で覆われた胴体に鳥の様な鉤爪を備えた手足。
まるで鳥類をそのまま人の形へと進化させた様な異形の姿がそこにあった。
「いいだろう・・・不完全な機械よ。我らの名を名乗ろうか」
男の方が息を整えるように口を開く。
彼は手にした斧を手元で回転させるとその刃先をテングマンへと向ける。
「我が名はバロム。偉大なる神の従者ガルバダリオ様に仕える眷属だ」
「我が名はラムダ。同じくガルバダリオ様に仕える眷属なり」
互いの名前を名乗った男女は交差する様に動く。
左右からテングマンを挟み込むように襲い掛からんとしたバロムとラムダであったが、自身らを狙って放たれたビームに大きく後退する。
「テ・・・テングマン。援護する」
周囲に展開されたビットを背中のバックパックに戻しながら話すのはカルラウーマンだ。
バロムとラムダを迎え撃つにあたりエアガッパーのブリッジに留まる様に促された彼女であったが、奮闘するテングマンの姿に居ても立っても居られず彼女も戦いに加わる事となる。
責任感の強い彼女からすれば自身の仲間達が暴走している中で、自分だけ安全な場所に居る訳にはいかないという思いもあるのだが。
金色の翼に備えられたブースターを調節しながらその場に浮かぶ彼女の姿を見るや、バロムらの発する空気が僅かに乱れる。
戸惑いや驚きにも似た空気の後でそれに怒りや憎しみが混じったのをテングマンは肌で感じ取る。
「カルラ殿。こやつらは尋常のロボットに非ず!!どちらかと言うと物の怪などの類に近い存在ですぞ。我らの常識は通じぬと考えた方がよい」
テングマンの言葉にカルラウーマンが息を呑む。
「その姿、我らが主を模倣するか・・・!!」
「冒涜せし存在に恐怖を死を・・・!!」
バロムとラムダが翼を広げカルラウーマンに迫る。
真横を通り抜けんとする両者にテングマンが真空波を放ち妨害しようとするが、自らの肩口を切り裂かれても尚、両者の動きは止まらない。
「カ・・・カルラビット!!」
ヒュンヒュンッッ!!
自身へと迫る敵を包囲する形でビットを展開し次々とビームを放つカルラウーマン。
一発一発の威力は低いが彼女の思考通りに動くビットは、バロムとラムダに命中するのだが。
ガキンッッ!!
楯を手にするラムダは放たれるビームの軌道を目聡く見切るや手にしたそれで防ぎきる。
もう一方のバロムの方は自身の身がビームで傷つくのも構わずに突っ込んでくる。
テングマンはこの二人を物の怪の類に近いと言った理由をカルラウーマンもすぐさに理解する。
自身のビームを受けて尚、突っ込んでくるバロムの全身が僅かに歪む。
それがなんであるかは彼女には分からないが、彼の身を包む禍々しいオーラと言える物が障壁となり自身の攻撃のダメージを和らげていたのだ。
ヴォォォンッッ!!
振るわれる斧は不可視の風の刃まで含んでおり、完全に避けたにも関わらず頬に裂傷が走る。
「その首貰った!!」
続けざまに斧を手にしたバロムが叫ぶ中、カルラウーマンも腰に下げた鞘から刀を引き抜く。
普段は内向的で気弱な姿が目立つ彼女も政府軍に所属する戦闘用ロボットである。
いざ戦いとなればそこに迷いは無い。
ドドドドドドドドドドッッ!!
背に取り付けられた翼のブースターが大きく炎を吹かす。
テングマンの目にも彼女の全身がぶれたように見えたその速度は文字通りの神速であった。
ズバアアァァァッッ!!
一瞬の内にバロムの脇をすり抜けたカルラウーマン。
鞘から引き抜いた刀を元に戻す後ろで斧を手にしたままのバロムの腕が宙を舞う。
「な・・・にぃぃっっ!?」
仮面の奥で目を見開くバロム。
思わぬ実力を発揮した彼女に驚く間など無い。
相方の危機に慌てて動こうとするラムダだが、それをテングマンに阻まれ呻いたその時。
バシュウウウウッッッッ!!
真下より伸びる巨大な漆黒の光弾にラムダは反射的に手にした楯を向けるのだが。
ズドオオオォォォォォッッッ!!
防御した筈にも関わらずラムダの身は後ろに弾き飛ばされる。
政府軍の飛行戦艦の甲板に叩きつけられる形となったラムダが見たのは悪魔の様な翼を背につけた少年の姿。
言うまでもなくゴスペルと合体し上空まで飛んできたフォルテである。
彼に続いて飛行形態となったヒートマンもエアガッパーの甲板まで辿り着いた後、一旦休憩するのが見えた。
「フォ・・・フォルテ殿にヒート殿」
「こいつらがこの騒動の元凶か?にしちゃさっきの野郎同様に大して強くなさそうだな」
思わぬ援軍の登場に驚くテングマンにフォルテが横目で笑みを浮かべつつ、バスターの先をバロムとラムダへと向ける。
「おのれ・・・!!」
失った片腕をそのままに血走った目を向けるバロム。
ラムダの方は咽込むように息を吐きながら甲板から起き上がる。
テングマンらを相手に思わぬ苦戦を強いられる中で更に敵の援軍まで現れた。
状況はバロムらにとって不利と言えるが、彼らも大人しく引き下がる訳にはいかない。
両者が意を決した時であった。
「・・・俺の予想以上に苦戦しているな~」
背後から響くその声にラムダがビクリとその身を震わせる。
「眠りから目覚めた直後だからなのか、はたまたお前らの慢心か~油断か~それともこいつらが強いのか~どっちなんだろうなあ~?」
おどけるように投げかけられる声に言葉を返す暇は無かった。
ラムダの背後にいつの間にか立っていた主。
誰にも気づかれず戦艦のブリッジから甲板へと出ていた彼は黄金の翼を広げ空を舞う。
フォルテらにも反応する事すら許さずにガルバダリオは、手にした斧をカルラウーマン目掛けて放り投げる。
バロムが持っていたそれよりも大型の斧は彼の比ではない風の刃を含んでおり、完全に無防備であった彼女の身をズタズタにせんと唸りを上げる。
殆ど小型の暴風と言ってもよい一撃を前にカルラウーマンはその身を強張らせる他無い。
もしもテングマンが割って入らねば彼女の命は無かったであろう。
ズドドドドドドドドドッッ!!
カミカゼで相殺しても尚、荒れ狂う暴風はテングマンの右半身を容赦無く切り刻んでいた。
「ぬぐうううっっっ!!」
夥しい数の裂傷と共にオイルがまき散らされる。
「テングマンッッ!!」
背の翼も半分もぎ取られた事で危うく落下しそうな状況となりながら、カルラウーマンに支えられる形でテングマンは空中に留まる事が出来た。
「クエーケッケッケッケッケッケ!!俺の一撃を受けて命があるとは運がいい・・・こりゃあバロムとラムダが苦戦する訳だ」
ニヤリと卑屈そうな顔を更に歪ませながらガルバダリオは甲板の上に降り立つ。
手元に戻ってきた斧を掌で打ち鳴らすその姿は神話に伝えられる巨鳥ガルーダを彷彿とさせる。
「俺の名前はガルバダリオ。ラ・ムーン様に仕える従者が一人。俺は面倒臭え事は嫌いだがこれもあの御方の命令でな~。とにかく死んでくれ~今すぐにな~」
気だるげにそう言い放つガルバダリオの全身から禍々しいオーラが溢れ出る。
「これは・・・俺と一緒の」
バロムらと違い遠目でもはっきりと視認できるそれは、フォルテらが持つ悪のエネルギーと同様の物。
今まで全くエネルギー反応が無かったのが嘘の様に膨大なエネルギー量を全身より放ちながらガルバダリオは手にした斧を振り上げる。
ブンッッッ!!
無造作に斧が振るわれたと思った次の瞬間、フォルテらに向かって凄まじい暴風が襲い掛かっていた。
何時もの後書きです。
さらっと読み飛ばして頂いて結構です。
〇ストームマンについて
オリ8ボス枠、カルラウーマンに続いて四人目となる。
リブート前はディメンジョンズの新リーダーだったのだが色々と変更となって作中の扱いに。
エアーマンの解析データを利用し政府軍に制作された戦闘用ロボットと言う点だけは一緒なのだが、エアコンマンの兄弟機と言う設定は無くなった。
フォルテ相手に実質瞬殺だったが、これはロボットエンザが原因で冷静な行動が出来ないのと熱暴走で持久力が著しく落ちている為。
爆発的な感染力と効果を持つロボットエンザだが、暴走している時間が極めて限られるのが欠点と言える。
彼自身はカタログスペック上、モデルとなったエアーマンよりも上な事だけは付け加えておく。
〇バロムとラムダについて
男性で斧を持っているのがバロム、女性で楯を持っているのがラムダ。
息の合ったコンビネーションで敵を追いつめる実力者なのだが、この時点では復活間もないので本来の実力を発揮できないでいる。
因みに彼らも全身に不可視の障壁を身に纏っており、また徐々にボディを再生できる力を持っている。
ただし障壁の質は攻撃による損傷を僅かに和らげる程度の物でしかない。
両者ともに空いた腕から光弾を放ったりと遠近問わずに攻撃能力があるのだが、テングマン相手に苦戦を強いられる事となる。
厳密にいうとロボットではない存在と言う事で手足は鳥類のそれ。
胴体部含め鳥類をそのまま人型にした姿と言うのが正確な所か。余談だが仮面を取るとそこには人間と殆ど変わらない顔がある。
言うなればファンタジーなどに出てくるハーピィーに近い。
主達同様に他者を見下しているがお互いは極めて親密な関係にある様子。
〇ガルバダリオについて
不甲斐ない部下に代わってフォルテらの前に姿を現したが、別にバロムらを処分したりする気は無い。
元ネタのアラワシ師団長同様に斧と楯を持つが、斧にはバロム以上の風の力が蓄積されており投げるだけで斧を中心に真空波が入り乱れる。
実質投げるだけで敵を倒す事が出来、面倒臭がりなガルバダリオらしい武器と言える。
因みにバロムらが持っている武器も含め彼が持っている斧は彼自身の肉体から創り出しており、理論上いくつでも生成可能である。
仮にどこかに飛んで行ってしまっても一定時間で消えてしまい敵が逆に利用する事は出来ないなどの対策はなされている。
バロムら同様にロボットではない事もあって、ロボット達が標準装備しているエネルギー感知器に感知されづらくそれを利用しての奇襲を仕掛ける事も。
次回以降、アルゴスに続いてのラ・ムーンの従者との戦いとなる予定。
今回の後書きは以上です。
読んでくださってありがとうございます。