プライベートでごたごたしていて投稿が遅くなりました。
これからさらに忙しくなると思いますが、なんとか投稿は続けていきたいと思っています。
それでは本編をどうぞ。
それからのキシリア派閥の活動には目を見張るものがあった。
多くの軍人がこのシミュレーションに駆り出された。マ・クベはウラガンを、ランバ・ラルはクランプをそれぞれ副官としてシミュレーションをより実際のものに近づけようとした。
そこで得た戦訓は色々な部署へと飛び火した。
「それでマ・クベ少佐、ご用件は何でしょうか?」
マ・クベはシミュレーションで得たデータを携えて、ある兵器工場へと足を運んでいた。
「今回は御社の生産しているマゼラアタックに用があるのですよ。単刀直入に言いますとマゼラアタックには仕様変更をしてもらう」
マ・クベは自らを出迎えた所長に挨拶もそこそこに話を切り出す。
「そんな!兵器開発局からGOサインが出ており、生産設備の拡充を進めているところなのですよ」
「私はまずこのマゼラアタックの仕様が気に入らない」
「兵器開発局所属の大佐が出された「生存能力向上のためには砲塔の独立飛行が必要」という意見をなんとか取り入れたのです。ここにきて更なる変更は無理です!」
「私としてはミノフスキー粒子散布下での視界確保のために全高を高くするのはまだ理解できる。個人的に言わせてもらえば視界の確保はMSが行い、それを共有すればよいのだから視認性を下げるためにも車高はそれほど高くする必要は無いと思っているのだが」
「だが、なぜ戦車を、もっと言うと砲塔を飛行させる」
「それは兵士の生存性向上と戦車の弱点である上部装甲を攻撃するためで…」
「まず生存性向上と言いながらマゼラトップにキャノピーを採用していることから対弾性は不十分。マゼラトップの飛行能力も中途半端、飛行時間5分とは冗談かね?飛行時に主砲の精度は下がり、砲塔内のスペースから砲撃出来るのはせいぜい4、5発のみ、再度合体するには専用の設備が必要。欠陥兵器と言わざるを得ないと思うが?」
「それは…おっしゃる通りです。ですがこの仕様は兵器開発局からの指示、私どもではどうすることにも出来ません」
所長は流れ出る冷や汗をハンカチで拭きながら答える。
「それは問題ありません。私はキシリア・ザビ閣下の命を受けてここに来ています。兵器開発局にはこちらから伝えておきます。それに私はマゼラシリーズに期待しているのです」
「マゼラシリーズに、ですか…?」
「ええ、特にマゼラアインは素晴らしい。あれこそ主力戦車に相応しい枯れた技術というものです。私や大尉が頼りにした戦車です」
「それはまるで実戦で使用したような言い方ですね」
「…こちらの話です、お気になさらず。そのマゼラアインなのですが、こちらにも少し変更を加えていただきたい。大規模なものではありません。主砲の口径を120mmにしてもらいたい」
「120mmですか。今までの主砲は133mmなので若干火力が下がると思われますが」
「現在開発中のMS用新型火器が120mmなのでそれに合わせてもらいたい。この砲弾は61式戦車を撃破するに足る威力が想定されているので力不足ということは無いでしょう。MSと戦車の砲弾の共用により補給を容易にするのが目的なのです」
「それくらいなら設計変更も早く行えると思います。それで肝心のマゼラアタックは?」
「マゼラアタックはその大口径の主砲を活かした重戦車とする。分離機構はオミット、その分車高は低くし、隠蔽性と射撃時の安定性を向上させる。さらに同軸機銃と車載機銃を追加して歩兵に備えさせましょう」
一方、ランバ・ラルはジオニック社を訪れていた。
「これはラル大尉。今日はどういったご用件でしょうか?」
「開発中のMS-06についてキシリア閣下からの伝言を預かってきた。だがその前に開発進捗を聞かせてもらおう」
「分かりました。現在MS-05で得たデータを元にさらなるブラッシュアップを行っています。一番の変更点は動力パイプを一部外部に露出させることにしました。これにより冷却能力の向上と機体内部に出来たスペースを利用した機体性能の向上を実現しました」
「ほう、それは上々。だがキシリア閣下はさらなる改良を望んでおられる。詳しく言うと新型のザクには近接戦能力を付与してもらいたいそうだ。」
ランバはジオニック社の社員に対して内容を伝える。
「近接戦能力ということはやはり…」
「そうだ。閣下は連邦軍が開発したモビルスーツとの戦闘を想定されている。ミノフスキー粒子散布下での戦闘では白兵戦も起こりえるが、今のザクには荷が重い」
「なるほど。確かに今のままでは対応できません。分かりました、こちらでいくつか装備を開発します」
「よろしく頼む」
このように着々とキシリア派閥が軍備向上を模索しているなか、ジオン公国と地球連邦政府との関係はさらに冷え切っていった。
これ見よがしに連邦宇宙軍は観艦式を行い、公国を威圧し各サイドに駐留する部隊の横暴さはとどまることを知らなかった。
これらに対しスペースノイド、特にジオン公国国民は声高らかに独立を叫び、デモ運動へと発展した。連邦軍は実弾も使用してこれを鎮圧し、ますます反感を買った。
ここに来てギレン・ザビ総帥は開戦を決意、内密に作戦計画立案を進めた。
「ですから、コロニー落としという不確実な作戦に頼るのではなく、連邦宇宙軍の撃滅に注力すべきです!」
デギン公王臨席のもと、ザビ家と公国軍人高官による会議は紛糾した。モビルスーツを主力と位置付けるキシリアはそれでもって敵主力を撃破することのみに集中すべきという主張であった。
「足らんな、キシリア。それでは連邦政府に勝てんよ」
それに真っ向から対立するのはギレン・ザビ総帥であった。
「キシリア、もし連邦宇宙軍の主力を撃破出来たとして、その後はどうするつもりだ?」
ギレンは会議室の上座で冷たくキシリアを見つめる。
「主力撃破の後にルナツーの占領を目指します。ここを占領すれば地球連邦政府は宇宙における最大の拠点を失います。それでもって制宙権を確保し、連邦軍を地球に封じ込めます。そうすれば地球連邦政府も交渉の席に着くでしょう」
キシリアのプランは以上の通りだった。本国であるサイド3のコロニー群を攻撃されることを防ぐために緒戦での連邦宇宙軍の撃破は大前提、その上ルナツーを攻略することで連邦軍を宇宙から一掃するのが目的だ。
「それではジャブローのモグラどもは降伏せんよ。自らは安全地帯にいて、徹底抗戦を主張するだろう」
だがギレンはそれでは足りないと言う。キシリアにはその訳が分からなかった。確かに地球連邦政府は強大だが、それはコロニーからの物資や木星圏からのヘリウム3があってこそだ。それらが断ち切られたならば連邦政府も講和へと動くはず。
「モグラどもは自分が安全ならばそれでいいのだ。地球連邦政府、もっと言えば自らの地位を脅かすコロニー国家の独立など認めたくないだろう。ジャブローをはじめ、各拠点に十分に蓄えられた物資でもって戦争続行を決定し、自軍の兵士に死ねと命令するだろう!」
ギレンは立ち上がり、腕を振り上げ、自らの意見を強く主張する。こうなると会議はギレンの独壇場となる。
「だからこそ、モグラどもが未だに惰眠を貪っている今、今しかないのだ!地球上のどこにも安全地帯が無いことを知った政治家は恐怖し、降伏する。コロニー落としは地球連邦政府の終焉を示す一撃となるだろう!」
その場にいた多くの軍人が歓声を上げ、立ち上がる。ジーク・ジオン!ジーク・ジオン!
全て、全て兄上に飲み込まれた。キシリアはそれを見ていることしか出来なかった。かくして趨勢は決まった。
宇宙世紀0079年1月3日、ジオン公国は独立を宣言、地球連邦政府に宣戦布告する。
書けば書くほど自らの腕の無さを突き付けられています。
なんとか開戦までは描くことが出来ました。
次からはもう一人の主人公が活躍していくことでしょう(未定)
それでは次の話までしばらくお待ちください。