未来のカードは実質オリカ   作:エルシャドール・ユニコ

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世界を変えれば、私も変わる。私が大人になるためには、この世界を変えないといけないはず!だから私は恐れず進むわ!この不思議で素敵な世界をね!


14話

「シャドバの全国大会?すっげぇ!そんなのやるのかよ!」

「マジかよ知らなかったのか?」

「みんな今その話で盛り上がってるよ。」

 

放課後

 

今日も授業が終わり帰る支度をしていたヒイロだが、今日はいつもより騒がしく何があったかをカズキに聞いてみると近々シャドバの全国大会があるそうだ。

 

「それで、その全国大会いつやるんだ?」

「何時って、明日じゃん。」

「なるほど明日か......明日ぁ!?」

「明日」「明日」「明日」

「明日...いや!明日だろうが明後日だろうがやるからには出るしかねぇ!出るからには優勝しかねぇ!」

「おおヒイロ出るのか!すげぇじゃん!」

「私たちの分まで頑張ってね!」

「おお頑張れ〜」

「おう!お前たちの分まで...って3人とも出ないのか?」

 

そうヒイロが問うと顔を曇らせる2人。この大会では店舗大会とは違い参加条件があるのだ。

 

「出たいんだけど...ほらここ。」

 

そう言ってミモリは大会ホームページを開きそこに記されてる参加資格はこう書かれていた。

 

「マスターランク?」

「私はAランクに上がったばかりで」

「俺はBランクだから出たくても出られないじゃんね。」

「お世辞抜きでも2人とも実力はマスターと戦える実力にはなってきたけど時間足りてなかったな。今回は仕方ない。」

「そっか〜、みんなとバトルできないのか...でも心配すんな!お前らの分まで燃えて、勝って、絶対優勝だぜ!ウォォォォォォ!」

「…で、ランクってなんだ?」

「嘘だろお前...」

「知らなかったのかよ!?」

「だって誰も教えてくれなかったじゃねぇか。」

「ちょっとくらい自分で調べなバカタレが。」

「あのねヒイロくん、ランクってのはね」

 

ヒイロがまさかのランクシステムを知らないことにずっこけるカズキとミモリ。呆れるシレン。そしてミモリがランクの説明に入る。

 

「まずシャドバを初めたら最初にDってランクを貰えるの。そこからバトルで勝った方にポイントが貰えてランクごとに決められたポイントを集めた場合ランクが1つ上がるの。ランクには下からDランク、C、B、A、AAがあってその1番上がマスターランク、つまり全国大会に参加出来るランクなの。」

「Dとマスター以外は1つのランクに3段階もある。C1、C2、C3見たいにな。そんで自分より強いランクに勝てば勝つほど多くポイントが貰えるようになって、逆に自分より下だと全然ポイントが貰えないって感じだ。」

 

ミモリもカズキもデッキの強さも個人の知識も上がってきているため実力的にはマスターランクと戦えるが、それはあくまで1戦だけの話。ランクをした時に必要な強さは勝ち続ける安定性のある強さだ。上のランクと当たる時もあれば下のランクと当たる時もある。特に今の環境は使用率の高いデッキとあたることもあれば意味不明のデッキとあたることもある。そういった環境の中で爆発力のあるデッキよりも安定して戦えるデッキの方がランクは上がりやすいのだ。

 

ミモリが使用しているのはブリリアントフェアリーを使ったコンボデッキでフィニッシュには何枚ものカードの準備が必要になる。そしてプレイ難易度も高いためプレミを誘発しやすく勝ち試合を負け試合にすることも多々ある。しかし爆発力は凄まじく、この環境では1ターンで削るダメージはトップクラス。さらにワンショットも不可能では無いデッキになっており初見殺し性能も相まって下にも負けることもよくあるが上に勝つこともよくあるというデッキになっている。その不安定の勝率からミモリのランクは昔と比べたら上がりやすくはなったがそれでも緩やかな上がり幅なのだ。

 

逆にカズキの今のデッキは低コストが豊富にあり高コストもパワーのあるカードもあるため安定性が高いデッキになっている。とにかく展開して数で勝負するデッキになっていてプレイ難易度も低くプレイによる事故も少ないためランク向きと言って良いデッキになっている。

 

しかし、事故は少ないが事故を起こした時のデッキ出力があまりにも低く、平均的なカードパワーは他デッキよりも低い傾向になっていて巻き返しが難しい。何より苦手なデッキにはその出力の低さでどうしても勝てない。仕方の無いことだがそのデッキが台頭した時カズキはどうするのか気になってはいる。そしてデッキ出力をあげるカズキの持っていないカードが1枚あり、そのカードが手に入った時カズキのデッキは完成する。

 

「フフッ、わかったかな?」

「なるほど、そういう事かぁ。」

「で、ヒイロランクは?」

「俺は...はい。」

 

そこに書かれていたランクはA。しかもその中の1番上のA3だ。しかもあと少し勝てばランクアップも狙えるポイントだ。

 

「Aじゃん!やるなぁ!」

「マジで...?」

「てことはAAランクを超えてマスターランクにならなきゃだね。」

「しかも今日中にか...」

 

ヒイロのランクを見てカズキは驚愕の声が上がったがシレンの顔は引きつっていた。理由はヒイロのランクの上がり方が異常なのだ。ヒイロがシャドバを始めたのがほんの数ヶ月前、それなのにも関わらずそれよりももっと前に始めていた2人を追い越しているのだ。

そして何よりヒイロのデッキの中身を考えたら上がれるのはおかしいとすら思っている。いくらイグニスドラゴンが強いとはいえ他のカードが終わっているレベルで弱いカードも積んでいるのにトントン拍子で勝てているのだ。感性が向こう側の人間からしてみればおかしいと思わないはずがない。

 

「ま、まぁそう落ち込むなよヒイロ。」

「そうだよ、きっと見るだけでも楽しいよ!」

「今日中にマスターランクになればいいんだろ?俺はやらないで諦めるより、やってから諦めたい。」

「よく言ったヒイロ!俺も協力するぜ!」

「カズキ!」

「私も協力する。ヒイロくんが全国大会出てるところ見たいもん。」

「ミモリ!」

「そのやってから諦めるって考えは賛同だな。倒れるなら前のめりにだな。」

「シレン!」

「そうと決まれば高いランクのプレイヤーとバトルじゃーん!」

「「「おー!」」」「おー」

 

友情を確かめるようにハイタッチをし、そのまま握手するヒイロとカズキ。そしてその上に手を乗せるミモリ。そしてその3人を見守るシレン。こうして4人はマスター耐久が始まった。

 

「そういえばシレンのランクはどうなんだ?」

「俺?マスターに決まってるでしょ。」

「「マスター!?」」

「大会出れるじゃねぇか!?なんで出ないんだ?」

「出る理由ないからな。別に1番になりたい訳じゃないしさ。それに...」

「?」

「いや、なんでもない。最悪俺倒しまくればランク上がるからやるか?」

「いや!そんな上がり方しても俺は納得いかないからな!ちゃんとランクをあげてみせる!」

 

 

 

 

そしてヒイロは校庭にいた生徒、担任の先生、部活中の野球部、仕事中のお姉さん、交番の警察官にもバトルを挑んだ。仕事しろ社会人。

 

そして夕方、日が沈みかけている頃

 

「もうちょいだ...!」

「すごいよヒイロくん!1日でここまでランク上げちゃうなんて!」

「あと少しじゃん!」

「なんでこの短期間でここまであげれるんだか。」

「ああ!3人のおかげだぜ!」

 

この短時間でヒイロはAA2までランクを上げた。正直ありえない速度だ。

 

「じゃああとは」

「いつものあそこで」

「おお、いくぜ!」

 

「スタジアム!」

 

 

そしてシャドバスタジアム前、ヒイロ達の前には

 

CLOSEDという無慈悲な文字が写し出されていた。

 

「参ったじゃんね。」

「参ったね。」

「こりゃ参ったな。」

「なんで、しまってんだよぉぉぉ!」

「事前告知はなかったと思ったんだけどなぁ。」

 

とはいえスタジアムは大会と運営が同じ。であるならばが今日が休館であっても理解も納得もいく。しかしヒイロにとっては希望が摘まれたに等しいため諦めるに諦めきれなくなってしまったのだ。

 

「あとちょっとでマスターランクなのにぃぃぃ!」

「いやぁ実に残念だ。」

 

そう言って建物の角から黒いスーツを着こなし、黄色い髪は腰まで伸びており、エメラルドの瞳をこちらに向ける青年が現れた。

 

「まあ、私には関係ないがね。」

 

そう言って指を鳴らすと入口のCLOSEDの文字が歪んで消え、そして自動扉が開放される。

 

「人の生涯とは不思議なものだ。因縁奇縁偶然で満ちているように見えて、その実全ては必然。」

なんだこいつ頭おかしいのか?

 

目の前にいる頭のおかしそうな男に警戒を強めるシレン。それを知らないか知っていて無視しているのか、男はスタジアムに入っていく。

 

「どうした少年たち、スタジアムに入りたかったのだろ?」

「い、いやまあ、そうだけど...」

「開いたところでプレイヤーがいないと...」

「じゃんね...」

「言っただろ?全ては偶然のようで実は必然なのだと。」

 

そう言って男はスマホを取りだし、何回かタップした後にこちらに画面を見せる。そこに映し出されたのは男のランク。そしてシャドバに置ける最高ランクの称号

 

「「グランドマスター!?」」

「…へぇ、グラマスね。」

「?」

 

その頂きの価値を知っているミモリとカズキは驚き、息を飲む。

シレンは静かに目を据わらせる。

しかしヒイロは先程ランクを知ったため、教えられてないランクに疑問を浮かべていた。

 

「なぁ?グランドマスターってなんだ?」

「マスターランクさらに上のランクだよ。世界でも数人しかいないって言われてるんだけど...」

「そっかぁ、なら!」

「へへっ、だな!」

「ちょっ、ちょっと待ってよ!」

そう言ってヒイロとカズキは駆け出しミモリとシレンはそれを追いかける。シャドババカ2人が考えることなど火を見るより明らかだ。

 

「待ってください!」

 

そう言ってヒイロは肩で息をしながら男に頼みこもうとする。しかし男は予想がついていたようだ。

 

「私とバトルするかね?」

「…はい!」

「私はグランドマスターランク。君のランクはなんであろうと私に勝てれば君はあっという間にマスターランクに到達できる。」

 

この世界のシャドバのランクのポイントは強いランクでもあればあるほどポイントが多く貰える。そもそも向こうのランクは大きく離れたランクの人間とランク争いはできないが故、そうなることは無かったがこちらではジャイアントキリングが起きた時、無法と言えるほどのポイントを支給された。ヒイロがAランクと高い理由はカイと戦ったからだろう。*1カイとのバトルに勝ったことにより、普通では到達できないランクポイントを手にしたことで普通ではありえない速度でランクが上昇したと予想される。

 

「じゃ、じゃあ!」

「だが、条件がある。条件がない人生が無いなんてつまらないからね。」

「条件って?」

 

「私に勝てば君はマスターランクだ、だが私に負ければDランクからやり直してもらおう。」

 

そう言ってヒイロを指さす男。そう、奴はこのバトルの条件にヒイロのランクを指定してきた。これには驚きを隠しきれないヒイロ達。

 

「な、なんだよそれ!」

「そ、そんな!そもそもランクのリセットなんて」

「できるさ、全ては私のものなのだから。さて、どうする少年。臆して逃げるか、勇んで進むか。」

 

相手は格上グランドマスター。勝率は低く、負ければ今まで積み上げてきたもの全てが無に帰してしまう。挑むにはあまりにも大きな代償。

 

しかし、ここはそれに当てはまらない例外が2()()

 

「する、バトルする!」

「「ヒイロ!?」くん!?」

「あぁ、いいんじゃない?」

「シレンくんまで!?」

「こいつがここまでランクを上げた理由なんて大会出るためだろ?ここで負けたらさっき提示された条件なくても無理だろうしな。」

「ああ!それに勝てばいいんだろ!それにグランドマスターとバトルなんてめちゃくちゃ楽しそうだしな!」

 

そう言って笑うヒイロ、このシャドババカに後退という言葉は無いのだ。

 

「その勇気に敬意を。しかし、グランドマスターとのバトルなんて何度もやっていると思っていたがね。そこの彼とはバトルしたことが無いのかい?」

 

「…え?」

 

瞬間、空気が凍った。

マスターランクと違いグランドマスターは世界に数人、普通はバトルなど人生で1度あるか分からないものだ。それなのにこの男は何度も戦ったことがあると予想した。つまりヒイロ達の中に、グランドマスターに到達した者がいるということなのだ。

 

そしてそのグランドマスターに1番近いランクを持ち、皆に戦い方を教え、圧倒的な強さを持つ男が1人。

 

「そうだろう?北シレン。」

「…元だよ、グランドマスター?」

 

そう答えたシレンの目は、死んでいた。

 

 

 

マスターに昇格したあと、マスターはランクポイントとは違いマスターポイント、MPを集めランクをあげていく。MP自体はランクが下の人間からももらえるが、そのポイントは雀の涙だ。しかし、負けた時はとんでもない数値が持っていかれる。勝てば勝つほど自分より上はいなくなるためマスターランクは上がりにくく、そしてすぐに下ちる。

 

そしてその過酷な戦いを勝ち抜き、頂点に立つものに与えられる最強の称号。それがグランドマスターだ。

 

 

「Dランクからグランドマスターに到達するまで無敗、そして最年少で到達した男がいる。そんな噂を聞いた時は耳を疑ったが、調べてみればまさか噂が本当だとは思わなかったよ。」

「…なるほど。で?そこまで調べたのはすごいけど、何が目的?」

 

こいつが俺に対して何が調べていたのはわかったが、ぶっちゃけ何をしたいのかが分からない。何が目的なのか、ここで聞き出したい。

 

「ああすまない、警戒させてしまったか。私の目的はただ1つ。君の実力を見せてもらいたい。」

「…は?」

「私が調べたのは結果だけ。デッキやプレイについては知らないんだ。無敗のグランドマスターの実力を、私は知りたいんだ。」

 

…呆れた。わざわざそんなことのためにベラベラ喋ったのかこいつは?普通はそんなこと言われて受けるやついないだろ。

 

「一応聞くけど、俺がそれを受けたとして何かメリットはある?」

「いや、私から示せるものは無いな。彼と違って君はまたグランドマスターまでいけるだろう?」

「なるほどね。じゃあ本当に普通にバトルするだけか。」

「そうなるが、どうするかね?」

「いいよ、やろうよ。」

「シレン!?」

 

今までやる気のない雰囲気を出してたやつが即答でYESと答えたことに驚くヒイロ。シレンはこの男の正体の予測が着いていた。そしてその予測が合っていればシレンがこの世界でやってみたかったものができるということになる。

 

「俺以外のグラマスがどれだけ強いか知りたいしな。それにお前らに見せておきたいんだ。この先の過ちがどういったものかを見せてやるよ。」

「過ち、か。どういったものか興味が湧くね。」

「ま、その前にヒイロとのバトルだな。本題はそっちだろ?」

「それもそうだ。さて、少年。待たせてしまったね。始めようか。」

「あぁ!よくわかんねぇけど、バトルすることに変わりは無いからな!」

 

移動してスタジアム、ヒイロと男は既に準備を終えコートに立っていた。

 

「さあいくぜ!」

「来たまえ。」

 

「「バトル!シャドウバース!」」

 

 

「始まったな、ヒイロのバトル。」

「そうだね、頑張れヒイロくん。」

「って、シレンはどうした?もうヒイロのバトル始まったじゃんね。」

「それなんだけど...」

 

『デッキ、組んでくるわ。』

 

「って言って出てっちゃって...」

「えぇ!こんな時にか!?」

「なんかグランドマスターに上がる時に使ったデッキはもう崩しちゃったらしくて...終わったら呼びに来て欲しいって言われちゃったし。」

「うーん...まあでも俺たちは今やるべきことはヒイロを応援することだ!あいつの事だ!きっとどうにかなる!」

 

 

 

「あれはまだあの時には無い...これは使える...これはノイズになる...」

 

 

 

 

 

激闘の末、勝ったのはヒイロだった。相手の切り札に苦しめられるも、相手のカードを利用し、勝利を掴んだ。

 

「勝った、のか?」

「いかにも。」

 

そう言ってヒイロに近づき、手をかざす。そうするとヒイロのスマホが振動する。

 

「見たまえ、君が勝者だ。」

 

画面に映ったのは現在のランク。そこにはマスターランクになった証が写っていた。

 

「やったぁぁぁ!」

「やるじゃんヒイロ!」

「やったねヒイロくん!」

 

肩を組みながら喜ぶヒイロとカズキ。そしてハイタッチするミモリ。普通ではありえないジャイアントキリング。喜ばないはずもない。しかし今回のイベントはまだ終わらない。

 

「さて、喜んでいるところ悪いのだが、彼はどこにいるのかね?」

「え、あぁすみません!あいつデッキ組みに行ったみたいで」

「心配するな、来たよ。」

 

そう言ってドアの前に立つシレン。いつも無気力そうな雰囲気を纏うシレンがピリついている。

 

「準備は終わったのかね?」

「あぁ、組み終わったよ。とっとと始めよう。」

 

そう言ってスタジアムに上がるシレン、いつもと違う雰囲気に気圧されるがそれでもヒイロは声をかける。

 

「お、おいシレン。大丈夫なのか?」

「大丈夫ってなに?心配してくれてんの?」

「な、そりゃそうだろ!あいつ強かったんだから!」

「大丈夫だよ。仮にも元グラマスだった人間だぜ俺は。それに今の俺は世界で1番強いデッキを持ってきたからね。さ、始めよっか。」

 

「「バトル!シャドウバース!」」

 

 

 

「先攻は俺のようだな、ドロー。ターン終了。」

 

シレン 20/20 手札4 PP1/1

 

「では、私のターン。アミュレットカード、獅子の聖域をプレイ。」

「はい?」

 

男がアミュレットカードがプレイすると、男の背後から大きな獅子の顔が中央に飾られている聖域が現れる。シレンは驚いたような声を出すが、それは聖域が映し出されたことではなく、記憶にないカードが出てきたことだ。

 

「私はこれでターンエンドだ。」

 

青年 20/20 手札4 PP0/1

獅子の聖域(アミュ)

 

「(初めて見るカードだ、警戒しとこ)ドロー。俺はトーヴをプレイ。」

 

出てきたのはアリクイのような鼻が鞭のようにしなっており、目がおかしな位置にある動物のフォロワー。一見愛くるしいが、その外見に見合わずおぞましいフォロワーでもある。

 

「このカードは条件を満たすまで攻撃ができない。その代わりに2コス3/3の破格のフォロワーさ。」

「ほう、なかなか強力なフォロワーじゃないか。」

 

シレン 20/20 手札4 PP0/2

トーヴ

 

「ドロー。スペルカード、漆黒の法典をプレイ。相手の体力3以下のフォロワーを1体消滅させる。」

「あ、おい」

 

瘴気に飲まれ暗黒空間に涙目で消えるトーヴ。この時代だと数少ない体力3のフォロワーを取れる法典、1級品の除去札だ。

 

青年 20/20 手札4 PP0/2

獅子の聖域

 

「やってくれたな?ゴブリンリーダーをプレイ。ターン終了時、場にゴブリンを出す。出てこぉい!」

 

シレン 20/20 手札4 PP0/3

ゴブリンリーダー ゴブリン

 

「ターン終了時にゴブリンを出すカードか...厄介なフォロワーだな。」

「でもシレンが最強のデッキって言った後に出てくるカードとしてはなんか微妙に写るじゃん。厄介なのは間違いないけど、結局はゴブリンじゃんね。ゴブリンリーダーも攻撃力1のフォロワーだしゴブリンが何体も増えたところで変わらないじゃん。」

(まあ普通はそう見えるよな、俺も最初弱いと思ってたわ。)

 

でも使われた時にわかるこいつの厄介さ、一生フォロワーが増え続けるという事象はな。

 

「ドロー、邪悪なる預言者・ダムスをプレイ。この瞬間獅子の聖域の能力が発動。私のフォロワーは能力で選択できなくなる。」

「は?お前1コスアミュレットでやっていい事と悪いことがあるだろ!?選択できない攻撃後に破壊する3/2だと?ふざけやがって...!」

 

こっちのカードの1枚ただのゴリアテと化したわ!*2

 

「ターンエンド、さあ君のターンだ。」

 

青年 20/20 手札4 PP0/3

獅子の聖域 邪悪なる預言者・ダムス

 

「俺のターン、ドロー。...くっ」

「シレンどうしたんだ?」

「やっぱりグランドマスターに勝つのは厳しかったか?」

 

ドローした途端顔を俯かせるシレン。

 

「どうしたのかね?いいカードは引けなかったのかな?」

「うぅぅぅ。この手札、なんて素晴らしい手札(ハンド)なんだ!」

「「「「!?」」」」

 

俯かせたと思えばすぐに喜びを表したシレン。この変わりように他の人間は着いていけてない。

 

「まさかこんな上手く揃うとは!さあ行こう!不思議な世界、素敵な世界!不思議の探求者・アリス!」

 

神殿の前に現れたのは青いドレスに大きな懐中時計を肩にかけた金髪でティアラをつけた少女。可愛らしく、まさに不思議の国のアリスと言える少女だが剣を携えており、その実力は折り紙付きだ。

 

そしてある世界では3ヶ月間絶望を与え続けた最凶のカードだ。

 

「アリスの能力が発動、このカード以外の自分フィールドのニュートラルフォロワーを全て+1/1する!」

「ほう。」

 

ゴブリンリーダー 1/2→2/3

ゴブリン 1/2→2/3

 

アリスは剣を構えそれを天にかざすと不思議な光が降り注ぐ。その光を浴びたゴブリンたちは少しだけでかくなり力を増した。

これだけでも強いがアリスはまだ終わらない。

 

「さらに、自分の手札のニュートラルフォロワーは全て+1/1される!」

 

天からの光が手札にも降り注ぎカードに力を与える。アリスの強さは盤面のみならず後続にもその能力を適応してしまう。どう考えたって4コストに与えていい効果では無い。

 

「ゴブリンでダムスを攻撃!その後ゴブリンリーダーでリーダーを攻撃!」

 

邪悪なる預言者・ダムス 3/2→3/0

ゴブリン 2/3→2/0

 

青年 20/20→18/20

 

「これでターン終了、そしてゴブリンが場に出る。出てこぉい!」

 

シレン 20/20 手札4 PP0/4

ゴブリンリーダー 不思議の探求者・アリス ゴブリン

 

「素晴らしい!盤面を減らさずここまで揃えるとは、やはり君は強い。」

「世辞はいいよ、で?鉄槌の僧侶はある?」

「あぁあるとも。鉄槌の僧侶をプレイ、進化。ゴブリンリーダーを消滅させる。」

 

進化時に法典を内蔵したハゲによって消滅させられるゴブリンリーダー。ぶっちゃけわかっていたこととはいえ久しぶりに使われると腹が立つ。

 

「そして鉄槌の僧侶で不思議の探求者・アリスを攻撃。」

 

アリスは振り下ろされる鉄槌を前に抵抗するが剣は致命傷を与えることは出来ず破壊されてしまう。

 

不思議の探求者・アリス 3/4→3/0

鉄槌の僧侶 4/5→4/2

 

青年 18/20 手札4 PP0/4 EP2/3

鉄槌の僧侶

 

「これでターン終了。さあどうかね、君の盤面を打ち破って見せたが。」

「安心しろ、予定調和だ。バフォメットをプレイ。デッキから攻撃力5以上のフォロワーを手札に加える。そしてエンハンス5でプレイした場合そのコストを3下げる。」

 

バフォメットは2コスト2/1というコスト相応のフォロワー。エンハンス能力は強力だがいかんせんあと隙がでかいのが傷のカードだ。

 

「バフォメット進化、鉄槌の僧侶を攻撃。」

 

鉄槌の僧侶 4/2→4/0

バフォメット 4/3→4/0

 

「ゴブリンでリーダーを攻撃。」

 

青年 18/20→17/20

 

シレン 20/20 手札5 PP0/5 EP1/2

 

「仕込みは良し、あとはお前の手札次第だな。」

「なるほど、それで君の切り札を呼び込んだわけだね。ヒールプリーストをプレイ体力を1回復する。」

 

青年 17/20→18/20

 

「進化、そしてゴブリンを攻撃。」

 

ゴブリン 1/2

ヒールプリースト 6/6→6/5

 

ヒールプリーストにボコボコにされたゴブリン、これで俺の盤面は消え去った。

 

青年 18/20 手札4 PP0/5 EP1/3

ヒールプリースト

 

「さあ、これで君のフォロワーは0だ。見せてくれたまえ。君の力を。」

「いいよ、じゃあいこうか。さあ行け、昏き底よりい出るもの!」

 

瞬間、シレンの背後の床が割れ巨人が姿を現す。巨人の体には至る所に蛸のような触手が至る所に生えており、さらに背中には悪魔のような翼も生えている。

 

このデッキの切り札であり、ありとあらゆるプレイヤーを引退に追い込んだ怪物。最強のフィニッシャー。

 

「これがシレンの切り札!?」

「なんだか怖い...」

「なんか気持ち悪くなってきたじゃんね...」

 

若干1名SAN値が下がっているが問題なし、このフォロワーはすぐに消える。

 

「このフォロワーは潜伏持ちだ。あと一応ラスワもある。ほぼ使われないけどな。」

「それが君の切り札か。」

「ああそうだ、進化しろ昏き!」

 

昏きが進化するが潜伏の能力により姿は見えない、見えるのは赤く光瞳のみ。それでも分かるのはこのフォロワーはやばいということ。それを青年はひしひしと感じていた。

 

「さて、ゴブリンも一応出しとこ。ターン終了。」

「何?」

 

シレン 20/20 手札4 PP0/6 EP0/2

昏き底より出でる者 ゴブリン

 

しかしシレンは何もしなかった。相手には6/5のフォロワーがいるのだ。普通は無視はしない。

 

「なぜヒールプリーストを破壊しない?進化したフォロワーは攻撃力が8。破壊できるだろう?」

「そしたら潜伏が剥がれちゃうだろ?そういうことだ。それにそのカードを現在脅威と捉えてない。」

「なるほど、何か考えがあるようだね。ならば私もそれに答えよう!」

 

そう言って青年はカードを繰り出す。白く巨大な翼を生やし、鎖の口枷がついた獅子。シレンはこのカードを見た事がなかった。

 

「また知らないカードか!しかも0/6だと?」

「セイクリッドレオ、このカードは獅子の聖域が場にあるとき進化する。」

 

そうして成長するセイクリッドレオ。装飾もさらに神聖さがマシ青と黄色の球体が周りに浮かんでいる。

 

「進化しても0/6だとぉ?なんかヤバそうだな!」

「さぁ攻撃だ!」

 

青年の命令通りゴブリンを攻撃するセイクリッドレオ。ステータス通りならゴブリンには何も起きずセイクリッドレオは手傷を負う。

 

しかしゴブリンは呆気なく破壊されセイクリッドレオは傷一つなく青年の元に戻る。

 

「セイクリッドレオは必殺を持っている。セイクリッドレオは交戦によってダメージは受けず、セイクリッドレオが場にいる間獅子の聖域はさらなる力を得る。」

「おいコラそのチートアミュまだあんのかよ!」

 

そうしてる間にゴブリンを破壊したあと、その際にでてきたエネルギーは獅子の聖域の象徴の獅子に集まり、そしてその獅子からビームが発射される。

 

「いてっ」

 

シレン 20/20/→19/20

 

「君はこれから自分のフォロワーが破壊される度にそのフォロワーの攻撃力分のダメージを受ける。」

「…ゴブリン出したの失敗だったか。」

「さらにセイクリッドレオの能力によりお互いは獅子の聖域を手札に加える。そしてこのカードは直前にプレイしたフォロワーを手札に加えコストを0にする。」

「てことはつまり」

「そう、私はもう一度セイクリッドレオを場に出す。」

 

攻撃力は0だが必殺と交戦時のダメージカット。それに獅子の聖域のせいで選択出来ないと言うクソゲーメーカーが2体も場に出た。

 

「そしてヒールプリーストでリーダーを攻撃!」

「イッヅゥ!」

 

シレンは19/20→13/20

 

青年 18/20 手札4 PP0/6 EP1/3

ヒールプリースト セイクリッドレオ セイクリッドレオ

 

「ターンエンド。さぁ、君はこの試練をどうやって突破するのかな?」

「あぁ?試練だぁ?」

 

確かに、獅子の聖域にセイクリッドレオ。今まで使っていたデッキなら本当に負けてもおかしくないカードたちだ。でもね

 

「もう勝ちは決まってんのよ!緋色の剣士をプレイ!相手フォロワーかリーダーに2ダメージだ!」

 

青年 18/20→16/20

 

「そしてお待ちかね!昏きでリーダーを攻撃!昏きの攻撃時能力が発動!潜伏状態で攻撃したのなら相手のリーダーに6ダメージ、進化時なら8ダメージだ!奈落に飲まれろ!」

 

潜伏が剥がれ現れる昏き。登場時と比べ全体的に青くなり、触手も増え、翼もさらに巨大化しおぞましさが増した。そして昏きがトドメを刺すため纏っていた闇全てをエネルギーに変え、そのエネルギーは青年に向けられ闇に飲み込まれていった。

 

青年 16/20→0/20

 

SHIREN WIN!

 

 

 

「さ、俺の勝ちだよ。」

「あぁ、私の負けだ。見事なプレイだった。」

 

そう言って握手する2人。グランドマスター同士のバトル。少ない観客ではあったが3人の心を掴んだ。

 

「「シレーン!」」

「お前らイデッ!」

「やっぱお前すげぇな!」

「めっちゃ強かったじゃんよ!」

「本当にすごかったよシレンくん!」

「あぁ、ありがとって痛いわ!脇腹どつくな!」

 

ヒイロとカズキに脇腹をどつかれるシレン。そしてそれを見送ったあと、青年はスマホで誰かに連絡をしながら去っていく。そしてそれに気づいたヒイロは彼の後を追う。

 

「あ、あの!ありがとうございました!」

「礼は不要だ。君が勝ち取ったのだから。おっとそうだ、友の言葉があったからこそ、少年は最後まで戦い抜くことが出来た。君たち3人が今日の勝者だ。明日の勝者になりたまえ。期待しているよ。」

「「えっ!」」

 

そして2人に渡される紙、それは明日の全国大会の招待状だった。

 

「これってマジか!?」

「これなら4人で出られるぞ!」

「おぉ!ってシレンは出るのか?元々参加できたけどしてなかったんだろ?」

「うーんどうしよっかなー。」

「私としては参加して欲しいがね。それにここだけの話になるが、全国大会はあくまで序章に過ぎない。参加さえしてくれれば、もっと楽しいイベントが起きると約束しよう。」

「…へぇ、じゃあいいよ。やろっか。全国優勝。」

「あぁ、それじゃあ頑張りたまえよ。」

 

「ああ、それともうひとつ。君の使ったデッキはなぜ過ちと表したんだい?」

「ん?あぁ、何故かって?俺が使ったゴブリンリーダーとアリスはニュートラルフォロワーだよって言っておくよ。」

「…なるほどね。それは気をつけていかねばね。」

 

そう言って去っていった青年。ヒイロとカズキは明日の全国大会で盛り上がっているし。シレンは無言でデッキを組み始めた。そしてミモリは1つの疑問が浮かび上がった。

 

「でもあの人、誰だったんだろ?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「世話をかけたねマルグリット。」

「えぇ、かけられましたとも。社内会議16件、外との打ち合わせ2件、会食1件はキャンセル。今日予定は丸つぶれです。本当に困ります。」

「本当に手厳しいよ。何をするにも代償は付き物さ。」

「その代償を払うのはあなたではなく、あなたの下にいる社員達であることをお忘れなきよう。」

「しかし、払うだけの価値はあったさ。」

 

 

 

 

 

『全国のシャドバプレイヤーの皆さん!遂に、遂にこの日がやってきました!全国各地から集まったプレイヤーが炎を燃やし、風を巻き上げ、稲光を走らせるバトルの宴!只今から、シャドウバース全国大会を開ッ催しまァァァす!!』

『まずは予選大会、予選のルールはたった1つ!勝って勝って勝ちまくること!決勝トーナメントに出場できるた16名に絞られるその瞬間までバトル&バトル!そしてその決勝16人の頂点、それが!全国の頂点!』

 

「いよいよだな!」

「みんな頑張ろうね!」

「みんなで決勝、行くじゃんね!」

「やることは至ってシンプル。」

 

 

「遮る全てを引き潰す。それだけだ。」

*1
カイはもちろんマスターランク

*2
ゲンコツ1個でおしまいだァ!




長ぇ!こんなに長くする予定無かったのに!
正直バトルの構想は決まってたのでもうちょい早く登校できる予定だったのがまさかのバトル前で詰まっちゃって遅くなりました。すみません。

今回は多分のこの作品書いてて絶対出したかったKMRvs最初の過ち。サイコロ振ったらゴブトーヴゴブリーアリスのうち3枚すぐに来て笑ってしまいました。ちょっと殺意高すぎんよ〜。

次回は話数通りヒイロvs謎の少女
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