夜が明けて2日目。この日はISの各種装備の試験運用とデータ取りが行われる。男性操縦者の3人は特にそういうものがないので他の専用機持ちの手伝いをすることになっている。
千冬「ではこれより各班に分かれてISの装備試験を行ってもらう。」
千冬が声を掛けると一年生は作業に取り掛かった。一通り作業が進んだ所で突然砂煙を上げて何かが近づいてきた。
束「ちーちゃーん!いっくん!リュウくん!リョウくん!」
その正体はお馴染みのISの開発者・篠ノ之束だった。
束「ちーちゃん久しぶり!束さんと再会のハグ――ぶへっ!」
千冬に抱き着こうとしたが、千冬がアイアンクローで容赦なく握りつぶす。
束「相変わらず容赦ないアイアンクローだね~。」
一夏「俺も久しぶりに見るな、千冬姉と束さんのこのやり取り。」
リュウト「え?」
リョウセン「これ、よくあるのか?」
箒「ああ。日常茶飯事となるくらいな。」
リュウトとリョウセンは目の前の2人のやり取りが常にあったことに驚くのだった。
千冬「束、そろそろ自己紹介しろ。」
束「そうだった。ヤッホー、篠ノ之束だよ。よろしくね~。」
シーーン
束が自己紹介すると沈黙が走る。そして数秒後、
『ええ~~~~~~!』
一夏、千冬、箒、簪、リュウトとリョウセン以外の者が驚愕の声を上げた。ISの開発者にして大天災科学者が目の前にいるのだから。
リュウト「それで、今日は何しに来たんだ?」
束「いっくんの様子を見に来たんだよ。」
一夏「俺の?」
束「そうだよ。いっくんが上手くやってるかどうかね。」
一夏「・・・確かに以前の俺だったら孤立していたかもしれない。だけど今は大切な仲間や友達がいてくれますから。」
束「そっか、それは良かったよ。」
リョウセン「それよりも。」
ガシッ!
リョウセンが突然束の肩に手を置く。
束「りょ、リョウくん?」
リョウセン「少し来てもらおうか?(^言^)」
ズルズルズルズル
黒い笑みを浮かべて束を近くの森に引きずりながら連れていく。
リョウセン「全く貴様は!(怒」
ボコ!
束「ほにゃー!」
リョウセン「人の許可なく勝手なことしおって!(怒」
ボコ!ボコ!
束「ほにゃ、ほにゃー!」
リョウセン「反省しろー!(怒」
ボコ!ボコ!ボコ!
束「ほにゃ、ほにゃ、ほにゃー!」
束の悲鳴が離れている一夏達の所まで響き、一同は不安になる。
鈴「と、止めなくていいの?(汗」
リュウト「まあ気が済むまでやらせればいいさ。」
一夏「今まで相当束さんに対するストレス溜めてたんだろうな。」
千冬「こうなるのも当然だ。」
セシリア「大丈夫でしょうか?(汗」
箒「心配ない。姉さんは簡単には死なん。」
簪「そうなの?(汗」
ラウラ「そういえば師匠が言っていたな。自分達の許可なく勝手に兄上と一緒に入学手続きしたと。」
シャルロット「それであんなに怒ってるんだ(汗」
簪「私もリョウセンみたいにお姉ちゃんを堂々としばけるようになろうかな?」
IS学園
刀奈「へっくしゅん!」
虚「お嬢様、どうしました?」
刀奈「今誰かが噂してた。」
リョウセン「戻ったぞ。」
数分が経ちリョウセンの束へのしごきが終わった。当の本人は四つん這いにされリョウセンが椅子のように座っていた。
千冬「風鳴、流石にそれは(汗」
束「ちーちゃん助けてーー!(ToT)」
千冬「まあ私の分も含めて罰を受けろ、束。」
束「そんなーー!(ToT)」
箒「姉さん、自業自得です。」
束「箒ちゃんまでーー(ToT)!」
???「束様が申し訳ありません。」
リュウト「まあそうだけどって、え!?」
突然ラウラに似た銀髪の少女が現れた。
一夏「ラウラ?」
シャルロット「似てるけど、なんか違う。」
ラウラ「・・・。」
当の本人も驚愕して開いた口が塞がらなかった。
リュウト「君は?」
クロエ「初めまして、私は束様の助手をしておりますクロエ・クロニクルと申します。」
リュウト「束の助手?」
一夏「信じられない。」
束「それはないよいっくん!(ToT)」
千冬「風鳴、そろそろ退いてやれ。」
リョウセン「そうだな。」
リョウセンは仕方なさそうな顔で腰を上げる。すると束は何事もなかったように起き上がった。
束「クーちゃんはね、そこのドイツのチビちゃんと同じなんだよ。」
ラウラ「ち、チビちゃん・・・。」
束の言葉に思わずショックを受けるラウラ。
リュウト「同じってまさか・・・。」
束「そうだよ。そこの子と同時期に造られたアドヴァンスド、失敗作として捨てられそうになったところを束さんが保護したわけ。」
一夏「そうだったのか。」
ラウラや自分と同じ境遇の人物がまた現れたことに一夏と千冬も呆然とするのだった。
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真耶「た、た、大変です!お、おお、織斑先生っ!」
束のことでひと騒ぎがあったが一先ず落ち着き、全員がパッケージをインストールし終えてテストしようとした時に真耶がタブレットを片手に血相を変えて慌てて走ってきた。その際真耶の大きな果実が大きく揺れ、全員がそこに思わず注目してしまった。
千冬「んん、どうした山田先生?」
真耶「こ、これを!!」
千冬が咳払いをして問うと真耶がタブレットを見せる。すると千冬が表情を曇らせ、束に視線を向けた。本人は首を傾げるだけだった。
千冬「全員注目!テスト稼働を中止し、現時刻よりIS学園教員は特殊任務行動へと移る。専用機持ちはこちらの指示に従って集合してもらう。一般生徒はISを片付けて自室に待機、許可なく出た者は処罰があると思え。以上だ!」
突然のことに女子一同はざわめくが、千冬の一喝で静まり一斉に旅館に戻っていった。
旅館の一室に集まった一夏達は集められた。
千冬「では説明する前にお前達、元に戻っていいぞ。」
そう言われてリュウトとリョウセンは擬人化を解く。現状2人の正体を知っているのはこの一室に集まった者だけだ。
劉備「やっぱりこれがしっくりくるよ。」
呂布「だが、同時にこうでもしなざるを得ない状況ということになるな。」
千冬「そうだ。」
シフトテクニック(クリム)「一体何があったというのだ?」
一夏「ベルトさん。」
千冬「いきなり出てくるな。現状を説明する。2時間前、ハワイ沖で試験稼働にあったアメリカ・イスラエル共同開発の第三世代型の軍用IS『
劉備「暴走って、何でまた?」
千冬「それは分からない。だがこのまま大変なことになる。」
呂布「今は原因よりもそのISを止めるの先決、という訳か。」
千冬「そうだ。そしてアメリカ政府は衛星の追跡の結果、福音はここから2キロ先の空域を通過するらしい。その対処を我々に申し込んできたのだ。」
それを聞いたライダー組は厳しい顔をした。
劉備「生徒にその対処をさせるなんて何を考えているんだ?」
呂布「ここにいるのは殆ど生半可な覚悟を持った者しかいないぞ。」
シフトテクニック(クリム)「全く、何を考えているんだ。」
一夏「政府も馬鹿だろ。」
言いたい放題である。
千冬「これは訓練ではなく実戦だ。まあ織斑達は経験済みだがな。身を引いても構わない。」
千冬がそう言うが退出する者はいなかった。
千冬「よし、ではこれより目標ISのスペックを出す。だが、このデータは2ヶ国の最重要機密データのため決して他言してはならんぞ。情報の流出が確認された場合、諸君らには最低で2年の監視が付く。」
そう警告して福音のスペックが表示された。
シャルロット「オールレンジ型だね。」
セシリア「わたくしのブルー・ティアーズと同じ射撃特化型ですか。」
鈴「しかも広域殲滅を目的にしてるみたい。」
ラウラ「厄介だな。」
箒「そんなにか?」
簪「1対多を前提としているから機動力も未知数。偵察も無理っぽい。」
一夏「チャンスは一度だけ、か。」
そんな中、劉備は顎に手を添えてスペックを見ていた。
一夏「どうした劉備?」
劉備「ここに表示されている無人機っていうのになんか引っかかるんだよな。」
呂布「確かにそうだな。」
呂布も腕を組んで同意する。
千冬「兎に角、何か案はあるか?」
真耶「一撃でSEを削り切れるのがあればいいですけど。」
一夏「それなら俺のドライブか零落白夜、劉備の鎧武、呂布のゴーストが適任だな。」
劉備「だが、下手に変身して出ると怪しまれる可能性がある。」
呂布「今回はなるべく使わずに済ませた方が良さそうだ。」
一夏「そっか。ベルトさん、一応確認するけどトライドロンに水上を走る機能は?」
シフトテクニック(クリム)「残念だがそれはない。ライドブースターがあれば空を飛べる。」
一夏「そっか。兎に角もう考えるのはやめた。今は事件を解決するのが先だ。でもエネルギー持つかな?」
セシリア「でしたらわたくしが一夏さんを運びます。ちょうどイギリスからのブルー・ティアーズのから強襲用高機動パッケージ『ストライク・ガンナー』が送られて来ていますし、超高感度センサーもついています。」
千冬「オルコット、超音速下での戦闘訓練時間はどれくらいだ?」
セシリア「20時間です。」
千冬「ならばそれを前提に・・・。」
束「ちょっと待って。」
千冬「なんだ束。」
一夏・劉備・呂布・シフトテクニック(クリム)「「「「あ、忘れてた。」」」」
束「ちょっといっくん達!忘れるなんて酷いよ!」
実は束も作戦室にいたのだが存在をすっかり忘れられていたのだ。
束「実は紅椿っていう箒ちゃんのために作った機体があるんだ。」
箒「私の?」
束「うん、これを見て。」
そう言って数枚のディスプレイが出現する。
劉備「第4世代機だって?」
シフトテクニック(クリム)「攻撃・防御・機動と用途に応じて切り替えが可能とは。」
呂布「いつの間にこんなものを。」
束「紅椿の展開装甲を調整してスピードもバッチリだよ。後は箒ちゃんが決めて。」
箒「私は・・・。」
不安な顔をする箒。
一夏「箒?」
箒「実は少し複雑なのだ。」
一夏「複雑?」
箒「ああ。少し前に呂布に言われたのだ。『お前はまだ力を得るということが何なのか理解していない。それに気付かない限りお前は織斑と共に戦うことができない。』とな。」
千冬「そんなことを言っていたのか。確かに的を射ているが。」
劉備「お前らしいな。」
呂布「ふっ。」
箒「専用機のことはその答えを見つけてから考えたかったのだ。」
一夏「・・・なあ箒、アドバイスになるか分からないけど俺も前に劉備にこう言われたことがあるんだ。」
回想
それはまだ一夏がドライブになって半年が経った頃の出来事。
劉備「いいかい一夏?力と強さは同じじゃないってことだけは覚えておいてくれ。」
一夏「力と強さは同じじゃない?」
劉備「そうだ。たとえ力を手に入れたとしても使いこなせなければ意味がない。でなければ脅威になってしまい、自分の大切なものを失ってしまうことだってある。それを肝に銘じておいてくれ。」
一夏「・・・分かった。」
回想終了
箒「力と強さは同じじゃない。」
千冬「確かにその通りだ。私も力に拘り過ぎると自分を見失ってしまうこともあった。」
一夏「後はお前自身がどうしたいかだ。」
箒「・・・一夏のサポートができるなら私はやろう!・・・正直不安があるが役に立ってみせる!」
千冬「では直ぐに準備に取り掛かろう!」
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作戦準備に取り掛かり、箒は束と一緒に紅椿の最適化と第一次移行を行っており、一夏は先に白式を纏って砂浜に来ていた。劉備と呂布は何かあった時のために待機となっている。そんな一夏にプライベート・チャンネルに簪の声が響いた。
簪『一夏。』
一夏「簪か、どうしたんだ?」
簪『今ベルトさんと”あれ”の最終チェックしているからもうすぐ使えるようになるよ。』
一夏「そうか、ありがとう。」
簪『気にしないで、私が好きでやってるから。』
一夏「今後の戦いに”あれ”の力も必要になってくる。気を引き締めていかないとな。」
簪『頑張ってね、一夏。』
一夏「ああ。」
簪との会話を終えるとISを纏った箒がやって来た。
箒「待たせてすまない。」
一夏「そんなに待ってないぞ。やれるか、箒?」
箒「私はお前のために私にできることをやる、それだけだ。お前こそ大丈夫なのか?」
一夏「なに、俺の脳細胞はいつでもトップギアだぜ。」
箒「ふふ、何だそれは?」
一夏「いいだろ別に。」
一夏が電子パネルを操作すると白式が緑色に変わる。
一夏「白式! タイプテクニック!」
箒「何故タイプテクニックなのだ?」
一夏「分析して相手の動きを先読みすればやりやすいと思って。」
箒「成程。」
一夏「さ、行くぞ!」
箒「ああ!」
果たして、彼らの運命は!?
つづく