広間でロイミュードと蛮野の話を終えた一夏達は食堂に集まり夕食を堪能していた。
一夏「しかし今日もハードな1日だったな。」
リュウト「ああ。」
リョウセン「一般生徒には極秘情報だから知られれば監視がつくと注意した途端に昼間のことを質問することはなかったが、これはこれでありがたい。」
箒「質問攻めされればこっちの身が持たんからな。」
シャルロット「うん。」
簪「そうだね。」
鈴「今回のことを知ってるのはアタシ達だけってことね。」
セシリア「そうですね。」
ラウラ「・・・。」
リュウト「どうしたラウラ?」
ラウラ「先程の話を聞いて思ったのだ。もしかしたらハートは私のもう一つの可能性ではないかと。」
リョウセン「そうか、お前は・・・。」
ラウラ「はい。もし蛮野のような奴に生み出されていたらと思うと全てを恨んでいたかと・・・。」
一夏「だけどラウラは千冬姉や俺達と出会ったことで変わることができた。確かに人間には醜いところはあるけどいい部分もある。」
リュウト「少しずつ学んでいけばいいさ。」
ラウラ「はい。」
ラウラは様々なことを学び、前に進むことを決心した。
千冬「五反田、御手洗、疲れているところすまないが少しいいか?」
夕食が終わり暫くした後、千冬は弾と数馬を呼んで砂浜に来ていた。
千冬「今回はお前達の助けもあったお陰でなんとかできた。礼を言う。」
弾「気にしないでくれよ千冬さん。」
数馬「俺達は一夏のダチとして当たり前のことをしただけさ。」
千冬「そう言ってもらえると助かる。これからも一夏の大切な友としていてくれるか?」
弾「勿論!」
数馬「あいつが何者であろうと俺達の仲間さ!」
それを聞いた千冬は安心した表情を浮かべる。
一夏「ふぅ。」
弾と数馬が千冬と会話している頃、一夏は露天風呂で今回の戦いのことを反省しながら疲れを癒していた。
一夏「デッドヒートの暴走のことは聞いていたけど、まさかあそこまでとはな。」
改めてシフトデッドヒートのデメリットを思い知った一夏であった。
一夏「これからは短期決着で決めたい時に使うとするか。」
シフトデッドヒートの今後の使い方を思考していると、
グイッ!
一夏「ぶはぁ!」
突然誰かに顔を引き寄せられ柔らかい何かにうずめられた。慌てて顔を上げると一夏は意外な人物が目の前にいることに驚いた。
刀奈「ふふ、ごめんね驚かせて。」
一夏「楯無さん!?」
刀奈「今は刀奈って呼んで。」
一夏「あ、はい刀奈さん。」
正体はIS学園にいるはずの楯無もとい刀奈だった。刀奈はタオルを巻いた状態で自身の胸に一夏の顔をうずめていた。
一夏「というかどうしてここに?」
刀奈「生徒会の仕事を終えて駆け付けてきたの。心配だったから。」
一夏「すみません。」
刀奈「ううん、一夏君が無事でよかったわ。でもデッドヒートはここぞという時にね。」
一夏「はい。」
刀奈「だから今日はゆっくり堪能しましょ♪」
一夏「え?」
簪「お、お姉ちゃん!?」
入口から声がして振り向くとタオルを巻いた箒、シャルロット、簪がいた。
一夏「箒!?シャルに簪も!?」
箒「何やってるんですか一体!?」
刀奈「一夏君とお風呂よ♪」
シャルロット「抜け駆けしないでください!」
簪「お姉ちゃんだけズルい!」
負けじと他の3人も便乗してしまい湯船にダイブして一夏に纏わりつき、ちょっとした一夏争奪戦が始まってしまった。
束「・・・。」
その頃、束は今回の事件の後始末を自分のできる範囲でまとめ上げながら1人黄昏ていた。実は先程の劉備達のロイミュードに関する会話を密かに聞いていたのだ。
一夏「束さん、お待たせしました。」
そこに一夏と箒、シャルロット、楯無、簪、千冬がやって来た。露天風呂での一夏争奪戦の後、束が一夏達を呼び出して一夏達は指定した場所に向かった。
千冬「こんな所に呼び出して何の用だ?」
束「ごめんねちーちゃん、どうしても人目が付かない場所で話したかったから。ねぇいっくん。」
一夏「?」
束「今のこの世界は楽しい?」
一夏「・・・。」
一夏は暫く無言を貫いていたが束の質問に答えた。
一夏「以前の俺だったらこんな世界なんて生きている意味なんてない、消えてしまいたいって思ってましたよ。」
全員「・・・。」
一夏の言葉にその場にいる全員が沈黙する。
一夏「だけど劉備や呂布、ベルトさんと出会えたことで未来に希望を持つことができた。そして箒達っていう大切で一緒にいてほしい人達とも出会えた。」
箒・シャルロット・楯無・簪「「「「///」」」」
一夏「だからその恩に報いるためにも俺は戦い続ける。」
束「そっか。」
束は目の前の少年が世界を変えるため、大切な人達を守るために生きていることに安心した。
束「実は束さん、さっきの蛮野天十郎の話こっそり聞いてたんだ。下手すれば束さんもそいつの同類だったかもって。」
千冬「確かにそうかもしれんな。」
箒「否定はできない。」
束「だから束さんもできる限りいっくんのサポートするよ。この世界を元に戻すために。」
一夏「分かりました。」
束「箒ちゃん達。」
箒・シャルロット・楯無・簪「「「「はい。」」」」
束「結婚は束さんが何とかするから、いっくんをこれからも支えてあげてね。」
箒・シャルロット・楯無・簪「「「「はい!」」」」
一夏「・・・。」
束「どうしたのいっくん?」
一夏「束さんがこんなに優しくなるなんて、明日嵐でも来るか?」
束「酷いよいっくん!」
箒「すまない姉さん、私も同じことを思っていました。」
束「箒ちゃんも酷い!」
シャルロット「よっぽど信用されてないんだ。」
千冬「それだけのことをしたからな。」
楯無「確かに。」
簪「うん。」
束「うえ~~~ん!みんなが苛める~~~~!!!(ToT)」
協力関係を持ったとしても一夏達の束に対する扱いは雑だった。
一夏「・・・。」
束との会話を終えた後一夏は夜の海辺にいた。本日は満月で雲一つない景色が広がっていた。束は復活した後やることがあると言って帰った。
箒「い、一夏、待たせてすまない。」
一夏「あ、箒、・・・!?」
そこに箒がやって来た。実は一夏は彼女をここに呼んでいた。だが今の箒の格好は白いビキニタイプの水着を着ていた。一夏は思わず見惚れてしまい凝視した。
箒「あ、あんまりじろじろ見るな///」
一夏「わ、悪い。」
一夏は箒は絶対着るはずがないと思っていたため少し緊張していた。
箒「きょ、今日はよく頑張ったな。」
一夏「サンキュ。でも俺1人の力だけじゃなくて箒や皆の力があってこそさ。」
箒「そうか。今回のことで私も力不足を感じたが・・・。」
一夏「その話はもう無しにしようぜ、後悔するよりも失敗をどう活かすかだ。」
箒「・・・そうだな。」
一夏「ところでどうしたんだそれ?」
箒「ああ、これか。お前に呼ばれた後楯無さんが折角ならおめかししていった方がいいと言って///」
一夏「そうか。(全く刀奈さんは・・・///)」
事情を知っている刀奈に呆れて内心心が熱くなる。それを最後に暫く沈黙が続いたが箒が本命を切り出す。
箒「それで、私に何の用だ?」
一夏「ああ、そうだったな。これを受け取ってほしくて。」
一夏が取り出したのは以前レゾナンスで最後に買ったもので、その正体は白いリボンだった。
一夏「誕生日おめでとう・・・箒。」
箒「覚えてくれていたのか。」
一夏「ああ。丁度思い出してレゾナンスで買ったんだ。」
箒「そうか。よ、良かったら一夏が結んでくれないか?」
一夏「ああ。」
一夏は箒の後ろに立ち、器用にプレゼントのリボンを結んでいつものポニーテールにした。
一夏「似合ってるぜ、箒。」
箒「あ、ありがとう///」
一夏「それとな・・・。」
スッ
箒「い、一夏?」
一夏は右手を箒の頬に手を添えるとゆっくり顔を近づける。そして・・・
チュッ
箒「っ!?///」
箒の唇に自身の唇を重ねるのだった。
一夏「此間のお礼だ。」
箒「い、一夏///」
一夏「嫌だったか?」
箒「何を言う!寧ろ嬉しい方だ。ありがとう///」
一夏「そうか。これからもよろしくな。」
箒「ああ!///」
2人が幸せな雰囲気に包まている頃、少し離れた場所で劉備と呂布、クリム、シャルロット、楯無、簪がその様子を見守っていた。クリムに関しては劉備の肩に乗ったシフトスピードで見ていた。
劉備「一夏も大胆だな。」
呂布「ふっ。」
シフトスピード(クリム)「彼のこれからの将来が楽しみだ。」
シャルロット「今日は箒に譲ったけど、僕も負けないから!」
簪「でもお姉ちゃん、あれはやり過ぎじゃない?」
楯無「いいの、いいの♪普通より大胆でいいじゃない♪」
簪「はぁ(*´Д`)」
簪は姉のやり方にため息をついて呆れてしまった。
劉備「これで一夏の悩みは晴れたな。」
呂布「守るものができれば戦士は更に強くなる。それが織斑の強さだ。」
シフトスピード(クリム)「これからの成長が楽しみだ(^^)」
シャルロット「僕達も居場所を作ってくれた一夏をしっかり支えないと!」
楯無「そうね。」
簪「どんな困難も乗り切ってみせる!」
その後彼らは旅館に戻り最後の夜を過ごした。
翌日
本日最終日のため彼らは帰る準備をしていた。一夏達が寝泊まりしている部屋に誰かが訪問してきた。
???「失礼するわね。」
一夏「えっと、誰ですか?」
リョウセン「銀の福音のパイロット、ナターシャ・ファイルスだな?」
ナターシャ「ええ。」
リュウト「俺達に何か?」
ナターシャ「お礼が言いたくて。私とこの子を助けてくれてありがとう。」
リュウト「殆ど一夏がやったことさ。」
リョウセン「俺達は何もしていない。」
一夏「寧ろ礼を言われる程じゃないし。」
ナターシャ「それでもよ。あ、それと私夏休み明けに特別顧問としてIS学園に赴任することになったの。」
一夏「え?」
リョウセン「ドクター束によると、先日の暴走事件で専用機が凍結処分される可能性があったらしい。」
リュウト「それを回避するために織斑先生と色々手続きしてIS学園で特別教師になれるようにしたんだってさ。」
一夏「知らない間にそんなことが。」
ナターシャ「だから次に会う時はIS学園でね♪」
ナターシャは最後にウインクしてその場を去った。
リュウト「何だかまたトラブルが起きそうな気がする。」
リョウセン「ま、試練だと思って乗り越えればいいだけだ。」
一夏「そう思っていいのかな?;」
そして帰る準備が整い、一夏達はバスに乗って学園へと帰還した。こうして臨海学校の事件は幕を閉じた。
つづく