そして今回の話は多少最近の名作サクナヒメというゲームの影響でできたものでした。
ー2月末ー
段々と暖かい春に切り替わるこの季節。農民たちはお互い言わずに次々と一年続く農業作業を再開する。
何せ、美味しいお米を作るには、まず穗が必要だ。
特に江南地域の農民たちは主に水稲農業だ。故に江東、江南を拠点にした孫呉の民たちは水稲農業で栄養が高いお米を作り、自分用以外の米を各地に売るのだ。
ちょうどこの時期には漢王朝の腐れだ統治によって、各地の民たちは半斤の米さえも食べられなくなる窮地に落ちてしまった。
つまり現在、中国全土は食糧危機が起きている。そんな食糧が求められたこの時期にお米を大量に売れる商機が生み出した。
◇
この地に追放された僕はすぐ膨大の商機を気付いた。古来の人たち……特に皇帝の権威を笠に着て横暴を行う官匪、そして取り締まられることのない賊の暴虐にさらされる民はよく飢え死になる。
それを不満にし、民たちは反乱を起こす。それは黄巾の乱が起こす主因の一つだ。
そのことが知る僕は畑仕事を始めた。
身体が鍛えられるし、売れば金にもなれる、食物問題も解決。何より、これで少し飢える問題で黄巾賊に入れる賊も少し減ることになる。
とても地味なことですが、僕は塵が積もれば山になるとの名言を信じることにした。例え塵みたいな小さなことでも、きっと何かしらの影響を起こすに違いない。
それより、古来の農業は本当に素晴らしいと思う。これほどの用途があるなんて……流石人類史上最大、最早の文明!
農業最高!お米最高!
……と讃えたいが、数年間自分一人でやるのは大変苦労するので、毎晩が従者たる周泰にマーサージや膝枕をしてもらった。
一人の子供をこんなことをしてもらったのがちょっと…あれだけど。基本自分がこのふざけた世界に生き続けているのは彼女がいるおかけだ。
……本当に助かっているよ、明命。
そして彼女との同居生活が数年続くと、ある日彼女が畑の手伝いをしたいと強く願った。今まではずっと彼女にやらせないんですが……そろそろ一人作業効率が限界だし、彼女も作業に入れさせた。
「冷たっ!」
「転ぶのは気をつけてね。春だけど、濡れた服を干すのは少なくとも半日に掛かるから」
彼女が足を水田に入れると、すぐ水の冷たさにびっくりした。
この様子だと多分水田に入ったことがないだろ。
「それと苗も気をつけてね。あれは僕たちの命と同等のものだから」
「は、はい!」
僕の言いなりに十二分従う彼女は丁寧に水稲の苗を持つ。
そんな彼女を見ると、段々と初めて農業をやってる自分を思い出す。
あの頃の僕は本当に何もできず、迷惑かけたばかり。一時心が折れたこともある。…その時はこの村のみんなと明命のおかけで何とか立ち直った。
歪んだ三国世界なんだけど、みんなは意外に人味が持ってる。本当に嫌いだけど、嫌いにならない世界だ。
さて、閑話はやめるとしよう。そろそろ彼女に水稲のやり方を教えよう。
「まず苗を地面に軽く挿してくれ。このように」
「こう……ですか?」
「うん、そうそう。このように直線で植えて……それと、苗と苗は間が必要だから、密着しすぎないようにやってくれ」
「わ、わかりました!」
また緊張している顔だが……ちゃんと手本通りにやってる。流石未来有望の名将というものか。
「孫氏の坊ちゃん。今日も水田なんだ?熱心だね」
「お、おっちゃん!お久しぶり!またこの地に商売を?」
明命をじっくり指導する時、よくこの村で商売する知り合った大男が偶々ここら辺に通りかかった。
「おう!ちょっと近辺の町に用事があってな……ついでにこの村に果物を売りながら、ここら辺の米を買うつもりだ。」
「良かったら、うちの米も買う?」
「おうとも!坊ちゃんのお米は滅茶苦茶美味しいだから、結構良い評判があったよ!」
爽快な笑顔でそう答える大男。
彼の職業がこの時代だとすると、商人だ。主に売る物は果物の類。偶にお米や植物の種を売る。
そういう商人はちっぼけし過ぎで歴史さえも記録されなくても、きっとこの時代で生きるため、おっさんのような特殊な例も生まれるだろ。
まぁ、もうすぐ乱世だから仕方ないか……。
「あはは、それは良かった。」
「ん?よく見れば、お嬢ちゃんも畑にいるじゃないか!これは珍しい!」
「はい!今日からは孫竹様の手伝いをします!まだ不束者ですが、頑張ります!」
そして、おっちゃんの視線は周泰の方に向く。
周泰は元気が溢れる様子で答えたが、彼女の手は濡れた泥に塗られて、見様子はちょっと汚い。
「元気がいいね!将来は絶対いい美人になれると思う!ちゃんと大事にしろよ、坊ちゃん。」
「言われなくても、大事にするよ。」
「はい!毎日孫竹様に大事されました。この周泰は幸せです!」
「ほぉ〜?もうそこまでに進んだのか、お前ら」
「ち、違う!彼女が言っている『大事』はおっさんが思っているのと違うから!」
「……?」
少し周泰が口に出した意味深の言葉に汗を出せた。天然無純とはいえ、彼女はもう少し言葉扱いを考えて欲しい。
「あはは、わかってるよ。だが、そばにいる女をちゃんと守るのは男というもんだぜ。わかるかい?」
「それは……」
確かにおっちゃんの言う通り、僕は周泰のことを守りたい欲望がある。例えこの世界では女が男より強い鉄策があるとしても……。
この『武将の男性→女性化の三国志世界』では『潜在能力レベルで女尊男卑のような設定』があった。
とても不条理、理不尽な世界だと思うけど……そういう設定があってからこそ彼女たちは英雄として成り上がれるじゃないかってそう無理矢理で自分を納得させた。
「孫竹様、どうしたのですか?頭を抑えて……まさか身体の具合でも悪いのか?」
「い、いや!僕はだ、大丈夫だ。安心して」
どうやら心の中からまだこのような事実を納得いかないので、無意識に頭を抱えてしまっていたらしい。
そのせいで、明命が僕を心配そうに見つめている。
「坊ちゃん。もし気分が悪そうなら、今日の仕事を一旦終わりにしようか?今の時代では病死の人も結構いるよ?」
「ああ……警告ありがとう。でも、僕は大丈夫だ。」
「あまり無理しないでくださいね。孫竹様は私の大事な殿様なんですから」
「うん、わかっておる。心配してくれてありがとう」
彼女の頭をぶしゃぶしゃと撫でる。そうしたら、明命はちょっと照れた顔で気持ちよく僕の行為を許した。
なんだか、子猫を触っているような気分だ。
「ねぇ、もう話が終わった?知り合いとはいえ、僕は早く町へ行きたいだけど。」
そんな時、馬車から樸素系服装の姿をしていた紫髪の少女が自ら降りてきた。
身長からすれば、自分と同じ。……えっと、同年齢の子供かな?
「悪い!孫氏の坊ちゃんと話せたら、口が止まらなくなるぜ。」
「そう……。それはいいけど。故郷の
そう言い、彼女は手に持っている本を閉じてこっちをじっと見た。よく見れば、彼女は眼鏡をかけている。
あれ?この時代では眼鏡があったっけ?
また時代にズレた物に少し頭痛になりそう。この世界では時代にズレた物が多くて、歴史大好きな自分にとって少し受け入れかだい。
というより恋姫世界は元の世界の常識ではほぼ通じてないようだ。……本当に何なんだよ、この世界は。
「えっと……おじいさん、この方は?」
「おう!そうだ、まだ紹介してないよね?このお嬢ちゃんは
「どうも。」
「陳珪の娘だと!?」
「孫竹様?どうしたの?」
「いや……なんでもない。」
おっちゃんの紹介に僕はあまりの驚きで、また明命に心配された。
まさか…豫州沛国の相の娘さんがわざわざ孫呉の土地に来るとは思わなかった。これはお姫様が突然田舎に来たほどの大事だ。
「その反応を取るのも仕方ない。自分もお嬢ちゃんをこの辺に送ると陳珪様直々頼まれていたときもすごくびっくりしたよ。」
「基本僕のことを大物だと見ないでくれ。領主になったのは母上だし、僕ではない。」
「そう言われても……」
「はぁ……僕は言いたいことをはっきりしない人が嫌いだ。きれい事で誤魔化して、裏でコソコソ言われる人より僕は素直で言う人が好きだ。」
駄目息を吐いて、彼女は身を下ろした。
「正直一人の農民に無駄の時間をしたくないが……この土が沛よりも元気そうだから、特別に許そう」
彼女は手で優しく地面を触っていて、顔はさっきと違って柔らかくなっていた。
まるで地面に優しく微笑むようだ。
「えっと……?」
「陳登様は偶にこうするんだ。土と会話して、その土地が豊かなのか、ただ触っただけですぐにわかる。」
「なんかすごい!ただ触るだけで土のことがわかるんだ!」
「ええ……お陰様で豫洲の統治は揺るげなく進んでいる。政治は陳珪、農業は陳登という言葉もあるんだ、豫洲。」
おっちゃんの説明に明命の目はすごくキラキラしている。まぁ……確かにあの能力みたいな特技は聞いたら、誰でもすごいと思う。
自分もそういう達人を初めて見た。しかも、この年頃で……僕よりすごいよ。
それに、元世界の彼女の噂では当時徐州牧の陶謙に推挙されて典農校尉となり、どのような作物がその土地に育つのかよく調べ、堀を造り灌漑を整備したので、稲が豊かに実り貯えられた事績があった。
それ故、そのチートみたいな農業スキルを持っているのか。
もしこの世界の彼女も同じ未来に歩いたら、きっととんでもない偉人になると思う。
「さて、僕の話はそろそろ終わりにしよう。それより、貴方たちは蓬莱米について知ってますか?」
「蓬莱米?」
その妙な名前を聞くと、僕は思わず首を傾く。
「ああ、最近東岸一帯からとんでもない美味しい米が市場に流れた噂がある。噂にすると、あれを食わると百人力ほどの元気が得られるそうよ。」
「何、その妖々しいの米は」
「それは俺にもわからん。ただ数が少ないから、今は市場ではあんまり見つからない。それところが、蓬莱米の名を借りて、大金を大攫う奴らもいる。」
「へぇ〜……」
「それで陳珪様はその蓬莱米の乱を治めるため、俺に依頼してこの噂の源流であるこの地にその娘さんを送ってきた。」
「なるほど」
ひとまず陳登がこの地にやってきた目的を分かった。確かに一人の農業家として、そんな不思議な米の出現は無視できない。
さらに、その名を借りて不法の買収を行っている悪徳商人は許さない。
それより“蓬莱”か……日本と縁がある名だな。
「うん。その目的を果たすためにやって行きましたが……貴方たちとは無関係のようだね。こんな良い土を持っていながら、てっきりお前たちはなにか知っていると思っていた……外れだね。」
「すみません……お力になれなくて」
「いいえ、貴女たちは謝る必要がない。勝手に期待しているこっちのほうが悪い。」
明命にそう慰めた彼女。その顔からちょっと残念そうな感情が覗える。
多分、彼女は一刻早く米を乱用する悪事を止めたかったのね。……本当に農業のことが大好きなんだね。
「まぁ、坊ちゃんならその米となにか関係があると想定したのですが……坊ちゃんではないようですね。」
「なんて僕を疑ってるの?おっちゃん。」
「だって坊ちゃんの米は本当に人間美味ほどの美味さがある。一口食べると、ほっぺは溶けそうだよ!」
「もう食べたのか?」
「たり前だろ!一介の商人なんだから商品の品質を確認しておかないと、流石にお客様たちに売れないよ。」
うん、なるほど。理屈がわかった。……けど自分が頑張って育った米はそんなに美味しいのか。……味は日本で食べるのと似ているように開発したから、その美味しさの段差がわからない。
そういえば、最初明命は感動泣きながら食べた気覚えがあった……本当にこの時代の食物はやばいわね。
その後、暫くおっちゃんと陳登二人と話せたら、二人は蓬莱米を調ベるために町の方へ行った。
そして別れた時、陳登さんに豫州へ帰る時、ぜひうちの米を食べたいと頼まれた。
また小物の僕は当然、すぐ彼女の要求を頷いた。
そんな二人を見送ったら、彼女たちの背中を見てたら僕は段々と自分がこの世界重要な歯車ではないと感じ始めた。
自分は江南の狂虎孫堅の息子に転生したのですが……農民らしく毎日を平穏に過ごすのは、流石にどこか可笑しいと気がしてきた。
◇
靴音が暗闇に響く。
何処からか風が吹くと、柱に取り付けてある松明の炎が、ゆらゆらと揺らめいた。
「只今戻りました。」
そう言ったのは、足音の主である青年。
薄茶色の髪は短く、額には何かのまじないなのか、紅い印が描いてある。黒を基調とした道士服に、白のケープ状の上着は逆三角形の形を重ねて着ているその青年は、目の前に集まる人達に声をかけた。
「遅かったな。」
「少し気になるところがあって、そのところをじっくり調査していましたので時間が掛かりました。」
その中で一番の年長者と思われる老人男性が、青年に尋ねる。青年は苦笑しながら経緯を説明していく。
「気になるところとは?」
「大したことではない。この時代の歴史に影響が与えられないはず」
「それはまことか?噂によると、江南では得体が知れない米が流れているらしいですよ?君の仕業ではないよね?」
青年の報告に、ここにいる一員は疑う声を上げた。そうしたら、次々と睨む視線が青年に集まる。
「そのまさか〜〜。私は北鄉一刀のような異様なファクターではない、正しい歴史の流れも変われるつもりがないですよ。」
「その嘘まみれた口を……!ここはどこなのか、わかってんのか!!」
「お、やるのか?いつでも歓迎するぜ!」
「貴様……!」
「よせ。今の問題は、流れが変わっている事とのことだ。我々はそれしか向かん!」
そして大声で喧嘩を止めに来たのは年邁の老人。彼の一声で現場の騒ぎは一瞬消えた。
因みに、多少の差違は有るが皆同系統の道士服を着ている。
「北鄉一刀がまだこの世に召喚されない今頃、この時代の歴史は歪みはずがない……なのに、イレギュラーが起きた。」
「小さいイレギュラーなんですが、それとも無視ができない。前の貴方たちも北鄉一刀を舐め過ぎだから、破られたのだ。そのことをちゃんとわかったか?」
青年ともう一人この場にいる眼鏡をかける男の方へ睨むもう一人の男はそう指差してこう言う。
睨まれたこの二人は最初この時代に担当している者ですが……この世界に入れた
おかけで無数の世界線では彼がいて、歴史をどんどん歪んでいく。曹操が天下統一、劉備が大望を実現された。そして最も憎むのは三国が聯合し、結果として晉代が生まれなかったことになった。
北鄉一刀を一日早く排除しなければ、歴史の修正ができない。
「確かに我々のミスで北鄉一刀という男は確実の勝利を取ってしまった。彼という豪運のおかけで多数の猛将も彼のそばにいて、彼を殺せることが難しくなる。だが、我々は最終勝利を取る勝ち率はゼロではない。また可能性がある限り、またやり直せるかもしれない。」
「つまりまた間に合えると言うのか?」
「そうだ。ぜひ私達二人にこの件を任せよ。今回は必ず北鄉という男を殺すのだ。」
そう確信した顔でそう提案し、頷いた眼鏡男。それに続き、薄茶色髪の青年もそう応じた。
「……では、この件は今回も二人に任せる。くれぐれも、失敗しないように」
「はい……」
最初に話していた老人がそう言うと、道士服の集団も何も言わず……いや、黙らせてゆっくりと立ち上がった。
「そっちもしくじらない様にするんだな。」
「ふっ……。」
そして青年が老人に対して吐き捨てる様に言うと、老人は小さく笑いながら文字通り姿を消した。
他の道士達も、それを見ながら一人、二人と消えていく。
周りに残ったのは、眼鏡の青年と薄茶色の髪の青年だけになった。
「まったく……御老体達に何て口の聞き方をするんですか」
「立場は変わらん。ただ、奴等の方が長く存在しているだけだ。」
「………もう少し年長者に尊敬した方がいいですよ?それより、お前がつけたファクターは今どこで何しているのですか?」
「なんのことですか?」
「とボケないでいただきたい。お前は無許可で北鄉一刀と同じ世界の人間をこっちに転生させたことはこっちはよくわかっている。何の目的だ?」
青年のやることを何もかも見抜けた男は彼の方へ睨む。こういう自分勝手でイレギュラーを招く行為は相棒として見過ごせない。
「流石に、お前には誤魔化せないが……いいだろ。あいつは私の玩具であり、北鄉一刀へ送り込んだ最強刺客だ。」
「刺客?」
「ああ……我々と同じ志望、しかも北鄉一刀と同じ世界である人間なら、きっと我々の代わりにうまくあの忌々しい男を殺せると思う。」
「全く、また勝手な真似を……。もし結果的に君の予想が外れた場合は?」
「殺す。歴史を歪んだやつを排除するのは我々の仕事だから。」
「無情だね。だが、そんなところは気に入った。」
眼鏡をかけた男は、いい気味だという表情をして笑った。こういう残酷な性格があったこそ、管理者として相応しい。
「ところで、例の女……その件はどうだった?」
「この時代に逃げ込んできた。居場所は探している。」
「そうか……。ちなみに聞くのだけど、あっちの世界はもう修復できないのか?」
「ええ、北鄉一刀と同じ血脈が持つ男にね。その女もそちらの元管理者もその男に倒された。ある意味では、あの世界の滅亡を阻止した。皮肉の話ですが」
「とにかく、早くそのイレギュラーたちを処置して欲しい。北鄉一刀だけではなく、ルイス・エーリカ・フロイスと名乗る女も見つけて殺す。」
「ええ……そうだね。そちらも転生者を遊んでないで早くその役割を果たすんのだぞ。」
「そっちもだ。」
お互いにそう励んで、眼鏡男は先にこの場から消え去った。
「さて、こっちもそろそろ仕掛けするか。しかし、異界から来た女か……利用する価値があるのかも」
そして最後に残された青年は仲間が無くなった後、次の良からぬ考えをして、さっきの仲間たちのようにどこかに消え去った。
ここで色々なネタが埋めてました。果たしてあのこの時代に逃れてきた女は一体誰でしょうか?