それと、前回程昱が孫竹に対する呼び方なんですが……今後とはお兄さんと呼びます。なんかやっぱりお兄ちゃんという呼び方は親しく過ぎだと思う。
商人から与えた雑務が早く終わったところ、僕は程昱と郭嘉二人と街を見て回りながら、この時代に診療所と呼ばれる看病所を探している。
本来仕事を終わらせたあと、そのまま解散するつもりだけど。二人はこの町のことがあまり詳しくないという理由で暫く三人で共同行動をする。
「これ、いい匂い!なんて言う名前なの?」
「串焼きだ!一口試してどうだ?可愛いお嬢ちゃん」
「いいの?じゃ、いただきます!」
「こら!風。また勝手に人の販売商品を食べて……」
「いいじゃないか。風はお腹が減ったの!」
「それでも、もう少し遠慮を!」
そして、今は食べ物関連の露店が集まっている場所を通ってるんだけど、
そんな彼女の面倒を見る世話人の郭嘉と僕は彼女の後ろに付いていく。
「ハハ、元気がいいね。そちらの嬢ちゃんもいかがですか?」
「いいえ……私は結構です。お腹はそんなにすいてないから」
「でも、
「へ、平気よ!私はそんな程度でお腹が……」
ぐうぅ〜〜〜。
そう言った途端、彼女のお腹から空腹みたいな音が出た。
「どうやらお腹も抗議しているみたいだね。」
「はうッ……!ち、違うの!こ、これは……!」
慌てて言い訳を探す郭嘉。……そんな慌てた恥ずかしい反応はちょっと新鮮だ。
「お腹が空いた時は我慢しなくてもいいと思うよ?そうしたほうが楽に生きられるし、お兄さんも素直でいる禀のことを好きなんですよ?」
「え…!!?」
「こら、平然で爆弾をこっちに投げ来ないでください。でも、確かに程昱の言う通りにお腹が空いた時に我慢は良くないと思う。特に食糧が足りないこの時期には」
ペコッと少し程昱の頭を叩く。けど彼女の話は確かに一理あるから、僕も程昱に付く。
「……確かに一理あるけど」
「どうせ無料だし、なんの損もないと思うよ?それに試食というのも、商品への宣伝なんだからその好意を受けもらったら?」
「わかった……。せっかくだから、いただくわ。」
僕たちの説得に妥協した郭嘉は小口で串焼きの店主さんからもらった串焼きを一口入れる。
「ん〜〜!?なにこれ、おいしい‼」
「ガハハ、お口に合えて良かった。」
口に入れた瞬間、彼女はどうやらあまりにもの美味しさに感動してしまい、つい幸せそうな表情と可愛い声を出した。
そして郭嘉が美味しそうに食べているところを聞いて、喜んで大笑ってしまった店主さん。
きっと自分の商品が美味しく食べられて、とても喜んでいるだろう。
「んぐんぐ……美味しい!口の中、焼いた肉はぷにぷにしてて、噛み味がすごく良かったです!」
「お客様にそこまで褒められると、自分がこの町に商売し続ける甲斐があった。今日は、特別にもう一本をお嬢ちゃんに奢るよ!」
「本当に!?……いいんですか?」
「ええ、そんな美味しそうに食べるお客様は初めて見たから、特別にサービスをしてあげるよ!」
「あ、ありがとうございます!」
店主さんにお礼をしたあと、彼女はもう一本の串焼きをもぐもぐと美味しく食べる。なんか程昱より子供ぽくなったわね……彼女は。
「ふふっ。こう見てないで、素直になった禀は風より子供ぽいなのよ。知り合ってからずっと大人風で我慢している。」
「なるほど。そういうタイプなのか」
同じく串焼きの肉をもぐもぐ食べる程昱の説明に、僕は郭嘉がどんな子なのかよくわかっていた気がする。
偶にそういう子がいるな、大人風を化けた子供は。僕も昔、お姉さんたちに馬鹿されたくないから無理にする時期があった。
「さて、禀にうまく食べさせたし。お兄さんも見てないで一口どうですか?それとも、風が直接“あ〜ん”してあげますか?」
「いや……流石に恥ずかしいのでお断りします。それに自分は一人で食べれるし。」
「そう……?風は別にお兄さんと親しい行為をしても全然気にしませんよ?」
「気にしろよ!女の子だろうか」
そして郭嘉がまだ串焼きの食感を味わっていたところ、また僕のことをからかっている彼女。
この人は、他人と慣れたら容赦なく慣れ付けてくる。それはいいところだが、女の子なんだからもう少し男との距離を考えて欲しいです。
「女の子だから、ずっと風たちを構えたお兄さんに食べさせたいのですよ。その意味わかりますか?」
「え?意味って、何の……?」
「……なんでもない。お兄さんはまだわかっちゃいないなら、風が残りなく全部食べます。」
「お、おう……」
なぜか僕の答えに不満そうな程昱は急にため息をして、最後のお肉を大口で食べた。恐らく怒らせたのだろう……でも何故た?特に嫌われるほどのことをしてないよね?僕。
彼女の考えを全然思い付かない彼。そういえば、前世も似たような経験があった記憶が……。
「ガハハ、仲が良いね。にしても、アンタたちは良くもこの時期にこの町に来たわね。確かにここは蓬莱米の噂で盛り上がってるけど、見た目より危険なのよ。ここは」
「……それは、どういう意味ですか?」
「最近この町は、パッと見た感じでは平穏そのものだが、路地裏を見ると穏やかではないのよ。」
郭嘉がそう聞くと、串焼きを売る親さんは親切にそのことを教え込む。
この町の大通りには商人や街人の往来が激しく、活気があるように見えていたけれど、路地を一つ奥に向かえば、生活に苦しむ街人が物乞いをしていたり、餓死したのか暴行を加えられて死んだのか、腐敗した死体や人骨のようなものが散乱して放置されているなど、見ていられない光景が広がっていた。
しかし、実はこの町の状況は他のところに比べてはまだマシであった。各地でも、この路地裏のような光景が広がっているのが当たり前なほど、国中の民は困窮しているぐらいには、各地の様子が噂が広まっている。
最悪の場合では、町に入ってすぐの大通りにも酷い光景が広がっているにも関わらず、太守は何も対策せず放置している所も有るぐらいだった。そして、偶に町を経て来た孫竹もここに寄った時に何度もその光景を見ていた。
これぞ、漢王朝の現状だ。これほど酷い様だと、間もなくの近いうちに民たちの不満は限界にし、暴動が引き起こすに違いない。
「なるほど、この町にもか……」
「どこに行っても同じ光景だね。」
そんな話を聞いた二人はただその慣れた冷たい反応をする。まぁ、各地でよくそういう非日常的の風景を接触するから、慣れても仕方ないけど……やはり慣れるのは怖いと思う。
だって、たくさんの人が死んだ。しかも死体はそのまま放置され、その腐れた肉が烏に喰われている。加えて見た人も気にしないふりに通りかかる。
あまりにも非日常的な光景なんだけど、この世界にとっては何よりの日常だ。
「この町の治安も良いとも言えないから、あまり官兵たちに期待しないほうがいいですよ。」
「官兵すらも頼れないのですか……」
「ええ、劉繇様は賢明な方だと聞いているが……その手下は特に腐っている。お前たちも自分の安全だけを考えればいい。もう漢武帝が作り上げた太平の時代ではないのだ。」
店主にそう忠告され、僕たちは暫しその場で串焼きを堪能していた。
その途中、程昱と郭嘉は何かを考え込んでいるみたいでずっと喋れなかったけど……多分今後のことを考えているだろう。
何せ、彼女たちこそはこの国の正当住人だ。国のことを悩むのは彼女たちにとっては当然のことだ。
僕もこの国生まれ、その将来を悩んでいるけど……でも中身が違った僕は多分彼女たちと違うと思う。
だって、転生者というのは外から来た者である。肉体がこっちの世界なんだけど、意識はもう別の世界の存在だ。
◇
少し町の様子を歩きで見て回った後、僕たちはようやく診療所らしい場所を見つけた。多分おばあさんの薬はここにあったはず。
「すみません〜お医者さんいますか?」
「はい。先生の病人さんなんでしょうか?」
僕の呼び声に返答し、部屋の奥から一人の若い女性が出ていた。
その女性は美しい金髪と容貌を持ち、加えてまるで人の心の防備を溶かせそうな優しい瞳がこっちをじっと見つめている。その繊細な体型に纏うのは、ちょっと西洋の要素が感じた服装。
全体から見ると、現代有名のモデルたちでも色褪せられたほどの美少女だ。
ちなみに、この時代の服装問題に関してはもう諦めた。なぜなら、この世界では女性を可愛くするなら時代間違えても構わない身勝手な設定がある。
所詮は恋愛戦略ゲーム世界だ。そこは、あまり要求しない方がいい。
「いいえ、僕は近辺の村から来た者で、病気で倒れたおばあさんの代わりに薬を買いに来たのです。」
「なるほど。隣人さんのために薬を取りに来たのですか……。あいにく先生が今外出中なので、多分来週までは戻れないはずです」
「僕は急いでいるんのです!そうだ、おばあさんの処方は?おばあさんはかつてここで看病したから、処方などは残っていますよね?」
「残念ながら、先生は少々違ったお医者さんなので処方などは店内残しません。むしろ、“処方があったほうがおかしい”のです。」
「………そうですか」
彼女が残念そうな表情でそう語ると、彼はちょっとやられそうな顔。
病に染まれたおばあさんは、いつも自分と明命を世話しているいい人。自分と明命がこの地に暮らせているときから、ずっと面倒を見てくれた。
だから、せめてこの件でその恩を返したいと思っていたのですが……ここまで来て、もう叶えられそうもない。
「蓮さん……」
「お兄さん……」
彼の背中から彼の気持ちを察した程昱と郭嘉は彼を慰めるみたいに手を握る。
彼に何もできませんが……せめて気持ちだけを伝えたい。
「あの……あまり落ち込まないでください。先生と処方は確かにありませんけど、私は一応先生の弟子なので少し程度の医術ができます。もしかすると、貴方のお力になれるかもしれません。」
「……それは、直接村に行っておばあさんに看病ということ?」
「はい。何の病気なのかまだわかりませんが……人の命を救えるなら医者として精一杯やります!」
彼女は自分の胸を軽く触れて、その赤き瞳から強い意志が感じる。
初対面の印象ではただ可憐な女性だったけど、今は強き女性だと感じがする。
それより、彼女の言動から再び希望を拾った。もし彼女がおばあさんを救えるなら、いくら頭を下げでも値することなのだ。
故に僕は丁重に頭を下げて彼女にお願いする。
「じゃ、何卒よろしく頼みます!えっと……」
「天海です。私の名前は天海です。」
「天海さん。短い間ですが、改めてよろしくお願いします!」
「はい!」
という流れで、僕は天海という女性の協力を得た。本物の先生より身に付けた医術が少なかったけど……それでも僕は彼女のことを信じた。
そして彼女が店の奥に戻って出かけの準備をするらしく、僕たちは一応外で待つことにする。
「良かったね、お兄さん。無駄足ではなかったのね。」
「努力すればきっとある形で報われる。この言葉はやっぱり意味があるんだね。」
「そうだね。どころで、二人はこれからどうするつもりですか?僕はこれから天海さんと一緒に村に戻るつもりだけど、二人は就職だよね?」
「うん、最初はそのつもりだ。けど、この町の状況を知るとあまり良い環境ではないらしい……」
「まぁ、どこに行っても状況が同じだけど。」
二人に祝福され、僕は二人のこれからの行方を聞く。せっかく二人と知り合ったから、人として最低でも彼女たちのことを心配する。
「そうか。つまりこれが別れたね……。少し寂しいと思うけど、僕は二人の安否を祈るするよ。」
「うん、ありがとう。でも就職探す前に、一度貴方が生活する場所を見て回りたい。」
「え、なんて?」
そして、これはもう彼女たちと別れる時だと思い込んだ彼ですが……郭嘉から意外の言葉で疑問が生み出された。
「風たちはあくまで旅するお金が足りないから、ここで稼ぐつもりだ。特にやりたいことがないのです。」
「それに農民風の村は一度も見てないから、少し気になっちゃって」
「あくまで農民が暮らしている場所を理解するためです。またそばに居ていいよね?お兄さん。」
二人は、そういう理由を彼に押し付ける。
なぜか彼女たちはそうしたのか、彼女たち自身もわからないという答えしか出せない。もしや旅をしてから、いよいよできた友人と別れたくないという感情で彼女たちにそうさせたのかもしれない。
どちらにしろ、彼女たちはまだ彼と早く別れたくない。
そして、二人の話を聞いた彼は悩むこともなく、すぐ自分の答えを出した。
「もちろんうちの村に観光してもいいよ。村のみんなも観客が村に来ることを大喜ぶだろう。」
「じゃ、お兄さんの村に行くことが決定だね。」
「また暫くの間、よろしくお願いしますね。蓮さん。」
「こちらこそ」
こうして、また三人で一緒にいることになりました。彼個人としても、この時代にせっかくできた友達とそんな早く別れたくないという気持ちもある。
「誰かっ、助けてください!」
そんな時、何者かの悲鳴が響き。その声に注意が惹かれた三人はすぐ周りを見て回る。
そうすると、路地裏から一人の子供が必死にこっちの方向に走ってきた。その走り方はとても危うやで、地面にちゃんと踏まなければ転びそうになる。
「あれは子供?」
「誰かに追われている?」
郭嘉と程昱は一般の反応をする。そして女の子の方は、どうやらこっちを気付いたようで、こっちが近寄るよりも先に慌てて走り寄ってきた。
「あ、あのっ。ハァッ、ハァッ、た、助けてくだ……あうぅ!」
だが、スカートが長すぎたせいで転んでしまった。それを見て、僕たちは急ぎに彼女の様子を見てくる。
「大丈夫ですか?」
「うぅ〜〜痛い……。あ、助けてください!詠さん……ハァッ、ハァッ……危ないです!」
しがみつくように僕の衣服を引っ張ると、必死に何かを訴えかけていた女の子。けれど、荒い息遣いと、苦しそうな呼吸音によって、彼女は一体何を言っているのか聞き取れなかった。
彼女の外観からまだ幼さを残していて、非常に背が小さく、背の成長が早い自分と比べてみるとまるで大人と子供ほどの身長差があった。その為に自然と、自分を見上げることになる。
「とりあえず、息を整えて。それから、落ち着いて説明してください」
状況を理解できないまま。まず、彼女に落ち着いてもらうよう深呼吸をするよう、郭嘉は指示を出す。
小さな身体でかなりの距離を走ってきたのか、息も絶え絶えとなって、大粒の汗を顔中から流している女の子。そんな様子を見て、よほどの緊急事態であることを自分は察していた。
「ハァッ、ハァッ、は、はい……、わかりました。すーはーっ、すーはーっ」
指示を聞いて深呼吸をした彼女が息を整える。見た感じは、人のことを素直に聞く純粋ぽい良い子だけど、僕はまず彼女は何者なのかを確認する。
彼女を見ると真っ先に目につくほど特徴的なのは、そのピンク色の髪だ。うちの髪もピンク色だけど、彼女はもっと華やかな感じ……多分育つ環境はよほど良かったのかも。
そして服装は……そんな華やかな服装ではないけど、見た感じは普通より高貴なものだとわかる。多分この子は、平民ではない。
息が大体整えたら、彼女はすぐ救いを求めるような視線を僕たち三人に向く。
「お願い!詠……私の友達を助けて!彼女が私を助けるために一人で私を捉える人たちと戦っているの!このままじゃ、詠は私のせいで死んちゃう!」
必死に助けを求めて泣きそうな顔。彼女の話によると想定よりやばい事件が起きたらしい。そして彼女はきっと僕たちがその友達を助けると信じ、必死で助けを求める。
男としては助けてやりたいが……人の命に関わる事態になる以上、助ける側も命が無くす覚悟もしなければならない。現代の殺人事件もそういうもんだよ。
「どうやら予想通り、大変な事件が起きたな。お兄さん」
「人間同士として助ける義務はありますけど、断る権利もあります。貴方はどうする?蓮さん」
「選択技が僕にくれるの?僕はただ無害の農民なんだけど……」
「そ、そんな……」
必死に僕の服を掴まっている彼女は、顔を青くして、絶望の表情を浮かぶ。だって、このまま助けを求められないなら、彼女を逃げ出させたあの子が迎えるのは最悪の結末しかない。
それだけは絶対に嫌だ。自分のせいで人が死ぬのは……あんまりだ。
「お、居たぜ!」
「こんな所にまで、逃げてやがったか!」
「手間かけさせやがって」
そうこうしているうちに、彼女を追うらしい男たちは、どうやら追ってきたようだ。
そのことを理解していた彼女は、さらに絶望した顔だが……彼女の頭から優しく撫でられた感触があった。
「……仕方ない。お姉さんたちから離れるではないよ。」
「え……?」
「待って!何する気!?」
僕が立ち上がり、刀や太い木棒を持つ男たちと立ち向かうと、後ろから郭嘉が心配する声をかけた。
「格好つけても、下手にやると逆に怪我しちゃうぞ。お兄さん。」
そして程昱も僕が次にやることを察したようで、警告する。
本当に良い友人に出会ったな。僕は。
「ああ、それくらいのことは言われなくてもわかってる。ただこんな小さい女の子があんな必死に願っているところを見て、流石の僕も見捨てることができない。」
店の外に倒れた箒を持ち上げて、槍術の構えをする。ただの掃除用具だけど、槍としての使い方もある。
「あれで戦うの!?」
「大丈夫。僕は農民なんだけど、武器の扱いだけは得意だ。それに、このまま見捨てたらこの時代の母上と姉上に向く顔がなくなる。加えて僕は二人の妹がいるんだ。兄として恥がある行動を出させない!」
そういう覚悟を持ち、僕は人生初の戦いを迎えた。
補充説明:恋たちが町に到着するの時間は孫竹たちが来る三日前のこと。この間、彼女たちは何かあったのか次回で説明します。