歴史は好きだけど、性転する世界が嫌いだ   作:黒崎一黒

6 / 9
今回の話は予想以上に書きました。大部、前回が埋めたネタを今回の話で回収しました。


第五話:彼女の正体。

 またあの世界(恋姫世界)ヘ行く前、僕はよく休日を利用して、家の中で友人から紹介してくれたゲームを遊んでました。

 

 そのゲームは『恋姫†無双』っていう恋愛戦略ゲームだ。

 

 最初、歴史をテーマにするゲームだと聞いて興味が惹かれたけど、遊んでみると中にいる自分が知る歴史人物は全員性転された。

 

 例えば、桃色の長い髪のでかい胸が持つ女の子は劉玄德。その隣、胸もでかい女の子とロリっ子の二人は有名な武将、関羽と張飛だ。

 

 なぜ有名な歴史人物がこんな可愛い女の子たちに変化してしまったのか…。それはゲームが最初からそういう設定だった。

 

 それを事前に調べない自分は本当に馬鹿だった。とはいえ、ゲーム始動初日でゲームをやめるのが流石にわざわざ紹介してくれる友人に失礼だから、反董卓連合編までに遊んでました。

 

 そこで僕はあの子と出会いました。

 

 

 『私は呂布。恋は、私の真名。』

 

 

 画面向こう側に自己紹介する赤い髪の女の子がいました。彼女はついさっき関羽と張飛二人と戦っていた、三国志史上最強と謳われる武将である。

 

 何せ、「三国志演義」における虎牢関(ころうかん)の戦いではたった一騎で連合軍を蹴散らし、迎撃にあたった劉備・関羽・張飛の三人が連携して戦っても精々引き分けた結果が残される。

 

 まぁ……演義は多少デタラメの部分も含まれていましたが、呂布の実力は正史でも凄かった。

 

 僕はこのゲームで呂布……真名が恋という少女と出会いました。そしてこの後の話にて、そんな彼女に僕は惚れしてしまった。

 

 なに?オタク?うるせぇ!相手はゲーム内だけに存在するキャラだとしても、人に愛される資格があるだろうか!

 

 それに彼女は人気ランキング上位に入った女だ!アイドルやモデルくらい……いや、それより凄いのだ!

 

 とにかく僕は恋に惚れた日以来、稼いた金で恋が関わった周辺商品の全てを買い取りました。

 

 ちなみに、僕は恋だけに金をかかるんだ。彼女はそれほど特別な女の子だ。

 

 

 

 ◇

 

 

 

 ー『華 元化』 診療所ー

 

 

 「痛っ!」

 

 「ごめんなさい。でも少し我慢してね、あとで美味しい飴をあげるから」

 

 

 優しく僕の手当てをする天海さん。

 

 謎の襲撃者が謎の助人に倒されたあと、僕は怪我人として簡単な医療処置を受けた。……大体はかすり傷だけど、傷口感染が起こす危険性があるから僕は天海さんの指示で大人しくその処置を受けた。

 

 彼女が医者としての腕が上達してる。どのような処置をしたほうがいいのか、彼女もよく理解している。

 

 流石この時代の医者と言ったところなのですが………彼女はまた僕に子供扱いした。別に嫌じゃないけど、僕はもう飴をもらって喜ぶ精神年齢ではないぞ。

 

 

 「お兄さん、ごめんなさい。風たちは、何もできなくて」

 

 「さっきのことを何もしてやらなくて、本当にごめん!」

 

 

 そして僕が治療されたと同時に郭嘉と程昱二人はさっきの件で何もしなかったことに謝る。彼女たちは、僕がボコボコされたことに凄く心配していた。

 

 

 「いいよ、二人共。僕も相手がこんなに強かったのを想定しなかったから、程昱たちのせいだけじゃない」

 

 「お兄さん……。それはただの理屈なんですよ。」

 

 「そうです!……あなたはさっき危うく殺されるのよ!」

 

 

 僕の名前を呼んで、多少弱気になった郭嘉。その喉から出たのは散々泣いてかすれた声だった。

 

 程昱も同じく僕の服を強く掴んで、ずっと手を離せなかった。

 

 なんかとても奇妙な感覚だね。この時代に来てから僕のためにこんな泣いて、心配してくれた人はいなかった。だから今は不思議の気分になってた。

 

 あ、因みに明命は部下だから別です。

 

 

 「それでも僕はあの人から二人のことを守りたい。僕の姉上も助けが必要の人を助けろって小さい頃からよくそう教わった。」

 

 「なるほど……。でもそれは無茶にする言い訳になってない!あなたは私たち……ううん、少なくとも私より年下なんだから無理するのは絶対だめ!」

 

 「これは決してお兄さんを責めるわけではない。でも、風たちはお兄さんがもっと自分の安全を重視して欲しい。」

 

 「お前たち……」

 

 

 二人にそこまで重視されて、目がちょっと熱くなってきた。前の世界でもそれを言い出される程の友達もいなかった。

 

 

 「ふふっ、お二人に凄く大事されましたわね。」

 

 「からかわないでよ、天海さん……」

 

 「けど、これはいいことです。人と人との繋がりは何よりも大切なものです。絆があったこそ、人は不可能を可能に変える力が生み出すのです。」

 

 

 クスクスっと優しく微笑む天海さん。彼女の口から出した言葉は何となく説得力が感じる。

 

 なぜなら歴史はそういうものだ。いくつの英雄譚も絆で結びつき、素晴らしい英雄物語になれた。

 

 日本だと新撰組、中国だと水滸伝、ギリシャだとアルゴー号だ。どれも濃厚の絆が含まれた英雄物語だ。 

   

 多分、この時代の孫呉もそうだったと思う。

 

 

 「私もかつてその絆が何度も奇跡を起こしたことをこの目で見届けました。そして自分もまたその絆によって救われたのです。」

 

 「天海さんも色々あったわね……」

 

 「はい。……そして実は、今も奇跡が起きているのですよ。」

 

 「え……?」

 

 「さて、手当ての処置は一旦ここまでにしましょうか。あとは、二日の間に感染が起こさなければ大丈夫です。」

 

 

 天海さんが興味深い部分を話したら、彼女は急にその話題をやめた。

 

 何か言えないことでもあったのか?って思わせたのですが……とりあえず彼女に手当てされたことを感謝しよう。

 

 

 「あ、ありがとうございます。」

 

 「うふふっ、怪我人の面倒を見るのはお医者の務めなんですから気にしないでください。さて、私はそろそろもう一人の患者の様子を見に行きます。お二人とゆっくり話し合ってね。」

 

 「あ……」

 

 

 笑顔しながら、彼女は医療バックみたいな物を持ち上げて、この場から離れた。

 

 多分、わざと僕たちを残したのだろう……。

 

 

 「えっと……」

 

 「……れ、蓮!」

 

 「……は、はい!なんでしょうか、郭嘉さん。」

 

 

 そして天海さんがこの場から離れたら郭嘉がいきなり“さん”捨て呼びで僕の真名を呼んだ。

 

 よく見れば彼女の顔がとても緊張しているように見える。

 

 

 「“郭嘉さん”じゃなくて……わ、私のことを禀で呼んで欲しい。それは私の真名です。」

 

 「えっ……?」

 

 「こん、今後とも私も蓮で呼ぶから……」

 

 「待って待って!いきなり真名を教えていいのか?」

 

 「うん。蓮なら……真名を預けてもいいと思う。私も蓮のことを信用したい」

 

 

 顔が赤いまま、郭嘉から彼女の真名を呼ぶことに許可された。

 

 そんな彼女はちょっと可愛いと思うけど、真名を呼ぶことが許可されたということは、やはり……。

 

 

 「風も同じだよ。因みに、禀は初めて風以外の人に真名を教えた人だから、今はとても緊張してますよ〜」

 

 「風~!!!」

 

 「まぁ、禀の可愛い反応はおいといて、風のことを真名で呼んでもいいです。」

 

 

 二人に真名を教われた。これの意味はこの世界で生まれ育ちの僕はわからないはずはない。

 

 しかし……初日で知り合った二人から真名を預けられる気持ちはとても複雑だ。だって自分はただ孫家に追放された普通の人間(中身は転生者だけど)だ。

 

 そして追放を現代の意味にすると、絶縁だ。

 

 とはいえ、これは決して悪いことじゃない。二人の信頼を得られること自体はただ二人と仲良くなる証だ。

 

 特に将来の歴史発展になんの影響にはならない。

 

 

 「わかった。僕は今後から二人のことを真名で呼ぶことにするよ。」

 

 「それじゃ決まりだな。お兄さん。」

 

 「うん。今後ともよろしく、蓮。」

 

 「うん。禀と風もよろしく」

 

 

 こうして僕は二人と真名をお互いに預けた関係になった。まぁ、僕の場合は真名より孫堅との親子関係がバラされる特徴的の名前“孫竹”が最も厄介なものだけど。

 

 それでも信じられる相手が出来て、想像以上に嬉しいものだ。

 

 

 「それと、今後とも無茶するのは駄目だよ!せっかく真名をあなたに預かっているから、あなたが無事じゃなきゃ駄目だよ。」

 

 「お、おう……」

 

 「風もお兄さんが勝手に死ぬのを嫌だから、ちゃんと生きでなきゃ困る」

 

 「う、うん……」

 

 

 それから僕は二人に今後とも無茶するなっという約束をした。何か二人は初対面より想像以上に威圧感が凄かった……。

 

 

 

 

 ◇

 

 

 

 

 二人と約束したあと、僕は部屋から出ていた。

 

 ここは診療所内部にある病室の一室らしい、僕が出ていた部屋以外にもいくつの部屋がある。

 

 天海さんによると、偶に重病者の方が来るので先生……つまりお医者さんは病人をここに住ませながら完治までに治療する。

 

 何か現代の病院みたいだね……。僕は医学に詳しくないから、この時代で実際そういう施設があるかどうかは知らない。

 

 因みに入院費は無料らしい。そのおかけでこの診療所は町の中で一番人気だそうだ。

 

 

 「ん?」

 

 「あ……」

 

 

 そして僕はフラフラ歩く途中、僕はあのピンク色髪の子を見つけた。

 

 同じようにあの子もちょうど僕の様子を見たら、すぐ駆けつけて来る。

 

 

 「あ、あの……怪我はもう大丈夫ですか?」

 

 「うん、僕は見た通りに大丈夫だ。お前の膝の方は?」

 

 「天海先生のおかけで、もう大丈夫です!」

 

 「それは良かった。」

 

 

 ひとまず、彼女が無事でいることに少しほっとする。彼女が元気そうなら、僕の戦いも無駄ではない。

 

 

 「………あ、あの。私が助けを求めたとはいえ……その、ごめんなさい!」

 

 「あれ、なんで急に謝るの?」

 

 「だって私のせいで、あなたを怪我させちゃいました……。本当にごめんなさい!」

 

 

 頭を下げて、誠心誠意で謝る彼女。

 

 まさか……感謝される前にまず謝られるとは。…本当に真面目っ子だね、見た目はあんな幼いなのに。

 

 

 「ううん、自分も多少怪我される覚悟の上で戦っているんだ。だから別にあなたを助けたことで余計に傷つけられて嫌な感じがしないさ」

 

 「でも……」

 

 「それに年上のお兄さんが年下の娘を守るのは当然のことだ。お前が気を病む必要がないよ。」

 

 「うぅ……お兄さんは優しい人だね。」

 

 「よくそう言われる。それと、僕の真名は蓮。お前は……?」

 

 「白湯です。」

 

 「それは真名?」

 

 「うん。お姉ちゃんが真名を他人に易く教えちゃ駄目だと言っているけど、私はお兄さんのことを信じる」

 

 

 なんか、この世界の住人は簡単に人を信じる悪い癖があるだな……。まぁ……僕も人のことは言えないけど。名前が教えられるのは真名だけ。

 

 そして真名はこの世界にて信頼の証だ。

 

 

 「じゃ、僕のことも蓮でいい?」

 

 「はい!蓮さんは私の命の恩人。いつかこの恩を返したい!」

 

 「大袈裟だ。別に恩を返さなくても……」

 

 「いいえ、この国の“次期皇帝”として国民からもらった恩を返さなきゃ!」

 

 「皇帝……?」

 

 「あっ。……いいえ!な、なんでもありません!!さっきのは、その……!!!」

 

 

 慌てて何かを隠そうとしている白湯ちゃん。その反応はとても可愛いけど……その口からうっかりと出ていた皇帝という単語は実に気になる。

 

 漢の皇帝といえば、漢高祖から始めた歴代の皇帝。そして今の時期に存在していた皇帝は霊帝、献帝二人。

 

 どっちも実権を握っていない皇帝だが……白いやつが倒される前に献帝の話をした。そしてこの子も自分のことを次期皇帝だと言ってた……ならば彼女はーー

 

 

 「あ……ここにいた」

 

 「恋殿!」

 

 「あ……」

 

 

 ちょうどその時、こっちに近づいてきた少女がいた。

 

 赤く短い髪は前後に鋭く伸び、上部には二本のアホ毛が生えている。

 

 燃える様な深紅の瞳は大きく、髪の色と相まって自然と見る者を惹きつけていく。

 

 色黒の肌の肩や腹部には、黒い刺青いれずみみたいなものがある。

 

 服は真ん中のファスナーらしき物を境に右が黒、左が白に分かれているタンクトップみたいな襟付きの服で、左胸の辺りには曲線を重ねた様な金色の刺繍がそれぞれ施してあった。

 

 肩先から有る袖は腰と同じ赤茶色のベルトで固定。色は服と同じで右が黒、左が白で、肩口と袖先とも三角形の金色の刺繍が有る。

 

 また、首元には赤紫色の布をマフラーの様に巻いており、その布は地面に着くんじゃないかと思う程長い。

 

 白いプリーツスカートの上にはボロボロの黒い布を巻き、赤茶色のベルトで固定している。

 

 ただでさえスタイルの良い体型が、更に綺麗に映えていた。

 

 これほどの特徴があって、彼女をずっと応援していた自分はわからないはずがない。

 

 彼女の名は呂布。またの名は恋。

 

 三国最強にして、この世界にて最強だと謳われていた戦士。同時に僕が惚れしてしまった本命キャラだ。

 

 本来反董卓連合編で虎牢関の戦いで活躍するはずの彼女がこの場、この時点で早く僕と出会ってしまった。

 

 これは正史に記録されていない歴史なのか、それとも恋姫の世界で演出されていない彼女の経歴なのか……今頃はわからない。

 

 けど、彼女がいるおかけで僕たちはこうして生きているんだ。これは喜ぶべきのことなのかな。

 

 

 「肉まんを買ってきた。」

 

 「わぁ〜〜美味しそう!こんなたくさん買ったの?」

 

 「うん。一つは白湯の分、もう一つは詠の分だ。」

 

 「なるほど。他のは?」

 

 「恋の。」

 

 「え………」

 

 

 白湯ちゃんが恋と楽しく対話している途中、僕はただボーっと彼女達を注視している。

 

 何にしろ、恋は僕が初めて好きになった二次元だけに存在する女の子。好きなキャラが自分の前にいたら、身体は自然に動けそうもない。

 

 画面にいるよりも、倍以上の可愛さが感じる。

 

 

 「ん?恋の顔……何かついてる?」

 

 「……あ、いや!そ、その……特に変なものが付いてないと思うけど、ただお前のことはどう呼ぶか悩んちゃって……」

 

 「ん~ん、…恋の……名前は…呂布……字は奉先……真名は恋……だから…恋でいい」

 

 「ちょっ……お前っ!真名はどんなものか知ってる?そんな軽く僕に教えていいの?」

 

 「……恋はオマエの事よく解らないけど、白湯を救った人なら、構わない。」

 

 「そ、そうなんだ。」

 

 

 僕が慌てて彼女をじっと見つめた理由を適度に押し潰すつもりだけど………まさか、彼女から真名を呼ぶことに許可された。

 

 本当に原作通りにイマイチ掴めにくい武将なんだね……。でもそのおかけで、少し精神方面の緊張が緩んでた。

 

 

 「じゃ、僕のことも蓮でいい。僕の真名は蓮だ。」

 

 「………わかった、蓮。」

 

 「ところで、ずっと聞きたいことがあるけど……。恋は白湯ちゃんの護衛なんでしょうか?ゆ……董卓はどうした?」

 

 「(ゆえ)なら、洛陽にいる。」

 

 

 どうやら董卓は一応無事みたいだ……。てっきり董卓が不幸事に遭って、恋たちの主が変わったという元の歴史の流れと違った流れだ。

 

 ひとまず、彼女が無事でよかった。

 

 

 「じゃ、…どうしてこの子の護衛に?それと、この子を襲った連中たちは一体何者?」

 

 「………」

 

 

 僕の質問に突然、無言になった恋。彼女の表情から何も読めない。

 

 

 「ん?どうした?」

 

 「月と、約束した。言えないって」

 

 

 あ、董卓に禁言されたのか……。

 

 

 「………っ」

 

 

 隣を見ると、白湯ちゃんも何か困っている……いや、迷っている表情になっている。……多分僕に自分の姓名を教えるかどうか迷っているだろう。

 

 それほど人に知られてはいけない高き身分なのか?いや……多分そうだ。

 

 この件があの董卓(優しい子)に関わったら、白湯ちゃんの身分は最低でも漢の重臣なんだろう……。

 

 けど、重臣レベルの大物が孫呉の辺境地に来た理由はわからない。なんでこの土地に来た、そして狙われる理由はなんだ?

 

 

 「じゃ、なんでこの地に来たの?お前たちは洛陽にいるべきじゃないの?」

 

 「それは……」

 

 「同じく言えないですか?」

 

 「ごめんなさい……せっかくお兄さんに真名を預けたのに」

 

 

 今度は白湯ちゃんが謝った。

 

 彼女もちゃんと自分の価値を知っていて、軽く他人に教え付けない。

 

 この幼い歳では、もう立派になった。

 

 

 「いや、お前は偉いぞ。謝るじゃない」

 

 「お兄さん……私は偉くないです。それと、頭を撫でないでください」

 

 「いや、撫でます。だって自分の価値をちゃんと理解し、正しい行動を取るお前は本当に立派な子供だと思う。」

 

 「うぅ……子供扱いしないで」

 

 

 そう言ったけど、僕の撫で行為にちっとも拒まない白湯。

 

 きっと撫でられるのが好きなんだろうなぁ〜。僕も子供の時期があるからよくわかる。

 

 

 「なんか白湯が気持ち良さそう……」

 

 「恋も一緒?」

 

 「いいの?」

 

 「あ、ああ……」

 

 

 彼女にそう応じたら、恋は頭をこっちに近づけてきた。

 

 それにしても、彼女の身長は原作より低い…。もしかすると、これからまた成長する可能性がある?彼女の元の初登場もまた遠く未来だから。

 

 

 ナデナデ

 

 

 「これで……どう?」

 

 「うん。気持ちいい……温かくて、好き。」

 

 

 やばい、恋が滅茶苦茶可愛い…!

 

 彼女の頭を撫でたら、なんか可愛いワンちゃんを撫でた気分になってた。

 

 しかも恋は気持ちいい声が鳴いた。これはまずい……!可愛すぎる!

 

 二人のことを撫でながら、二人の可愛さを堪能する孫竹。

 

 一人は本命、一人は可愛い幼女……二人の可愛さを同時に堪能するなんで贅沢!

 

 ……いや、誘惑に負けるな、僕!今は彼女(白湯)の正体を考えるべきだ。

 

 誰かに恨まれている、もしや狙われている漢の重臣……。その人数は少なくはないけど……有名なら特定できる。

 

 けど、脳内に浮かぶ対象は誰もこんな辺境に来る理由が持つはずはない。

 

 ならば誰だ?将軍や腐れた宦官でも見えない……重臣の中ではないなら、白湯ちゃんは一体……。

 

 

 『上からそちらにいる劉協様を捉え、その邪魔者や目撃者すべてを排除するという任務を与えた。』

 

 

 そんな時、僕の脳内がこういう対話が流れていた。確かに斬られた白いやつは献帝の名前を言った……彼女たちの目的は本当に献帝を捕まるなら献帝本人もこの町にいるはず。

 

 けど、それはありえない。だって唐以前の皇帝は基本王城から離れる記録がない。……しかも、後漢末期の皇帝も厳重監視されている。

 

 いや……もし裏で董卓の協力があれば、それは不可能ではない。それに年齢的に考えると献帝も幼い子供だ。

 

 

 「気持ちいい……」

 

 「癖になる」

 

 

 僕のなでなでに気持ちよく可愛くなった二人。そんな二人を見て、僕はある信じがたい結論を辿り着いた。

 

 この子は……もしや、漢王朝第二十四代皇帝。献帝・劉協なのかもしれない。

 

 そうだとすると、予想以上に面倒事になりそうだ。

 

 

 

 ◇

 

 

 

 洛陽。

 

 後漢最大の首都であり、漢王朝全土一番華やか、賑やかな大都市。

 

 前漢から帝位を簒奪した王莽が引き起こした全国に広がる乱を平定した光武帝が滅ぼされた漢を再興して立てた。都を洛陽にした。

 

 それ以降、光武帝と後の明帝はここで漢の全盛期を作り上げることができた。

 

 だが、盛者必衰。”桓帝”の時代になると皇帝に重用された宦官たちは自身たちの権勢を存分に振るうために皇帝が無知であるほうが都合よく、彼らは皇帝を政務から遠ざけるように動いた。

 

 こうして光武帝以来の治世は崩壊し、都の政治は宦官、清廉を掲げる官僚そして外戚と呼ばれる寵妃の血族たちが日夜、互いを貶めよう政争に明け暮れる。洛陽は魔境と化した。

 

 そして、ここは現漢皇帝・霊帝の住城になっており、腐敗の各宦官たちの拠点である。

 

 

 「まだあの子を捕まってないのですか?」

 

 「はい……残念ですが、于吉様が与えた『からぐり』人形が呂将軍に見事破壊された。」

 

 

 皇城内の書房で白いフードの格好をした者が女の人に例の件について報告している。

 

 その女はおっとりとした外見で、書房の整理をしている。どう見ても女子力が持つ美しい女性だ。

 

 

 「はい。本来、数日前張譲様の手下が先に取られたけど……幸い、運んだ途中で意外が起きて献帝様に逃げられた。さらに、彼らに邪魔をする者がいて献帝様の居場所までに捉えました。しかしその邪魔者の抵抗が予想より激しく、呂将軍が到着されるのを間に合えた。」

 

 「なるほど。……やはり董卓将軍は目障りの存在なんですね。」

 

 

 けど、その腹暗さは底が見えないほど暗かった。今の笑顔も寒気が感じるほど怖い。

 

 

 「じゃ、排除しますか?趙忠(ちょうちゅう)様。」

 

 「いいえ、余計に排除したら全西涼軍と敵に回します。それに張遼(ちょうりょう)華雄(かゆ)二人の猛将がいる限り、彼女を殺せる人間がいません。」

 

 「于吉様の力を借りしましょうか?」

 

 「ううん、仮に今は董卓を排除しても呂布がそばにいる事実は変わりません。それに私もあの方のことを完全に信用していません。」

 

 

 趙忠という女は本棚から本を取り出し、胸の前に抱く姿勢で白いフードの者にこう言い伝う。

 

 

 「不思議の法術を操る者。確かにその力は魅力的なんでしょうけど、逆に考えるとあまりにも危険すぎた力です。一歩間違えたら、漢も一瞬に終わるのでしょう。」

 

 「それは……」

 

 

 趙忠の考慮に否定できない。何せ、于吉という男は本当に狙いが見当たらない奇妙な仙人だ。

 

 結果的に、趙忠の言う通り。この皇城では一部の宦官がその男を真に信用していなかった……。

 

 

 「彼への対策もちゃんと打たなければなりません。…けどその前に、何とかしても張譲があの子を手に入れる前に空丹様の妹である白湯様を捉え、監禁させなさい。私はこれから空丹様に“天下はいつも通り繁栄している”って報告します。」

 

 「献帝様を……本当によろしいですか?陛下の妹に」

 

 「何か問題でも?」

 

 「いいえ!」

 

 「よろしい。あなたも十常侍(じゅうじょうじ)の一員ならわかりでしょう。白湯様は天然無粋の空丹様と違って、真剣に天下の民を思っている方です。彼女が陛下に余計なものを伝う前に排除しなければ我々十常侍も生きる道が失う」

 

 「………」

 

 「では朗報を待ってます」

 

 

 趙忠の威圧に圧倒された十常侍。 

 

 その後、部屋から消えて何処かに行ってしまった。




呂布のことについては、タグのようにヒロインを彼女にします。もちろん今後とも主人公と彼女との関係も一歩一歩と進みます。

それと、主人公が白湯の正体を気付くのは董卓たちへの認識のゆえ、辿り着いた推論だ。

因みに史実によって献帝が霊帝が亡くなったあと、張譲に連れされた記録があります。ここでは史実と少し離れた展開なんだけど、これもある者が裏で張譲をそうさせたのです。

補充説明:実は献帝の前にまた一人の帝がいるけど、董卓に献帝のほうが賢いという理由で廃止された。それと、恋姫世界では何太后が子供いませんので、少帝の存在もなくなることになります。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。