虹×夢カラフルデイズ   作: 龍也/星河琉

1 / 45
虹ヶ咲の二次創作です。この物語の主人公はあなたちゃんや高咲侑でもない男の子です。苦手な方はブラウザバックをお願いします。至らない点があるかもしれませんが、何卒よろしくお願いします。


第1章 夢の始まり、紡いでいく日常
第1話 ここから始まるワンダフルデイズ


「出来損ない」

 

 心底聞きたくない言葉が真っ黒な空間で響いて俺の鼓膜に伝わってくる。

 

「役立たず」

 

 やめろ。それはもっと聞きたくない。

 

「どうしてあの子とあんなに違うの?」

 

 やめろ。やめてくれ。それを俺に言ってどうしろってんだよ。何でそんなこと言うんだよ。耳障りな言葉が何度も何度も響いてくる。

 

「出来損ない」 「役立たず」

 

 

 やめろ

 

 

「出来損ない」 「役立たず」

 

 

 やめろ。やめろ……! 俺は……俺はっ……! 

 

 

「生まれてこなきゃよかったのに」

 

 やめろぉっ!! 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……ハッ!」

 

 目が覚めて勢いよく体を起こし、耳障りな言葉達が夢であることに気付くのにあまり時間はかからなかった。夢で良かったと安心したところに、枕元の携帯が鳴った。

 

「……もしもーし」

 

『もしもし、(つむ)ちゃん? 歩夢(あゆむ)だよ』

 

「おう、おはよ。電話ありがと。おかげで目ぇ覚めたわ」

 

 寝起きで声が出しにくいが、声のトーンをできるだけ高くして清々しく起きれたことを装い歩夢にそれを伝えた。

 

『良かった。時間になったら迎えに行くから。それじゃ、またあとでね。紡ちゃん』

 

「りょーかい。あとでな」

 

 歩夢との通話を切り、ベッドから降りて軽く伸びをした。

 

 朝起きて1番最初に話すのは歩夢だ。ずーっと昔から。家が隣ってのもあって何かと一緒に行動することが多く、今みたいに毎朝決まった時間に電話で起こしてくれる。今日は電話より先に目が覚めたけど。

 

 身支度をしながら色々と考え事をした。今日見た夢のことと、お隣さんの幼馴染のこと。俺にとって最も言われたくない言葉のオンパレードの地獄みてぇな悪夢を見せられて俺のテンションはだだ下がり状態。正直、今のテンションで学校に行くのが非常に億劫だが、休むと歩夢に心配をかけてしまうし、それに「やるべきこと」もあるので簡単に休む訳にはいかない。「今日も俺は学校に行く! えらい! えらいぞ!」などと軽率に自分を褒めるなどしないとやってられない。

 

 特に歩夢に心配をかけさせる訳にはいかない。ただでさえ昔からあいつに迷惑かけてばかりで何も恩返しできてない俺が、これ以上世話を焼かせるのはもっての外だ。毎朝の電話も俺が頼んだ訳じゃなくて歩夢からの提案だ。つくづく人の良さを思い知らされる。あいつの夢を応援するって約束した以上、頑張らないとな。俺にできることをやって、昔からの恩を返せるように。

 

 時間ぴったりに身支度を済ませ、玄関のドアを開けると、柔らかく笑みを浮かべる歩夢が目の前に立っていた。

 

「おはよう。歩夢」

 

「おはよう紡ちゃん。行こっか」

 

「っし。行くかぁ」

 

 このおはようの挨拶から、俺の、俺達の日常が始まる。おはようって良い言葉だよな。何故か知らんけどちょっぴり心が軽くなるもん。言葉の力ってすげぇよ。すげぇからこそ夢で言われたことにさえも悩んだり苦しんだりするんだけれども。

 

「紡ちゃん、何かあった?」

 

「えっ? いや、なんもないけど。1ミリもないけど。何で?」

 

「ちょっと、顔色悪いなって思って。通話した時もなんか無理してるっぽく聞こえたし」

 

「通話越しでそういうのわかるもんなの……?」

 

「わかるよ。だって幼馴染だし。紡ちゃんのことは、私が1番わかってるつもりだよ!」

 

「……やっぱ敵わねぇなぁ。歩夢相手に誤魔化すのは無理か」

 

「ってことは、やっぱり何かあった?」

 

「まぁ……あった。でもちょっと変な夢見ただけよ。大丈夫。心配すんな」

 

「ほんと? 我慢してない?」

 

「なわけ。それに、歩夢がいてくれっからさ。悩みなんてどっか行っちまうよ」

 

「もう、紡ちゃんったら!」

 

 歩夢はそう言いつつ、微笑みながら俺の隣を歩く。ホント、良いやつだよな。朝からの憂鬱な気分の大半を吹っ飛ばしてくれた。歩夢がいなければ今頃俺はどうなっていただろう。考えるだけで寒気がする。

 

『変な夢』と誤魔化したアレの詳細を歩夢に話すつもりにはなれない。きっと歩夢にとってもあまり気分が良いものではないし。何より俺が嫌だ。

 出来損ないだの役立たずだの、俺にそう言い放った母親は今ものうのうと日々を生きているんだろう。ストレスが溜まりまくった母親の理不尽にムカつきはするが、心から憎めないのが俺の悪いとこなんだろうなぁ。あーヤダヤダ。なーんでこんなことになっちまったのかね。わからねぇ。わからねぇよ。

 あの人がどんな意味を込めて俺に『(つむぎ)』なんて名前を付けたのかも結局今もわかんねぇままだし、わからんことだらけだ。なんか、考えるだけ無駄な気がしてきた。このわからんことだらけの世の中で俺が生きる意味ってのを模索中な訳なんだが、もう見つけられた、かもしれない。俺がある『同好会』に入ったあの日から。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 暖かな陽射しによる眠気と格闘しながらなんとか今日の授業を乗り切り、放課となった。号令の後、クラスの人達は各々自分達の活動をしに行く。中にはまっすぐ家に帰る人もいる訳だけど、大半は何かしらの部活や同好会に参加して日々活動している。俺と歩夢もその例に漏れず、この『虹ヶ咲学園』にある少し特殊な同好会で活動中だ。

 

「歩夢、行こうぜ」

 

「うん! 今行く!」

 

 今日の授業の話や同好会のことを話しながら、俺と歩夢は部室へ向かった。部室のドアを開けると、既にメンバーが全員揃っていた。

 

「遅いですよ! つむぎ先輩! 歩夢先輩!」

 

「よぉ中須(なかす)。わり、ちょっと遅れちった」

 

「大丈夫です! これで全員揃いましたね! さぁ、今日も元気に頑張りましょー!」

 

「んじゃ、今日も気張っていくかぁ!」

 

 この『虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会』で、今日も俺達は活動する。それぞれの想いを胸に、俺の、皆の夢に向かって。

 

 

 




今ある日常を、ただ生きていたいだけ




毎話のあとがきに評価用のリンクを載せておきます!
https://syosetu.org/?mode=rating_input&nid=245143
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。