虹×夢カラフルデイズ   作: 龍也/星河琉

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第22話 一緒にいる中で

 合宿に諸々必要な物を揃えてもう1度皆と合流。果林さんとの個別メッセージで何が要りそうか聞いたら『一応水着も』って返信きて嫌な予感が加速したが、必要な物なら持ってった方が良いのかと思って大急ぎで新しい水着と、羽織る用のラッシュガードを買ってきた。

 

 同好会メンバー全員集合! っつーことで早速合宿の場所へ向かうと、予想した以上にあっけなく着いた。どっか遠い場所に行くのかと思ってたが、合宿の場所はまさかの学校の敷地内。まぁ、近場で何よりなんだけどさ。これには皆も驚きだったようで、特にかすみがかなり落胆した様子だった。

 

「もう、てっきり海辺の別荘とかに泊まるのかと……」

 

「そんな無駄遣いはできません! 合宿ならここで充分です! 研修施設ですし、一通りの宿泊設備は揃っています!」

 

「マジだ……布団もバッチリ揃ってる」

 

 俺達が入った和室の部屋はとても広く、押し入れを開けると布団が人数分入っていた。研修施設と言うだけのことはある。ってか虹ヶ咲学園設備良すぎなんだよな。こんなとこあるなんて俺知らんかったし。ワンチャン探せばまだまだ俺達が知らない施設があるのかもしれない。

 

「素敵な合宿になりそうですね!」

 

「璃奈ちゃんボード『ワクワク』」

 

 しずくも璃奈もテンション上がってるな。たしかに、皆となら楽しい合宿になりそうって思う気持ちはわかる。俺もできるならそう思いてぇよ。でも状況が状況だから俺は気ぃ張ってなくちゃいけねぇけどな! 気を抜いてもし皆に何かやべーことをしでかしたらおしまいだし。とにかく……皆に迷惑をかけず、且つ皆が楽しめる合宿になるように尽力するとしよう。

 

「練習は明日からにして、今から晩ご飯にしましょう!」

 

 せつ菜さんの提案に皆賛成。とりあえず荷物をこの部屋に置いて、別の場所で夕飯を作ることに。

 

 

 

「つむぎさん! 火を見ておいてもらえますか?」

 

「つむつむ! こっちも手伝ってー!」

 

(つむぎ)ちゃーん! こっちもー!」

 

「りょーかい! ちょっと待ってなー!」

 

 俺はあんまり料理ができないから、本調理は皆に担当してもらって、俺はその補助にあたっている。補助だからそこまで出番はないんじゃないかと思ってたが……まじでやべぇ。一息つく暇もなく色んな人に呼び出されて手伝いをして、それが終わればまた次へ……ってな感じで調理室を駆け回る。

 

「ふぅ……これでひとまず……」

 

「つむぎ先輩! ヘルプお願いしますっ!」

 

「な訳なかった……かすみ! 今行くから待ってろー!」

 

 せつ菜さん、愛、エマさんのヘルプを終えたところにかすみからも呼び出された。調理を手伝ってわかったこと。皆料理上手すぎ。料理できるメンツが多いんだよな……歩夢も上手いし、愛やかすみ、彼方さんもすげぇ上手い。補助に回って正解だったな。基本は皆に任せれば安パイだろう。

 

「かすみのヘルプも終わり、っと。もうそろそろ完成する頃かな」

 

「つむぎさん、今大丈夫ですか?」

 

「ん、大丈夫よ。どうした?」

 

「つむぎさんにも、私の料理の味をみてほしくて!」

 

「あーそゆこと。俺で良けれ……ば」

 

 せつ菜さんが指差してる鍋の中に入ってる紫色の『何か』を見て言葉を失った。へ……? 何これ……? 俺が見てた時こんなんなってなかったぞ!? 何があった!? 

 

「……一応聞いとくけど、変なモン入れてないよな? 毒とか入ってないよな?」

 

「もう、つむぎさんったら! そんなの入れる訳ないじゃないですか! いたって普通の調味料ですよ!」

 

 変なモン入れてなくてこんな毒々しい色出せるの逆に天才では!? そんな良い笑顔で毒が入ってないの証明されても目の前にある鍋見たら凍りつくよ!! 

 

 紫色の物体をおたまで掬って小皿に乗せ、恐る恐る口に運ぶ。すると、今まで味わったことのないような摩訶不思議な味が口の中いっぱいに広がった。

 

「どうですか? 美味しいですか?」

 

「う、うん……お、美味しい、よ? 甘くてしょっぱくてスパイシーで、良い感じじゃない、か?」

 

「ありがとうございます! 良かったです!」

 

「ちなみになんだけどさ、これ他の人にも味見させた?」

 

「先程、璃奈さんにも味見してもらいましたよ?」

 

 璃奈ァァァァ……よく耐えた。同志よ……璃奈のことだから、きっとオブラートに包んでくれたはず。俺だって、せっかくせつ菜さんが頑張って作ったものに『微妙』だなんて言えないし。あとで俺ができる限り食べて他の人に渡らないようにしなきゃな。歩夢とかがこれを食べた時のことを想像するだけでゾッとする。……味覚バグりそうだから水飲んどこ。

 

 

 

 

「「「いっただきまーす!」」」

 

 各々作った料理をテーブルに並べて、皆で夕食タイム。高級ホテルのバイキングと見紛うレベルの料理達が並んでる。これを高校生が作ってるなんて、普通の人が知ったら腰抜かすんじゃねぇの……? 

 

「おいしいね、(つむ)ちゃん」

 

「……めっちゃうめぇ」

 

 案の定、皆が作った料理はすごく美味しい。味はもちろんのこと、あれだけ動いたからか、作り終える頃にはめちゃくちゃお腹が空いてて、それも関係してるのかもしれない。隣にいる歩夢と一緒に料理を堪能している。けど忘れちゃいけないのが……せつ菜さんが作ったあの紫色のヤツ。なんだけど、璃奈がアレを普通に食べれている。てことはつまり……? 

 

「あ、味が良くなってる……!」

 

 俺もせつ菜さんの料理を盛り付けて一口食べると、さっきよりもだいぶマシ……ってか普通に美味しいレベルに味が良くなっていた。誰かが味を調整してくれたんだろうか。マジでファインプレー。これで心穏やかに夕食を食べれる……。

 

 

 食事をしながら合宿の主旨の話になり、自分達のライブの内容をまとめるのも合宿の目的だというのがわかった。そこから直近で開催されたダイバーフェスの話や、ライブのことで話は大いに盛り上がった。

 

 皆はどんなライブがしたいのか聞いてみると、びっくりするくらいバラバラな答えが出てきた。個性が爆発しまくり。でも……だからこそ輝ける。バラバラだからこそ成り立つものだって、あると思うから。

 

「すげぇライブができそうだな。個性がぶつかり合って、そこから新しいモンが生まれる、みたいな?」

 

「バラバラの私達だからこそできる、虹ヶ咲のライブをやりましょう!」

 

 皆の個性は違えど、良いライブにしたいって気持ちは同じはずだ。俺はそれを全力で応援する。輝いてる姿を、この目に焼き付けたい。

 

「早く見てぇな、皆のライブ」

 

「つむつむはさ、どんなライブが見たい?」

 

 両肩を掴まれて愛に顔を覗き込まれた。いや、距離感よ。まぁ今に始まったことじゃないから良いんだけど。

 

「そうだなぁ……俺は、皆のステージを見られれば、それだけで嬉しいかな」

 

 そうだ。俺は皆の夢を応援する。皆が楽しく、笑顔でライブできれば、もうそれだけで満足だ。

 

 

 

 

 

「なんか皿洗いしてると心が落ち着くな」

 

「小学校の時も、こうやって一緒に皿洗いしたよね」

 

「カレー作った時だったっけか?」

 

「もう! それは中学の時でしょ!」

 

「あぁごめん。歩夢ほんと記憶力良いよな」

 

 夕食を終え、俺と歩夢で一緒に洗い物をしている。なんか落ち着くのは、歩夢と一緒にいるってのもあるな。安心感がある。

 

「俺達、なんやかんやずっと一緒だよな」

 

「そうだね。これからも一緒にいたい。もしかしたらこの先も、ずっと一緒だったりして」

 

「ははっ。だったら良いなぁ。これからも頼りにしてるぜ、歩夢」

 

「うんっ! (つむ)ちゃんがいてくれるなら私、頑張れる!」

 

 この前はちょっと元気ないように見えたけど、もう大丈夫そうだな歩夢。あ、でも……今の歩夢は、ぶっちゃけ俺がいなくてもきっと頑張れるだろうな。やりたいことも、夢も見つかったみたいだし。それに比べて俺は……夢を見つける為に色々やってみてはいるが、いまひとつって感じだ。何かが足りない気がする。

 

 蛇口の水を止めながら、俺は自分がまだ何も見つけられていないことを思い、胸の奥にツンとした痛みが走った。

 

 

 

 




縮まる距離、遠ざかる背中




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