虹×夢カラフルデイズ 作: 龍也/星河琉
「そっかぁ〜。せつ菜ちゃんがいるから、すんなり通るかと思ってたけど……そういう訳じゃないんだね〜」
俺とかすみ、せつ菜さんも部室に戻ってきたところで、とりあえず皆に現状報告兼会議をしている。彼方さんが言うように、やっぱこういった催事は生徒会長の一存ではどうしても決められないらしく、けっこうガードが固い様子。
「すみません……私も気持ちが早っていました……というか、つむぎさん! 何故生徒会室で笑ったんですか!」
「ごめん。内容知ってて白々しい反応してるせつ菜さんが面白くってさ……」
いや、正直さっきの雰囲気であの言葉は笑うでしょ。手ぇ組みながら何が『ふむふむ』だよホントに。あれは笑わしてもらったなぁ。やべ、思い出しただけでもちょっとツボに入りそう。
「でも、副会長達からちゃんと指摘してもらえて、何が課題なのかよーくわかった。もっかい申請書を作り直すとしようか」
「
「さんきゅ。でも歩夢達はフェスに向けての練習で忙しいだろ?」
歩夢が手伝うと言ってくれたのはすげぇありがたいけど、ライブをする当人達にあまり苦労はかけられない。練習と申請書の作り直しを並行すんのはかなりしんどいだろうし。
「ライブは私たち全員の夢ですよ? 一緒に作っていきたいんです!」
全員の夢、か。なんとしてもその夢を実現させる為に、なんとか申請書を完成させねぇとな。その為には俺1人の力じゃどうしても無理な部分はありそうだしなぁ……やっぱ皆の力を貸してもらうしかない、か。頼ってばっかで申し訳ねぇが、せつ菜さん達が望むなら程々に手助けしてもらおう。
「皆で協力すれば、難しい課題もクリアできるよね!」
「まぁ……エマさんの言う通りだな。んで、いつまでに決めればいいんだ?」
「来週の生徒会の集まりに間に合えば、大丈夫なはずです!」
来週までに内容詰めなきゃなんないのかぁ……今週中って言われないだけまだマシだけど。この7日間でライブ開催の有無が決まるっつーことだから、ハンパな仕事はできねぇな。
「優先して考えなきゃいけないのは……会場でしょうか?」
しずくが言った通り、1番の優先事項は『どこでライブをやるか』。ライブをする為の会場決めが最初の課題だな。
「まずはそこからだね。そうと決まれば、やることは1つでしょ」
「つむぎ先輩、それって……!」
「ああ。『会場の下見』だ!!」
『善は急げ』というかすみの言葉通り、やることが決まったので早速俺達全員で会場の下見に行くことになった。まず最初に来た場所はけっこうデカめのホール。舞台とかコンサートにも使われてる施設で、一番始めに俺が目を付けたのがここだ。
「やっほー! 愛さんのライブに来てくれてありがとーっ! 会いたかったよ! 『愛』だけに!!」
「声量と体力オバケぶりがいつにも増して発揮されてるな……良いぞー愛! 本番もそんくらいの勢いで行けー!」
「え、えっと……」
下見しに来ただけなのにもう本番レベルの挨拶をかます愛。それに対し客席で声援を送る俺と、その横で戸惑うしずく。この落差よ。
「やっぱステージの上ってテンション上がっちゃうねー! つむつむも客席だけじゃなくてステージに上がってみなよ! サイコーだよ!」
「そうな。下見だし、俺も上がっちゃうか」
愛に言われて椅子から立ち上がり、俺もステージの上に立ってみる。俺はあくまで見たり応援する側だから、ステージ上に立つ機会はなかなかないからちょうどいい。俺も体感してみるか。
「よっ、と。……あーたしかに。アガるわ。客席全体がよく見える。せつ菜さんが言ってた景色ってこういうのなんだな」
客席をよく見渡せ、しかもステージのライトが意外と眩しい。これが、皆が普段見る景色か。たしかに全然違ぇな。客席にはない緊張感とワクワク感がある。
「ん〜、かすみんはファンの皆さんがもっと近い方が良いですぅ」
「ここ、ちょっと客席とステージとの距離遠いからな。んじゃ、他の候補地も見てみるか」
皆の意見を聞きつつ、それに当てはまる会場を見て回った。どれもライブをするにはもってこいのとこばかりだったけど、皆が求めるものがさすがに一致せず、今日はここで一旦下見をやめる流れになった。
帰り道に近場にあった店でドリンクを買い、座って休憩する。この暑い中歩き回ったおかげか、キンキンに冷えたチョコレートドリンクがすごく美味しく感じられた。
「いつもながら皆バラバラだな、歩夢」
「そうだね。来週までに決まると良いけど……」
「大丈夫。俺がなんとかするよ。歩夢は歩夢の練習を頑張ればいいからさ」
「……うん。ありがとう
「ん。お互い頑張ろうな!」
隣にいる歩夢と話をしつつ、明日の段取りを考えていたところに、見覚えのある金髪の男子が目の前を歩いていた。
「あれもしかして……おーい、
「あっ、
やっぱり創一だった。夏らしくない長袖の服に、重そうなリュック、手にはカメラに使う三脚が握られていた。
「つむぎ先輩、その人は!」
「ちょいちょい話してはいたけど、会うのは初だよな。俺の友達の
「初めまして。紡君からキミ達の話をよく聞いてるよ。スクールアイドルという活動をしているって。こんな可愛い人達がステージの上でパフォーマンスをする……あぁ……なんて素晴らしいんだろう……!」
「う、うぅん……?」
「こういう話し方がデフォだからあんま気にしなくていいぞ」
創一のこういう話し方はもう慣れたけど、慣れてない人からしたら頭にハテナマークが浮かぶよなぁ……皆キョトンとした顔で創一を見る。演技がかった口調が妙な胡散臭さを生んでる。
「ってか創一。お前何してたんだ? 夏にしては厚着だし、それにその荷物……」
「ああ、これかい? この前公開された映画『仮面リーダーレイワン』のシーン再現動画を撮っててね。その為の撮影機材と、グッズがこの中に入ってるんだ」
「お前すげぇな!? そこまでやんの!?」
いくら特撮が好きといっても、服装やグッズ、しかもこんなガチガチの撮影機材使って動画撮るとは……熱烈なファンってここまでやんのか。創一恐るべし。
「ま、萬代さんッ! 『仮面リーダーレイワン』をご存知なんですか!?」
「うん、そうだよ。そもそも特撮が好きでね。特撮はボクの生きる道。そして……夢に続いている道なのさっ!!」
またしてもキザっぽい口調で高らかにそう叫ぶ。俳優と配信者になることが創一の夢だからな。動画撮ったりしてるし、一直線に夢に向かって進んでるみてぇだな。安心した。
「私も大好きです! 今度一緒に語り合おうではありませんか!!」
「もちろん。大歓迎だよ。紡君も参加するだろう? レイワン本編を見てるし、ボク達と一緒に盛り上がろうじゃないか!」
「お、俺は遠慮しとくよ……」
多分この2人の語りについていけなくなる可能性大なのでやんわり断った。せつ菜さんも創一も、1回火がつけば止まらなくなっちまうからな。
「紡君達こそ、何をしていたんだい?」
「俺が考えたイベントを開催する為に、内容をまとめなくちゃいけなくてさ。その会場の下見に行ってたとこだ」
「イベント……ついに見つかったんだね、紡君のやりたいこと」
「そうだな。見つけられたのは創一のアドバイスのお陰だ。サンキューな」
「礼には及ばないさ。何か困ったことがあればボクを頼って。力になるから!」
「でも創一、スクールアイドルとかライブとかあんまり興味ないだろ?」
「そうだね。けれど、友達のやりたいことの手助けをする。それって当たり前のことだろう? ボクの大切な友達が好きなことを、ボクも応援したいし、手伝いたいんだ」
友達……創一にとって、俺は唯一の友達だって言ってたっけか。にしても、優しすぎだろ。お前何で今まで友達できなかったんだよ。こんな良い奴なかなかいねぇぞ。
「……そうか。助けてほしい時は言うから、よろしく頼むぜ、創一」
「わかった! 紡君の為なら、いつでも飛んでいくよ! おっと、門限があるからボクはこれで失礼するね。じゃあね、紡君! スクールアイドルの皆さん!」
「おう。気を付けて帰れよー」
俺達は創一に手を振って、歩く姿を見送った。あの荷物重そうだな……一体何を入れたらリュックあんなパンパンになるの……?
「そーいち先輩、ちょっぴり変な人ですけど、良い人なんですねっ!」
「あいつは良い人だよ。ちょっぴり変だけど」
「
「だって……ねぇ?」
「カレ、名字からして良いとこ出身よね? そんな子とも友達になれる
「どうだかなぁ。創一が良い奴だから、ダチになるのは必然だったのかも」
果林さんが言う『人を惹き付ける才能』ってほどのモンではないような気がするんだよな。きっかけはほんの些細な出来事だったし。けど気付けば創一とすげぇ仲良くなってた。友達って、不思議なモンだな。
「さて、明日も皆で会場探してみるか!」
「「「うんっ!!」」」
全員賛成。この調子でどんどん探してみよう。創一も何かあったら手助けしてくれるみたいだし百人力だ。皆で力を合わせれば……きっと叶えられる。そんな期待に俺は胸を躍らせた。皆の夢の為にも、一緒に頑張っていこう。