虹×夢カラフルデイズ   作: 龍也/星河琉

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第33話 俺が居て、君が居て

 どれだけ迷っていても、悩んでいても、時間は刻一刻と過ぎていく。スクールアイドルフェスティバル開催まで残り1週間。もうあまり時間は残されていない。そんな中俺は歩夢のライブ会場設営と、自分の夢。そして……歩夢の関係性をこれからどうするかで板挟みになっている。

 

 (つなぎ)に言われた通りもう1度俺自身の夢について考え直す毎日。その中で別の案が浮かんだが、本当にそれで良いのか未だに決心をつけられずにいた。簡単に決められる訳ねぇ。夢をとるか、幼馴染をとるかなんて。この上なく残酷な選択肢だ。

 

 今日も会場設営の為に学校に来て準備を進めていた。己の優柔不断さに苛立ちながら別の所の手伝いに行く為に廊下を歩いていたら、『(つむぎ)先輩』と横から声が聞こえた。

 

「君は……今日子さん、だっけ? 歩夢のファンの」

 

「ご無沙汰しています。(つむぎ)先輩に、相談したいことがあります」

 

 この子は歩夢の熱心なファンで、たまに歩夢を昼食に誘っていたのが今日子さんだ。そんな子が俺に相談なんて。どんな相談かはもう大体察しがついたわ。今日子さんに教室に案内されて、他の歩夢のファンであろう2人の生徒も交えて話をすることになった。

 

「それで、俺に相談って?」

 

「私達で、歩夢ちゃんのライブ会場についての案をまとめてみたんです。でも、まだ何か足りない気がして……歩夢ちゃんをよく知る紡先輩から、アドバイスをもらいたいなって思って!」

 

 そう言いながら今日子さんはプリントを俺の前に差し出したので目を通すと、たくさんの案がそこに書かれていた。どれも甲乙つけがたい。こんなにたくさんの案を3人で……本当に歩夢のことが好きなんだな。

 

「すげぇ……この中から1つに絞っても良いくらいだよ!」

 

「いえ。せっかくの歩夢ちゃんの晴れ舞台なんです。妥協はしたくありません! もっと良い案が出せるような気がするんです!」

 

「良い案、かぁ……」

 

「紡先輩は、どんな歩夢ちゃんが見たいですか? どんなライブをしてほしいと思ってるんですか?」

 

 どんな歩夢、か。そりゃもちろん、歩夢が笑顔でライブしてるところを見たいに決まってる。……今の俺に、歩夢にとって最善のライブを思い付けるのか? 

 

「俺が考えたライブで、本当に歩夢が満足するか分からない。意見出しても良いものなのかな」

 

「良いに決まってるじゃないですか! 幼馴染の紡先輩の案なら、きっと喜んでくれます! だって、歩夢ちゃんの1番の理解者なんですよね?」

 

「えっ?」

 

「前に歩夢ちゃんが言ってたんです。紡先輩は1番近くで自分を応援してくれる大切な人だって。自分を最も理解してるのが、紡先輩だと言っていました!」

 

 マジか。歩夢、いつのまにそんな……そりゃあ、応援するだろうよ。いつだって俺はその為に同好会で活動してるんだし。理解できるように、今の今まで頑張ってきた。今日子さんの言うことに間違いはない。俺が選んで、望んでそうした事だ。

 

「隣に紡先輩が居てくれるだけで、普段の何倍も力が出て、勇気が湧いてくるとも言ってました。紡先輩は、それだけ歩夢ちゃんにとって大事な存在なんですよ? 自信を持ってください!」

 

「歩夢が、そんなことを……」

 

「側で応援して、支えてくれる紡先輩が居る。歩夢ちゃんはそれだけで嬉しいんじゃないかと私は思います。だから、紡先輩が考える『歩夢ちゃんらしい』ライブとは何か、教えてください! お願いします!」

 

「「お願いします!!」」

 

 3人共俺に頭を下げて意見を求めてきた。側にいて支えられたのは俺の方だ。そんな歩夢が、俺に対してそう言ってくれてる。その事実に泣きそうになるがなんとか堪え、数秒で自分の考えを纏めた。

 

「歩夢はいつも一生懸命で、地道にコツコツ頑張って。そんで花が咲いたように笑うんだ。ずっと一緒にいたから分かる。歩夢には、花がすごく似合うんじゃないかって。俺はそう思う」

 

「花……! たしかに、私もそう感じていました! その案、すごく良いです! これを元に、私達で歩夢ちゃんのライブ会場を設営しませんか?」

 

「……そうだね。もうライブまであんまり時間が無い。俺達で歩夢を最高のステージに立たせるんだ。それで、歩夢に思いっきり笑ってほしい!」

 

 歩夢は俺にとっても、今日子さん達にとっても大切な存在なんだ。応援する側が最も望むのはただ1つ。そのスクールアイドルの笑顔だ。楽しくライブをしてほしいってのは誰もがそう思うはず。だったらそれを実現させる。俺、何でこんな難しく考えてたんだろう。『自分の気持ちに素直になる』。そんな簡単なことさえ見失いそうになってた。俺が歩夢を応援したいと思ったのは、恩返しの前にちゃんとした理由があった。『俺の側にいた歩夢の、側に居たかったから』なんだ。

 

「そうですね。私達で、歩夢ちゃんを最高のステージに!」

 

 3人共凄く乗り気な様子。愛があればなんだってできるってのを証明する絶好の機会だな。

 

 歩夢、ごめん。俺が間違ってた。歩夢の為の夢だってのに、当の本人の歩夢が笑えなかったら、まったく意味無いよな。見えてるようで、見えてなかった。いくら距離が近くても、近すぎたら見失う。しばらく別々で行動して改めて知った。どれだけ君が大切なのかを。俺……わかったよ。歩夢や皆、俺が笑える夢。その夢の根底にあるのが……歩夢なんだ。

 

 

 

 

 

 

 俺達4人で案をしっかりまとめ、早速会場設営に着手した。そこで俺はスマホを取り出してメッセージアプリを開き、とある人に電話をかけた。

 

「もしもし。今大丈夫か? ……おぉ良かった」

 

 そいつは幸いバイトが入ってなくて、ここ数日は暇を持て余す予定だったらしい。なら話が早い。

 

「お前に、手伝ってもらいたいことがある」

 

 

 

 




見つけた光明




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