虹×夢カラフルデイズ   作: 龍也/星河琉

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読んでいただきありがとうございます。大変お待たせ致しました。アニガサキ2期時系列のお話、幕開けです!


第44話 新たなる日常

 2学期が始まって早3週間。だいぶ涼しくなって8月よりかは過ごしやすくなったってんで学園では衣替えがスタート。いつも着てた夏服のポロシャツから黒のブレザーにスタイルチェンジ。俺だけじゃなく、同好会の面子も全員冬服に変わってた。皆の冬服姿はあんまし見慣れないからすげぇ新鮮に感じる。まぁ、すぐ慣れるだろーけども。

 

 今日の同好会の活動はというと、『第2回スクールアイドルフェスティバル』に向けて前回の反省と、改善案を出す為の会議。あと第2回ではどういう風に周りに宣伝していくかっていう意見も出し合う予定となっている。

 

 まずそもそもスクールアイドルフェスティバルの2回目をやろうってあまりにも爆速で決まったから正直まだ実感湧いてねぇんだよな。ネットでもすげぇ評判良かったし、『第2回も開催してほしい』って意見が多かったのは事実だけど……にしてもだよ。俺が言い出す前に皆が『やろう!』って言ったもんだからびっくりだ。俺にとっても、皆にとってもフェスが良い思い出になったんなら万々歳だな。考案した甲斐があるってもんだ。勿論俺も、もっかい開催したいって思ってたからな! 今度はもっと多くの学校や生徒も巻き込んで、前回以上のお祭り騒ぎにしてぇ。その為にもまずは今後どうするかをちゃんと考えていかねぇとな。

 

「前回のフェスでは、火急だった為に準備期間が充分にとれず、色々と無茶が見受けられたのが1番の反省ですね。特につむぎさん! 他の人にも出来ることは気軽に任せていかないと、またあの日々の繰り返しになりますからね!」

 

「はーい……面目ねぇ……でもけっこう任せてた方だよ!? ハナから俺1人じゃできることに限界あるのわかってたし!」

 

「だとしてもです! あれはつむぎさん1人で請け負う仕事量ではありません! 休憩中にいつもコーヒーやエナジードリンクを飲んでいたのはどこの誰ですか!?」

 

 うっ……その言葉は俺に効く。でもさぁ! 俺がやるって言い出したんだから先導して動かなくちゃいけないのは俺じゃん! 任せれるところは皆に任して俺は他の仕事やったりして、割と効率良く動けてた方だと思うよ俺にしては! ちょっとは褒めてくれたって良いんじゃないですかねぇせつ菜さん! ……いや、これ言ったら余計怒らせそうだからやめとこ。

 

「わかった。今回はなるべくコーヒーとかエナドリ頼りにならないように皆に役割振るよ。けっこうキツかったのはホントだからな……」

 

「つむつむ、たまーに白目むいてたもんね!」

 

「やめろ愛。思い出さすな……あれマジで恥ずいから……」

 

 第1回スクールアイドルフェスティバルの時。準備の忙しさがピークに達した頃に俺、あまりの眠気に耐えれずに何回か意識飛んでたんだよな。んで俺のその見苦しい姿を写真に残したバカ野郎がいましてね? かすみ、お前に言ってんだお前に。何クスクス笑ってんだお前は。もうね、アレをかすみのスマホで見た時俺はあまりの顔面の酷さに寒気がしたよ。『俺こんなひっでぇ顔してたの!?』って。おまけにそれを同好会のグループチャットに晒されて恥ずかしさで死にたくなったのと同時にかすみをシバいたのは今となっては良い思い出でもある。準備とかそれら諸々全部『良かった』と言えるから良いっちゃ良いんだけど、せつ菜さんの言う通り所々無茶が見受けられたのは確かだから、そこは反省。善処します……もうエナドリの味が嫌になるくらいには飲まねぇぞ……絶対にな!! 

 

「とにかく! 次からは俺や皆の負担が最小限になるように準備期間多めにとろうぜ。第2回は特に急ぎって訳でもねぇし、しっかり準備した方が良いモン生まれるのは間違いないしな」

 

「そうだね。(つむ)ちゃん、今度は何かあったらすぐ私に声掛けてね?」

 

「りょーかい。頼りにしてっからな。歩夢!」

 

「つむぎ先輩っ! かすみんも頼ってくださいよぉ〜?」

 

「ああ。わーってるよ。かすみもやる時はやるって知ってるからな。程々に頼らせてもらうわ」

 

 やっぱ、最初から皆が居てくれるのは心強い。何も1人で進めるワケじゃねぇんだ。いざという時に頼れる仲間がちゃんと居る。また、力を貸してもらおう。もちろん俺もそれなりには働くつもりだけどな! それこそが俺に出来る事。皆の助けになれる手段なんだからさ。

 

「宣伝の方法はどうしましょう? 以前はクチコミやチラシ配り等がありましたが、他の方法で何か出来ないでしょうか?」

 

 しずくが軽く手を挙げながらフェスの宣伝方法について言及した。ナイス。やっぱ宣伝が大事になってくる部分はあるし、前は璃奈のお陰で情報が広まった。新しい方法でやれること、何があるかなぁ……? 

 

「今回も私がネットを使って宣伝したい。今はやっぱりSNSだと目につきやすいから」

 

「そうな。んじゃ広報担当は引き続き璃奈に任せたい。けど全部が全部璃奈にやってもらうってのはちょいと気が引ける。SNS以外のやり方も色々考えてみっか」

 

「任せて。璃奈ちゃんボード『キリリ』」

 

 いつものようにボードを顔の前に持ってきて今自分が思っている感情を表現する。ネットに関しては璃奈が適任だな。やっぱ頭が上がらねぇ。神様仏様璃奈様だよ。さすが……唯一手放しで尊敬できる後輩は一味違うぜ……。

 

「でもさ、クチコミやチラシ配りだけでもけっこう宣伝効果あったよね?」

 

「俺が炎天下の街中でチラシ配りしに駆け回った甲斐があったよ……」

 

「つむつむめちゃ頑張ってたもんねー! またやる?」

 

「正気か!? あれ意外と大変なんだぞ!?」

 

「大丈夫だって! 愛さんと一緒にやればスグだよ!」

 

「そうだお前体力おばけだったな……んじゃあチラシ配りも続投でいきますか」

 

「やったっ! 愛さん頑張っちゃうぞー!」

 

 チラシ配りは今となっちゃ原始的というか古風なやり方ではあるけど、街中を歩いている人とかにすぐ手渡せるのが最大の強みだ。今でも廃れずにそのやり方が現存してるのにはそれなりの理由ってモンがある。1枚の紙で情報がパッと目に入るからな。宣伝って目的がある以上、使わない手はない。2人がかりでやれば配れる範囲も広くなるし、愛が担当するなら安パイだな。

 

「宣伝できる方法、他には何があっかな」

 

「それなら良い方法があるわよ、(つむぎ)

 

「おっ、果林さん。良い案浮かんだっぽいな」

 

 果林さんが腕組みの姿勢をキープしたまま俺の方を見て声を掛けた。

 

「ここに居る皆でPVを作ってみるのはどうかしら? それをSNSとかで流したら、良い宣伝効果になるんじゃない?」

 

「たしかに! 果林ちゃんの言う通りだよ! 動画なら皆気軽に見られるし、フェスの告知になると思う!」

 

 言われてみれば。エマさんも果林さんの意見に賛同。やっぱそうだよな。パソコンやスマホ持ってんのが当たり前みたいな世の中だし、動画使って告知すれば再生数も良い感じに伸びるのでは? えっ果林さんもしや天才? 天才だな。天才だよ。これは紛れもなく名案でしょ! 

 

「前にかすみん達も自己紹介の動画撮ってましたし、アリだと思いますっ! つむぎ先輩、せつ菜先輩! PV撮影、やってみませんか!」

 

「PV撮影……面白そうだな。皆が良いなら、やってみる価値は充分あるんじゃねぇか?」

 

「どうですか皆さん! かわいいかわいいかすみんの姿を動画にするという案は!」

 

「誰がお前メインで動画作るって言ったよ!? 違ぇからな!? 今回は違うんだぞ!?」

 

「もうっ、冗談ですよぉ〜! 同好会の皆さんがメインに決まってるじゃないですかぁ! いくらかすみんでもそこはちゃんとわかってますからねっ!」

 

「お前の場合冗談なのかどうかわかんねぇんだよ……まぁ良いや。皆、どうしたい?」

 

 かすみの冗談はとりあえずそこら辺に置いておくとして、皆の意見次第で動画撮影の有無が決まる。それなりに時間吸われるだろうし、そうなると普段の練習時間がバリっと削れちまう可能性があるしな。

 

「もちろん賛成です! フェスの宣伝の為なら、全力全開で頑張りますよ!」

 

「彼方ちゃんも賛成だよ〜。楽しそうだしねぇ〜」

 

 せつ菜さんや彼方さんだけじゃなく、他の皆も賛成の様子だった。決まりだな。やれることはどんどんやってこう。今のうちはこうやって意見ポンポン出し合う感じで全然良いな。後からやるべきことを『取捨選択』していけば良い。動画ね……俺はスクールアイドルではないから、皆を撮ることだけに集中するとしますかね。カメラマンだって立派な役割だし。

 

「おっけ。さんきゅー皆。じゃあどんな動画にするかだけど……」

 

 

 

 

 

 

 

 俺から議題を出して話し合うこと十数分。皆がたくさん意見出してくれるから進んではいるんだけど、どうにも『PVをどんな服装で撮るか』を未だに決めきれずに居た。『皆が各々持ってるライブ衣装を着て撮ればいいんじゃないか』って意見と、『あくまで告知だからライブ衣装は当日までのお楽しみにしたい』という意見の両方が出てて、服装だけが一向に決まらない。

 

「制服だとちょっと味気ないし、かと言って衣装着るのも何か違う気がするのよねぇ……」

 

 果林さんが神妙な表情で顎に手を当てながらそう口にする。皆も明確に考えが上手くまとまってないみたいで、無言でどうすべきかを考えていた。かくいう俺も案を色々出してはいるけどいまいち『これだ!』ってのが出てこない。あー……どうしたもんかねぇ……。

 

「はっ! 皆さん! 閃きましたよ!」

 

「せつ菜さん! なんだ!?」

 

「個人的に一度着てみたかったというのもありますが……このように『スーツ』で撮るというのはどうでしょう!?」

 

 せつ菜さんがスマホで例を提示しながら自信満々にそう言った。っていうかこれ……今やってるマフィア系アニメのキャラ達だよな? 今期覇権とれるって噂の有名な漫画原作のやつ。さすがせつ菜さん。相変わらず抜かりねぇな。

 

「スーツねぇ……皆のスーツ姿はけっこう新鮮に映るかもな。普段着ることない服だし」

 

「そうです! これならライブの内容を上手くぼかして、かっこいい動画が作れるはずです!」

 

「せつ菜さん、さてはこのアニメにガチガチに影響されてんな? せつ菜さんのやりたいことが手に取るようにわかるぜ」

 

「そっ、それは言わないでください〜! と、とにかくです! 制服でもライブ衣装でもない、れっきとした正装であるスーツを私は推します! 皆さん、いかがでしょう?」

 

 良い感じに理由付けてきたなこの人。せつ菜さんが言うようにスーツは所謂正装のうちに入る。仕事の場でも冠婚葬祭の場でもなんでもござれな最強の服装と言える。スーツでPVを撮ることによってファンの人達への誠意にも繋がってくるかもだし、採用してみんのもアリだな。せつ菜さんの魂胆は見え見えだけど。

 

「俺はせつ菜さんの意見に賛成かな。正装のスーツでファンに誠意を示しつつ、カッコ良くキメれて告知にもなるなら一石三鳥だ。俺的には良いんじゃねぇかなと思う」

 

「たまにはそういうのもアリかもね。良いわ。私も賛成」

 

「『カッコ良い』はちょっとかすみんの理想とは違いますが……つむぎ先輩がそう言うなら……今回はせつ菜先輩に譲りますっ! スーツ姿のかすみんでファンをメロメロにさせれば良いんですから!」

 

 ちゃっかりしてんなぁ……普段見せないスーツ姿で新たにファンを開拓していこうというなんとも強気な姿勢。……そうだな。俺の知ってるかすみはそういう奴だ。

 

「愛さんも賛成! スーツでもバッチリキメちゃうよー!」

 

「私もスーツに賛成です。演劇で着る機会がありそうですし、どんな感覚か知っておきたいです!」

 

「皆、見た感じ異論はなさそうだな。おっけ。じゃあPVの服装はスーツで決まりってことで良いな! 良かったなせつ菜さん、夢叶ったぞ」

 

「皆さん……ありがとうございます! 楽しみです!! 『俺が、このマフィアの継承者……』」

 

「おーいさすがに気が早ぇぞー!? やるって決まっただけだからなー!?」

 

 せつ菜さんがアニメキャラのセリフを言いながらそれらしいポーズを取り始めた。スーツに決まってよっぽど嬉しかったのか……気持ちはわからんでもない。俺も皆のスーツ姿をカメラに映せるのは楽しみだしな。どんな良いもんが撮れるのか、ワクワクしてきた! 

 

「……ん? せつ菜。さっきの画像もう1回見せてみて」

 

「あ、はい……こちらです!」

 

 果林さんが何かに気付き、せつ菜さんは果林さんに促されるままさっきのスマホ画面を見せた。

 

「やっぱり。これ、メンズスーツね。メンズだとネクタイも締めるし、ネクタイをそれぞれの色にするのも良いかもね」

 

「あー。そういうこともできちゃうか。すげぇなスーツ」

 

 果林さんの言葉に俺は素直に関心する。スーツって色々融通効かせられるもんな。色もけっこうあるし。せつ菜さんが見せたのは黒を基調としたスーツだけど。俺の言葉を聞いて、果林さんはじっと俺の方を見た。

 

「今思ったんだけど、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()じゃないかしら?」

 

「「「あっ」」」

 

 うん……? 何皆『あっ』って。何に気付いたんだよ一体。どゆこと? スーツを女性だけが着るのは不自然……? ……あっ。もしかして……そういうこと? いやいやいやいや。女性だけが着てても違和感ないって。ねぇ。別におかしい話じゃな……え? おい何で皆俺の方見んの? 何で謎にチームワーク発揮してんの? は? いや、ちょっと待ってくれよ!! 

 

「……お、俺はカメラマンだからなぁ〜! PVには出る予定ないなぁ! あっはははは……」

 

「つむぎさん」

 

 隣に居るせつ菜さんに一言名前を呼ばれ、ポンと肩に手を乗せられる。

 

「一緒にスーツ……着ましょう?」

 

「……え?」

 

 ……初めて。俺が初めてせつ菜さんの満面の笑みに、底知れぬ恐怖を覚えた瞬間であった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




予想外、だから面白い




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