虹×夢カラフルデイズ   作: 龍也/星河琉

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第45話 撮影会だよ! 全員集合!

「はぁぁぁぁ……よりによって何で俺も出なきゃならんのよ……」

 

 第2回スクールアイドルフェスティバルPV撮影当日。皆それぞれのパーソナルカラーのネクタイを締め、俺は黒のネクタイを結びながら思わず本音が漏れる。俺、別にステージに立つ訳じゃないのよ? 観客から認知されずにスクールアイドルを助ける役回りなのにこんな大々的に出ちまっても良いモンなんかねぇ……やべ、既に胃が痛ぇ。

 

「わぁっ! (つむ)ちゃん、よく似合ってる! かっこいいよ!」

 

「あら、やっぱり似合うじゃない。様になってるわよ」

 

「褒めても何も出てこねーぞー……歩夢達もよく似合ってるよ」

 

「ふふっ。ありがとう!」

 

 ネクタイを締め終えて皆と合流した瞬間、歩夢と果林さんからお褒めの言葉をいただいた。……まぁ、歩夢が似合ってるって言ってくれんなら悪い気はしねーな。俺達が着てるスーツは虹ヶ咲の服飾同好会が用意してくれた物で、俺のはわざわざ採寸までして新しく仕立てた、部員曰く『自信作』とのことだ。そこまでしてもらっちゃって良いのかと聞いたけど返ってくる言葉は軒並み『大丈夫! むしろやらせてください!』とめちゃくちゃ乗り気。モチベーションがホントに素晴らしいね。見習いたいですよお嬢さん方。試着の時に俺のスーツ姿の写真を撮りまくってた事以外は特に言いたいことは何も無い。基本は感謝してるよ。何せ俺含めて10人分のスーツとネクタイを短期間で用意したんだから。いやすげぇよ。すごすぎるんだよマジで。

 

 撮影の場所はもちろん虹ヶ咲の敷地内。そこには万が一スーツが破れたりした時に補修できるよう服飾同好会の部員が何人かと、ここでも頼れる助っ人達、映像研究部の面々も見えている。俺とせつ菜さんが彼等に協力を仰ぐとあっさり承諾。照明や小道具、カメラまで貸し出してくれて、PV撮影に全面的に協力する意向を示している。またしても助かる。宣伝目的なら、クオリティが良いに越したことはない。

 

 映像研究部は文字通りドラマとか映画とか、それらに付随する映像に関しての魅せ方を日頃研究してるからそれ系の知識は頭一つ抜けてる。そういう人達が演出周りのことにアドバイスとかくれるってんだから百人力だ。服飾同好会と同じく彼等もモチベーションはダンチ。この撮影に対してのやる気に溢れてる。ニジガクのスクールアイドル達を魅力的に映す為にも、お言葉に甘えて力を借りるとしますかね。

 

「では、撮影を始めましょうっ!!」

 

「「「おーっ!」」」

 

 せつ菜さんの号令で、これからPV撮影開始。各々ミーティングで決めた場所に移動し、映像研究部が用意したカメラを配置。なんか……思った以上に本格的。ガチじゃん。数秒〜数分の映像撮るだけなのに、映画1本撮るんじゃねぇかってレベルの機材達と部員のこだわり。すげぇ……もうカメラに映されんの嫌だとか言ってらんねぇな。こんだけしてもらってるんだ、それに応えなきゃ男じゃねぇだろ。俺はやるぞ。やってやれねぇこたぁねぇ! バッチリ決めてやんよォ!! 

 

 

 

 

 

「うぇぇぇぇい!」

 

「ごめんなさーい! カットですー!」

 

 カメラを回してる時に吹いたあまりの強風に俺はよろけ、おまけに髪も変なことになっちまった。う、嘘だろ……あれだけ撮ってんのにまだひとつもOK出てねぇぞ……ってか今日風強すぎじゃね!? かすみ達も何か苦戦してるっぽいし、皆のモチベは高くても撮影のコンディションがお世辞にもあまりよろしくない。

 

高階(たかしな)先輩、髪とスーツが! 今直しますね!」

 

「すみません……ありがとうございます……」

 

 服飾同好会と映像研究部の部員達が駆け寄って、乱れた髪を整えて、且つスーツの汚れを取ってくれた。しんど……かれこれ1時間は撮ってんぞ……終わる気配が全然見えねぇ。

 

「ここだとちょっと厳しそうですね……場所を移してみましょうか」

 

「ですね……そうしてくれるとありがたい。でも、俺1人の場面にこんだけ時間かけなくても良いのでは……?」

 

「いえっ! 高階先輩だってスクールアイドル同好会の一員なんですよ! カッコ良く、魅力的に撮りたいんです!」

 

「そうです! 先輩、スクールアイドルに負けないくらいビジュアル良いんですから、こだわらなきゃもったいないですよ!」

 

「そ、そうですか……?」

 

 俺自分でそう思ったことはないんだけど……部員達が言うなら、お世辞でもありがたく受け取っておこう。撮影に対してモチベ高いのは良いことだし、俺も頑張らなくちゃな。弱気になってる暇はねぇ。できる限りのことをやるんだ。この人達の言う通り、俺も同好会の一員だからな。俄然やる気が出てきたぞ。NG連発しようが、強い風が吹こうが、へばってられっか。

 

「高階先輩が居れば良いPVになります! ってか、します! 私達が全力で協力するので!」

 

「……ありがとうございます。皆さんのお陰で元気出ました。俺、やりますよ。同好会の為ですから。必要とされてるなら、俺は全力でそれに応えるだけです。最後の最後まで……頑張ります!」

 

「その意気です先輩! さぁ、撮影を再開しましょう!」

 

 よォし。遠くの方で皆も頑張ってる。だったら俺も負けねぇくらい全力でやりゃ良い。いっちょ、気張っていこーぜェ!! 

 

 

 

 

 

 

 

「皆さん、お疲れ様でした! これにて撮影終了です!」

 

「や、やっと終わった……」

 

 皆で合流し、映像研究部部員から撮影終了の旨を告げられた。安堵と疲れが一気に押し寄せ、スーツ着てるにも関わらず俺は地面に寝転がった。

 

「皆、おつかれさん……良いの、できそうだな」

 

「もちろんですっ! かすみんのカッコいいところ、バッチリ映ってましたから! つむぎ先輩もすっごくカッコよかったですよぉ〜?」

 

「そりゃどうも。頑張った甲斐があるってもんだ……」

 

 当時予定してた撮影時間よりだいぶ延長しちまったけど、その分良い撮影が出来たと皆喜んでる。でもしんどかった。けっこうしんどかった。もっかい言うよ? しんどかった。これに尽きる。あの場面だけで何回撮り直ししたことか……映像1本作るのも決して楽じゃねぇんだなって身に染みてわかった。

 

 でもまぁ……皆こうして笑顔で撮影終われたから、良しとしますかね。皆の笑った顔見てるとこっちまで気ぃ抜けてきたわ……思わず俺も笑っちまったその時、カメラのシャッター音が聞こえた。

 

「んあ?」

 

「あ、ごめんなさい。高階先輩、すごく良い表情してたのでつい……」

 

「おーい!? 今日はもう撮影はごめんですぜ旦那ァ!! 撮らなくて良いですよ!?」

 

「だ、だってほら! こんなに素敵な笑顔だったので!!」

 

 部員にカメラの内側を見せられて、俺はたった今撮られた自分の顔をまじまじと見る。……なるほどね。

 

「ま、まぁ……悪くないんじゃないすかね」

 

「でしょう? なので、スクールアイドル同好会の皆様にもお見せしますね!」

 

「えッ! あっちょっ……それはやめてぇぇぇぇぇぇっ!!」

 

 疲労困憊だっつーのに、今日も今日とて叫ばされた。勘弁してくれ。あとで写真消しとくように言っておくかぁ……最後の最後まで平和に終わらしてくれないのねぇこの人達……ま、今日くらいは……良いってことにしておくか。なんやかんや言っても、皆楽しそうにしてっからな。俺的にはそれだけで万々歳だ。でも撮影はお腹いっぱいだからしばらくは勘弁しておくんなまし……。

 

 

 

 




ピントを合わせて、夢を合わせて




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