虹×夢カラフルデイズ   作: 龍也/星河琉

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第5話 必要不可欠! 愛 need you!

 

 

 

「ん……誰だよこんな朝っぱらから……」

 

 朝日がうっすら昇りかけている早朝、枕元で鳴り響く着信音で目が覚めた。今日は土曜日。何の予定も入ってなかったから久しぶりに惰眠を貪ろうと考えていたというのに。

 

 寝起きであまり頭が働いていないまま、目を擦りながら電話の応答ボタンを押した。

 

「はいもしもし」

 

『もしもーし! つむつむ? 愛さんだよっ!』

 

「宮下ぁ……今何時だと思ってんだよ……まだ朝の6時半だぞ……」

 

『あっ、もしかして寝てた感じ?』

 

「ご名答」

 

『ごめ〜ん! つむつむ普段早起きって言ってたから……』

 

「平日か予定ある時だけな……今日は昼まで寝る予定だったんだけど……まぁいいや。んで、要件は?」

 

 宮下の元気な声で完全に目が覚めてしまい、二度寝できる気がしなかったので惰眠は諦めた。にしても、宮下から電話来るなんて珍しいな……新しく編み出したダジャレとか言うだけだったら泣かす。

 

『今からさ、愛さんのランニングに付き合ってもらえない? たまには誰かと走ってみたいなーって!』

 

「……今から?」

 

『今から! もうそろそろつむつむの家の前通るし! 一緒に走ろーよ!』

 

 宮下の実家から俺ん家って割と距離あるはずなんだけどなぁ……相変わらずの体力オバケ。しゃあない。同好会メンバーの頼みなら断る理由ないし、ちょっくら付き合うか。

 

「わかった。準備するから、家の前着いたら連絡おなしゃす」

 

『マジ!? ありがとー! んじゃまたあとでねー!』

 

「おーう」

 

 幸いちゃんとした要件だったのでホッと胸を撫で下ろしながら電話を切る。急いで着替えと歯磨き、洗顔を済ませて準備を整え、宮下から到着の通知が来てからすぐに家を出た。

 

「おはよーつむつむ!」

 

「おはよ。今日も良い天気……ではねぇな太陽昇ってすらいなかったわ」

 

「今日は晴れ予報だから良い天気だよ! さ、走ろっか!」

 

「よっしゃ」

 

 軽く準備運動をした後、俺は宮下と足並み揃えてランニングを始めた。早朝の冷たい空気が意外と心地良く、体が徐々に熱を帯びるのを感じる。

 

「ありがとねーつむつむ。ランニング付き合ってくれて!」

 

「良いさ。朝にランニングは今までやったことなかったし、良い機会だわ。こうして継続的に走ってれば、中須をとっ捕まえやすくなるだろうしな」

 

「アハハっ! いっつもかすみん捕まえるの苦労してるよねー! あれ手加減してる訳じゃなかったのー?」

 

「全力だわ! 手加減だったらあんな息切れしてねぇよ!!」

 

「マ? チョーウケる!! でも、もしつむつむがかすみんより足早くなったら追いかけっこにならないじゃん? それはそれでなんかヤだなー」

 

「お前、もしかしてアレ見せ物か何かだと思ってる? 違ぇからな?」

 

「だって見てて面白いんだもんー! かすみんのイタズラに引っかかるくらい純粋なつむつむ、愛さん好きだよ!」

 

「褒めてんの? disってんの?」

 

「もう! 褒めてるよ!」

 

 軽口を言い合いながら宮下がいつも通ってるであろうルートを共に走る。まさか俺が宮下みたいな陽のオーラマシマシな人間と関わることになるなんてなぁ。人生何が起きるかわからねぇな。もし同好会に入ってなかったら絶対出会う筈なかったもん。

 

「宮下って、友達多いよな」

 

「多いよー? それがどしたー?」

 

「いや、それならもっと他の人誘ったりとかしねぇのかなと」

 

「んー、皆大抵起きてないことが多いんだよね。だからこうして乗ってくれたのはつむつむが初めてだよ! チョー嬉しかった!」

 

「マジかよ……まぁ、力になりたいっていうか、俺にできることって少ないからさ。ランニングくらい付き合わなきゃなって思って」

 

「やっぱつむつむのそーゆーとこに助けられてる! りなりーのボード作るってなった時もすごい手伝ってくれてさ、りなりー喜んでたよー?」

 

「そりゃ、俺が1年生ズの中で手放しで尊敬できる奴筆頭が天王寺だからな。手伝って当然よ」

 

 もちろん中須、桜坂も尊敬できるんだけど、天王寺に関してはレベルが違いすぎるんだよな。色んな技術が高校生離れしてる。どこでそんな知識身に付けたんだよってモンもあるしな。末恐ろしいわ。

 

「これだけ色んなこと手伝えるんなら、他の部活行ってもやっていけると思うよ! 普段から走ってるし、陸上部とか行けば大活躍でしょ!」

 

「買い被りすぎだ。それに、スクールアイドル同好会が1番性に合ってる気がするし。何か1つのものを極めるのは苦手なんでね。それなりにできることが何個かあれば充分よ」

 

 俺が前に出て何かをするより、手伝ったり補佐やったりしてる方がずっと向いてる。努力が嫌いって訳じゃねぇけど、自分がメインとして前に出るとなると腰が引けてしまう。だから……俺はこうしてここにいる。誰かの力になれるように。

 

「……そっか。すごい心強いよ! つむつむもさ、何かあったらいつでも言いなよ? 愛さんが力になるからさ!」

 

「宮下……」

 

「困った時はお互い様! でしょ?」

 

 そう言って宮下は太陽のような笑顔を見せる。見た目はガチガチのギャルなくせして、人情に厚いんだよな。だから友達が多い。『人は見かけによらない』を具現化したようなすげぇ奴だ。

 

「ありがとな、宮下」

 

「えへへーどーいたしましてっ!」

 

 

 

 

 ひとまず近場を一周したところで朝日が昇り、宮下が言った通り良い天気になった。そしてめっちゃ疲れた。俺がヒーヒー言ってる中宮下はケロっとしてるので改めて彼女の体力オバケっぷりが分かった。

 

「やー、つむつむと一緒だったからかな、すごい楽しかった! 心がランランしてる! Run(ラン)だけに! アハハハハッ!!」

 

「テンション高ぇなお前……はっ……よく……そんな……はぁっ……平気でいられるよな……」

 

「愛さんまだ走り足りないくらいだよ! つむつむもテンション上げてさ! もう2周くらい行っとこうよ!」

 

「はい!? いや……俺もう……」

 

「いいからいいから! さ、レッツらゴー!」

 

「勘弁してくれぇぇぇぇぇぇぇっ!!」

 

 

 結局昼の12時まで俺は宮下のランニングに付き合い、肺がぶっ壊れそうになるくらい走った。ってか走らされた。家に帰った後、足が痛すぎてしばらく歩けなくなったのは言うまでもない。




未知なる道を、無我夢中に




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