夢女子が性転換して推しを救う話 作:ギャングスタ
その熱に侵されて書き上げました。
「オンモフ」読んでるとプロットと構成力ってめっちゃ大事だなって勉強になります…。
僕の修行は基本的に稲荷神社で行われる。
京都の街中は魑魅魍魎でいっぱいだし、そもそも両親が巡回している可能性が高い。その日ごとの巡回場所なんて把握していないから鉢合わせする可能性が無きにしも非ず。魑魅魍魎ばっかりで集中できないだろうし。
そんな中、稲荷神社には魑魅魍魎がほぼいない。ほぼというのは少しはいるからだ。神様がいるから魑魅魍魎も下手に入り込めないのか、それともこの稲荷神社には魑魅魍魎を入れないような方陣が敷かれているのか。
多分後者だろう。重要な施設には方陣が敷かれているって話だし。そんな方陣は京都市にも特大のものが敷かれているけど、それでも魑魅魍魎はたくさん出るし、百体以上の大災害、百鬼夜行も時たま起こる。
方陣が絶対じゃないということもそうだけど、これは魑魅魍魎のメカニズムに問題がある。
魑魅魍魎は人の怨念が元になっている。そういう怨念が霊気を受けて実体化するとかなんとか。つまり人間が生きていて、不平不満を持って生きていたらいつまでも消えないわけで。
京都と東京は特に魑魅魍魎の出現率が酷いらしい。その理由も明かされればわかる。東京は日本の首都として人口は最大だし、この世界の京都は第二首都のようなものになっているために「私」が生きていた京都よりも発展しているし人口も多い。
あと京都には色々な流れの元となる龍脈が日本で唯一、二つある場所だというのも関連しているのだとか。
それでもって、魑魅魍魎よりも強い妖怪のような、妖という存在も京都には多いんだとか。
要するに、ここはやばい場所ってこと。そんなところで安全に修行するなら原作に出ていたような桑名家のようにビルのフロアを丸々借り上げることだったり、こういう神様の加護があるだろう場所しかない。
僕は姫さんに守られているために、安全に修行ができるわけだ。
いつも通り簡易式神に乗って稲荷神社にたどり着いて、姫さんを探そうとした矢先。
違う人影があった。これは隠れないとと思ったけど、その女性はすぐにこちらを見付ける。
どうなってるのかな!?彼女の眼は!
「……子供?」
バレたあ!よりにもよって後の五神、しかもその五神の中で最強と呼ばれる陰陽師である、未来の玄武となる大西マユに!
五神とは日本で最強と呼ばれる五人の陰陽師の総称で、朱雀・青竜・白虎・玄武・麒麟の五体の式神のいづれかと契約した本物の陰陽師。その戦闘能力は法師や姫さんを除くと本当にトップだ。
今が原作の九年前だから、目の前のマユさんは十四歳のはず。JCマユさん可愛いな!茶色のボブカットに、空色に変色した瞳。どっちも地の色何だろうなあ。この世界、生まれつき霊気を多く持っている子は髪や瞳が変色する。僕も黒髪黒目じゃなく、どちらも茶色だ。地毛なのに明るいんだよね。
現実逃避しつつなんでここにって思ったけど、それはいるよね!ここ実家だもん!
この人実力もそうだけど、眼がすごく良い。神の眼とも呼ばれている。目と眼は違うようで、眼の方が上位互換。未来視とか千里眼ができるのが眼らしい。そんな神の眼を持った彼女から逃げようなんて無理に決まっていた。感覚が鋭すぎるよ!
さて、一応鳥居の陰に隠れてるけどどうしよう。こんなところに来ている六歳児。夜は魑魅魍魎が溢れていて危険がいっぱい。マユさんは正義感が強い人だ。絶対家に帰される。
マユさんが絶対近付いて来てるよ……!本当にどうしよう!?
『マーユーちゃん!夜にどうしたの?』
『いけないんだー。夜に出歩いてー』
「え?あれ?コトちゃんとミチちゃん?」
コトちゃんミチちゃん!?二人がどこからか出て来て、マユさんの周りを回り始めた。
あれ?マユさんってこの時から二人が神の遣いって知ってたっけ……?
「二人の方が問題ですよ!ここは魑魅魍魎が少ないですけど、危険なことには変わりないんですから!」
『マユちゃんも出歩いてるよー?』
『じゃあ送ってって?』
「え?あ、はい……。えっと、二人の家ってどこです……?」
『『こっちこっちー!』』
二人がマユさんを引っ張って行ってしまう。……助かったのかな。
「全く、気を抜きすぎや」
「ひゃい!?」
真後ろから声がしたと思ったら姫さんが。足音もせずに後ろに現れるなんて。……確かこの人、瞬間移動みたいなことできたっけ。それならまあ。
「本当に一度は二十過ぎまで生きたん?隠れて行動するなら隠形は必須やん」
「あはは……。僕、前の世界で陰陽術なんて使えませんでしたから」
「なら今日から隠形の修行も多めにしよか。土御門本家に潜入するなら必要な技術やろ」
「お手柔らかに……。それより、マユさんは良いんですか?」
「マユ?さっきの女の子?あの子ならお二方が適当に巻いてくれるやろ。それにここら一帯に隠蔽の方陣を組んだから、いくらあの子がお二方の姿を見られても見付からへんよ」
マユさんのこと知らないのかあ。原作でも玄武に就任してからしばらくして存在を認めたんだっけ?今の彼女もだいぶ霊気多かったけど、それだけなんだろうな。あの人が後の五神最強ですって伝えたら驚くだろうか。
とにかく、彼女の実家であるここに忍び込んでるんだからこういう事態は想定しておくべきだった。それにバレないように隠形は習得しておいた方がいいというのも頷ける。
「時間も限られてることやし、どんどんスパルタにしていこ。それで、契約したい式神は決まった?」
「はい。やっぱり狐にしようと思います。優秀な生き物ですし」
狐は金の属性の術が使えたり、火の属性の狐火が使えるという優秀な式神だ。この二属性を持っている生き物はとても少なく、しかもこの世界で狐は冷遇されているために霊狐はたくさんいる。降霊で呼び出さなくてもそこら中にいるため、契約もしやすいはず。
しかもここは狐のメッカたる稲荷神社。宇迦様にも会ったことだし、警戒はされないはず。
「狐が襲って来たら土御門も驚くやろなあ。それじゃあ狐と契約して、基礎の基礎を徹底的にもう一度叩き込もか」
「ヒィ」
姫さんはなまじ実力があり、僕の本当の精神年齢を知っているがために、かなりスパルタだ。そうでもしないと祐介を助けられないって言われたら何でもやるけど。
基礎とは言うけど、この人たちが教えてくれることが基礎なわけがない。陰陽術の真実、深淵と呼ばれるような知識と技術ばかりだ。しかも突貫工事であるため、実践向きなことばかり。
そしてこの前法師に言われてしまったが。僕の実力は姫さんに遠く及ばないらしい。
おい、神様。転生特典の割にショボいな?
姫さんに勝てる陰陽師って金蘭様と法師、それに先代麒麟だけだからそんなトップ層に勝てる実力寄越せとは言わないけどさ。これで土御門晴道に勝てるんだろうか。あの人一応九段だし、馬鹿でかい大百足を使役してるんだよね。
その大百足出されたら、僕じゃ太刀打ちできないんだよな。
ほんと、法師に助力を頼んで良かった。それだけで難易度がベリーハードからノーマルくらいには落ちてるはず。
この人たちに頼ってばかりじゃダメだけどね。
そして今夜。本当にスパルタで日中は起きられなかった。休みで良かったあ。本当だったら小学校に行かなくちゃいけなかったし。
なお、このスパルタっぷりは次の日が平日だろうが関係なしに続いた。そのせいで学校を休んだり、学校の授業中に寝まくる問題児になった。くぅ、体力が欲しい……!
というか!夜修行して朝の八時から小学校なんてスケジュール的に厳しいんだって!どんなハードスケジュールだ!
これくらいしないと祐介助けられない?これくらいの悪評受け入れろ?そうですね、法師様……。僕は頑張ります。学校なんて二の次だ……!
そうして僕は両親に怒られながらも修行を続けていく。ある時期から親が休みの日は姫さんに幻術をかけてもらって親には眠ってもらって修行に打ち込むようになった。明らかに睡眠が足りない子供だからそれもしょうがない。
お父さん、お母さんごめんなさい。祐介を助けたらめいいっぱい恩返しするから、それで許してください。
あと数年の辛抱なので。ほんと。
原作でやっぱり祐介は救いがないようです……。
二次創作で救うしかねえ!