「ふん、ふふ〜ん♪」
今日は一週間ちゃんと学校に来たご褒美に、杏とデートに行った。デートっても別にただの遊びに行っただけだけど。途中でこはねちゃんとも会って、三人で遊んでたし。
こはねちゃん、可愛かったなぁ。今度会ったらもっといろんな服着せてあげなきゃ。あんないい素材、ほっとけないもんね。
あ、あそこにいるのって……やっぱり絵名だ。
「やっほー、絵……な……」
絵名が知らない女の子と一緒にいた。
幸いボクの声は絵名には届いていなかったようで、彼女がおしゃべりを続けるのを見ながら足早に家に帰った。今はベッドでゴロゴロ転がりながら、あのときの絵名の顔をずっと思い返している。
もちろん絵名にもプライベートがあって、どこで誰と何をしてるかなんて本人の勝手でボクにそれを伝えておく理由なんてどこにもない。一緒にいた、ピンクの髪の女の子に向けていた笑顔がボクに向けられたことがなかったことも、ボクは普段から絵名のことを揶揄っているのだから仕方ないことのはずだ。
でもなんだか心の中がもやもやして、その理由がわからない。
マンガなんかじゃこういう表現は恋愛モノで見るけど、
「……ボク、絵名のこと、好き……なのかな……」
口に出した瞬間顔中が沸騰したように熱くなる。
待って、なんでそんなに発想が飛んだわけ!? 自分の頭の中のことが理解できない。
もうちょっとなんか普通のこととかあるでしょ………………
考えても思いつかなかった。
あれ? これ、もしかして本当に好きなの?
自分でもよくわかんなくなってきた。こういう時は最終手段を取るに限る。
「寝よう」
ボクは布団をかぶって静かに目蓋を閉じた。
『ふ〜、とりあえずこんなもんかな。みんな一回送るから、見てもらってもいい?』
『わかった、ちょっと待って。……うん、いいと思う。えななんらしくて、私は好き』
『ありがと、雪は?』
『…………よくわからないけど、いいと思う』
心の中でガッツポーズ
『じゃあAmiaはどう?』
……………………
『Amia?』
『そういえば、今日はまだAmia見てないね』
『まだ、寝てるのかな』
『何かで疲れてるのかも。今日は急ぎの作業もないし、Amiaの進捗も一日くらいなら休んでも問題なかったはずだし、寝かせてあげようか』
『あ、そうそう。今日友達と遊びに行ってたんだけど、待ち合わせ中にAmia見かけてさ。向こうも友達と遊んでたみたいなんだけど、すごいはしゃいでたのよね。それではしゃぎすぎたんじゃない?』
スマホに設定された、無機質な目覚ましの音で目が覚める。
朝は目覚ましかけてないし普段かけてるのはナイトコードの時間くらい…………あれ?
寝ぼけ眼でスマホの画面を見た瞬間一気に脳が覚醒する。
「やばっ、集合時間すぎてる!」
どうやら思ったよりも眠りは深かったらしい。急いで準備を整えてマイクの電源を入れる。
『遅れちゃった! みんなごめ~ん!』
『あ、来た』
『遅い! 何してたのよ。まさか寝てたとか言わないでしょうね』
『あはは~ちょっといろいろ考え事してたらいつの間にか……ね?』
『おはようAmia、えななんがさみしがってたよ』
『ちょっと、K?』
みんなと話しながら、少し思う。
ボクはニーゴのみんなと、この関係を続けていたい。
でも、絵名のことだけはちょっぴり独り占めしたくて。
だって、この絵名の怒ったようなあきれたような表情は、あの子はきっと知らないだろうから。
その