前世さん 死にかけるは幼女に憑りつかれるは化け物に襲われるは散々。存在X(ターニャ)は敵。はっきりわかんだね
作中のFPSは架空の何か。つっこまないで
視界がぐるりぐるりと回る。360°アクロバッド飛行だ。高高度からのダイブ。画面端に表示された高度数値は徐々に0へ近づき地面が見えてきた。着地失敗のデスペナは無し。未だ空中にて、わたしは手に持ったライフルの残弾を気にせず打ち続けている。そうして弾を消費するごとにHitの表示が画面に踊る。地面に着地するコンマ数秒前にYou winの文字。勝利の余韻に浸るわけでなく口から洩れるは溜息ひとつ。
ファーストパーソン・シューティングゲーム
通称FPS。シューティングゲームの一種で、操作するキャラクターの本人視点でゲーム中の世界・空間を任意で移動できる。今回は輸送機からダイブして地上に着いてから行動開始だったはず。なぜまだ降下の段階で勝利確定画面が表示されているんだ。おまえはTASかバグか?ソフトの使用ありで通報されて垢BANされるのは勘弁してほしい。
若干3D酔いをした私と違ってこの化け物ケロっとしている。存在Xおまえ空間認識どうなっている?
「こんなものだったか?随分とぬるい」
「PC画面に向かってイキってる幼女」
こちらをじろりと睨みつける幼女の幻影が頭を過る。上記の言葉双方が私の口から出たが他人から見られたら中二病か狂人かと思われると頭が痛い。
どうしてこうなった。来世を名乗る軍服コスプレ幼女が私の元に来たのは先日だ。
そうこうあって部屋に甚大な被害をもたらし私の身体に居候している。幼女がブチかました銃痕はもうどうにもできないので通販で購入した補修キットを使用し家具を置いてごまかしている。
魔法で治せないのかと説いた私にそんな便利なものはないと言い切った。幻影でごまかすくらいならできるが効果は永続的でないと。おまえ自分がやったことの責任を持てと親に教えられなかったのか!
彼女は転生したら孤児だったと言うが元が私なら両親そろっているだろう。屁理屈だ。
私はパソコンの電源を切り、立ち上がった。チェストの上に置いてあるM9ベレッタを手に取る。
「それはもう使えんぞ。他の物を用意しておけ」
ようく見ると銃口からグリップまで罅がいくつか入っている。
「なんだこれは」
「干渉術式に耐えれず破損した。元より魔導師用に調整された銃器でもなければ破壊は必須。魔力、術式さえ流せれば形にこだわることはないがな。対人であればスコップ(幼女の身の丈サイズ)で十分だ。」
スコップをもって一般人には何も見えない空間に振るう行動する私を想像する。なるほど狂人だ。
「却下だ」
「スコップ以外ならボルトアクションライフルは使い慣れている。イギリス製かスイス製の骨董品ならなおよし。しかしサブマシンガンも捨てがたい。いや、もし手に入るなら最新式のアサルトライフも使ってみたいぞ」
人の話を聞かないな。存在X。
「干渉術式というのは?あの化け物はなんだ?」
しかし無視された。以降何も反応しなかったので私はスマホでアサルトライフル型のエアガンとサバゲ用品一式をポチってふて寝した。
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夢を見る
足の下に地面はない。空中を高速で移動している。周りの喧騒。怒声と銃声。エンジンの爆音。
私にあるのは焦燥感と高揚感。 硝煙とエンジンの焦げた臭いはリアルだ。私は何か叫んでいる
起きて会社へ行かなれば
スコップで遺体を埋めた
手に持ったスコップに魔力を込めてやれば土はプリンのように掘れるし敵の頭もゼリーのように柔らかい。ここは戦場。ライン川流域に沿った地域だ。この第一線を突破されると敗戦が濃厚となる。戦況を維持されるべく兵士は次々に投入され地面は常に人間の血肉で乾くことがなく、地が飲み込めない水分で湿って常に血と泥と硝煙と腐肉がごちゃまぜになった悪臭がする。
今日は通販で買ったサバゲーキットとアサルトライフル(模造)が届いた
存在Xは一瞥してアメリカならホームセンターでライフルでもショットガンでも買えるのにな。と言い放った。調べたたら価格帯は159ドル〜474ドル(約1万7000円〜5万円)だった
無視した。
穴を掘る
自分が入る穴を掘る
今日もまた夢を見る
起きて会社へ行かなれば
通勤中に化け物に追われたので携帯していたベレッタで撃退した。ベレッタは完全に破壊された。
悪夢で目が覚める
わたしが日増しに憔悴していく様を鏡で実感する
どうにかしなくては
この悪魔と仮定する存在xをわたしから追い出さなくてはならない
絶対にだ
血と泥と硝煙と味方と敵の人間だったものが積み重り大地を作っている
地獄かここは?・・・いや戦場だ。ここはライン。戦争の最前線。
夜間に目が覚める
限界だ。私の安寧を取り戻すのだ
この存在xを切り刻んで豚の餌にしなくては
死体が人間もどきの姿に変異し起き上がる。それを私が撃ち抜いて倒す。幼女が戦争で殺した人間が私を襲ってくる。目が覚めていても幻覚が今日も私を追い詰める
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誰かに頼るということをしてこなかった。
頼るとは貸しだ。弱さを見せるということだ。貸しを清算するのには借りた分に利息がかかる。
支払いは金か時間かそれ以外のものか。全く人と関わるのは煩わしい。
しかしてことは急務。日常生活さえ覚束なくなってきた。それもこれも、アレが戦場で恨まれ呪われた分が私に還ってきたのだ。ああ存在Xの抹殺に取り掛からなくては。
あなたの周りの超現象、呪霊の仕業かも?そんなときにご相談くださいTEL←
冗談のような怪奇現象は現代日本に存在していたようだ。今まで見えていた世界はなんだったんだ。私は検索して見つけたこの、ふざけた名称の怪しすぎるサイトで知り合った補助監督と名乗る人間に指定された喫茶店で会うことになった。
「ご連絡いただいた天成さんでしょうか?」
「はい、補助監督の方でしょうか?」
「ええ、わたくし宮地と申します。こういうものです」
どうも初めましてと席について名刺を交換しあう。
天成とはもちろん偽名だ。昨日適当にパソコンで架空の名刺を作っておいた。怪しすぎる人間に個人情報を渡せるはずがない
「お電話では何かお困りのようでしたが、具体的にどのような内容でしょうか?」
「ええ先日事故で死にかけましてそれ以降化け物のようなものが見えるようになり非常に不便で困っています」
私に攻撃手段があることを伏せて現状を伝える。
なるほどなるほど大変な目に遭われましたね。怖かったでしょう。作り笑顔が厚かましい。
補助監督と名乗った宮地はじっくり間を空けて口を開いた。
わたくしでは判断できませんので呪術師に対応してもらうことになります。ご予算はこちらとこちらで、天成さんはお困りのようですからこちらのプランはいかがでしょうか?と薄っぺらな広告に似合わない目をむくような金額が提示されている。
相談3~5万 成功報酬200万~
暴利するぎる。弁護士でも相談無料がデフォルトの時代にこの強気価格。衝動的に料金表を破り捨てようかと思ったがまだだ。落ち着け。最低限の情報だけ引き出してからでも遅くない。宮地は張り付けたような笑顔で捲し立てていく。
「現状視える範囲で脅威は迫っていませんので天成さんの優先順位は相当低く、当分順番は回ってきません。呪霊を祓えるような呪術師は数もいないし、彼らは忙しい。」
「失礼、呪霊とは私に憑いているものの名称でしょうか?それと呪術師とは一体どういった方でしょう?」
「呪霊はそうですね。天成さんに憑りついているかは私には見えませんが話をお聞きしたところ襲われているものの正体はそれでしょう。呪術師は大雑把に言えば祓い屋のようなものです」
専門用語で煙に巻くつもりだろうか?判断できんな。
「天成さん、呪霊に狙われても一般人は対処できません。放っておけばあなたは死にます。最近の事故も呪霊の仕業だったかもしれません。すぐに対処するべきです。特別に特急料金を別途ご用意頂けましたらすぐ専門家を紹介しますよ」
「なるほど。紹介料ということでしょうか」
宮地の笑顔が深くなった。私は考えるそぶりをして鞄から封筒を差し出す。中身は金だ。こいう交渉が必要かどうか判断できなかったが一応、用意しておいた。
「心づけ程度ですがこちらを」
宮地は受け取って中身を確認する。
「ええ、いいですね。いいでしょう!すぐ見積もりに入りましょう!まず相談料ですが・・・」
カシャリと写真を撮った音が響く。
「みーちゃった!みやちーアウトー!!」
目隠しをした男は片手にタピオカを持ち、片手でスマホのカメラを向けてこちらを見ている。なんだこいつ。
「規定外の報酬受け取ったらだめじゃんみやちー」
「ご、五条さん・・なんでここに」
「タピオカ飲みにきただけだよ!あっちの屋台で並んでたら補助監督が一般人と会ってたから見てたんだ。それでお金が出てきたからヤバい取引でもしてるのかと思ってたけど」
宮地は先ほどの態度が嘘のように縮こまっている。
「なんてねウッソー!実は補助監督が相談者から法外な金額報酬巻き上げてるってタレコミがあってさ。そういうの僕はいけないと思うな。今いる上の連中の腐った奴らと同じだぜ?今後僕らが作る呪術師業界はクリーンな組織運営目指していく予定だし!」
なんだこいつ。宮地の上司のようだがなぜ目隠し?巫山戯ているのか。と思ってたらこちらを向いた
「ふーん。自分を呪ってもいいことないよおじさん」
おじ、確かに私は30代だが見ず知らずの人間におじさんと呼ばれるような外見ではないはずだ。これだから常識のない今の若者は。
「ポケットに何か持ってるね。みせて」
持っている。往来で襲われた場合の保険として今日は護身用に1丁用意してきた。
「必要性を感じない。わたしに命令するな」
「警察呼ぼうか」
それを言ったら向こうのほうが不利になるのではないかと思ったが目隠しを通してでも彼の圧は強かった。これ以上の問答は面倒だったので取り出した拳銃を机に置いた。日本の警察官用拳銃として調達が開始された成人男性の手の平サイズの回転式拳銃。ニューナンブM60
「もちろん本物ではありません。俗にいうエアガンです。弾を空圧で射出するチャチなおもちゃですよ」
人間に当たっても精々痣を作るくらいだ。所持は問題ない。
へーと男はおもむろに手に取り、それを米神に当ててトリガーを引いた。
「馬鹿か貴様!!」
とっさに腕を掴んで、銃口を天井に向けようとした。だが、掴めなかった。これは触れられない?腕の周りに空気の膜があるようだ。銃は安全装置が掛かっていたようで弾は出なかった。男は何度かトリガーを引いてみたが動かないようで机に戻した。私は素早く内ポケットに仕舞う。
「これって何かあるの」
「いえ、せいぜい打身ができる程度の空気銃です」
「なんで焦ったの」
「室内で人に向けて使うようなものではありませんから」
ニューナンブM60のシリンダーへは5連発とも弾を装填してきた。ただし1発だけは術式弾が入っている。何度か失敗した中での唯一の成功術式。試射してはいないが、これは人間の頭くらい爆散させる威力がある。
「それ貰っていい?」
ポケットのものを指さして言い放った。なんだこいつ。
「駄目です」
「3万で売ってくれない?」
3まんで撃ってくれない?鵜ってくれない?売ってくれない?ん?何を言った?
どうかな?机に手をつけ体重を乗せて前かがみにこちらを見てくる。ガンつけられているのか?
「30万でどうかな?」
まてまてまて。
「足りない?300万払うよ」
おいおい。定価3800円+税のおもちゃが300万だと!?
「・・・私が作っていただいたものですので売れません」
「500万でもダメ?」
正直ぐらつくような金額だがこれが存在Xの作り出したものだと後々私に不利益が返ってくる可能性が高い。
「何かあると言っているようなものですが」
「じゃあ視るだけならいい?」
「・・・見るだけでしたら」
どうぞと手渡す。ちゃんと見るだけだろうか。また頭にブチこんだりしないだろうか。大丈夫か?
「視たことないなぁ」
興味深そうにいじっていた。おいおい見るだけじゃないのか。数十秒間、一通り触って満足したのか、彼は机の上に戻した。
「はい返すね」
うーんと少し悩んでからまた突拍子もないことを言ってきた。行動が読めない。
「そうだ!視せてもらったお礼だけど何か欲しいものある?」
「世界平和」
「?」
「冗談だ」
「最新式のアサルトライフとその弾」
「そう」
サラサラとナプキンに書き込んでいく
「ここ行ってみて」
とある場所の住所と連絡先が適当な字で書かれていた。
「それじゃ!」
そして宮地を引きずって店を出て行った。
私は狐にでも化かされたかのような気分だった。
結局詳しい話を聞けなかったし休日の半分が無駄になった。それもこれも全て存在Xのせいだ。
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宮地は違反者の容疑ありだった。特殊詐欺に近い、ネットで紹介された相談者に法外な値段を伝えて契約成立時にマージンを何割かもらうような。面倒だったけどタピオカ飲みたかったし現行犯でちょうどよかったので張り込みしたらすぐに尻尾を出した。
「みやちー処分されるのと心入れ替えて働くかどうする?」
「あの五条さん、わたくしちょっとどうかしてたんです。魔が差したというか」
「ふーん、じゃあとりあえずピエール・エルメのマカロン買ってきて。今から。」
「今からですか!?」
「目には目を。賄賂には賄賂をね」
「健全な組織運営どこいったんですか!」
「それはそれ、これはこれ!今は甘いもの!!」
それにしても面白いものが視れた。
「五条さんあのおもちゃ何だったんですか?」
「呪具だよ。最低でも2級、場合によっては準1級の呪いも祓える可能性がある」
使い切りだが視たところ2級くらいなら軽く塵になる威力がある。
それを物の価値を知っていれば怒るような値段で交渉した
あれは素人だね
彼は視えてはいるが祓えない。ならば近い人間が呪詛師の可能性がある
六眼センサー
なんや見た目おっさんやけど中身幼女か、、危険性無いわなヨシ!
懐になんや見たことない術式あるで注意せい!危ないで!!
六眼ってけっこうガバですよね