幼くして王族が王座を継ぐことはままある事ではあるが、彼女に関しては異例と言えるだろう。
妖精王女と呼ばれる程、かわいらしさを滲ませていた一桁台の年齢の時に王座に就くことになった。
詳しくは省くが、本人からすれば「押し付けられた」の一言で済んでしまう事柄だった。
というか、「周りが優秀で、しかもそこまで野望とか野心もってなくて、周辺国もこっちに干渉してる暇がない状態だったからよかったけど、普通国家運営任せるとか、ヤベー奴らだよ、両親含めて」とご成長された王女が言ったとか言わないとか。
ソレに対して「王女様ご成長なさって、私は嬉しゅうございます」と感涙する宰相がいたとかいないとか。
そんな女王も16の齢になられた。相変わらず妖精女王だとか、ハーフリングの先祖返りだとか、セイレーンやハーピーの先祖返りだなんて声もあるにはあるが。そんな王女の一室では問題が起きていた。
「いやーーー!!」
「我が儘を言うんじゃありません」
「ヤダヤダ結婚なんて」
「あくまで今の段階じゃあ婚約」
「婚約も結婚も同じようなモノでしょ、身分考えなよ」
「でもそろそろ身を固めないと」
「ダメダメ、まだ十六歳だよ」
「もう十六歳なんだよ、他の貴族や他国の王族は一桁台の頃から決められた許嫁がいるって言うのに」
「よそはよそ、うちはうちです」
「両親の許可は取ったのに、何で」
「私の目が黒い内はそんな勝手は許しません」
「……因みに要望は?」
「身長差5㎝、容姿問わず、学の有無もこの際求めず、ちま女王の事を第一に考え、命を賭して守れる、野心無く国家の礎足らんとする、私との時間を邪魔しない。あと政務を幼子に投げようとか考えない常識とかがあれば尚可」
「私用満載で最後のは両親にぶっ刺さるのと流れ弾がこっちにも来てるんだけど、宰相?」
「はははッ、冗談ですよッ、ちま女王」
「言葉がなんかおかしいけど、そんなに私が婚約を結ぶの嫌?」
「国家の犬と言われた私に鳥肌を立てさせるくらいの物事ですね」
「さっきチキンだったからすでに手遅れじゃ?」
「政変とかに対して風見鶏だった記憶はございませんよ」
「……祝ってくれないの」
「くっ、祝いますよ(相手は呪いますが)」
「副音声……ってか普通宰相の方から提案してくる話でしょ、これって」
「ちま女王、そんなことより城下町とか、お部屋のバルコニーで歌を歌うの好きじゃないですか、それを邪魔する存在を入れるのはどうかと」
「邪魔するかな」
「跡継ぎ問題や夫婦別々じゃない時点で、今の様には歌えないのでは?」
「ん~」
「同じ曲を規定数までとか、縛りを設けて歌い続けたり、歌うことで夜明けを迎えることはちょっと」
「……保留?いやでも国民の常識だし」
「我が家の常識、外では非常識、みたいな言葉が頭を過りますよ、それ」
「その常識を照らし合わせて、選考したはずなんだけど」
「ちょっと書類見せてください……ちま王女」
「ん?何?」
「先方明らかに私宛で送ってきてますよ、これ」
「…………え!?」
こうして、ちま女王の婚約話は宰相に振られることになった。
ちなみにこの婚約がうまくいったかどうかは謎、そしてちま女王の浮いた話が出るのはまだまだ先の様である。最悪、魔女に依頼してほれ薬か、分家筋から優秀な子を養子に入れようかと考えるまであと1000日。