今俺は人生で二度のリムジンを体験している。と言ってもとても嬉しいものではない。どちらかと言えば控えたい。それを許してくれないのが弦巻こころという人間なのだが。
『サクラ、どうかしたのかしら?顔が曇っているわよ?』
「顔が曇る?やはり分からん」
『しょうがない、こころはこころだから』
また奥沢さんは乗せられてるのか。てかこの人が居るってことは他の人も来るのか、吐かないようにしなくては。そんなこと出来たら困ってないけど。
車が止まった。着いたのだろう、行きたく無いのだが。そんな俺の考えは砂のように流れていく、弦巻の手によって。なんで俺は面倒事に巻き込まれるのだろうか。
会場(?)に着くと紅葉が電気の光で色付けられている。紅葉狩りなんていつ振りだろうか。少なくとも覚えているほど最近では無いようだ。
『あれ、東堂くん?きてたの?』
「っ!!松原さん。弦巻に連れられてきまして」
『そうなんだね。やっぱりこころちゃんらしいね』
それが弦巻らしいのか。だとしたら直してほしいものだ。そんな人間居るかどうか分からないけど。てか居ないだろ。
それから暫くはぼーっと空を眺めてた、月が一片も満ちていなく新月でそれはまるで俺の心を表しているようだった。
〜??〜
花音に呼ばれて紅葉狩りに来たのだけど見たことない男子がいるわね。ずっと空ばかり眺めて星が好きなのかしら?声をかけるのも一興ね。
「あの、いいかしら?貴方よ、空を見ている貴方」
『お、俺ですか?どなたですか?』
「私は花音の紹介で来た白鷺千聖よ」
『そうですか、俺は弦巻に連れられてきた東堂桜です』
自己紹介を終えると彼…桜は空を虚に眺める。あの彼の顔は見慣れている。何かから逃げて、何かを隠して、誰かを騙す。昔の私自身を見ているようだ。でも、何を隠しているかはわからない。
それは彼自身にしかわからないだろう。どうでもいい事なのに彼の顔を見ると彼が何を隠しているかが気になる。聞きたくなってしまう。
「東堂くん…いや、桜。少しいいかしら?」
『なんですか?いいですよ』
「単刀直入に言うわね。桜、何を隠しているのかしら?」
少し驚いたような顔をした後にまたさっきの顔に戻る。何をかくしているのかしら?こういう人は優しくされるのに弱いのを私は知っている。
「桜、貴方は今とても辛そうな顔をしてる。私はそんな顔を見たくない」
『別に白鷺さんには関係ないじゃないですか』
「関係あるわ。一度知り合ったのだから知らないフリはできないわよ」
少し心が動かされたのだろう。俯く、籠った声が出る。その声を私の手で、優しく優しく拾い集める。彼が私に対する警戒感がゼロになるまで待つ、そして彼は私に全てをぶつけてくれる。
『アンタなんかに、何がわかんだよ、わかんねェだろ、わかる訳ねェだろ!』
「わからない、桜が言ってくれないと桜自身に何があったか私はわからない。私は知りたい、貴方に何があるのかを」
『っ!!じゃあちょっとこっちに来てください。余り人に聞かせられる事ではないので』
やっと心を開いてくれた。なんだろうか、この感情は。母性本能を擽られるというか、護りたくなる。まるで彼の母親になったかのような気分だ。
『ここまで来れば人来ないですよね』
「そうね、ここなら桜が心を開いてくれるのでしょ?」
『はい。白鷺さんは好きな人が自分の所為で居なくなってしまった事ってありますか?』
「ない…、ごめんなさい桜。そこまでの事だと思っていなくて」
『いいんですよ。じゃあ話しますね。それで──」
桜が抱えてる事は私の想像以上だった。もっと早く彼に会っておけばよかった。何度も死にかけた彼を支える者はいなかった。悲しすぎる、桜だって望んで今の環境を選択したわけではない。そしてその事実を知っている者も居ない。だけれども、私は彼の味方になるためにこの話を聞いたのだ。そうなれば私がやらなくてはいけない事はただ一つだけだ。
「桜、今まで辛かったでしょう?」
『辛かった、キツかった、死にたかった。でも死ななかった、心配してくれる人は沢山いたけど、頼っていい筈ないって思い込んでた。だから、俺だけが悪い、って決めつけて、もう誰も失わない。なんてカッコつけて逃げてた。佳奈はそんなの望んでないのわかってた。わかってたんだよぉ』
「泣いて。もっと泣いて。空っぽになるまで泣いて。そうしたら私が埋めてあげるから」
『ゔ、佳奈ぁ、なんでいなくなっちゃったんだよぉ』
桜が全てを吐き出すまで私に出来ることは頭を撫でたり背中をさすったりすることだけ。あら?寝てしまったのね。これだけ泣いたらしょうがないわよ。本当に可愛いわね、弟として欲しいぐらいだわ。
起きるまではこうしとこうかしら?
タイトルの(仮)は外すか否か。
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そのまま『笑顔は迷子と共に』
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タイトル一から考えろやァァァ。