Fate/Grand Order -AMAZON NEO REVISE- 作:古鉄の夜
身長 188.0cm
体重 99.7kg
パンチ力 25.0t
キック力 31.0t
ジャンプ力 ひと跳び53.0m
走力 100m3.7秒
千翼がネオアマゾンズドライバーを使って変身した姿。
蒼いボディに赤い稲妻上のラインが走る。更にその上からガンメタリックの装甲が装着された姿をしており、見る者に何処と無く機械的な印象を与える。
「ハアアアアアアアアアアアアッ!!」
シャドウ・サーヴァントと呼ばれた黒フードの女に向けて、猛然と突進する千翼──アマゾンネオ。突如として身を縮めると、突進の勢いのままに跳ぶ。まるで宙空に放り投げられたかの如き跳躍。縦に一回転しながら勢いに任せて女の胴体に飛び蹴りを叩き込む。
「ガハッ!」
「うおおおおおぉぉおおおッ!!」
これまで只、狩りたてるだけの獲物だと思っていた少年のまさかの逆襲。しかも姿形が全く変わっている。あまりの事態に女の反応が遅れてしまい、もろに飛び蹴りを喰らってしまう。しかもアマゾンネオの攻撃は止まらない。女が体勢を整えるのを待たず、懐に飛び込むと蹴りが入った場所と同じところ、鳩尾めがけて右拳を打ち込む。続いて左拳。更に右拳。反撃の隙など与えないと言わんばかりに拳を叩き込み続ける。
「ガッ! ゲクッッ! ゴハッ! な、舐めるなアアァァァッ!!」
しかし女も千翼の好きにはさせてくれない。突如、女の全身からどす黒い瘴気が放たれ、その衝撃でアマゾンネオを吹き飛ばした。
「くうっ!」
「せ、先輩……? 先輩ですよね? その姿は……一体?」
ゴロゴロと地べたを転がりながら、マシュの傍までやってきた千翼。突然の事態に思考が止まっていたのはマシュも同じだった。
千翼は片膝を突きながら起き上がる。黄色のバイザー越しに驚いたマシュに視線を向ける。荒い息を吐きながらなんとか頷くと声を掛けた。
「アンタッ! まだやれるよな!?」
「えっ!? あ……は、ハイッ! マシュ・キリエライト! まだ戦闘続行可能です!」
「ならいい! 今は俺と協力してコイツを倒すぞ! 力を貸してくれッ!」
「ッ! 了解です、先輩! いえ、マスター!!」
姿が変わった事。そしていきなり見せられたあの戦闘力には確かに驚いた。けれど、やっぱりこの人は自分を助けてくれたあの恩人である先輩なのだ。ならば今、自分に出来る事。それは力を貸して欲しいと言ってくれたこの人と共に戦う事だ。それがマスターのサーヴァントたる自分の成すべき事だ。
「チッ! 次から次へと……! 忌々しいですね。少し遊びが過ぎましたか。まさかこんな手段を隠し持っていたとは──」
「ウゥウオオオオォアアァァァーーーーーーッッ!!!」
-BLADE LOADING-
女の声を遮るようにアマゾンネオは天を仰ぎ、咆哮。ドライバーにセットされたインジェクター底部がもう一度叩かれた。電子音声がドライバーから響く。右腕部装甲『シェルスライサーグローブ』の一部が展開。アマゾン細胞が
──『アマゾンネオブレード』生前、千翼が好んで使用していた近接戦闘用武器。鎌を持つ相手に対抗する為にはこちらも間合いが広い武器が必要だと判断したのだ。ブレードのグリップ部分を右手で握ると、剣を一振りして立ち上がった。
ブレードを後方に構え、いつでも斬りかかれる体勢を取りながらマシュに再度、声を掛ける。
「アン……いや、マシュ、だったな。いいか! あいつがどんな動きを見せても俺は右から! お前は左! とにかく挟み撃ちだ、いいな!!」
「ハイッ! マスター、行きます!!」
二人同時に駆け出すと女に向けて突進していく。片方は剣。もう片方は盾。それぞれの得物を手に挑みかかる。
先手はアマゾンネオ。袈裟懸けにブレードを叩きつける。それを女が鎌の柄で受ける。防がれると見るや、すぐさま剣を引き、刺突を胸部中央に打ち込もうとするアマゾンネオ。それを女は鎌を下から掬い上げる斬撃によってブレードを上に弾く。体勢が崩れたアマゾンネオに振り上げた勢いのまま、鎌で斬りつけようとする女。だが──
「させません!」
突如、女とは反対方向に位置したマシュが大盾を女の背中に向けて押し出すが如く、叩きつける。背中からもんどりうって倒れ込みそうになるが、なんとか堪える。しかし正面のアマゾンネオがすぐさま右薙ぎの斬撃を放ってくる。なんとか鎌の刃で受けるが……
「うおぉおおぉぉぉおおおおっ!!」
「ぐっ! がああっ!!」
鎌の防御を崩され、左脇腹を切り裂かれてしまう。まずい。この蒼い異形と化した少年の力。下手をしなくても、盾持ちのサーヴァントよりも上だ。一撃、一撃の重さが半端ではない。まともにやっていたら防御の上から潰される。切り裂かれた脇腹を抑え、後方に飛びながら女は機動力でコンビネーションを分断しようと二人の周囲を高速で動き回る。
「クッ! 早い……ぐあッ!」
背中を斬りつけられてもんどりうってしまうアマゾンネオ。胸部装甲『ネオラングアーマー』から火花が散る。幸い、装甲につけられた傷は浅い。だが何発も貰うのは不味い。反撃しようにも相手の速さに翻弄されてしまって、間合いが全く計れない。アマゾンネオの装甲に次々と斬撃痕が刻まれていく。
「マスター……!」
慌ててマシュが千翼を守ろうと、大盾を構えながら近寄ってくる。敵が疾すぎて、今までの左右から挟み撃ちにし続けるというコンビネーションが取れなくなってしまった。今はマスターの護りを固めるしかない。マシュは全方位に気を尖らせながら、女が何処から仕掛けてくるか、周囲を飛び回る影に眼を凝らす。
ガキィンッ! 左下からアマゾンネオを狙って鎌による切り上げが迫る。しかしマシュは最小限の動きで千翼の前にステップで陣取ると斬撃を食い止める。また周囲を高速で移動しながら今度は千翼の頭上から兜割りに鎌が振り落とされた。
「マスター! 伏せてください!」
マシュの鋭い叫び声。千翼は即座に腰を沈めた。逆らおうという気さえ起らなかった。マシュが頭上に振り上げた大盾が再度女の鎌を防ぐ。
「セァッ!」
大盾の下から飛び上がった千翼は、そのまま女に横薙ぎの斬撃をお見舞いしようとブレードを振るう。が、その時にはもう、女は大盾を足場に跳躍して難を逃れていた。空を切るブレード。千翼は歯噛みしながらも地面に降り立ち、マシュに顔を向けた。
「マシュ。あいつが何処から仕掛けてくるのか、分かるのか?」
「え? ええ……何故か敵が攻撃を仕掛ける寸前、強い気配がして。感じたままに身体を動かしたら、防ぐ事が……」
誰かが導いてくれたように身体が動いてくれた。もしかして、それは自分に霊基を託してくれたこの英霊の……そんな感慨がマシュの脳裏に過ぎった。
──この身は『シールダー』盾の英霊。主に降りかかるあらゆる危難をはねのける事こそが我が使命──
再びマシュの頭のどこかで声が響いた。若い男の──その胸に信念と誇りを持った騎士の声だ。その声に導かれるまま、マシュは女による三度めの奇襲を大盾で防いでみせた。その姿に千翼は確信を持った。そして作戦を彼女に伝える。
「マシュ。俺達はアイツの速度についていく事はできない。だから俺がアイツのスピードに目を慣らすまでの間、しばらく堪えてくれるか? 仕掛けてきた瞬間、カウンターで俺が叩き斬るッ! その時が来たら合図をするから……頼む!」
「ッ! ハイ! 任せて下さい、マスター!!」
己のマスターが
アマゾンネオ。マシュの防御を信じて女の動きを全力で追う。額から伸びた知覚アンテナ、ネオヘッダーから相手の仕掛けてくる際に放つ殺気、周囲から響いてくる風切り音からどう動いているかを分析。そしてアマゾン・アイで高速移動する女を徐々に視界に捉えていく。
マシュが敵の攻撃を防いでくれるお陰で、敵の動きを捕捉する事に全神経を注ぐ事が出来る。
……右から来ると見せて左から仕掛ける。と、思わせてこちらの背後に抜けて、跳躍。先程と同じく頭上から兜割りの一撃。
マシュが再び、頭上に大盾を振り上げ、防御体勢を取ろうとしたその瞬間──
「伏せろ!」
「ッ!」
-AMAZON BREAKE-
アマゾンネオ、即座に左手でインジェクターを上下に可動。ドライバーから武器強化を告げる電子音声が流れる。ブレードがギチリと音を立てて、さらに硬度と鋭利さを増した形状へと変化する。
マシュ、大盾を振り上げるのを止め、即座に千翼の指示に従った。先程とは逆にマシュがその場に伏せる事となった。
女はマシュが受けるとばかり思っていたのか、一瞬、戸惑うものの、これ幸いと千翼に鎌を振り下ろす。アマゾンネオ、振り下ろされる鎌を見据えたまま、一歩踏み込む。極度の集中から敵の動きがまるでスローモーションのように見える。鎌が背後を通過した。鎌の間合いの内側、すなわち剣の間合いに入る。迷う事無く、ブレードを逆袈裟に斬り下ろす。
女の身体が右肩から左脇まで真っ二つに斬断された。悲鳴を上げる暇もあればこそ、二つに分かれたシャドウ・サーヴァントの身体は地に叩きつけられると同時に黒い塵と化して大気に溶けていった……
荒くなっていた息が治まり、周囲に敵の気配が無くなったのを見計らって千翼はインジェクターを水平位置に戻すとドライバーから抜き取った。アマゾンネオの全身から冷気が吹き出し、元の人間、千翼としての姿に戻っていく。それをマシュは目を丸くしながら見ていた。
「あ、あの先ぱ──」
「どういう事!?」
何から聞いたものか分からず何とか千翼に声を掛けようとしたマシュ。それを遮るようにオルガマリーが千翼の前にツカツカと歩いてきた。
「あの姿は何!? 仮にも英霊でもあったサーヴァントと戦えるなんてどう考えても只事じゃない! アンタが私と会った時に乗ってたあのバイクといい、私達と合流するまで何をしていたの!? キッチリと説明をしなさい!!」
「……これを読んでくれ」
「「何よ?(なんですか?)」」
「このバイクのナビゲーションに登録してあった地点、研究所にこのベルト一式が置いてあった。それに同封されてた手紙だ」
オルガマリーの詰問にいい加減面倒くさくなった千翼は投げやりな説明と共に手紙を押し付けた。クシャクシャになった手紙を見て訝しんだオルガマリーだが今はどんな情報でも欲しいと手紙を読み始めた。マシュも横から覗き込みながら手紙の文章を目で追った。千翼は二人が手紙を読んでいる間に乗り捨ててしまったまま、横倒しになっているネオジャングレイダーの元に向かった。車体のカウルに若干、擦った跡があるだけで破損している箇所は無い。スロットルを上げてみたが、特に問題は無さそうだった。エンジンを一旦、切る。
千翼はバイクのハンドルに手をかけると、オルガマリーとマシュの元へと戻った。千翼が引っ張ってきたネオジャングレイダーを見てマシュがギョッとしている。赤い獣にも見える威嚇的な外見を持つネオジャングレイダーに驚きを隠せないらしい。
「一体誰よ? この手紙を書いたのは……この特異点の状況を知っていたというの? 貴方、これを書いた誰かに心当たりはないの?」
「全くわからない。俺はこの街で、あの骸骨の大群に追い回されていたんだ。やられそうだった所をこのバイクが……」
「フォーウ!」
「ああ、そうだこ「フォウさん! ここに来ていたんですね!」
千翼の身体を駆け上がって右肩に乗った小動物の説明をしようとした所、マシュが驚きと喜びの入り混じった叫び声を上げた。どうやら、この小動物の名前はフォウと言うらしい。
「……この街で目を覚ました時からコイツも一緒だったんだ。フォウっていうのか? マシュが飼っているペットだったのか?」
「いえ、フォウさんは私の友達です。先輩が守っていてくださったんですね。ありがとうございます!」
マシュは嬉しそうな顔でフォウに両手を差し出して抱き上げた。フォウは頬ずりしてくるマシュの顔をペロペロと舐めていた。
「話しを続けると、こいつが駆けつけてきたから、俺はすぐさま飛び乗ったんだ。奴らを撒いて暫くしたら、バイクのナビが起動して研究所の位置を示した。他に行くアテも無かった俺は研究所に向かい、その手紙とドライバーを見つけた」
そして、手紙の内容からこの街で何か不味い事が起きているのはわかったが、どうしていいか分からずにいた所、オルガマリーの悲鳴が聞こえたのでネオジャングレイダーで急行。オルガマリーを救助し、紆余曲折を経て現在に至っている。
「なるほど……貴方の経緯は分かりました。ん? ちょっと待って。さっき、そのバイクが駆けつけてきたって言ってたわね? それってどういう事?」
「このバイクは人工知能か何かが搭載されているみたいである程度ならオートで走れるんだ。骸骨に襲われている所、コイツが割って入ってきた」
「み、見た目に反して随分と高性能なのね、そのバイク。それで──『誰か! 誰か聞こえるかい!? この通信が聞こえるなら返事をしてくれ!! ってあれ? マリー? それにマシュも! ふ、二人共、レイシフトに成功していたのかい!?』
「ロマニ・アーキマン!?」
「ドクター! よかった、カルデアとの通信が回復したのですね!」
オルガマリーの言葉を遮って突如、中空に画像が映し出された。そこにはやや、気弱そうな伸びた髪を後ろで一括りにした青年が千翼達を見て驚愕していた。オルガマリーとマシュの様子からして仲間の一人なのだろう。ひとまず警戒の必要は無さそうだ。ロマニ・アーキマンと呼ばれた青年は千翼を見てハッとすると、手元のタブレット端末で何やら資料データを閲覧しながらこちらに話しかけてきた。
『あ、ああ。それとそっちの君……えーと一般登録者の四十……九番、藤丸立香ちゃんの次の子か。泉千翼くん、だね?』
ロマニから告げられたその名前に千翼は一瞬、耳を疑った。別人になったのだから名前も変わっているだろうとなんとなく思っていたのだが、まさか同名とは。それに何より『泉』というその姓は……千翼の母、『泉七羽』と同じものではないか。これはなんの偶然だ。千翼は口を開けたまま呆然と突っ立っていた。
千翼は父である鷹山仁と同じく戦いの組み立ては上手いので、マスターとしてはサーヴァントと共に戦う前線指揮官タイプになりそう。
そしてこの世界線では藤丸立香は女の子となっています。しかしカルデアには飛行機のトラブルによってそもそも到着すらしてません。