呪術抗戦 呪霊殲滅ルート   作:ちぇんそー娘

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成長方針/五条悟

 

 

 

 

 ────間に合わなかった。

 

 宿儺の指に引き寄せられたであろう呪霊は討伐し、宿儺の指も無事に回収することが出来たが、死人を出してしまった。

 

 もしも僕が清岡家の人間が憧れ、求め続けた本家五条家相伝の術式『無下限呪術』の使い手だったとしたら間に合っただろうか、なんて無駄な仮定が脳を過る。

 唯一の救いは1人だけ()()()()()ということ。呪霊に殺された夫婦の一人娘、赤坂 都子だけは助けることが出来たということだろう。それでも、彼女は両親を呪いに殺され、間違いなく心に深い傷を負っただろう。もしも僕がもっと優れた呪術師だったら──

 

「お兄さん、あのバケモノってなんなんですか?」

 

 

 都子ちゃんにそう聞かれて、僕は話すべきか一瞬迷った。

 だが、彼女は間違いなく見えている人間で、僕の目はしっかりと彼女が術式を持っていることを告げていた。隠しても、彼女はいずれ必ずこちらの世界へと来ることになる。ならば包み隠さず、真実を話すべきだろう。

 僕は呪霊の存在、呪術師の存在を7歳の少女が理解出来るようになるべく簡潔に噛み砕いて説明した……が、都子ちゃんはぽかんとして少し意味が違うかもしれないが、開いた口が塞がらないと言った様子だった。

 無理もないだろう。両親が目の前で殺されて、それでこんな話をされて信じろという方が無理な────

 

 

 

「わかりました。じゃあ私も呪術師になります。お兄さんが私を救ってくれたみたいに、私も人を助けたいんです」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 こんにちは■■■■です。

 

 さーて、前回のあらすじをざっくり言うとチュートリアルでしたね。

 

 両親を呪いに殺されたミヤコちゃんは自分も殺されそうになったところで五条悟の下位互換こと清岡 天翔くんに助けられ、六眼持ちの彼はバッチリとミヤコちゃんの才能を見抜き、親無しの彼女を引き取って呪術師の道へと勧誘します。

 天翔くんを選んだ理由の一つに、彼は六眼持ちなので術式の情報を見抜くことが出来て、それによって知性成長にバフが入るのとここら辺のストーリーが簡略化されるんですよね。

 

 現在のミヤコちゃんのステータスは……まぁ初期から変わってないので精神が30、知性が20。スキルは対呪霊バフの『異常への慣れ』、そして性格『善性』で両親が殺されたりした後に呪霊の存在を知ると獲得できる『呪術師の責務』。これが欲しくて一般家庭出身ルートに入ったと言っても良いでしょう。

 このスキルは呪術師としての任務時にバフが入る超つよつよ便利スキルですので必ず取っておきたいんですよねー。

 

 両親が殺されても泣いたりせずに冷静に対処して、その場で呪術師になるという宣言をしたイカレ系女児のミヤコちゃんですが、天翔くんは優しさだけが取り柄なのでそんな彼女にも優しく呪術師として指導してくれます。

 特に精神を中心としたメニューで、呪力操作の感覚を身につけていきます。これにより呪力操作による身体能力強化で平均以下の筋力と速度を補っていきます。このゲームの基本ですね。

 

 しかし天翔くんは前にも言った通り他の師匠4人と比べてステータスがパッとしないんですよねぇ。

 精神は160と超高いんですけど、筋力と技は両方70。黒閃発動率超上昇スキル『呪力の核心』も持ってないのでまず黒閃は無理。師匠としてはちょっと物足りないので修行開始から2年、9歳になった頃で天翔くんとの模擬戦で一定以上の戦績を出すと……

 

 

「うん。都子ちゃんの成長には驚かされるね。僕だけじゃなくて他の術師にも指導を協力してもらおうか」

 

 

 来ました。課外修行です。

 これは選択した師匠以外、更には夜蛾先生やら冥冥さんと言った人からも上手く行けば教導してもらえるめちゃくちゃ美味しいイベントです。

 特に冥冥さんはゴリラな上に知性が高いので高ステ狙いなら大抵冥冥さんを狙います……が! 

 

 今回は誰も選ばない! 

 沈黙!! それが正しい答えなんだ! 

 

 と言うのもですね、このイベントが起きた時に師匠が天翔くんであること。天翔くんからの好感度が一定以上であること。主人公の年齢が10才以下であること。以上の条件を満たすとクソボッチのミヤコちゃんを心配した天翔くんが『合同修行』を企画してくれるんです。

 

 

 その相手とは……なんとあの五条悟です! 

 

 

 ……はい。ちなみに年齢的にはミヤコちゃんと同い年のショタ五条悟。既にこの頃から並の術師では歯が立たない強さと、人間性が天与呪縛で持ってかれたかのようなクソガキです。

 

 もちろん、ミヤコちゃんどころか天翔くんが参戦してくれても五条悟には絶対勝てませんが、五条悟と戦闘を行うと彼となんらかの繋がりを獲得できる上に高確率で強力なスキル獲得、ついでに無下限呪術を見れれば知性の成長の伸びが良くなります。つまり絶対倒せないけど経験値は自動でくれるメタルス〇イムみたいなもんですね。このスライム防御力無限だけど。

 

 

 ただ一つ問題がありましてねぇ……性格『善性』とスキル『呪術師の責務』を持ってるとですね。

 

 

 五条悟と間違いなく喧嘩になります。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「よ、久しぶり天翔。相変わらずクソザコそうだな」

 

 

 それが五条悟の第一声だった。

 天翔さんから話は聞いていた。私と同い年にして既に天翔さんどころか並び立てるような呪術師の存在しない『最強』。

 私は天翔さんだけを師匠として、それ以外の人から教えを受けるつもりなんてなかったけれど、必ず良い経験になると言われたので渋々あってみれば、第一声がこれだ。

 

 五条悟がどれだけ強いかは知らないけれど、年上のはずの天翔さんに対して堂々とタメ口な挙句に、クソザコ呼ばわり。もうぶん殴ってやろうかと言う気持ちを抑えるので精一杯だった。

 

「悟こそ元気そうでなによりだよ」

 

「あーそう言うのいいから。んで、俺を呼び出しといて何? 訓練とか聞いたけどボコボコにして欲しいの」

 

 やっぱこいつぶん殴ってやろうと前に出ようとしたのを天翔さんに止められる。

 

「今日は僕じゃなくてこっちの子さ。話くらいは聞いているだろ?」

 

「知らねー。雑魚に興味ねー。……て言うかそのガキ、赤血操術持ちじゃん。なんで加茂辺りに売っぱらわねーの?」

 

「色々事情があるんだよ。それより、彼女と模擬戦をしてくれるかい? ほら、約束のデジ〇ンのやつ買ってあげるから」

 

「しゃーねーな。ほら、かかってこいよガキ」

 

 

 五条悟がそう言うと同時に、天翔さんは私を止めるのをやめた。

 

 

 私の術式は『赤血操術』。

 自身の血とそれが付着したものを操る術式。

 体内の血流や成分を操作すれば、身体能力を飛躍的に上昇させることも出来る。

 その術式を使い渾身の力で地面を踏み抜き、五条悟の脇腹目掛けて遠慮無しに蹴りを放つ。

 

 

「はぁ……天翔。こいつに俺の術式の説明した? したなら少しは頭使って物事を考えろよ」

 

 

 しかしその蹴りが五条悟の脇腹に届くことは無かった。

 届く寸前で足が止まっている。見えない壁があるかのように、それ以上先に足が進まない。

 

「クソザコの弟子は頭までクソザコなのかよ。ほら、なんか言ーえーよ」

 

 何故か足を引き戻すことが、片足立ちの状態でその場から動けない。

 そんな状態の私の額を五条悟は指先でつつきながら煽ってくる。自分のことならまだしも、私の命を助けてくれた天翔さんを侮辱されるのは許せない。脳の中で血管が千切れる音が聞こえたような気がするほど頭に血が上るが、深呼吸して平静を保つ。

 感情を制御するのは呪術師の基本だ。こんな小学生レベルの煽りに乗ってはいけない。

 

「……私はクソザコでもなんでもいい。けれど、師匠の、天翔さんのことはそう呼ぶな。第一あんた私と同い年でしょ? 年上に対しての口の利き方知らないの?」

 

「知らねぇよ。俺より弱いやつになんで俺が合わせなきゃならねぇんだよ。文句あんなら俺を地面に這いつくばらせて見ろよ。ほら」

 

 

 瞬間、顔面にものすごい衝撃が来て体が吹き飛ばされる。

 鼻っ柱に鈍い痛みが走り、鼻血で気道が少し塞がれて思考が鈍る。体勢を立て直して前を向くと、私と五条悟の間には10m程の距離が生まれていた。

 

「悟! 女の子の顔を殴るのはやめろって言っただろ!」

 

「急所狙ってくる呪霊だっているだろ。第一、不細工だから多少歪んだ方が逆に綺麗になるかもしれないじゃん」

 

 天翔さんと五条悟の会話から、自分が顔を殴られたということを理解したけれど、何をされたのかは理解が出来なかった。

 控えめに言って、私よりも鍛えてなさそうな細腕。それがどうやって殴られたことも理解できなくて、10mも吹き飛ばされるようなパンチを繰り出せるのだろうか? 

 

「ったく、めんどくせぇな。じゃあ俺は殴らないよ。()()

 

 また視界がブレ、それとほぼ同時に右肩に衝撃。

 今度は私の体が一瞬で移動して壁に叩きつけられていた。

 

「どうした? ギブアップか?」

 

「んなわけ、ないでしょ!」

 

 懐から血液パックを取り出してその中の血液を操作する。

 まだ体が成長しきっていない私は、このようにして血液を使わないと基本的にすぐに貧血で倒れてしまうし、最悪失血死してしまう。

 だからこそ、体内での血液操作に関してはかなり上達しているし、体外での血液操作は奥の手の必殺技。

 

「刈祓!」

 

 血液を円形の刃にして投擲する。

 大木も容易く切断する威力で、人間に対して放つにはかなり威力が高いけれど、手加減なんかしてるような余裕はない。天翔さんも事前に「殺す気で攻撃しても大丈夫」と言っていた。

 

「だからさぁ、学習しろって言ってんだよ」

 

 けれど、刈祓もまた先程の私の蹴りのように五条悟に当たる直前で止まり、私の術式の制御が途切れてただの血液に戻ってしまう。

 

 

 ────無下限呪術。

 天翔さんから聞いていた五条悟の術式。無限級数がどうのこうのと言われても難しくてよくわからなかったが、その効果は大きく分けて『バリア』と『引き寄せ』であると言われていた。

 

 先程から攻撃を防いでいるのがバリアで、私を殴った時や壁に叩きつけたのは引き寄せを使っていたのだろう。

 引き寄せもどうにもならないが、バリアの方はもっとどうにもならない。刈祓は私の今出せる最高威力の技であり、それを防がれてしまうとなるともう攻撃は通用しないと考えた方がいい。

 

「もう終わり? なら、こっちから行かせてもらうけど」

 

 瞬きをするための一瞬の暗転。

 それが終わると五条悟は私の目の前に立っていた。

 

「ぶっちゃけめんどくさいしさ、ギブアップすんならさっさとした方がいいよ?」

 

 今度は頬に衝撃。

 相変わらず早すぎて見えないけれど、多分引き寄せと併用した蹴りだろう。そのまま何発も、何発も何発も五条悟は遠慮なんて無しに私の頭をサッカーボールみたいに蹴り続ける。

 

 来るとわかっていれば呪力によるガードと瞬間的な血液の凝固で威力は削げるけれど、逃げる隙が無い。

 避けるには速すぎるし、吹っ飛んで逃げようにも引き寄せでその場に固定されて逃げれない。蹴って引き寄せてまた蹴って。単純なループから抜け出すことが出来ずにいいようにされてしまう。

 

「悟! さすがにやりすぎだ!」

 

「こいつがギブアップって言えばいつでもやめるよ? そもそもやめさせたいなら無理やり止めればいいじゃん。天翔にできれば、の話だけどね」

 

 私を蹴り飛ばしながら、五条悟は相も変わらず天翔さんを思いっきり下に見た言葉を発している。

 

 

 実際こいつ、本当に強いし今の私ではどうしようもない。天翔さんより強いというのも、多分嘘じゃない。

 でもそれとこれとは話は別だ。私の尊敬する天翔さんを馬鹿にしたならば1回地面でも舐めて反省させなければ気が済まない。

 

 

「ほーらーよ! 早くギブアップしねぇと顔の形がアンパンマンみたいになるぞ? 天翔もそろそろ泣いちゃうし……!?」

 

 

 私を蹴り続ける五条悟の足が止まる。

 そのまま後ろに1歩、2歩と下がり口を押さえて何かを吐き出す。

 ポタリと地面に垂れた赤色の液体。それは間違いなく血液で、五条悟は今まさに吐血をしたのだ。

 

「てめぇ……『気化』させてやがったのか」

 

 赤血操術は自分の血液ならば成分や温度、果ては状態まで操作出来る。

 バリアによって攻撃が通らないにしても、あらゆるものをバリアで止めていたとしたら何も見えないし聞こえないし、すぐに窒息死するはずだ。

 だから恐らく気体はバリアをすり抜けると考えていたが予想通り。そして体内までバリアを貼っていないのも予想通り。ある程度気化した私の血液を吸ったであろうタイミングで喉に小さな刃を作り出して掻っ切ってやったのだ。

 

「私の勝ちだ。今すぐ天翔さんへの失礼な言葉使いをやめると約束しろ」

 

「…………」

 

 五条悟は何も言わない。

 ならば、と私は更に深くこいつの喉を切り裂くことにした。見えない場所に気化した血液を再び液体に戻して刃にするのは非常に難しいし、致命傷にすることは難しいが痛みで術式を乱すくらいはできるはずだ。

 そうなれば、あとはぶん殴るだけ。きっと強力な術式頼りでまともに殴り合いの練習もしたことないだろうこいつならば、今の私でも十分勝ち目がある! 

 

 

「…………おぇぇ」

 

 

 何か吐いた。

 赤色の液体、血だ。でも私はまだ深く切り裂くことをしていないはずなのに、なんで吐いたんだ? 

 

 ……違う! 

 

 こいつ、吐いたんだ。()()()()()()()()()()を! 

 自身の体内での呪力操作だけで、的確に私の呪力を感知して全部吐き出した。言うのは簡単だが普通はできない。一体どうやったのかこいつの頭を切り開いて調べてやりたい所だが、もう体内への攻撃はできない! 

 

「ムカついた。お前と同じ土俵でぶちのめしてやるよ」

 

 繰り出された拳は、先程までの速さは無かった。

 それでも、それでも私が反応するのにはあまりにも速すぎる! ろくにガードも出来ずに食らった左腕が痺れて上手く動かせない。そして先程までとは違う感触。恐らくバリアも使っていない。

 五条悟は、術式を使っていない! すぐさま体内での血流操作──『赤鱗躍動』を使って身体能力を上げて応戦する。

 

 

「遅せぇよ、クソザコ」

 

 

 上段蹴りが顎を掠め、脳が揺れて意識がブレる。

 それから瞬きの間に5発。全て顔面を狙った拳が叩き込まれた。

 

 先程までの術式を使った攻撃と比べれば地味で、何の変哲もないただの打撃。

 けれど私から意識を奪い取るには十分すぎる一撃。意識を失う直前に見えたのは私をつまらなそうに見下す、天翔さんと同じ宝石のように綺麗な五条悟の瞳だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 負けました。

 当然ですね。忘れがちですが五条悟は体術も最強クラスなので、術式を封じたくらいで勝てるはずもありません。

 

 ……しかし、なんかミヤコちゃんおかしいですね。

 

 女の子の顔面を容赦なく蹴り飛ばすし、基本的に命の恩人である天翔さんを悪く言われるので五条悟への好感度はかなり悪くなるんですが、その中でも最悪の繋がり『生理的嫌悪』が付与されてしまいましたね。

 そう言えばミヤコちゃん、やたら天翔くんへの好感度は高いし、これもしかして師弟の禁断の愛ルート入っちゃう? 落ち着くのだミヤコちゃんよ! 天翔くんは若い外見だが既にアラサーだぞ! このルートでまともな男性なんてナナミンくらいしかいないけど!

 

 ……冗談は置いておいて、師匠への好感度が高いとちょーっと面倒なことになるんですよねぇ。ステータス確認じゃ表記されない裏スキル……その中でも面倒なのを引き当てる確率がありますので。まぁ多分大丈夫でしょう。

 

 とりあえず今回は負けましたけどここで勝つのは絶対無理なんで、予定通り経験値は沢山貰えましたし、五条悟への生理的嫌悪は少々予想外ですけれど、大方順調な成長を見せてくれているミヤコちゃん。

 

 ここから先は幼少期じゃイベントも少ないですし、育成は基本オートで高専入学まで進めますかね。というわけで次回は多分高専編スタートです。さようならー。

 

 

 

 

 

 

 

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