「お、都子じゃん久しぶり。太った?」
見覚えのある白髪のグラサン野郎の第一声を聞いて、やっぱぶん殴ってやろうと思った。
こんにちは■■■■です。
前回1級呪霊とタイマンして1級術師に昇格したミヤコちゃんですが、今日からついに呪術高専に入学します。
いやぁ始めた時は7歳だったミヤコちゃんが高専生とは、なんだか感慨深いですね。ここまで辿り着けずに死ぬこともよくありますから。
特にミスターデストロイエンカウンターこと漏瑚に殺されることの多いこと多いこと。漏瑚ってば他の特級と違って呪物集めやらで結構フラフラしてるせいで何も考えずに任務受けてるとエンカウントして即死とかあるんですよね。割と話のわかる花御と違って殺すなら村ごと灰にすることすらありますし。
徘徊老人かよ、と言いたいところですがマジで漏瑚はシャレにならないのでやめておきましょう。このゲームにおける漏瑚は原作での次元の違う格上としかほとんど戦えなかった恨みを晴らすかのように敵側で暴威を振るってきます。ステ合計値も特級呪術師とかいうバケモノ連中を除けばほぼ最高値で、高専所属時に相対すると近くに五条悟がいても下手すると『領域展開』されて負けるほどです。
なので情報で原因不明の火災が起きた場所には近づかないようにしましょうね〜。ほんと、これ気をつけないと手塩にかけて育てたキャラが消し炭にされるので。
それはさておき、教室に入って1秒で五条悟とエンカウントするとは運がないですね。知ってたけど。
一番最悪なのはこちらからの五条悟の好感度は最悪なのに、五条悟の方からは悪くないと言うところですね。なのでホントすぐにデリカシーの無い言葉かけてくる。ミヤコちゃんは五条悟のことが死ぬほど嫌いなので沸点がめちゃくちゃ下がってるのですぐキレる。この悪循環。
ミヤコちゃんは自分はともかく、師匠である天翔くんがナメられることが世界で一番嫌いなのでナメられないためにもせっかく1級呪術師となってから高専に来たものの、……イカれたクラスメイトの紹介と行きましょうか。
特級呪術師にして『最強』! 五条悟!
未来の特級呪術師、現在1級呪術師、一般家系出身と完全にミヤコちゃんの上位互換! 夏油傑!
特級呪術師よりも数の少ない反転術式による他者の治療が可能な逸材! 家入硝子!
はい。
ふざけてんのか。キセキの世代だってもうちょっと控えめだぞコノヤロウ。
五条悟やらトップ勢のせいで勘違いされがちですが、この作品における1級呪術師って数少ない人類側の最高戦力ですよ? 漏瑚を噛ませ犬に出来るような存在はほぼ5本指なんですよ? 何度も言いましたけどアイツはこのゲームにおいては頑張って育てた主人公を片手間で消し炭にする歩く厄災です(33敗)。
出会ったらなんか運良く特級呪術師が通りがかってくれることを祈ることしかできません。だいたいみんな初手火礫蟲でだいたいみんなミンチにされますし(13敗)、運良く避けられてもその後爆発に巻き込まれて死にますし(2敗)、避けたところに畳み掛けられる熱光線はガードしても全身火傷の激痛と酸素不足で意識持ってかれて殺されますし(9敗)、漏瑚はこのゲームだと技が非常に多彩で知性も高いのですぐに相手の低いステータスから攻めて来て負けますし(5敗)、どうにかいい勝負しても『領域展開』使われれば残念ながら消し炭です(4敗)。なんでや! 阪神関係ないやろ!
頭富士山のことは置いておいて、ここからは高専編ですね。
一気に関わりのあるキャラが増えて来てそれがちょっと辛い。なんて言っても呪霊殲滅ルートで重要なのは各キャラとの好感度調整。
五条悟と天翔くんへの好感度は両極端にバグってるのでどうしようもないとして、夏油と硝子さんとの好感度は注意しないと詰みますし、基本的に天翔くんとしか会話しないコミュ障極めたクソザコ女なのでここで隠しステのコミュ力も鍛えないと詰みます。目指せ虎杖レベル!
拝啓、天翔さんへ。
元気にしているでしょうか?
まぁ週一で帰っているし毎晩繋がる時は電話をかけているので心配は無いと思いますが元気にしているでしょうか?
私が呪術高専に入学してから、早いもので半年が経とうとしています。徐々に寮での生活にも慣れ始め、何とか上手く……
「おい都子。寒いから外の自販機でコンポタ買ってこい」
「……私、部屋の鍵閉めてたよね?」
「そこはほら、俺最強だから」
なんの悪びれもせずピッキングに使ったであろう道具を見せびらかしてくる無駄に背の高い無限グラサン野郎。最初に会った時はほとんど変わらない背丈だったのに、すくすく伸びて日本人離れした高身長とスタイルになった五条悟だ。
「は? 自分で買いにいけよ無駄に長い手足使ってキビキビ歩け」
「は? 寒いから都子に頼んでんじゃん」
「私だって寒いんだが?」
初対面の時のクソ野郎っぷりと比べたらとてつもないほどに人間の心がわかるクズ野郎には進化しているが、所詮は五条悟。基本的に軽薄が人の形を成したゴミだ。人間と話すつもりで会話をすると会話が成立しない。
「やめないか悟。女の子の部屋に勝手に入った上にパシるとか最低だぞ。あ、私はコーヒーがいいな」
「そーだぞー。女の子をパシるとかホントクズだぞ。あ、私もコンポタで」
続々と私の部屋に同級生が集まってくるが、誰一人として私を助けてくれない。むしろ悟側の人間ばかりだ。
変な前髪とボンタンに改造した制服のせいで不良にしか見えない福耳の男、夏油傑。
私の唯一の同級生の同性だけれど私が来るまで五条悟と夏油傑相手に仲良くやれてたという時点で中々愉快な性格をしていやがる家入硝子。
誠に遺憾ながら、私はコイツらにめちゃくちゃナメられている。私の背丈が未だに150cm程度しかないのに、コイツらが揃いも揃って恵体なのもあるが原因はもっと根本的な部分にある。
……『友人を作れ』。それが天翔さんが高専に入る前に私に行ったことだ。
今まで一応小学校と中学校には通っていたが、必要だと思わなかったし私には天翔さん以外必要ないから作ってこなかったが、天翔さん直々に言われてしまえば作るしかない。五条悟はノーカンだ。アレと分かり合えるような人間には私は絶対なれない。
でもどうすれば友達が出来るのかとか分からなかった。そもそも、同級生とどんな風に話せば良かったのだっけ?
中学時代を一生懸命思い返してみても、思い出せるのは教室の端っこで隠れて呪力操作の練習をしている自分だけ。
いや、まだ諦めるには早い。
こんなこともあろうかと、私は任務で一緒になったりした先輩の呪術師の方々にどうすれば友達が出来るかを聞いておいたのだ!
『友達。如何に自分に利益がある存在かってことかい? まぁ金を握らせてしっかり動いてくれる人間は分かりやすくていいと思うよ』
うん。なんとなく参考にならないことだけはわかる。冥冥さんは頼れる人だけどこういう面では頼りにしちゃいけないタイプだ。
『……すまない。僕も友人というものがあまり居なくてね。でも本当に、友人と過ごす時間というものは素晴らしいものだからせめて一人くらい友達を作って欲しい。……ありのままの自分をさらけ出す、とか?』
天翔さんの言うことだから間違っているわけはないが、申し訳ないが抽象的過ぎてよく分からない。素の自分をさらけ出すとしたら、秒で五条悟に『穿血』を打ち込んでいる。
……よく考えたら呪術師って天翔さん以外あんまりまともな人がいなかったかもしれない。でも落ち着け、誰か一人くらいは……そうだ。この前指導をしてくれた1級術師の車椅子の人。めぐるさんなら比較的まともなことを言ってくれていた気が……。
『────力よ。呪術師はナメられたら終わり。相手をボコボコにして屈服させて初めて対等な関係が築けるの。とりあえず、一発くらい黒閃ぶち込んで上下関係ってものを教えるの。対等の意味?ごめんなさい、私ってばあまり外に出たことがないから世俗の常識は分からないの』
そんなことがあって私は挑んだのだ。
五条悟に勝てると思っているほど自惚れてはいなかったので、とりあえずその隣にいた傑に。負けた方が勝った方の言うことをなんでも聞くという条件で。天翔さんのおかげで夏油傑がヤベー奴という誤解は既になくなっていたので、1級術師である私ならただの一般家系出身の高専1年生になら勝てるという油断もあった。
そしてボコボコにされた。
傑の術式、『呪霊操術』。取り込んだ呪霊を操るという単純だが強力、いや単純だからこそ驚異的な術式。五条悟の無下限呪術なんかよりもよっぽど恐ろしい。
驚くべきはその手数。一瞬で四方八方の全てを呪霊で覆い私の動きを封じ、どうにかそれを突破した私を素の体術でボコボコにしてきた時は涙すら出てきた。これで一般家系の出身だと言うのだから世界はなんかおかしい。
「……あんな約束、しなければよかった」
自分から言い出しておいて約束を破るのはさすがに人としてどうかと思うので、しばらく傑の言うことを聞いていたらすっかりパシリという認識が染み付いてしまって調子に乗った悟と悪ノリしてきた硝子からもそんな扱いをされるようになってしまったのだ。
その後の半年は……割と最悪だった。
特に五条悟。ことある事に傑に勝負を挑んでボコボコにされたことを弄ってくるしやっぱりコイツは最低だった。だが、傑が隣にいるとなんやかんやで昔みたいに度が過ぎるようなことはしてこなくなっていたし、成長したと言っていい……わけが無い。マイナスがよりゼロに近いマイナスになっているだけだ。
傑も傑で最初はあの五条悟を少しだけマシにしたまともな人間かと思っていたけれど、こいつも結構悪ノリする。あとナチュラルに煽ってくる。任務の度に悪気なく「都子って弱いけど大丈夫かい?」とか聞いてくるのは悪気がないのが余計にタチが悪い。
一番クソなのはそれを聞いて毎回背後で爆笑してる五条悟だが。やたらとアイツとは気が合うようで、結局類は友を呼ぶということなのだろう。
硝子は……2人と比べれば道徳がちゃんと備わっているが、2人と仲良くできる時点でまぁそういうことだ。もっとまともな人が同級生に欲しかった。
クソ寒い外にわざわざ出て、言われた通りに買ってきた飲み物が合ってるか確認しながら部屋に戻る。
ちなみにコンポタは一本買って売り切れになったので五条悟の分はくっそ冷えたコーラにしておいた。そもそも傑と硝子はお金は出してくれたけど、アイツだけ私に自腹で買わせようとしやがったからな。買ってきて貰えた分だけありがたいと思って欲しい。
……いや、なんで私自腹で買ってあげてるんだ?
買わないという選択肢もあったのになんで買ってんだ。
自問自答をしながら、私は寮の自分の部屋の扉を開け……
「一発芸やります! ……こんにちはー♡赤坂都子です♡」
扉を閉めた。
うちの女子用制服に身を包んだ五条悟がなんか私を名乗ってた。
なんだろう。呪霊の攻撃とかかな? そうだとしたら等級は特級だろうな。あんなもん見せられたら並の術師ならそれだけで死んでいた。
でもここは高専の結界内だ。つまり見間違いだろう。意を決してもう一度扉を開くと。
「いえーい☆家入硝子です☆」
「アハハハハ!!! 似てねー! ぶっ殺すぞ夏油!」
また閉じる。
なんか今度は傑が女子用制服に身を包んで家入硝子を名乗り、それを見た硝子が爆笑しながらキレてた。
「いや入れよ。ここお前の部屋だろ」
「私の部屋で特級呪霊が蠢いてる現状が理解できないんだよ」
部屋の中に入ると何故か私の部屋がよく分からないキラキラした装飾を施されていて、ついでに壁に落書きでやたらと達筆な『謹賀新年』という文字が書かれていた。しかも墨で。やたら達筆なのが本当に腹立つ。
「おい、普通ここは喜ぶところだろ」
「何が? 自分の部屋で五条悟が女装してたことを喜べとか人間性を失えと?」
「いや。今日お前の誕生日じゃねーの?」
…………そういえば、そうだ。
確かに今日は私の誕生日だ。毎年いつもは天翔さんが声を掛けてくれるから覚えていたけど、今年は高専で過ごしていたせいで忘れていた。
「悟ー。もしかして間違えて覚えてたとかか?」
「うっわ。女の子の誕生日間違えるとかモテねー典型だわー」
「ハァ? 俺モテモテだが? 見ろよこの美青年フェイス。と言うか天翔に聞いたから間違ってたとしたら向こうが悪いだろ」
もしかして、もしかすると。
「……サプライズ?」
「それ以外のなんなんだって話だろ。ほら、さっさと買ってきた飲み物出せ」
要望通りではない冷えたコーラを渡すと、悟は予想通り結構キレたし、傑と硝子にはちゃんとコーヒーとコンポタを渡すと余計にキレてそれがなんだか無性に面白くて、コーラを買ってきて良かったような気がした。
「五条、このケーキってどこのやつ? なんかやばいくらいふわふわしてるけど」
「あー? なんだっけな、○○堂だったかな?」
「めちゃくちゃ高級店じゃん……五条家の坊ちゃんは金銭感覚が狂ってるな。と言うかその女子制服もまさかあのクソつまらない一発ギャグのために買ったの?」
「いや? これ
…………は?
「悟。さすがにそれは超えちゃいけない一線だ」
「いや傑もノリノリで着てたじゃん」
「すまないね都子。知らなかったとはいえ勝手に制服を着てしまって。それはそうと悟。世の中には本当にやってはいけないことが幾つかあると私は思うんだ」
「え、いや、マジで悪かったって。真顔で傑に言われると結構心にくるからやめろって。……マジでもうしねぇから。多分」
今度こそ本気で五条悟の顔面の形が変わるまで殴ってやろうかと思ったけれど、傑に詰め寄られていつものヘラヘラした態度も忘れて謝ってる五条悟というとてつもなく珍しくて面白い光景も見れたので良しとしよう。
ミヤコちゃんはコミュ障なんで心配でしたが何とかなりまたね。
性格的に夏油とは相性は悪くないので、彼とさえ仲良くなれば基本的に五条悟世代の人間とは勝手に仲良くなれます。夏油くんは五条悟と仲良くできる異常者メンタルとそれなのに割とまともな人間性が同居してるある意味1番おかしいメンタルしている子ですからね。五条悟と違って後輩からも慕われているので彼と仲良くなればみんなと仲良くなれるという寸法よ。
まぁ初動がおかしかったけど。初手で勝負挑むとかコミュ障極めすぎて脳みそが武士時代に戻っていますねミヤコちゃん。
ちなみに誕生日イベントの発生が確認できたので、好感度は調度良い値になったことが確認できます。
ちょっとおかしいのはアレですねー。基本的に獲得するはずのない繋がり『同族嫌悪:五条悟』を獲得したことですね。あの精神性に対して『同族』と感じることはそうそうないはずですし、この繋がりの獲得条件を満たしていないはずなのに、どうして獲得できたんでしょう?
…………まぁデメリット繋がりでもないですしええか! (ガバ)
それよりもあとは1年時はどうでも良いイベントしか発生しないので次回はいよいよ高専最大のイベント、『懐玉編』に入っていきたいと思います。ようやく来たかー。ここからはミヤコちゃんが死なないようにした上で色々フラグ管理しなきゃいけないから辛いなー。特に例のあの人。彼と戦うことになるとほぼ間違いなく負けるからね(83敗)。
しかし呪霊殲滅ルートでは絶対に避けては通れない道。それでは次回をお楽しみにー。
それは2年生に上がってからしばらくしての事だった。
「おはよーございます……って、アレ?硝子だけ?あの馬鹿二人は?」
「社長出勤とはいいご身分じゃん。なんかアイツらは天元様直々の指名で任務。……あ、そう言えば返すの忘れてたわ」
硝子は手持ち無沙汰に弄っていたサングラスを私へと渡してきた。
そういえば、これは五条悟がいつもカッコつけて着けているやつだ。大方借りて弄っていたらアイツが任務とかでどっかに行って返すタイミングを逃したのだろう。
「これ、悟に返してきてくんない?アイツ六眼だからこれがないと悪目立ちするだろうし」
「なんで私が……自分で返してきなよ」
「私もこの後別の任務入っちゃったからさー。今度なんか奢ってあげるから。レバニラとか」
「……わかった。ちゃんと約束は守ってよね」
壁にやたら達筆な文字を書いたのは五条悟です。もちろん消さずに帰りました。
そしてミヤコちゃんはレバニラとか鉄分が多そうなものが好みです。
めぐるさんは限りなくゴリラ。