呪術抗戦 呪霊殲滅ルート   作:ちぇんそー娘

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都子が五条悟に好意があるように見えたとしたら、それは勘違いです。
気があるんじゃないの?とか言われたら冗談じゃなければ素で吐くくらい嫌いです。






沖縄観光/懐玉 弐

 

 

 

 

 

 

「「めんそ〜れ〜!!!!」」

 

 

 青い空、白い雲、そして光り輝く太陽。

 そしてめちゃくちゃはしゃいでいる五条悟と理子ちゃん。

 

 ……私達は星漿体護衛任務の途中だったはずなのに、どうしてこうなったんだ? 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 というわけで今回は沖縄観光編です。

 え? 前回『あの人』とのバトルが始まるみたいな引きじゃなかったっかって? 知らないなぁ。

 

 それはそれとしてこの観光は地味に精神の値に補正が入ったりして美味しいのでバッチリこなしていきますよー。理子ちゃんとの好感度を上げたいので。

 

 だいぶミヤコちゃんのストレス値も溜まってしまってますし、多分これが最後のストレス値減らせるイベントですし、ね? 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ブハハハハ!!! ナマコ!! ナマコ!!」

 

「キモッ! キモなのじゃー!!」

 

 ナマコを見てテンション爆アゲしている五条悟と理子ちゃん(頭小学生)を眺めつつ、私は現状を整理していた。

 

 黒井さんを攫った相手が居座っていたのは沖縄で、予想以上に黒井さん奪還が早く終わってしまったのでせっかくだし観光していこうぜ、と五条悟が言い出して現在に至る。

 

 護衛任務中であることを踏まえると馬鹿としかいいようがないけれど、これもアイツなりに理子ちゃんのことを考えてのことなのだろうか? 

 星漿体である理子ちゃんはあまり自由に外出することが出来なかったらしく、沖縄なんて来たことがないだろう。

 

 ……なんだかんだ、やっぱり高専に来てからアイツは随分丸くなった。

 傑と何か話している五条悟の方に目を向けると、昔と違って表情も柔らかくなっている気がする。

 

 ふと、私の視線に気がついたのか五条悟がこちらへと近づいてきた。

 

「都子、泳がねぇのか?」

 

「私肌弱いのよ。あんまり日焼けしたくないし……って、何見てんの?」

 

 五条悟は私の……胸元と遠くでヒトデを掴んでテンション上げてる理子ちゃんの胸元に視線を交互に送り、ご愁傷さまと言わんばかりの憐れみを孕んだ表情を向けてきた。

 

「おい、私の体型についてなにか言いたいならお前を沖縄の海の藻屑にしてやるぞ?」

 

「いや無理でしょ。カナズチでクソザコで中学生以下の幼児体型の都子には」

 

 

「ぶっ殺してやる! やっぱお前はぶっ殺してやる!」

 

 

「おおなんじゃ! 戦うなら妾も混ぜろ! この黒井に買ってもらった水鉄砲が火を噴くぞ!」

 

 理子ちゃんと一緒に買った水鉄砲で五条悟を攻撃するが、汚いことに遊びに無下限呪術を持ち出してきやがって水があいつに当たる瞬間に停止してしまっていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「うぉぉ! 見ろ! あれクジラ? クジラなのじゃ! やっぱりでかいのじゃな!」

 

「あれ、ジンベエザメじゃないかな……?」

 

 なんだか私の知らない間に沖縄への滞在時間が伸びていて、明日の朝──即ち、理子ちゃんの天元様との同化の当日に高専へと戻ることになっていた私達は、彼女の気の赴くままに沖縄を観光していた。

 

 思えば、私もこんな風にどこかに遊びに行くのは初めてだった。

 ……両親が殺される前、記憶としては存在するが実感として海に行って、みんなで騒いで……そういった経験をしたのは初めてで、とても楽しかった。

 

 今現在は五条悟がトイレに行っていて出てくるのをみんなで待っている状態だ。

 アイツもなんだかんだ人間……顔の良さや性格の悪さが人間離れしているが一応アレでも人間なので当然トイレに行く。そして長い。デリケートな日の女子かってくらい本当に長い。既に10分も待っていて傑が何かあったのか心配になって電話をかけると「マジでめっちゃ長いの出てるからちょっと見に来いよ」とか言ってるアイツの声が聞こえてきた。

 さすがにジンベエザメを10分見せつけられると飽きが来る。理子ちゃんはご満悦な様子だった。

 

「……ジンベエザメとか見るの初めて?」

 

「そうじゃな。妾はあまり外とかに出れなかったし……でも、黒井がいたから寂しかったりはしないぞ?」

 

 たった1日。

 短い時間であったが理子ちゃんと一緒に観光して、遊んで、彼女が本当にただの女の子であるということが分かった。

 五条悟達が受けた任務。それは彼女の護衛と()()。天元様と同化し、彼女という個が消えるのを私達は手伝っているのだ。

 

 

「私もね、実は見るの初めてなんだ」

 

「?」

 

「水族館とか行ったことないし、行きたいとも思わなかった。呪術師になることだけ考えて、それ以外の事なんて考えもしなかった」

 

 

 いきなり自分より背の低い女の自分語りなんて聞かされても、理子ちゃんからすればなんのことだか分からないだろう。

 でも、何故かこれだけは言っておかなければいけない。神様なんてものが本当にいるのだとしたら、そいつが言えと言っているような、そんな不思議な気持ちだった。

 

 

「そんな私にね、私の大好きな人は言ったの。『これから生きてきていっぱい楽しい事や悲しいことがある。その度に、君の考えはコロコロと変わるだろう。だから、自分の生き方を決めるのはそれからでも遅くはない。そして決める時は……絶対に後悔しない、君が寂しくない選択をしろ』って」

 

 

 それはいつの日かの天翔さんの言葉そのまま。

 寝ても醒めても呪術師になるための訓練しかしなかった私にかけてくれた言葉。

 あの時はよく意味がわからなかったけど、今ならわかる気がしてきた。高専に入ってから、そして今日の沖縄観光もとても楽しかった。自分が呪術師であることを時折忘れてしまうくらい、楽しくて楽しくて、表情筋が痛くなってしまう。

 

 私は呪術師になると言う道を改めるつもりはないけれど、その理由が少しだけ変わった気がする。

 漠然と、成りたいから成るじゃない。こんな風な笑顔を浮かべられる私の居場所を、みんなを守れるようになりたい。

 

 ……まぁ五条悟はともかく、傑は守る必要は無いだろうし硝子は私が守るまでもなく高専全体で守られる逸材だし、天翔さんも強いけどそれはそれ。気持ちの持ちようだ。

 

「……うん。ありがとう、……都子さん」

 

「どういたしまして、理子ちゃん」

 

 

 

「いやー! おまたおまた! マジでくっそ長いうんこ出て来てさ! 写真撮ったんだけど見る?」

 

「悟。さすがに往来でそういうこと言うのは品がないよ。理子ちゃんの教育にも良くない」

 

「いや妾お主らに育てられている覚えないんじゃが? 妾の育ての親は黒井だけなのじゃが?」

 

 

 ……やっぱ五条悟はどっかで勝手にくたばっちまえばいいかもしれない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あれ都子じゃん。まだ起きてるとかなんだ? 生理?」

 

 夜、目が覚めてしまったので夜風でも浴びようかと思い外に出たら偶然五条悟と出会ってしまった。最悪。死のうかな……。

 

「口に出てんだよ。それよりさっさと寝ろ。明日はいよいよ理子(ガキンチョ)の同化の日だ。妨害する奴らもなりふり構わず来るかもしれねぇからな」

 

 追い払うようにしっしっとしてくる五条悟の姿を見て、私は一つの確信を得た。

 

「アンタ……いつから寝てないの?」

 

 無下限呪術は繊細な術式。

 原子レベルの呪力操作によって初めて実現する神業なのだ。並の術師が例え手に入れたとしても扱いきれず自滅する未来しかないほどのじゃじゃ馬。事もなさげにコイツが普段周囲に張っている『無限』すらも私では同じ術式を持っていたとしても数秒張るだけで高精度の呪力操作によりとんでもなく疲労するだろう。

 仮に理子ちゃんの護衛任務開始からとなれば、丸一日以上ずっと術式を使っていることになる。そんなことできるのは五条悟くらい、五条悟すらも普通は途中で投げ出してもおかしくはない。

 

「傑と言い、人の顔のこと見すぎだろ。そんなに俺の美形が気になるか?」

 

「ふざけてんじゃねぇよアホ。……いくらオマエでも常に術式を使うのは体力が保たない。夜の見張りくらい私が代わる。少しだけでも寝てろ」

 

「やーなこった。ここで寝てクソザコ都子と代わってガキンチョが殺されたら俺達の責任だからな」

 

 私をバカにしながらヘラヘラ笑っているが、明らかにいつもの覇気がない。暇さえあれば天翔さんにちょっかい出しに来ていたせいでコイツの顔は本気で見たくなくてノイローゼになりかけるほどに見たのだ。隠したいことは知りたくなくても見抜いてしまう。

 

 

「……それに、俺だけなら確かに集中力が落ちるからやんねーよ」

 

 

 悟の視線の先には、傑が周囲に監視に出している呪霊の姿がある。

 確かに五条悟は強いが一人しかいない。しかし、その弱点を補うのが傑の呪霊操術。周囲の呪霊が祓われれば即座に悟にも知らされ、対処する。

 まさに万全な護り。高専どころか呪術師界で『最強』と呼ばれるに相応しいコンビだ。

 

「まったく、アンタ本当に傑の事好きだよね」

 

「何言ってんだ? 別に俺にはそっちの気はねぇけど?」

 

 本当に驚いた。

 あの人間味のない、人の形をした術式かとも思った五条悟が、こんなバカでアホでどうしようもなくて、人間臭いやつになっているなんて。

 天翔さんの言う通り、出会いというのはここまで人を変えるものなのだろうか。いやコイツは元は人間というか全自動不快感製造機だったから参考にならないかもだけど。

 

「どうせアンタ達二人がいれば何も問題は無いしね。私は寝るよ」

 

「そうしろ。なんだかは分からねぇけど()()()()()()()。お前は常に天内の傍に居ろ。もし俺達に何かあったらすぐに逃げれるようにしてな」

 

 

 去り際の私にかけられた言葉は、最初は何かの冗談かと思った。

 けれど、私にそう語った悟の六眼は見たこともないくらい真面目な色を灯していた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 はーい沖縄編終了! 

 夏油とのイベントが発生しなかったのが心残りですが、最低でも理子ちゃんとのイベントは発生したので良しとしましょう。

 ……しかし、ミヤコちゃんは五条悟に『生理的嫌悪』を獲得しているのでイベントが発生しなくなるはずなんですけどねぇ? 隠しスキルでなんか特殊なの獲得しているんでしょうか? 

 

 さてさていよいよ懐玉編も佳境となって参りました。

 都子ちゃんは果たして『あの人』に勝てるんでしょうかね? 多分無理(本音)。

 

 

 

 

 

 

 

 

「皆お疲れ。もうここは高専の結界内だ。呪詛師は入ってくることは出来ない」

 

 その後、沖縄から高専までの道のりでもちょっとしたトラブルはあったりしたが五条悟と傑で簡単に対処出来て、結局私はほとんど何もせずに無事に高専へと辿り着いてしまった。

 高専の結界は部外者は簡単に立ち入ることは出来ない。つまり、ここまで来れば安全、実質任務完了という訳だ。

 

「悟、本当にお疲れ」

 

「二度とごめんだ、ガキのお守りは」

 

「そう言いながら、アンタ一番昨日理子ちゃんとはしゃいでいたじゃん」

 

 いつものように五条悟が言い返してくるのを待っていたが、睡眠不足のせいなのか何故か五条悟は何も言い返してこなかった。

 ふと、何か胸から生えていることに気がつく。アレは……刃、だろうか? 胸元に刃物でも隠していたのか? でも無下限呪術がある以上、何か武装するような意味は……。

 

 

 

「ッ!?」

 

 

 

 1秒。

 あまりにも理解できない状況に思考が通常通りに働き始めるのにそれだけの時間を要してしまった。

 

()()だ。

 見知らぬ男が、背後から五条悟の胸を一突きしていたのだ! 

 

 でもありえない。

 ここは高専の結界内。呪詛師が入ってくればイレギュラーの呪力に対して警報が鳴り、直ぐにその侵入は気付かれて対処されるはずだ。

 

 

「アンタ、どこかで会ったか?」

 

「気にすんな、俺も苦手だ。──男の名前覚えんのは」

 

「そうかよ────傑!」

 

 

 正体不明の男が動く前に、五条悟と傑が動いた。

 無下限呪術による引き寄せで男を空に放ち──その先で夏油が出した呪霊が男を丸呑みする。

 二級呪霊に飲み込まれれば、並の術師ならば内側から呪いによって溶かされる。

 

 ……だが、相手はあの五条悟に悟られることなく背後から一撃を加えた男。加えて高専の結界内へ侵入しているトリックもまだ不明。これで死んでいるわけがないだろう。

 

「悟!」

 

「心配すんな。術式は間に合わなかったが内臓は避けたし、呪力で強化して刃はどこにも引かせなかった。ニットのセーターに安全ピンを通したみたいなもんだよ」

 

 嘘だ。

 私も傑も口にはしなかったが、顔の血色が更に悪くなっている。そもそも人体は貫かれて大丈夫な箇所など殆どない。

 出血、激痛、損傷。更に元から溜まっている疲れもあって普段の力の七割も出せれば良いところだろう。心配にならないわけが無い。

 

「それより向こうの得体が知れねぇ。コイツは俺が相手するから傑達は天内を天元様の元に先に連れて行ってくれ」

 

「何言ってんだよ! 理子ちゃんを天元様の元に連れていくなら私か傑のどちらかで大丈夫だ。ならどっちかは残って一緒に────」

 

「────()()()()()。だから、お前達は天内を頼む」

 

 

 五条悟の全力。

 それは並び立てるものが居なくなるということ。下手に共闘なんてすれば巻き添えを食らう可能性すらある『最強』。

 そして、そんな五条悟が全力を出すと宣言しなければならない相手。

 

「そんなバケモノ、こっちに来させないでよ?」

 

「悟、油断するなよ」

 

「二人とも、誰に言ってんだよ」

 

 サングラスを外し、本気の臨戦態勢となる五条悟を背後に、私達はこの任務の最終地点。天元様の元へと急いだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 それからしばらくして、私達は高専最下層、天元様の膝元にして国内主要結界の基底である薨星宮、本殿。

 

 私と傑の隣にいる理子ちゃんの目元は赤く腫れていた。

 ここに辿り着いてすぐ、理子ちゃんは黒井さんと、家族と最後の別れを済ませてきたのだ。

 ただただ、ごく普通の中学生と同じように泣き腫らす彼女を見て、正直に言えば今すぐに任務を放棄してしまいたくなった。

 

 だが、私は呪術師だ。

 呪術師を目指すならば、任務に背くなんてことはしてはいけない。担任の夜蛾先生がわざわざ五条悟達に任務を星漿体の護衛と()()と言ったのは、そういう意味もあるのだろう。

 呪術師である以上、いつか誰かを殺す、見捨てる選択をしなければいけなくなる。あの先生は脳筋だが優しい人だ。

 

「階段を降りたら門をくぐってあの大樹の根元まで行くんだ。ここの結界は特別製だから、くぐってしまえば招かれたものしか出入りできない。同化まで天元様が守ってくれる」

 

 傑は淡々と、任務の最終工程を済ませるべく理子ちゃんに説明をしていく。

 これで終わりだ。これさえ済めばこの任務は終わり。理子ちゃんは天元様と同化し、天元様は安定して五条悟と傑はまたその『最強』コンビの名を界隈に轟かせるだろう。

 この大任務をこなしたとなれば、きっと手伝った私の事も評価される。天翔さんもきっと喜んでくれるだろう。そして明日からも、ふと今日の事を思い出したり、理子ちゃんの居ない世界で黒井さんはどんな風に過ごすんだろうとか、理子ちゃんのクラスメイトは帰ってこない彼女の事をどう思うだろうとか、あのぬいぐるみとか理子ちゃん好きそうだなとか考えて──────。

 

 

 

「それか、引き返して黒井さんと一緒に家に帰ろう」

 

「…………は?」

 

 理子ちゃんよりも先に、私がそんな間の抜けた声を漏らしてしまった。

 

「実は悟と事前に話していたんだよ。理子ちゃんが同化を拒んだならナシ。全力で天元様を、日本呪術師界を敵に回してやろうってね」

 

「はぁ!? なんでそんな大事なこと、先に言わなかったの!?」

 

「だって都子弱いからね。万が一邪魔するならぶっ飛ばさなくちゃいけなくなって可哀想だし……って悟が言ってたよ」

 

 絶対傑本人が思ったことだろうけれど、それはそれとして五条悟がゲラゲラ笑いながらそんなことを言っている姿も想像出来る。

 そして同時に、憎たらしい笑みを浮かべながら堂々と言い切っている五条悟の姿も浮かんだ。

 

「大方、『大丈夫。俺達は最強だから』とか言ってたんでしょアイツ」

 

「ご明察。やっぱりなんだかんだ仲が良いね」

 

 最悪の罵倒に顔を顰めつつ理子ちゃんの方を向くと、さっき黒井さんと別れる時に散々泣いたというのにまた瞳に大粒の涙を溜めていた。

 

 

「──私達は、最強なんだ。理子ちゃんがどんな選択をしようと、君の未来は私達が保証する」

 

 

 差し伸べられた傑の手を見て、理子ちゃんは不安そうに私の方に視線を向けた。

 本当に、本当にその手を取っていいのかと言うように。

 

「心配いらないよ。腹立つことに、この馬鹿どもは正真正銘の最強だから。……それに言ったでしょ? 寂しくない選択をしろって」

 

 そう言うと思ったと言わんばかりの傑の表情は手玉に取られたみたいでちょっと腹立つが、これが正真正銘私の本音だ。

 私がなりたい呪術師は、ここで理子ちゃんを助けない人間じゃない。きっと天翔さんでも同じことをしただろう。

 

「……寂しくなくなると思ってた。お母さんとお父さんが居なくなったことがだんだん寂しくなくなったみたいに、皆と離れ離れになっても、いつか悲しくも寂しくもなくなるって」

 

 言葉を紡ぐ度に理子ちゃんの声が震え、やがて瞳から耐えきれずに涙が零れ始める。

 それと時同じくして、耐えきれなくなった言葉がポロポロと表へと溢れ出す。

 

「────でも、でもやっぱり。もっと……皆と一緒にいたい。もっと皆と色んな所に行って色んな物を見て、……もっと!!」

 

 その言葉を聞いて、私達のやるべき事は決まった。

 ひとまずは悟が正体不明のあの男を倒してここに来るのを待って、アイツが来たら黒井さんも連れて皆で逃避行となるだろう。

 どうせなら硝子も誘って共犯にしてもいいかもしれない。なんだかんだアイツも良い奴で、イカれてるやつだし着いてくるだろう。

 日本に逃げ場はないから海外に行くことになるかな。天翔さんも連れて行きたいけど、さすがにそんな暇はないだろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『なんだかは分からねぇけど()()()()()()()。お前は常に天内の傍に居ろ』

 

 

 

 

 

 

 

 突然、昨晩の五条悟の言葉が脳裏に甦った。

 私達が来た道の方に、人影が立っている。堪えきれずに追いかけてきた黒井さんかと思ったが、あまりに背格好が違う、雰囲気が違う、威圧感が違う。

 

 

 右の口元にある特徴的な傷。

 

 

なんで

 

 

 そこに居ることを忘れてしまうほどの薄さと在るだけで空間を淀ませる存在感という矛盾。

 

 

どうして

 

 

 全身の細胞が今すぐに逃げろと本能で叫んでいる。

 

 

ありえない

 

 

 だって、お前がここに居るということは────

 

 

 

 

 五条悟(最強)が、殺された(負けた)ということなのだから

 

 

 

 

 

 男は銃を構えていた。

 傑も理子ちゃんも気がついていない。術式の起動、間に合わない。狙いが外れることは、多分有り得ない。

 角度、頭部狙い、理子ちゃん、即死、どうする、どうするどうするどうする? 

 

 

 頭の中に幾つもの思考が現れては消え、消えては現れてを繰り返す。

 一瞬の、永遠にも思える思考の海から抜け出して、私は────。

 

 

 

 

 

 

 

 タン、と。

 派手さのない現実的な銃声が鳴り響いた。

 

 

 

 

 

 

 

「……都子?」

 

「都子、さん?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 男の放った凶弾は、理子ちゃんの前に飛び出た私の胸に吸い込まれ、心臓へと着弾した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 は? 

 え、ちょっと待って。

 

 なんで勝手に動いてんの。て言うか、え、嘘? マジで? 

 

 …………は? 

 

 

 

 

 

 








ステータス
伏黒 甚爾
筋力:500/200
技:400/200
精神:???/200
速度:500/200
知性:???/???

術式
不明


スキル
『天与呪縛:フィジカルギフテッド』
『天与の暴君』
『術師殺し』
『不縛の玉体』
『懐玉有罪』

繋がり
『懐玉有罪』の効果により消失。



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