マジンカイザーVS真ゲッターロボ!   作:元ゴリラ

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第一話『壮絶!』Aパート

 百鬼帝国。10年前、世界の支配を目論んだブライ大帝率いる鬼の軍団。彼らは、ゲッターチームとの戦いで滅びたはずだった。しかしその百鬼帝国の要塞が、そして百鬼獣と呼ばれる戦闘ロボット軍団がたしかに、早乙女研究所の観測した映像には映し出されていた。

 

「早乙女博士、これは……」

 

 神隼人。ゲッターライガーのパイロットであり、現在はゲッター線研究及びゲッターロボ開発にも携わる早乙女博士の後継者とも呼ぶべき青年は、その光景に戦慄していた。

 

「わからん。しかし、百鬼帝国はあの戦いを生きていたと結論づけざるを得ん」

 

 早乙女博士もまた、動揺を隠せずにいる。

 

「そんなバカな! 百鬼帝国は、俺の目の前で滅んだ。ブライの最期だって、この目で!」

 

 隼人の記憶にある百鬼帝国の最期は、壮絶なものだった。宇宙空間で、太陽エネルギーを浴びたゲッタードラゴンの必殺技・シャインスパークを受けたのだ。たとえ要塞が無事だったとしても、中にいたブライ大帝は無事なはずがない。そして、百鬼帝国の要塞その亡骸も、アトランティス帝国の遺産ウザーラが宇宙の彼方に運んでいったのだ。その百鬼帝国が今、こうして復活している。

 宇宙の盟友グレンダイザーを磔にしていると言う事実もまた、隼人の理解を越えた事態だった。

 

「グレンダイザーが負けるなんて、信じられん……」

 

 グレンダイザーとデューク・フリードの強さと頼もしさは、隼人も一目置いていた。その彼がこんな敗北を喫するなど。

 

「……それだけ、敵の戦力は強大になっているということだろう」

 

 一方で、早乙女博士はただただ冷徹に事態を観察しているようだった。と、2人が険しい顔をしている時だった。

 

「おい隼人! 早乙女博士!」

 

 静かな2人とは対照的な、騒がしい男達がその場に乱入する。1人は長身の男。もう1人は大柄な男だった。長身の男……流竜馬はその全身に闘争心を激らせているかのような男だった。一方でもう一人の大柄な男・巴武蔵は、体格こそ竜馬や隼人以上の巨漢であるにも関わらずどこか和やかな目を顔立ちをしている。しかし、その目は竜馬同様、熱く燃えている。

 竜馬、武蔵、そして隼人……。3人こそは10年前、太古の世界より蘇った恐竜帝国や、今復活した百鬼帝国と戦った初代ゲッターチームである。彼らは、後進の教育のために最前線での戦いからは身を引いていた。しかし、そんな彼らが再び早乙女研究所に集まったのには理由があった。

 

「竜馬、武蔵……。真ゲッターロボの起動実験は中止だ。今は……」

 

「そんなことはどうでもいい! 百鬼帝国が復活したってのは本当なのか!?」

 

「ああ……。グレンダイザーを倒しての凱旋だ」

 

 そう吐き捨てて、隼人は写真を竜馬に回した。

 

「…………!?」

 

「グ、グレンダイザーが……」

 

 信じられない。と言うように武蔵。

 

「こうしちゃいられねえ。行くぜ隼人、武蔵。今度こそ百鬼帝国にトドメを刺してやる!」

 

「待つんだリョウ」

 

 ゲッタードラゴンの下へ走ろうとする竜馬と隼人を、早乙女博士が止める。

 

「博士?」

 

 不振がる隼人。そして、早乙女博士は続ける。

 

「竜馬、隼人。お前達は真ゲッターロボで弁慶と待機。武蔵はゲッタードラゴンで出撃だ」

 

「なっ……!」

 

 それは、非情とも言える決断だった。待機を命じられた竜馬と隼人だけではない。出撃を命じられた武蔵も、驚愕の表情を浮かべていた。

 

「…………おい、早乙女博士。そりゃどういう了見だ?」

 

 その決断を下す早乙女博士に、竜馬が凄む。

 

「……敵の戦力は未知数。そしてグレンダイザーすら敵わなかったものが待っているのだ。真ゲッターの起動準備を急ぐしかあるまい」

 

「……ジジイ。てめえ……俺と隼人に実験もしてない新型をぶっつけ本番で乗りこなせって言うのはまあ、いいだろう。だがな、武蔵とゲッタードラゴンを捨て駒にする気か!?」

 

 武蔵は、ゲッターロボ操縦士としては竜馬、隼人に比べて劣っていた、しかし、それでも初代ゲッターチームのメンバーである。他の訓練生や、補充パイロット達とは一線を画している。実際、現在ゲッターロボを出撃させる際には竜馬と武蔵がリーダーとなり他の予備員や訓練生と共に合体することも多かった。

 しかし、それはあくまで訓練や哨戒の時の話である。

 ゲッターロボは、3つの心を1つにすることで真の力を発揮するロボットだ。3人のパイロットがいなければ、全力を発揮することはできない。しかも、相手はあのグレンダイザーを倒すほどの力を持っているのだ。武蔵が一人で乗ったゲッタードラゴンが勝てる相手ではない。それを承知の上で、早乙女博士は武蔵達を死地へ送り出そうとしている。

 

「よせ、竜馬」

 

 しかし、それに激昂する竜馬を諌めたのは他ならない武蔵だった。武蔵は、早乙女博士の目を見据えていた。

 

「博士……真ゲッターロボが完成すれば、この危機を乗り越えることができるんですね」

 

 早乙女博士の首肯を認めると、武蔵はニヤリを笑う。

 

「まあ、落ち着けよ竜馬。俺は死にに行くわけじゃねえ。お前達が真ゲッターロボを動かすまでの時間を稼ぎに行くのさ。鉄也だけじゃ心許ないからな」

 

「武蔵……」

 

「竜馬、隼人、後は頼んだぜ」

 

 そう言って、武蔵はウインクして親指を立ててみせた。

 

「ああ……任せてくれ」

 

 ずっと押し黙っていた隼人はようやく、それだけを口にする。

 

「へへっ、こうしちゃいられねえ。巴武蔵、ゲッタードラゴンで出撃します!」

 

 そう言って、武蔵は走り出した。今走ることのできない竜馬と、隼人の分まで。

 

「……チクショウ」

 

 武蔵の姿が見えなくなって、隼人は呟く。

 

「……恨みますよ博士、武蔵だけに行かせるなんて。俺だってゲッターと一緒に死にたかった」

 

 若き頃の、あの血潮の滾りのまま3人で戦っていたあの頃。竜馬と、武蔵と、ゲッターと駆け抜けた青春を。隼人は片時たりとも忘れたことなどなかった。きっと死ぬときは3人で、ゲッターの中で死ぬのだろうと思っていたこともある。いや、むしろゲッターと共に死ぬのならば本望だと。

 しかし、若き日の3人でゲッターと共に死ぬ日はもう来ない。

 隼人は、ゲッターのために死ぬことを許されずゲッターのために生きることを選ばされたのだ。

 そして、死地へ向かう友を送り出さねばならない。

 

「甘ったれるな隼人、竜馬。お前達にはもっと残酷な未来がある。そのために武蔵は行くのだ」

 

「ジジイ……」

 

 一発殴らせろ。そう言おうとした竜馬は、早乙女博士の顔を見てその拳を解く。早乙女博士が、苦しんでいるのがわかったからだ。苦渋の決断だったのだろう。それで許されることではないが、かつて早乙女博士に言われた言葉を思い出した。

 

『リョウ! 非常になりきれ! 敵はお前が考えているほど甘くはない!』

 

『リョウ! そいつらの死に様をよく見ろ。我々の戦う敵の恐ろしさを見ろ!!』

 

 あの時も、早乙女博士は助手であり息子である達人を喪っているのだ。早乙女博士は、竜馬達よりもずっと長く、戦い続けた人なのだ。

 それを、竜馬は知っている。

 

「……行くぜ、隼人」

 

 だから、竜馬は何も言わずに従うことにした。

 

「……竜馬」

 

「俺たちが真ゲッターを動かすのに成功すれば、武蔵も死ぬ必要はねえんだ。だったら、やるしかねえだろ」

 

「……ああ」

 

 武蔵の去った後を追うように、竜馬と隼人も走り出す。その後ろ姿を見送りながら、早乙女博士は「すまん」とただ一言、呟いた。

 

 

 

…………

…………

…………

 

 

 

 剣鉄也は、既にグレートマジンガーで成層圏を飛んでいた。量産型マジンガー「イチナナ式」では、成層圏までの飛行は不可能。宇宙空間スレスレの戦いが可能な戦力は現在、統合軍にはグレートマジンガーただ一機しか存在しない。主力部隊の宇宙への展開が終了するまでに可能な限り百鬼獣を殲滅するのが、鉄也とグレートマジンガーに与えられた任務である。すぐにゲッタードラゴンが応援に駆けつけると通達はあった。ならば、十分に勝機はある。

 

「……見えた!」

 

 すぐに、グレートマジンガーの周囲を地球と宇宙の狭間の大気熱が襲う。しかし、超合金ニューZのボディはビクともしない。そのまま大気圏を突き抜け、剣鉄也は宇宙へ飛んだ。

 

「こちら鉄也、宇宙空間への突入に成功!」

 

 と、同時にグレートマジンガーに装着されていたロケットブースターが切り離される。既に、百鬼帝国は眼前に迫っていた。そして、百鬼帝国の艦首に磔にされていた友の姿を鉄也は肉眼で確認する。

 

「待ってろ、デューク・フリード……!」

 

 グレートマジンガーは単身、百鬼獣の群れへと飛び込んでいく。

 

「鉄也君。今ゲッタードラゴンが出撃した。すぐに合流するはずだ!」

 

 同時、早乙女博士から通信が入る。

 

「了解。さあ、行くぜグレート。今度は鬼退治だ!」

 

 マジンガーブレードを構えて突撃し、周囲の百鬼獣達を蹴散らしていく。一本角の鬼を模した百鬼獣が、その巨大な鋭い爪でグレートマジンガーに迫るが、グレートマジンガーは機敏な動きでそれをいなし、ブレードを構えていない片方の腕をドリルのように回転させ射出する。

 

「ドリルプレッシャーパンチ!」

 

 グレンダイザーのスクリュークラッシャーとよく似た豪腕に貫かれて、百鬼獣は爆発を起こす。しかし、次の百鬼獣がグレートマジンガーに迫り来る。それをわかっていたかのように、グレートは胸部のV字状の放熱版を披露するように大きく見せる。

 

「ブレストバーン!」

 

 鉄也の叫びとともに、グレートマジンガーのコクピット内のモニタに『承認』と表示される。それと同時、放熱版から超高熱の熱戦が放射された。それを浴びた百鬼獣達は、忽ち溶けていく。

 

「お前達も強くなってるのかもしれんが、俺とグレートもこの10年でより強力になってるぜ!」

 

 雑魚の百鬼獣を無視して、グレートマジンガーは最大推力で百鬼要塞へと駆け抜けていく。目指すは、磔になっている友。グレンダイザーとデューク・フリード。

 グレンダイザー1機では不覚をとったかもしれない相手がこの先にいる。強化されたグレートマジンガーでも、そいつを相手に無策で勝つのは難しいかもしれない。だが、グレンダイザーと……デューク・フリードと2人でなら。この後来るゲッタードラゴンと3機でなら。かつて、この3機の連携で宇宙怪獣と戦ったこともある。その連携でなら、どんな強敵にも負ける気はない。

 鉄也の最大目標。それはグレンダイザーとデューク・フリードの救出だった。

 百鬼獣を蹴散らしながら、グレートマジンガーはグレンダイザー目掛けて突き進む。そして、百鬼要塞の艦板へ着地した。いや、無重力空間なので「着地」という表現は正確ではない。ただ、既にグレンダイザーはグレートマジンガーがその手を伸ばせば届くところにいる。

 

「聞こえるか、デューク・フリード!」

 

「ウ…………」

 

 グレンダイザーから、通信音声が入る。懐かしい声は間違いなく、デューク・フリードのものだった。

 

「グレートマジンガー……。鉄也君か?」

 

「ああ、今助ける!」

 

 グレンダイザーを磔ている鎖を斬ろうと、マジンガーブレードを抜く。しかしその瞬間、凶悪なまでの殺気を感じて鉄也は、グレートを振り向かせた。

 百鬼要塞の内部から、一機のロボットが現れた。人型である。百鬼獣の象徴でもある鬼の角もついている。しかし、問題はその数だ。まるで人間の髪の毛のように、鬼の角がその頭部には無数に生えていた。頭部だけではない。その肩部にも、大きな角が生えている。さらに、胴体には人の顔のような目と鼻と口がついており、頭部と合わせて二つの顔を持っている。

 二つの顔。それに鉄也は一瞬、阿修羅という言葉を思い浮かべた。しかし、あしゅら男爵とは違う。怪物的な、あるいは仏教における修羅のような雰囲気を湛えたその機体は百鬼獣でありながら、明らかに異質だった。

 

「フフフ……どうだね。この超羅王鬼の恐ろしさに声も出ないようだな」

 

 超羅王鬼。そう呼ばれた百鬼獣から、声がする。その声も、鉄也には聞き覚えのある声だった。

 

「ブライ、まさか本当に生きていたとはな……!」

 

 ブライ大帝。かつて百鬼帝国の長として地球支配に乗り出した、狂った独裁者。それがこの超羅王鬼と1つになっていた。身体の殆どが機械のコードのようなもので繋がれており、生身と思える部分の殆どに食い込んでいる。それは、文字通りにブライ大帝が、超羅王鬼という百鬼獣のパーツとなっているかのようだった。

 

「フ、フフ……どうやら、この姿が気になるようだな」

 

「ああ。死んだはずのお前が生きて、こんな姿になっているんだからな。一体何者が、何の目的で貴様を再生させたのか吐いてもらおうか!」

 

 超羅王鬼から発される殺気は、一瞬たりとも気の抜けないものだった。もし、グレンダイザーを助けようとして背中を見せたらその瞬間に鉄也は死ぬだろう。そう、直感が告げている。

 

「いいだろう……冥土の土産だ。教えてやる」

 

 

 

…………

…………

…………

 

 

 

 ブライ大帝は、たしかに死んだはずだった。そして、その亡骸は百鬼要塞と共に宇宙を彷徨っていた。

 それを、彼らは見つけ出した。

 彼らは、百鬼要塞の中に朽ちていた羅王鬼と、ブライ大帝の遺骸を修復し、ブライ大帝に残されていた記憶情報を読み取って行った。

 

「そうか……この個体はゲッターに滅ぼされたのか」

 

 彼らのうち一人が言った。

 

「これは、使えるかもしれん。この個体が抱えているゲッターへの憎しみは本物だろう」

 

 彼らの中の、誰かが閃いた。

 

 それから、ブライ大帝の身体を羅王鬼と合体させ、甦らせるための実験が始まった。身体の殆どを機械へと置き換えられた時、ブライは自らが鬼になった時のことを思い出していた。

 彼がまだ人間だった頃、ブライはうだつの上がらぬ科学者として、古代遺跡の調査隊に参加していた。

 その古代遺跡は、南極の氷の下に存在していた。ブライは、優秀ではないが体格も良く若かった。それゆえに先発隊に任命されたのだった。

 そして、遺跡の奥に進んだブライが目にしたのは、古代ミケーネ文明に似た象形文字と、数多くの機械の巨人だった。それが何なのか、若く愚鈍なブライにはわからなかった。しかし、その最奥。一つの面があった。それは、鬼のような形相の面だった。鬼。東洋のデーモン。それに不思議な魅力を感じたブライは、調査隊の中で禁じられていたことをしてしまった。

 即ち、遺跡のものに触れてしまったのだ。いや、触れたなどという生易しいものではない。ブライは、面を被ったのだ。

 すると、無数のイメージがブライに降り注いだ。

 宇宙。争いの海。この古代遺跡は、宇宙船だ。そして、彼らは滅ぼされようとしていた。強大な敵を前に、今まさに滅びようとしていた。しかし、彼らは逃げ延びたのだ。彼らの子孫は逃げ延びた先のこの星で、文明を築いた。そして、この船は役目を終えようとしていた…………。

 

 

「そうか……そういうことだったのか…………」

 

 羅王鬼と一つになっていく中で、ブライは全てを理解した。自分は、ゲッターを滅ぼすためにこの力を得たのだと。そして、ブライを拾い上げた彼らもまた……。

 

 

 

…………

…………

…………

 

 

 

 ブライの語る言葉は、鉄也には信じ難いことだった。

 

「バカな……」

 

 しかし、いくつかの辻褄が合ってしまうのもまた、事実である。

 

「百鬼帝国と、ミケーネ帝国のルーツが同じだとでもいうのか?」

 

 ブライの語るそれは、かつてドクターヘルがバードス島で機械獣と古代ミケーネ文明の遺産を見つけた時の状況と似通っていた。いや、それだけではない。鉄也の脳裏に、半年前に戦った魔神の姿が過ぎる。

 マジンガーインフィニティ。ミケーネ文明の遺産であり、世界を作り替える力「ゴラーゴン」を発動させる力を持った魔神。それの出現と同時に謎の復活を果たしたドクターヘルとその一味。

 古代ミケーネ超文明には、まだ謎が多い。鉄也は確かにミケーネ帝国と戦いはしたが、その全容は未だに明かされていない。いや、人類以前の超文明が地上から姿を消した理由もはっきりしてはいないのだ。

 だが、しかし。

 もしそれらの超文明が宇宙からの来訪者であるとしたら。

 そのルーツが多種多様な進化と、変化と、分岐を繰り返したことでミケーネ文明やハチュウ人類、そして鉄也達人類へと枝分かれしていったとしたら。

 

「……鉄也君、デューク・フリード。君たちは不思議に思ったことはないのかね。地球のマジンガーとフリード星のグレンダイザー。違う星で生まれながらどうしてこんなに似ているのかと」

 

「…………!」

 

「…………ブライ、まさか貴様は」

 

 ブライが何を言おうとしているのか、鉄也とデュークは瞬時に理解した。

 

「それだけではない。ベガ星連合軍の多種多様な宇宙人達と比べて、フリード星人は地球人とあまり姿形も、言語も変わらないではないか! それを不思議に思ったことはないとは言わせん!」

 

 つまり、地球人とフリード星人もまた同じルーツを持つのだと。しかし、それがたとえ真実だったとしても鉄也のやることは変わらない。

 即ち、悪を倒すということは。

 

「だからどうした! たとえお前の仮説が真実でも、お前が世界を征服しようとする悪魔であることは変わらん!」

 

 

 抜いたマジンガーブレードを構え、グレートマジンガーは超羅王鬼へと向かっていく。しかし、超羅王鬼は身体中から触手のようなコードを伸ばし、グレートの四肢を拘束していく。

 

「クッ!……アトミックパンチ!」

 

 拘束を受けた腕を飛ばし、マジンガーブレードで触手を斬って拘束を解く。しかし、斬り落とされた触手はみるみるうちに再生していく。

 

「チッ、なんてやつだ……!」

 

「気をつけろ……鉄也君。奴は全身が凶器のような奴だ」

 

「何の、それなら……サンダーブレーク!」

 

 鉄也の叫び声と同時に、「承認」の文字が表示される。それと同時、グレートマジンガーの指先に蓄えられた必殺パワーの超電力が解放され、超羅王鬼に稲妻が走った。

 グレートマジンガーの必殺武器・サンダーブレーク。宇宙空間ではグレートブースターが射出されても間に合わない。現在、イチナナ式の主力部隊が光子力空母・剣蔵で向かっている。そこには当然、グレートブースターもある。剣蔵が到着するまではグレートブースターなしで戦わなければならない。もし、このサンダーブレークでも倒せないのであれば……。嫌な予感が、悪寒と言ってもいいだろう。そんな感覚が鉄也を襲う。

 

「…………フフフ」

 

 鉄也の予感は、的中した。

 

「全くの……無傷だと!?」

 

「当然だ! この超羅王鬼は、彼らの力で強化されているのだからな!」

 

 超羅王鬼がその鋭い爪でグレートへと迫る。

 

「速い!?」

 

 その巨体に似合わぬ機敏さでグレートマジンガーの眼前へ踊り出た超羅王鬼。回避は間に合わない。鉄也は、咄嗟にマジンガーブレードで防御の姿勢に出た。しかし、超羅王鬼の爪は容易くマジンガーブレードを折ってしまう。

 

「バカな……!」

 

「こんなものかね?」

 

 爪の中央。掌の部分に砲門があるのを鉄也は見た。そして次の瞬間、超羅王鬼の掌からミサイル弾が放たれグレートマジンガーに降り注ぐ。

 

「クッ、グォォォォッ!?」

 

 ミサイルの雨は、超合金ニューZのボディを容易く傷つける。それは、地球の軍事力ではあり得ない超絶な威力だった。

 

「これが彼らの力だよ鉄也君。どうだね、君もこの力がほしくないかな?」

 

 ブライの言葉からは、あからさまな余裕が見て取れた。それが、鉄也の癪に触る。

 

「ふざ……けるな!」

 

「鉄也君、君は強い。しかし君のグレートマジンガーは、この超羅王鬼には遠く及ばないのは今の攻防で理解したはずだ。一方で私も部下を失っているからね。君のような優秀な戦士がほしいのだよ」

 

「俺は……貴様の手駒になどならん!」

 

「剣鉄也。お前も鬼になれ。鬼の思想を植え付けてやろう。人間社会破壊学をな!」

 

「俺は……」

 

 このままでは勝てない。それは紛れもない事実だった。現にグレンダイザーは磔のまま動けず、そしてグレートは倒れ伏し百鬼獣に取り囲まれている。

 それでも。

 鉄也は地球で待っている妻の顔を思った。まだ言葉も話せない息子のことを思った。

 パパとママ。どちらの名前を先に呼んでくれるか競争だとジュンと笑い合ったことを思い出した。

 それが。傷だらけの鉄也の心を奮い立たせた。

 

「俺は、偉大な勇者だ。悪の手先になど、なるものか!」

 

 その叫びと同時、ブレストバーンで周囲の百鬼獣を焼き払い立ち上がる。

 

「そうだぜ、よく言った鉄也!」

 

 それは。懐かしい友の声だった。

 声が響くと同時、超高熱のビームが百鬼要塞周囲の百鬼獣を焼き尽くしていく。

 

「この声……この姿……!」

 

 磔られたグレンダイザーの中で、デューク・フリードはその赤い姿を見た。グレンダイザーが告げた神託にあった姿は、まだしていない。

 

「出たな……」

 

 ブライ大帝は、その姿を憎々しく見つめていた。

 その赤いシルエットこそ、放たれたゲッター線の光こそ、ブライの野望を潰えさせた張本人。

 そして、彼らが滅ぼそうとする悪の化身。

 

「出たな、ゲッタードラゴン!!」

 

 ゲッタードラゴン。百鬼帝国の……ブライ大帝の宿敵の姿が、そこにはあった。

 




TIPS
本作品の巴武蔵

原作では恐竜帝国との戦いで死亡したムサシだが、本作では生き延びて百鬼帝国との戦いまでも生き抜いた設定。
車弁慶はムサシを慕っている後輩で、ゲッターロボの予備パイロットとして早乙女研究所に在籍している。
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