ダンジョンで魔王の道を歩むのは間違っているだろうか   作:クロウド、

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魔王覚醒

「神様、僕のベルトを渡してください」

 

 ―――目の前でモンスターに襲われる人々を見て僕は覚悟を決めた。

 

「……ベルくん、だけどアレを使ったら君は魔王に」

 

 神様は僕にドライバーを渡そうとしてくれない。だけど、今の僕にはアレが絶対に必要なんだ。

 

「神様―――僕は英雄になりたい……悲劇のヒロインなんかどこにもいない誰もを救える英雄に」

 

「ベルくん……。」

 

「わかってます……そんなものは物語の中でしかできない空想だって。」

 

 幼い頃から見てきたライダーの歴史、その中に何一つ犠牲を出さなかったライダーなんていなかった。中には仲間や、大切な人を失った人さえいる。

 

 ()()()の王道だって、決して平坦な道のりなんかじゃなかった。未来の自分の姿に絶望し、様々な苦難に見舞われ、仲間を失い、それでもあの人は全てを救ってみせた。そして、その力は今僕の中にある。

 

「だけど、今目の前にそれすらなし得る力があるんです!だったら、僕はたとえそれが魔王の力だって、喜んで受け入れる覚悟がある!」

 

 ―――その時、僕の左腕にに巻かれたライドウォッチホルダーにセットされたブランクウォッチが輝き出す。

 

『ジオウ!』

 

「これは……!」

 

 それは若かりし王が使っていたライドウォッチと同じもの、僕はホルダーからウォッチを取り外し強く握りしめる。

 

「ついに覚悟を決めたようだね、新たなる我が魔王よ」

 

「「ウォズさん(くん)……」」

 

 いきなり現れた黒衣の男性、僕にジクウドライバーとブランクウォッチを渡した張本人、オーマジオウの従者ウォズ。そして僕を新たなる魔王と仰ぐ人物。

 

「貴方の王はオーマジオウでしょう……。」

 

「だから、君に従っているのさ。君という新たな魔王に……そのウォッチが覚醒したということがなによりその証拠だろう?」

 

 ウォズさんの言葉が理解できる。この力を使えば、もう後戻りはできないと思う。だけど、迷いはない、覚悟はもう―――決まってる。

 

「神様っ!」

 

 コレで必要なものはあと一つ、僕は神様に手を差し出す。彼女が僕から預かったジクウドライバーを受け取るために。神様は渋ろうとするが、ようやく懐からドライバーを取り出す。

 

「わかった、渡すよ……。」

 

「神様……。」

 

「だけど約束してくれ、絶対に最低最悪の魔王なんかになるなっ!君は、君のままでいてくれ!」

 

「ッ……!はいっ!誓います、たとえ魔王になったとしても、僕は最低最悪の魔王になりません!」

 

「さぁっ!新たなる我が魔王よ、誕生の儀に必要なものは全て揃った!」

 

 僕が神様に誓いを建てると、ウォズさんは高らかに宣言し、『真逢魔降臨歴』を構え祝福の準備をする。

 

『ジクウドライバー!』

 

 ドライバーを腰に押し当て、ベルトが射出され腰に固定される。そして、ライドウォッチを持った手を前に突き出し、ウェイクベゼルをを回してジオウの顔に合わせ上部の起動スイッチ、ライドオンスターターを押し込む。

 

『ジオウ!』

 

 起動させたライドウォッチをジクウドライバーの右側D'9スロットにセットして、ロック装置であるライドオンリューザーを押し傾ける。

 

 背後に巨大な時計のエフェクトが現れ、腰を落とし右手を左上に構える。そして、歴代のライダーたちが自分を戦士へと変えたあのセリフを叫ぶ。

 

「変身っ!」

 

 左手を一気に下げ、その勢いでベルトを一回転させる。それと同時に()()()()()()

 

『ライダータイム!』『カメンライダー・ジオウ!』

 

 背後の時計が10時10分を示し、さらにこの世界とは違う文字で『ライダー』の文字が浮かぶ。時計のバンドのようなものが僕の体の周りを回転し、ジオウの鎧を形成し、背後の時計から文字が飛び出し顔に刻まれることで仮面ライダージオウへと変身を完了した。

 

「祝えっ!オラリオに住む全ての人々よッ!」

 

 ウォズさんは真逢魔降臨歴を開き高らかに声を張り上げて僕を祝福する。

 

「時空を超え、過去と未来にその名を知らしめた時の王者。その名も仮面ライダージオウ!この陰謀と欲望の溢れる迷宮都市に新たなる魔王が誕生した瞬間である!」

 

 その声につられモンスターたちの視線がこちらに向く、だが、今の僕にはむしろ好都合だ。

 

「ウォズさん、神様をお願いします」

 

「任されよう。さぁ、新たなる我が魔王、存分に戦われよ」

 

「行って来い、ベルくん!」

 

「はいっ!」

 

 僕は街に跋扈するモンスターに向かって駆け出した。

 

 ―――こうして僕は魔王の道を歩み始めた。




「おっと、私としたことが少々読み飛ばしてしまったようだ。
皆さんにとって少しだけ未来の話しをしてしまったようです。
 それでは我が魔王の物語をお楽しみください」

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