<遊戯王の話>
フリーで満足民と戦いましたが、あいつらヤバイ。マジでヤバイ。
フリーでソリティアはNGだと思いました(KONMAI感)。
2015/03/27
リアルが少し落ち着いたため執筆再開
ケイネスが召喚した英霊は、今世を生きるものならば知らぬものは少ないと断言できる人物だった。
伝説上の人物、存在が疑われた――などそんなものではなく、誰もが一度は耳にしたことのあるであろう組織の重鎮。
ナチス・ドイツ――金髪の野獣、ラインハルト・トリスタン・オイゲン・ハイドリヒ。
納得できる。この人物の生前の行為はまさしく偉業。人にとっては英雄とも呼べる人物だろう。
だが、この圧力はなんだ。
彼はこのような力を持っていたのか? それはない。彼はただの人間のはずだ。魔術士ではなく、特異な能力を持っていたわけでもない。では何故だ。
ケイネスには分からなかった。彼は近世の英霊だ。神秘という意味でもこのような力を得ているのは不可思議。
いや、それだけではない。
彼のクラスは"ランサー"。何故セイバーやライダーではないのだ。史上ではフェンシングが堪能で空軍のパイロット経験があると伝えられている。しかし槍、それについては聞いたことがない。
そして、問題はそれだけではない。
彼は近世の英霊。つまり参加マスターから見てみれば彼の真名は明らかなのである。
聖杯戦争において情報アドバンテージはとても大きな要素だ。真名を知れば弱点、宝具、そして戦い方が知られてしまう恐れがある。
故に彼を序盤から聖杯戦争に参加させるのはあまり推奨される行為ではない。
しかし此方からある程度は行動しなければ向こうの情報は得られない。
まずは序盤、どう行動するかを考えればならない。
次に考えなくてはならないことは彼の運用についてだ。
近世の英霊らしからぬ神秘を保持すると思われるランサーの魔力消費はすさまじい。
ソラウと二人がかりで維持に努めてはいるもののそれでも足らなかった。
現界だけならばどうにか可能であるが、彼が宝具――聖遺物を使用するとなると話は別だ。
彼の力はすさまじい。確かにあの力を十全に振るわせることが可能であればこの聖杯戦争は勝ったようなものだろう。だがしかし、今のケイネスらにはその力はなかった。
ランサー足りえる宝具の真名開放、それが叶わないのだ。
どれだけ強力な英霊であってもその力を振るう事ができないのであればただの身体能力の高い人間と考える事もできる。
故に今必要なのは安定的な魔力の補給源。
ケイネスは近くに置いてあった冬木の地図を眺めた。
(霊脈を上手く使用するほかないか)
候補は複数あるが、ケイネスが手を出せる場所となると限られてくる。
「危険を承知で赴くしかないか」
最強足りえる英雄を召喚したはずなのに前途多難なケイネスである。
*
月日は流れ、冬木のコンテナ街。そこには二つの陰が対峙していた。
片方は煌びやかな鎧を身に纏いその様相はさながら騎士のよう。もう片方は蒼の外套で手には一冊の書籍を携えている。
街中の喧騒もここまで離れられれば気にはならない。時間的にこの場に立ち入るものも皆無である。つまり邪魔者は入らない。
「ここまで似ているとは、神は私をどこまで愚弄すれば気が済むのか」
蒼がひとりごちる。その言はどこまでも暗く、憤怒の念が篭っていた。
「これが神が与えた試練だとも言うのか。認めん、断じて認めん。私は決して諦めぬ。
――故にそこな英霊よ!! その身朽ち果て我が糧となれ!!」
蒼――男は慟哭する。その目は濁り決して現実を捉えることはない。病的なまでの執念だけが、彼を動かす燃料なのだ。
「糧となるのは貴公の方だ。私は目的を果たさぬ限り、倒れるわけにはいかない」
しかしながら騎士も下がる訳にはいかないと、青い瞳を輝かせ男を見つめる。
どちらも下がるつもりはない。戦闘は必至であった。
「ならば――」
もう二人の間に言葉はない。これから始まるのは人外の闘争。唯人には理解できぬ領域。
聖杯戦争が始まる。
まず動いたの外套を羽織る男。男は騎士から距離をとるかの如く後ろへと大きく後退する。
騎士は対して前に踏み出す。見かけどおり近接を重視するスタイルのようだ。騎士は手に持つ見えない獲物を構え、男に斬りかかる。その動きは素早く、一息で騎士のキルレンジに入った。
しかし男は焦らない。まるで予定調和かと言うかの如く不気味な笑みを浮かべた。
「Ph’nglui mglw’nafh Cthulhu R’lyeh wgah’nagl fhtagn」
――死せるクトゥルー、ルルイエの館にて夢見るままに待ちいたり。
男の影が爆ぜる。現れるのはこの世の生き物ではない何か。
その何かは鋭利な牙を突き立てるべく、騎士へ飛びかかった。
「海魔――!?」
騎士は一目でその正体を見破る。だがしかし、騎士は踏み込みすぎていた。
騎士にとってのキルレンジは男にとってのキルレンジでもあったのだ。
「Ia! Ia! Cthulhu fhtagn!」
「くっ――」
騎士は攻撃を中止し、見えない何かにて海魔を迎撃する。だが、男から湧き上がる海魔はその数を爆発的に増加させていく。
いつしか男の前には壁ができた。海魔という厚い壁はその物量にて津波の如く騎士を押し飛ばしていく。
「ほう、やはり貴様はセイバーか」
「如何にも。そして貴公はキャスターだな。面妖な」
見えない何かは海魔の大量の体液が付着しその姿を現していた。両刃剣、典型的な西洋剣だ。
「この数の我が神の眷族に何が出来る? 大人しく餌となればよかろう」
「フッ、勘違いしてもらっては困る。この程度、生前に嫌というほど味わっている!!」
轟、音と共に海魔たちは宙を舞う。
「その輝き……そうか、貴様が――」
男は目を見開く。騎士の獲物、剣がその透明のベールが剥がれ、黄金の輝きで夜を焼いたのだ。
これほどまでの剣、推測するまでもない。男の脳裏を掠めるのはとある伝説。選定の剣から始まるそれは、あまりにも有名すぎた。
「貴様がブリテンの騎士王か」
「如何にも、私はアーサー・ペンドラゴン。ブリテンの王だ」
「ならば、こちらもそれなりの対応をせねばなりますまい……Ia! Cthulhu!!」
次に生まれるは今までと比べてはるかに巨大な海魔。海魔はその触腕にてセイバーを掴もうとする。
しかしセイバーは一息でその触腕を両断。そのご正眼に構えキャスターを睨んだ。
「このような木偶の攻撃では私には届かない!!」
叫ぶセイバー。状況はセイバーの方が優勢というところだが相手は魔術士、本来ならば正面から戦うクラスではないのだ。
基本的にクラスはサーヴァントの適性をあらわす。例外的に複数の条件を満たす場合があるが、大体の思考は想定可能だ。
キャスターというクラスながらセイバーと戦っている事態に、本来ならば疑問に思うはずである。
つまりは何かしらの対策はしており、この状況こそが罠という可能性も大いに考えられるのだ。
「恐れ多くも神の眷属を木偶呼ばわりとは、よほど死にたいと見える。だが忘れてはいまいな? 貴様はキャスターに戦いを挑んでいるのだぞ?」
「!?」
セイバーの影が蠢く。
セイバーは一転、焦った表情でその場を離れようとするも好意虚しく影が爆ぜる。
「一撃では命までは獲れぬだろうが……とりあえず片腕でも貰っていくとしよう」
セイバーの影から出てきた海魔はその口を開け、鋭利な牙をその獲物に向ける。
セイバーは自身の剣で海魔を切り裂こうとするが間に合わない。
海魔の牙がセイバーの腕に突き立つ。防護のための装備は少々の抵抗を見せるが無慈悲に牙はセイバーの肉体に埋もれたのだ。
ゴリッというような音があたりに響き、鮮血が舞い散る。
キャスターはその口を三日月状に歪める。セイバーはその姿に男の本質を見たような気がした。
だが、セイバーも最優と呼ばれるサーヴァントだ。このまま引き下がる訳にもいかない。
食い破られた防具ではあるが、刹那の時間を稼いでくれた。その刹那はセイバーに一縷の希望を与える。セイバーは器用に手首を捻り、その刃を無理やり海魔に届かせた。
海魔は何の抵抗もなくその姿を崩した。セイバーは直に体勢を建て直し、再び剣を構える。だがしかし、左腕には痛々しい捕食痕が赤い色と共に存在していた。
「やはり現実、上手いようにはいかぬようだ。だがセイバー、その状況では当分満足に剣を振るうことはできまい?」
「なんと卑怯な……」
「恨むなよセイバー、これも戦いだ。騎士道や作法などとほざくのであれば、疾く海魔の糧となるがよかろう」
キャスターの影から再び海魔が解き放たれる。
その数は先ほどの比ではない。ここでセイバーを刈り取るつもりなのか、大群であった。
セイバーは悔しそうに声を漏らす。剣に頼る英霊がその武器を十全に扱えぬのだ。ここまで悔しいことはないだろう。
「Ia! Cthulhu!」
海魔たちは一斉にセイバーに飛びかって行った。
青髭さんは狂人ですがこんなキャラでいきます。
ディルムッドさんの代替に選ばれてしまったせいかキャスターなのに前線で戦うキャラと化す。不憫で仕方がない。しかし頑張るじるどれさん。知略を駆使して戦います。
しろう「なんでセイバーとジャンヌ間違えないの?」
じるどれ「胸」
しろう「ゑ?」
じるどれ「胸」