秋哉、モテ期到来か・・・?
ってかモテてくれなきゃこの話成立しなかったですね笑
沙綾との一件が無事解決してから数日。ようやく週末である。結局部活動には参加しないことを決意した俺はバイトと2週に1回の草野球に勤しむことにした。
「なんか内容の濃い一週間だった気がする...」
今日は土曜日なので朝からしっかりバイトなのだが、ちょっといつもより荷物が多い。まぁその理由は後で説明するとしよう。
裏口からバックヤードに入ると既にイヴとつぐが来ていた。
「お、おはよう秋哉くん!」
「おはようございます!!」
うん、2人とも通常運転。
2人に遅れて俺も支度を済ませマスターと厨房に入る。イヴがいる日は2人にホールを任せておけばいいので厨房業に専念できる。イヴもまた仕事を覚えるのが早いこと早いこと。俺より即戦力だね、新人王。背番号2番あげちゃう。
午前10時、開店である。・・・と、早々に来たのは、
「あ、いらっしゃい」
「ねぇ聞いてよつぐー」
Aftergrowの本家イジられたn...失礼、ベース担当のひまりである。
この時間に1人で来る時ってのは・・・
「蘭ってばまたさー」
「うんうん、」
愚痴をぶちまける時である。
まったく、ここはカウンセリング室か。
苦笑いをしながらコーヒーを淹れる支度に取り掛かる。今日は甘めがいいかもな。
「まぁまぁ、いつもの飲んでゆっくりしよう?私も付き合えるだけ付き合うから!」
「秋哉ー!思いっっっっきり甘くしてー!」
「はいはいもうやってるって。」
ま、こんなもんよ。ちなみにどっかの誰かと違ってひまりは早々に俺が厨房を任されるようになったことに気づいた。もちろんコーヒー淹れてることも。そう言う細やかさも実はあるのよこいつ。
平常時よりも砂糖とミルク増し増しで作ったカフェラテ(と言うよりここまでくるとコーヒー入り牛乳)をひまりの元に届けつつ雑談に参戦する。
「で、今度はどした。」
「まーた最近お父さんとうまくいってないらしくってさぁ。完全に八つ当たりだよー」
「思春期だな。」
「そんなんで片付けられるほど単純じゃないのー!...っていうかおいし。」
「お前どんだけ糖分欲してたんだよ...」
「蘭ちゃんなりの答えを探してはいるみたいなんだけど...」
「お父さんとしては華道の道を継ぐって選択肢以外は頭にないみたいでさー。」
「親子揃ってカタブツだよな、美竹家って。」
「あんたの家が自由すぎるだけだから!!」
「そうとも言う。まぁあいつも悩んでてもなかなか言葉にしたがらないからなぁー」
「そうなんだよねぇーだからってこっちから聞きに行くのもなんか違うじゃん?」
「「「うーーーーん...」」」
カランコロン
「あ、ひまり。来てたんだ。」
「お、ちょうどいいところに...どわっ!」
「あ、あぁー蘭偶然だねぇ!」
「い、いらっしゃい蘭ちゃん!いつものでいい?」
「うん...で、秋哉たちは何やってんの?」
後方からひまりに突如口を塞がれ半分パニック状態なんですが。
「びっくりした...」
「いきなり詰め寄ったら蘭が怒るでしょ!あの子ああ見えて繊細なんだから!」
とんでもない言いようである。
ようやく俺を解放したひまりは蘭の向かいに移動しAftergrow御用達の”いつもの席”に収まった。
コーヒーが入ったところで再びの雑談タイムである。っていうかここまで他のお客さんを全てイヴに任せっきりじゃん。がんばれ。
「はいお待ち...なんかやつれた?」
「うるさい。」
「ちょっと秋哉デリカシーなさすぎー」
「いや、こういう時ってなんて言えば...なんか疲れて見えるっていうか。まぁ新学期始まったばっかだしそんなもんか。」
「でも蘭ちゃんここのところちょっと頑張りすぎな気がするよ。無理してない?」
(((つぐが言うことじゃないよ・・・?)))
「大丈夫だってば。アタシはいつも通りだから...どしたの2人して。」
「いいならそれでいい。」
「そういえば...さっき3人で何話してたの。」
あ、気になるんだ。意外にも甘えたがりなのが美竹蘭。この天邪鬼どーにかしてくれ。
さぁどうする、リーダー。
「うーんと、世間話?」
「...嘘」
「下手かよ...」
「ちょっと無理があったかな...?」
「最近蘭が心配だってひまりがこぼしに来たんだよ。」
「っ!...別になんともないし。」
「あっそ。だってさ、よかったなひまり。」
「え、終わり?!」
「だって本人がなんともないって言ってる以上掘り下げようないし。仕事あるし。」
「もーっ、冷たいんだからぁー」
「せめてコーヒーは冷めないうちにどーぞ、ってか。」
「なんか今日の秋哉感じ悪い。」
「うひゃー辛辣だねぇ。じゃあその鋭い切れ味のままに本音吐いちゃいなよ。」
「それはっ!」
「相変わらず役者だなぁー」
「だっ、騙したの?!」
「んー、強いて言うなら誘導?あ、注文入ったから。ごゆっくり〜」
「ちょ、秋哉!」
「結局転がされちゃうよねー」
「う、うるさい。」
結局その後あの2人がどんな話をしていたかは確認できなかった。ひまりのやつうまく聞き出せたかな。
「おーい、お昼休憩入っていいぞー」
「「はーい」」
「お疲れ様です!」
3人揃って昼休み。怒涛のランチタイムを切り抜けた後のマスターの賄い飯ほど美味しいものはきっとこの世には存在しない。
「そういや、2人は部活決めた?」
「ワタシは茶道部と剣道部に入りました!」
「どっちか迷ってるとは聞いたけど、結局兼部したんだ!やっぱり茶道部は和服でお茶建てるの?」
「ハイ!これぞ日本の伝統です!」
「つぐは?」
「私は考え中というか...秋から生徒会行こうかなって。」
「生徒会かぁ。俺には縁のなさそうな仕事やなぁ。」
「そうかな?秋哉くんなら結構うまいことやれそうな気がするけど...」
「そうかな?」
「アキヤさんは何かやられるんですか?」
「あぁー俺はねぇ。」
ここで言葉を切って苦笑いを一つ。いやー野球部の他にも仮入部に入ったんだよ、一応。ただどこの部も大概似たような反応ばっかでさ。
「...部活諦めたよね。」
「え、入らないの?」
「だーって誰も歓迎してくれないんだもん。みんなプライドばっかやたら高くてさー。商店街のみんなと草野球してた方が何十倍もマシってもん。」
「それは秋哉くんがすごすぎるよ...」
「やめろよ照れるじゃんか。」
「それは自分で言うことじゃない...かも?」
いつも通り雑談に花を咲かせつつみんなが昼食をとり終えたところで
「実は今日ちょっとデザートがあってさ。」
「え、なになに!」
やはりこの手の話には食いつきがいいよな。
「こないだのお礼とマスターからのミッションも兼ねてるんだけどね。駅前の通りに新しくお茶の葉の専門店ができたの知ってる?」
「あ、お父さんが言ってたやつ!」
「そう。あれ俺の家と駅の間にあるから学校終わりに偵察がてら寄ってきたの。そのお土産。ちょっと味見してみない?ついでに相性の良さそうなお菓子作ってみたからさ。」
「ありがとうございます!!」
「えぇ、いいの!ありがとう!!」
「えーっと、つぐがこっちで...これがイヴ。」
「これは...日本茶ですね!」
「そう、茶道部入りたいって聞いてたから。ちょっと和菓子的なのも作ってみたんだー」
「わぁかわいい!!私のお茶は...ハーブティー?」
「そう。俺一時ハーブティーにすごいハマってさー。その中から厳選してみた。まぁ有名どころかもわからんけど。」
「カモミールかぁ。お花も綺麗だよね!」
「こっちはさっぱりめにチーズケーキにしてみた。今両方淹れるね!」
お湯を沸かしている間にティーポットや諸々の食器を準備していると、
「あ、ちゃんと急須と湯呑みまで。さすが。やっぱ日本茶は急須で淹れなきゃだよねー」
「雰囲気かもしれないけどそれでも大事だよね!」
「はーいお待たせ〜」
「ステキな香りです!ツグミさんのハーブティーも綺麗ですね!」
「うん、とってもいい香り!」
「なんだか随分いい香りが...」
「あ、マスターもお茶飲みますか?」
「あ、もしかしてこないだのお茶っ葉屋行ってきてくれたのかい?」
「はい。じゃあマスターには紅茶を...」
「なんだか秋哉くんは将来いい主夫になれそうだね。」
「はは、確かに生活スキルは高いかも。」
「確かに、秋哉くんっていい旦那さんになりそう。」
「まぁその前に相手がいるかだけどね。」
「い、いるよゼッタイ!」
「だといいんだけどねぇ〜」
お昼休憩を終えて午後の部始動である。
カランコロン
「あ、秋にぃー!」
「おう、いらっしゃいあこ...ん?お連れさんかな?」
「あれ、秋にぃってりんりんと会ったことなかったっけ?!」
「えっ...?」
りんりん、りんりん・・・しばらく頭の中で
「もしかしてりんさん...?」
「は、はい...はじめまして...でいいん...でしょうか?」
ん?俺違う人と勘違いしてる?俺の脳内検索エンジンに該当する人とのギャップすごいんですけど。
もし検索結果と同一人物なのであれば、彼女は俺とあこのゲーム仲間の人で、情報収集能力や俺ら2人の後方支援に長けたバチバチのゲーマー・・・のはずだけどホントにあってます?
「えっと...改めまして、福本秋哉です!いつもお世話になってます...かな?」
「白金...燐子です...」
あ、合ってるし。オンとオフの落差すげぇな。俺もあこも年がら年中オンの状態だからその辺よくわかんないしてっきりりんさんも”同じ側”の人だと勝手に思っていた。なんかすいません。
「あのぉ、差し支えなければいつも通りな感じで話してくれていいっすよ...?」
一応年齢で言うと俺の一個上にあたるはずなんだけど、妙に腰が低いような。いやまぁそれは普段ゲーム中もそうなんだけど、今日はそこに拍車がかかってる気がする。
「あ...あの、その...すみません、私...すごい人見知りで...」
あぁそゆことね、納得。ってそれはそれで失礼か。
「あ、そうでしたか。ボイスチャットと直に会うのとじゃちょっと感覚違いますよね。」
「あの、秋哉さんは...いつも通りでいいです...お話しするのは慣れてますし...ただ、しばらくはちょっと緊張しちゃうかもしれません...すみません...」
「あ、おっけーっす。で、今日はりんさん紹介しに来てくれたの?」
「ううん、今日はねーもーーーーっとすごい人が来るの!」
「え、何どゆこと?」
「ふっふっふー実はね、あこたちバンド始めるんだ!」
「え...えぇっ!!!」
おいマジかよ。って待てあこ『たち』ってことは・・・
「りんりんも一緒にやるんだ!」
おいおいおいおいまじか!見るからに対人恐怖症だぞこの娘。
あ、でもそっか
「りんさんてピアノやってたんでしたっけ。」
「はい...少しだけ...」
前言撤回、納得だわ。
「で!この後残りのメンバーと合流することになってるんだ!」
「なるほどね。」
いつものカウンターでなくテーブル席に通して正解だったな。と、
「いらっしゃいませ!3名様でしょうか?」
「あーえと、待ち合わせしてるんですけどー」
「あ、友希那さん!」
てことはこの人たちがあこのバンドメンバー?ちょっと想像してたのと違う。なんか圧がすげぇ。・・・ってあれ?この感じどこかで・・・
「いらっしゃいませ、ご注文は?」
「2人ともコーヒーでいい?」
「ええ」
「構わないわ」
「じゃあコーヒー3つ、ホットで。」
「かしこまりました。」
「あれ...?」
「?どうかなさいましたか?」
「あ、いや!なんでもないですー」
なんかめちゃくちゃジロジロ見られたけどホントに平気か?
「なぁイヴ、俺の顔になんかついてたりする?」
「いえ、いつものアキヤさんですよ?」
「ならいいんだ、サンキュ。」
でもなんだこの違和感。どっかで会ったことでもあるのかな・・・前にこっちにいた時に会ってるのかもな。まぁいちいち会った人の顔片っ端から覚えてるわけじゃないし、さっきの人には申し訳ないがきっと人違いか何かだろう。
「お待たせしましたーホットコーヒーです。お砂糖やミルクはいかがいたしますか?」
「あ、アタシはブラックで平気です!」
「私もそのままで。」
「頂くわ。」
「かしこまりました。少々お待ちください。」
角砂糖とミルクを用意して席に戻ると、
「あ、紹介します!この人が福本秋哉さん!あこの幼馴染でドラマーです!秋にぃ、ここにいるのがヴォーカルの湊友希那さん、その隣にいるのがギターの氷川紗夜さん。で、りんりんの横にいるのがベースのリサ姉!」
「ちょっとアタシだけフルネームじゃないのよしてよー。今井リサですっ、よろしくね☆」
「そして我ら5人合わせて、Roseliaなのだ!」
「ほぉー」
「友希那さんとリサ姉は羽女で、りんりんと紗夜さんが花女だよ!あこ以外はみんな2年生なんだ!」
「みんな年上か...えっと、あこがお世話になりますー」
「あはは、何それ保護者みたいじゃーん!」
うっひゃーコミュ力高ぇ・・・まぁ見た目からして今井先輩はそういう系よな。んで後の2人めちゃくちゃ怖いじゃん。ホントにこれで一つのグループなの?あこ大丈夫なのかな・・・
「宇田川さん、私たちは喫茶店の店員さんと世間話をするためにここに来たわけじゃないんですよ。」
「そうよ、Roseliaに馴れ合いはいらない。」
こっっっわーーーーーーー
怒った沙綾の5倍くらい怖いじゃん。
「ご、ごゆっくりー」
「ねぇねぇ秋哉くん、あこちゃんたちといるあの銀髪の人、もしかして湊友希那さんじゃない...?」
「え、知ってんの?」
「うん、羽女では結構有名な人だよ。お父さんが元アーティストで、湊先輩もすっごく歌が上手いんだって!」
厨房から遠巻きにあこたちの席を眺めていたら片付けを手伝いに来てくれたつぐにそんな話を聞かされた。あぁ、そういやヴォーカルって言ってたな。
「でもなんであこちゃんが一緒にいるんだろ...」
「バンド、組むんだってさ。」
「え、そうなの?!」
「俺もびっくり。」
「すごいなぁあこちゃん。湊先輩とバンドやるんだ...」
「それ、蘭が聴いたらしばらく口聞いてもらえなくなりそう。」
「そ、そんなつもりじゃないよ!蘭ちゃんだってすごいんだから!」
「おう、つぐも負けずにがんばれ。」
「う、うん!」
「すいませーん、お会計いいですかー?」
「あ、はーい」
「えーっと、合計で...」
うーん、やっぱりアタシこの子どっかで見た気がするんだよなぁ。なんかすごいオーラ感じるっていうか、友希那もすごいんだけど、それと同じくらいのナニカがこの人にはある気がする。
「あの...どうかしましたか?」
「えっ?!あ、ごめんなさい!えっと...」
「会計はご一緒でよろしいですか?」
「いいでーす。」
「えーとこれがお釣りで...あの、もしかして俺の顔になんかついてたりします?」
「え、いやそのホントにごめんなさい!何にもついてないんですけど...」
「けど?」
「アタシたち...前にどっかで会ったことあります?なんか初対面な気がしないっていうか...」
「わっかんないっすけど...俺中学入るくらいまではこっちに住んでた時期あるんで、もしかしたらそん時どっかで会ってるかもっすね。」
「そっか、あことは幼馴染なんですよね。」
「あの、あこのことよろしくお願いします。」
「あはは、任せちゃってくださいっ☆」
「あ、別に敬語じゃなくていいっすよ、俺のが1コ年下ですし。」
ん?1コ下?!
「え、高校生なの?!」
「そうっすねー」
「え、どこの学校?」
「清嵐っす。ってこの流れまさか...」
「えーっ!めっちゃ頭いいとこじゃん!!」
「だよな」
何このハイスペック男子高校生。めちゃくちゃ面白そうじゃん〜
「リサ、何やってるの。早く行くわよ。」
「あ、ごめんごめーん。じゃ、ごちそうさま。また来るねっ☆」
「ありがとうございました〜」
なんでだろ、なんかすっごく彼のことが気になる。通ってる学校聞き出せたし、今度1人のタイミング狙って突撃とかしてみよっかな〜
「また来るねっ☆ってウィンクして帰ってった。」
「へぇー」
Roseliaの帰還後ひょっこり顔を出した沙綾と先程の出来事を振り返っていた。ここにいた間の俺の人間関係はイコール沙綾の人間関係と言っても過言ではない。俺が忘れてても沙綾ならわかるかもしれない。
「なんか前に会ったことないかって聞かれたんだけど沙綾知らない?」
「今井リサ先輩...うーん、ちょっとわかんないなぁ。」
「え、沙綾が知らないとなるとホントに人違い説あるぞ。」
「人違いなんじゃない?」
「...だな。」
結局結論はそこでまとまった。
ー2日後ー
「あ、ルーズリーフ切れた。バイトもないし買って帰るかぁ。なあ冬ー帰り道に本屋ってあるー?」
「羽丘の駅ビルん中にあるぞ。」
「サンキュ。」
「そーいやおめぇ見かけに合わず読書家だったな。」
「一言余計だっつの。」
「ほんじゃまた明日ー」
「ん?あれってもしかして...ラッキー☆」
前回から時間が空いてしまい申し訳ありません!誰ですかね週一投稿するとか言ったやつ←
さあ次回は・・・デート回になるか?お相手はきっとアノ方ですね。
ちなみにみなさま覚えていらっしゃるでしょうか?秋哉くん、リサ姉と一瞬だけ会ってますよね。
どこで?ってなっている方はぜひ、#5 夕食にはコロッケを を今一度読み返していただければわかるかと思いますよ!
それではまた次回まで。