俺の家が女子高生の溜まり場になっている件   作:かしら

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本日は秋哉クンのもうひとつの趣味というか特技のお披露目です。
ちょっとてんこ盛り過ぎるかもしれんが周辺の人達もみんなてんこ盛りだから大して気にならないんじゃないかなぁと思ってます笑


#5 夕食にはコロッケを

つぐみと買い物兼昼飯を済ませ羽沢珈琲店でのバイトも決まった。ひとまず春休みの間は時間を持て余すような事にはならなそうだな。

帰り際のつぐの挙動が少し気になったけど、よくよく考えりゃあいついつもあんな感じか・・・ってそれは失礼か。

なんて考えながら歩いていると、

 

 

「あれー?あれあれー?アキくんだ!」

「お、はぐみじゃないか!元気か?ってこの質問は愚問か?」

「?よくわかんないけどはぐみはいつも元気だよ!それで、なんでアキくんがここにいるの?」

「こないだ引っ越して来たんだよ。高校はこっちの学校通うことにしたんだ。」

「え、こっちの高校って花女?!」

「こらこらはぐみ、そこは女子校だぞ。俺が行ったら首飛んじゃうから。」

「じゃあ羽丘?」

「残念ながらそこも女子校だな。俺が通うのは清嵐。」

 

 

あれ、デジャブの予感。

 

 

「清嵐って...えぇっ!」

 

 

あぁ。これ会う人全員やらなきゃなやつだ。

 

 

「清嵐ってソフトボールで全国行ってる学校だよね!アキくんすごい!」

「お、ちょっと違う角度から来たか。あーそういやソフト強いって言ってたなぁ。はぐみは今でも地元のチームで?」

「そう!この間の試合ではぐみノーヒットノーランしたんだよ!」

「やるじゃん!もうこの辺じゃ敵無しかな?」

「でも相手のピッチャーも凄くてヒットは打てなかったんだよね...」

「あ、そっかはぐみは4番でエースだもんな。」

「ねぇねぇ、久しぶりにキャッチボールしようよ!はぐみ、前より球速ずーっと上がったんだよ!」

「え、今から?!まぁでもこの後予定無いしいっか。道具だけ取りに帰っていいか?いつもの河川敷だろ?」

「うん!はぐみも配達の帰りだから荷物取りに行くね!じゃあ後で!!」

「張り切ってんなぁ。」

 

 

こうなったら俺ものんびりしてられねぇな。

グローブまともに触んの中1以来だけど手入れだけはちゃんとしてあるし、身体もなんやかんやでトレーニングしてるおかげで多分動く。急いで家に戻るとしよう。

自転車欲しいかもなぁ。なんて思いながら家に到着。

 

荷物を持って動きやすい格好に着替えて再び家を出る。こっちにいた頃は小中と野球をやっていた俺ははぐみと引っ越す前もこうやって一緒に練習していた。

大阪に行ってからはご存知軽音部。もともと部活はやらないつもりだったから向こうの学校の野球部はちゃんとは見なかったけど、そこまで強豪ってわけじゃなさそうだったな、知らんけど。

 

河川敷に向かう道中で同年代らしき女の人2人組とすれ違った。この辺の人なのかな。結構可愛かったぞ今の人たち。なんか一瞬こっちの方見て不思議そうな顔した気がしたけどまぁ言ってしまえば新参者な訳だから仕方ないよな。中学では見なかったから別の学校かな?あ、前住んでたとこと学区違うかもこの辺。あれ俺さっきの人たち相当気になってる?なんていうか、似たオーラっていうか、圧っていうか・・・

多分、音楽やってる。勘だけど。

 

 

「あ!来た来たー!」

「悪りぃ、待たせちゃったかな。」

「全然へーきだよ!早くやろ!!」

「わかったからそうはしゃぐな。ちゃんとアップしなきゃ怪我すんぞ。」

「はーい」

 

 

なんつーか、ホントまっすぐなんだよなぁ。清々しいほどに。こんなにも純粋無垢なのはぐみくらいだぜ。なんて思いながら2年前とほとんど背丈の変わらない幼馴染を見る。華奢に見えて運動センスバツグンなんだよね。リーチが短いぶん長打量産というイメージはないのだが、それでも地元のソフトボールのチームでは4番を任せられてるくらいだからそこも持ち前のセンスでカバーしてるのだろう。

 

 

「よし、じゃあはじめっかー」

「おっけー!いくよー!」

「うわーやっぱソフトはでけぇな...」

 

 

野球ボールに比べて何倍も大きいソフトボールに若干戸惑う。やっぱ感覚鈍ってるなぁ。

つか、久々なのに躊躇なく投げ込んでくんなよなぁ。球質重すぎ。捕るたびにグラブがバシッといい音を鳴らす。

 

 

「久しぶりにキャッチボールできて楽しいよ!」

「そうだな...っと。相変わらずいい球放るなぁ。きちんと構えたとこ来るもんな。」

「アキくん相手だとコントロール良くなるんだよね!」

「そらありがたいことで。もーちっと離れていいぞー」

「おっけー!」

 

 

さてと、そろそろ温まったかな。

 

 

「そろそろ投げっか?」

「うん!さすが、タイミングばっちりだね!」

「何年受けてたと思ってんのさ。とはいえ、久々だからちょっと捕るのコワイかも。」

「だいじょーぶ!今日のはぐみゼッコーチョーだから!」

「それは頼もしい。10球でいいか?」

「おっけーだよ!」

 

 

ひとまず球の状態の確認がてら真ん中に構える。綺麗なウィンドミルからストレートが投じられる。

バシィーンとグラブがいい音で弾ける。芯で捕球した証拠だ。確かに球速上がってんな。それに何より、グラブが構えた場所から全く動いていない。はぐみの何よりの武器はこの寸分違わぬコントロールだ。うん。前より正確になってる。これなら安心して捕れる。

 

 

「どお?速くなってるでしょ!」

「なってるなってる!制球力も上がってるね!」

「わーいアキくんに褒められたー!」

「よーしじゃあ2球目!」

 

 

今度はきちんとコースを考えて・・・やっぱミット欲しいよなー。でもここでしかキャッチャーやらないのにミット作るのはなぁ・・・悩ましい。あ、俺の本職は投手。小学校時代からずっとやってたんだけど、チーム事情とかもあって一応二遊間と外野も経験はある。もっとも中学は3ヶ月しか在籍してないから試合も2試合くらいしか出なかったけど。

 

とりあえず5球まっすぐを受けてみて思ったのは、はぐみのポテンシャルの高さ。たった2年ちょいでここまで伸びんのかよ。俺も少しはボール触っときゃよかったなぁ。あの2人球技からっきしなんだもん。

 

 

「おーし、変化球いけっか?」

「いけるよ!」

「よし、じゃあライズボール!」

「いっくよー!」

「うっわめっちゃ伸びる!」

 

 

ソフト独特の変化球、ライズボール。手元で浮き上がるような軌道で空振りを誘う球だ。リリースが足元からすくい上げるようなソフトボールならではのこのボール。わかってても捕るの難しいんだよね。

 

 

「へへーすごいでしょ!」

「お前すごすぎ。めっちゃ浮くじゃん。こんなん打てるやついんのかよ。」

「いるよ!たまーに打たれる!」

「たまになんじゃねぇかよ。」

 

 

そんなこんなで10球投げ終え、クールダウンに入ろうとすると、

 

 

「アキくん投げないの?」

「いやぁだいぶブランクあるからなー」

「え、アキくん向こうで野球やってなかったの?」

「そー。軽音部に引きずり込まれて。」

「そっかー。でもはぐみ、アキくんの球受けたいからちょっとだけお願い!」

「わかったよ。怪我怖いから5球な。」

「やったー!」

 

 

そう言ってさっきとポジションを入れ替える。軽く肩を回す。およそ3年ぶりのこのルーティーン。ちゃんとノーバンで届くといいな。

 

 

「いつでもいーよ!」

「おっけー。今日はまっすぐだけにしとくわー!」

「りょーかーい!」

 

 

ふうっと息を一つ吐き、投球動作に入る。案外体が覚えてるな。これならいけるか?

 

 

「オラッ!!」

「おおお!アキくんも速くなってない?!」

「え、マジ?まぁ確かにトレーニングはずっとしてたけど、ほとんど投げてなかったのに。」

 

 

図らずもドラマーとして鍛えていたことの副産物が得られたようだ。

なんとか5球投げ終えて今度こそクールダウンに。

 

 

「いやぁさすがの運動神経だなぁ。ちょっと見ないうちにめちゃめちゃいい球投げるようになって。」

「えっへへー」

「あ、久しぶりにコロッケ買って帰ろうかな。今夜のおかずにしよ。」

「じゃぁ父ちゃんに電話して揚げたて用意しておくように言っとく!」

「何から何まですんませんなぁ。」

 

 

片付けを終え手早く電話を終えたはぐみと帰路につく。

 

 

「ねぇねぇ、今度はどれくらいこっちにいられるの?」

「部屋追い出されない限りはいつまででも、かな。」

「え、それじゃあずーっといるの?!」

「多分な。」

「わーい!じゃあずっと一緒に練習できるね!」

「存分に鍛えてもらうとするかな。」

「ずっといるってことは、お父さんもお母さんももういろんなところに行ったりしないの?」

「いや、前よりいろんな所に行ってるかもな。こっちには俺一人で来たんだ。」

「え、じゃあ一人暮らしってこと?」

「そゆこと」

「やっぱアキくんすごい!今度遊びに行ってもいい?」

「もちろん」

「わーい!」

 

 

なんだろ、めちゃくちゃ癒される。屈託のないこの感じがすごく居心地がいいんだよね。守りたい、この笑顔的な?

北沢家に着くと本当に揚げたてのコロッケが待っていた。北沢家本当みんなイイ人すぎるよ。っていうかこの街の人はみんな親切であったかい。この場所に魅力を感じなかった俺の両親はおそらく人の血が通ってないんだろうね。かわいそうに。

なんて思いながら熱々のコロッケをありがたくいただく。クゥー、晩飯が待ち遠しいぜ。

 

 

「元気だったかい、秋哉くん」

「おかげさまで。またお世話になります。」

「いやいやこちらこそ。夕飯の買い出しとは、相変わらずご両親は忙しくしてるのかい?」

「してると思います。まぁ今は一人暮らしなんすけど。」

「そうだったのかい!そら大変だな。」

「まぁ自分で選んだことなんで。そんなわけでこれからはここに骨を埋めようかと...」

「ははは、それは嬉しいな。よほどここが気に入ったんだね。」

「そらぁもう。ありがたいことにこうやって僕のことを覚えててくれる人たちがいてくれるので。何もお返しができずに出てっちゃったから。」

「なんのなんの。またよろしくな。ほいこれサービス。久々にはぐみに付き合わされて疲れたろう。」

「ありがとうございます!俺も自分でトレーニングはしてたつもりだったけど、はぐみの体力には敵わないね。」

 

 

すると店の手伝いをするため着替えて来たはぐみが戻ってくる。こっから手伝いとは、さすがだよ。

 

 

「そんじゃ帰るねー。はぐみまたなー」

「あ、ねぇねぇアキくん!明日の朝一緒にランニング行かない?」

「お、いいな。朝なら空いてるし。何時集合?」

「5時半!」

「はっえぇ...まいっか。了解!じゃーまた明日な。」

「ばいばーい!」

 

 

手を振り北沢精肉店を後にする。今宵はコロッケパーティーだな。

 

朝からラントレかぁ。昼間はバイトもあるし、忙しくなるな。

こりゃまた朝陽たちの楽器飾るの先延ばしになるかな・・・




次回、秋哉くん初めてのアルバイトです。

野球ネタはそこまでがっつり本編には絡んでこない予定でいます。きっと話が一向に進まなくなるので・・・笑


さぁそしてちらっと出て来たあの通行人、誰なんでしょうねぇ。まぁかなりわかりやすーいとは思いますがw


それではまた次回のお話で会いましょう。
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