記憶の流入
「ふーやっと終わったか」
そういって伸びをするのは藤井蓮である。彼は私立聖祥大附属小学校3年生の平凡な家庭に住む平凡な小学生である。ただ一つ平凡といい難いのは少々精神年齢が高いこと、この年齢には珍しく、両親や友達などを異常なほど大切にしていることだろうか。
「蓮君、一緒に帰ろうよ」
そういって蓮を誘うのは高町なのは。これもまた平凡な少女……とは思えない。蓮曰く、
「平凡??冗談だろ?あの戦闘民族の子供だぜ。しかも本人もとても9歳とは思えないし」
なお彼がなのはと出会ったのは近くの公園でなのはが落ち込んでいたのが始まりである。父親が入院してる、いい子にして迷惑かけないようにしないと→でもさびしいと正直当時の彼女の年齢を考えるとありえないような思考であった。(なお、それがありえないと思った蓮もまた大人びすぎてはいるが…。)この時蓮はなぜか親しいものを失いかけているという状況に過敏に反応してしまった。そして高町家にどなりこみに行ったのである。
「忙しさにかまけて自分の娘を放っておくだと!てめぇらふざけんなよ。これでもし失ったらどうすんだ!!」
(あんときはやばかったな。恭也さん大人げなく俺に攻撃してきて。死ぬかと思った。というかあんな強い人”今”は視ないからな。恐ろしい。)
「どうしたの、蓮君?」
「いや、なんでも。帰るか」
「うん。アリサちゃん、すずかちゃん蓮君も一緒に帰るって」
「へぇ、じゃあ蓮。帰りながな授業をちゃんと聞いてたか、テストしましょうか?」
「なんでだよ」
「どうせまた寝てたんでしょ?」
「そんなことねぇよ。なあすずか」
「う~んどうだったかな?」
蓮の授業態度をよく思っていないのがアリサ・バニングス。両親が実業家で金持ち。また成績が異常によくなのはどうよう大人びている。
また、蓮にいたずらっぽく笑いかけているのが月村すずか。身体能力が蓮以上である。蓮自身もかなり運動ができるほうであるのですずかは正直おかしい。また家もかなり大きく猫がたくさんいる。
(それだけじゃなくてすずかもお姉さんもメイドの人たちもなんか違和感があるんだよな……。)
蓮はそう思うもいい友達であると思っており大切にしている。なお、どう思っているかと聞かれ大切な宝石たちと答えたため一悶着起きた事件があった。
とまあその三人と蓮はじゃれあいながら下校している。
「そういえば、蓮君。明日のサッカーの応援には来ないんだっけ?」
「ああ。明日は母さんと出かける約束だからな」
なのはの問いにそう答える蓮。
(友達も大事だけど母さんも俺の大事な刹那だからな。)
蓮はそう考えながら明日の予定に想いをはせる。
「そっか。残念」
その後はなのは達とわかれ自宅に帰る。
「ただ今」
「お帰りなさい。今日の学校はどうだった?」
「今日もいろいろあって楽しかったよ」
「そう。ちゃんと手を洗ったらおやつにしましょう。今日は翠屋のシュークリームよ」
こうして母に学校であったことを伝えたり母の話を聞いたりしながら今日が終わる。
(今日もいい日だった。この日常が永遠に続けばいいのに。)
そう思い蓮は眠る。そして次の日・・・
「母さん、買いすぎじゃない?」
「そうかしら?」
蓮と母親は買い物を終えて鳴海市に帰ってきていた。
「そうだよ、いくらなんでも両手がふさがるほど買わなくても」
「そうねぇ…すこし」
母が買いすぎたかしらと言おうとした次の瞬間
ズシンっ!
大地が揺れる。
「っ蓮!!」
直後母親が蓮を突き飛ばすと同時に蓮がいた場所に巨大な何かが突っ込んでくる。
「母さん!!」
蓮は母親を呼びながらもどこか冷静にその何かが木であると理解していた。そして母親が木の下敷きになってしまったことも。
「母さん!!」
蓮はもう一度叫ぶが母親は気を失ってしまったのか返事をしない。蓮の脳裏にいやな想像が浮かぶ。
(失うのか?この日常を、この大切な刹那を、俺は”また”失うのか?)
「ふざけんな、ふざけんなよっ!!また俺の大事な刹那を奪われてたまるか!!」
楽しかった刹那よ永遠になれ。
その渇望とともに蓮の脳裏に言葉が浮かぶ。そして蓮はその言葉を口にする。
形成
Yetzirah――
時よ止まれ―――おまえは美しい
Verweile doch, du bist so schon!
その言葉とともに生えてきたギロチンで木をぶった切り母親を助け出す。それと同時に蓮の中に何かが湧き上がってくる。
「私がみんなを抱きしめる」
「俺の女神に捧ぐ愛だ。他は何も見えない。聞こえない。ただ忘れないだけだ。俺は彼女を愛している!」
(ああ、そうか。そうだったな。)
そう思ったところで蓮は意識を失った。