最低最悪な魔王とライダーオタク   作:ライダーオタク

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間違って消してしまった


プロローグ『仮面ライダー』

正直に言おう仮面ライダージオウが嫌いだ。

脚本は滅茶苦茶……と言うか矛盾が多いし世界観は曖昧、

キバ編でキバが出ないしマンホールとか意味分からん。

カブト編は……加賀美カブトは百歩譲って分かる。日食で太陽が隠れる演出とか正直熱く興奮した。だが、カブトゼクターのライドウォッチ化…テメェは駄目だ。

オーズ編&檀黎斗王編は不満と言うかエグゼイドでの彼のスペックの高さを見るにそうはならんだろうと言うか……仮にも()()ラスボス(檀正宗)を過去編で殺すなや。

その他、クウガ&W編の消失や――響鬼編は好き。ブレイド編からの謎に記憶やライダーの歴史が消えていない設定変更。ビルドとクローズがベストマッチなんやない……戦兎と万丈がベストマッチ問題。

 

口に出したら止まらない。私はジオウが嫌いだ。

――お前達の平成ってこんな醜いものだろう?

みたいなライダーを冒涜するジオウの世界観が嫌いだ。もし、神様転生することがあってもジオウだけは嫌だ。

 

クウガはヤバい、鎧武とか絶対生き残れないだろう。それでもジオウに転生するのだけは嫌だった。

 

「――えっ無理じゃけど」

 

……これだけ愚痴ってもダメなんですか。

 

私は宙に浮かぶジクウドライバーと複数のウォッチを見て涙目で叫んだ。

 

「こう言うのって好きな世界に転生させて貰えるパターンじゃないんですか!」

「だってお主が“ディケイドの世界”とか存在しない物を言うからバグが起きてジオウに固定されたんじゃもん」

 

「バグぐらい何とかしてくださいよ!」

私はそう訴えるが、体はフヨフヨと安定感なく浮かび上がり宙に浮かぶジクウドライバー達と共にぽっかりと開いた光の穴へと吸い込まれて行く。

 

「嫌だ嫌だ嫌だー!!!!ウワァァァァ!!!!?」

 

声帯が押しつぶれそうなぐらい叫ぶ。気分はアンデットに襲われる橘さんだ。私は思い付く限りの抵抗を試み、ライドウォッチをあちこちに投げまくるが、それらは逆再生の如く手元に戻り、抵抗は無駄だと光の中へ迫るスピードはより早くなり――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

☆☆☆☆☆

 

転生しました。

場所は――クジゴジ堂。ジオウ達の拠点であり時計屋ですね。

 

「フジャケルナァァ!」

「どうしたのよムケイ……そんなに怒っちゃて」

 

おじさんの朝御飯を食べた(勿論残すわけないよな?)

その途端、椅子の上に立って天井に向け叫ぶ私に兄……という事になっている常磐ソウゴ(仮面ライダージオウ)は目を真ん丸にして呆然としながら口を開く。

 

「ムケイちゃん……僕ね、毎日毎日美味しいそうに食べてくれると胸が温かくなって本当に嬉しいんだけど、もう年頃の女の子なんだしそう言うのは止めよう」

 

両親を事故で失って以来、育ての親として支えてくれている順一郎はそんな彼女を見て学校で浮いてしまわないかと心配しているが……もう手遅れだ。

私は発作……いや、この不条理な世界に居て叫ばずにはいられないこれ。

転生特典の…せめてもの楽しみだったジクウドライバーとライドウォッチ達はオギャアと生まれ直した時から存在を確認出来ず、いつの日か絶望した私はふとした拍子に叫ぶようになっていた。ウィザードの世界なら確実にファントムになっていただろう。

学校では触れちゃいけないタイプの人間として完全に浮いている。

 

バスイベントは風邪で休んだ。

風邪一つで門矢士に会えなかった私は泣いていい。

両親が亡くなったことも悲しかったが、おじさん。違うんじゃ……この涙は悔しさなんじゃ。

風邪の看病をしてくれたおじさんが電話を取ってそれから無言で抱き締めてくれた時……涙ながらにそんな考えを抱く私はたぶん超絶クソ野郎なのだろう。

 

「……ごめんなさい」

「うん、分かってくれたら嬉しいかな」

「ムケイってほんとうおじさんに弱いよね。何で?」

 

逆に聞くがお前は男手一つで二人の子供を育て上げるおじさんに何とも思わないんか。割りとクソオブクソな性格した私でも強気には出られんぞ。

 

「兄様よ……あんたは遠慮無さすぎ」

 

冷めた目をした私は、チラリとカレンダーの日付を見て小さく息を吐く。

今日は仮面ライダージオウの原作開始日。私という存在が何処までジオウ世界に影響を及ぼすか……考えただけで理不尽に叫びたくなってきた。

真っ赤なランドセルを背負い憂鬱な気持ちで玄関へと向かう。

 

「じゃあ学校行ってきまーす」

「行ってらっしゃい」

「あっヤバイ!遅刻だ!」

 

その横を朝御飯を中途半端に残したソウゴが抜けて行き――この野郎。

 

「朝御飯を残すなァァァ!!!!」

 

私は怒号を上げながら追いかけて行く。

 

「……今日も元気だなぁ二人とも」

 

おじさんはそれを見てニッコリと笑った。

 

 

 

 

 

 

 

「あれ……何?」

「恐らく兄様の知り合いでしょう」

「いやいやいや!俺にあんな知り合い居ないから!」

 

――てっ言うじゃん。

でも、あれジオウ真のヒロインこと2号ライダー(仮面ライダーゲイツ)なんだぜ?

 

プシューガコン

 

「……降りてきちゃった」

「そうですね……」

 

下降してきた近未来ロボットを見上げムケイは思った。

 

やっぱこの造形はないわ。

顔がダサい。玩具感がえげいつない。これは、えげつないとゲイツを掛けた面白いギャグで……とか思わずアルトギャグをかましそうになったけど、うん。

ライダー史上一番ダサいわ。誰が造ったんだろう本当。タイムマシーンとかジオウっていう時間をテーマにした作品なんだし滅茶苦茶重要アイテムじゃない?ガッつり、シナリオに絡んできてもいいレベルなのにスルーしやがって…ド○えもんかよお前ら。

 

「ナヴェミテルンダゥ!!!!」

「うわっまたムケイの発作だ」

 

『クッ!ジオウ、人質を取るとは卑怯だぞ!』

 

「ジオウって……誰?」

「うっぷす、やっぱり兄様の知り合いですね」

「だから違うって!」

 

メカメカボイスのタイムマジーンが怪しく輝きバイクから人形へとトランスフォームする……私は無言で逃げ出した。

 

「ちょっ!置いてかないでよ!」

「うっさい!と言うか来ないで下さい!」

 

ゲイツは私という人質がいる手前、乱暴な操縦はできないという理由か歩行操縦でソウゴを追う。

誰が悲しくて嫌いな物語に関わらなきゃならんだと、ムケイは逃げに徹したが、ソウゴが後ろから付いてくるんで勝手に巻き込まれている。

商店街は穴ボコだけら石垣は崩れ去りカラスの大群は街から一斉に逃げ出した。

大災害じゃないですかーやだー。

 

「うわー!もう一体来た!?」

 

そしたら後にソウゴに借りパクされる事になるタイムマジーン―――強すぎてゲイツ君にヒロインの座を奪われたツクヨミさんではないですか。

えっ乗せてくれるんですか?

 

「乗って!!」

 

おい乗せてくれるってよ。

 

「あぁ、もうよく分からなーい!」

 

開いたハッチに飛び込みツクヨミ操作の元、私たちは恐竜時代へ…そして江戸へ……あっ池ぽちゃした。

 

そして、そして…………

 

『フルボトルフィニーシュ!!!!』

 

「あああああああ!!!!ビルド様クローズ様やぁぁぁぁぁ!!!!」

「……今日のムケイなんか可笑しいよ」

 

タイムマジーンから投げ出されたソウゴと私の前には今、ビルド(戦兎)様とクローズ(万丈)様がいらっしゃる!!!

黒いスマッシュが出始めた時期だとクローズフォームは存在しないだとかジオウクオリティーには少しイラつく物があるが、あの戦兎と万丈が目の前にいるんだよ?

興奮しない訳がない!?

 

「だから怖いって」

「ファンです!」

「おぉ、握手してやろうか」

 

ああああああ!!!!もう一生手洗いません!!!!

 

「いや、キタねぇから飯食う前ぐらい洗えよ。

しっかしファンかぁ……やっぱ見ているヤツは見てくれてんだね~」

 

あの喫茶店で私……万丈さんと握手しちゃった。

何か万丈さんは感傷深く私と握手した右手を眺めているけど、大丈夫だよね。私の手が臭かったとかじゃないよね!?

あれだよね。ビルドの世界の情報リテラシー皆無のクソアンチ自己中民衆どもに比べて私のファンレベルが段違いで戸惑ってる……とかだよね。死ぬよ。大好きなライダーに手クセえとか言われたらナチュラルに死ねるよ?

 

「このデバイス、調べてみたけどこの時代の技術じゃないな」

「お前ら、本当に未来人なのか?」

 

ムケイはキラキラした瞳で戦兎達を見つめ……ふと、この後の流れを思いだし眉間にシワを寄せた。

 

気絶程度のダメージしかないとはいえ先輩を撃つとは許せんな。

あと数秒すれば駆けつけるであろうにっくきバトルヒロインを思いムケイは沸々と怒りを募らせる。

先輩にタメ口訊けるのは士だけで十分なんだよ。

 

フフフッ……ツクヨミ君。悪い子供は本当に悪い大人に利用されるんだぜぇ。

 

「お兄さん、そのシャカシャカ貸してくれませんか?」

「?……別にいいけどやれねえぞ。」

 

私はドラゴンフルボトルを利き手で転がしシャカシャカとシャカシャカとパワーを貯めていく。

 

カララーン

 

「ジカンガナイタリッタルラロー!」

 

その瞬間。多分雑魚スマッシュなら破壊出来るであろう一撃が青龍の息吹きを纏った黄金の右手に乗り写り、美しい放物線を描いて彼の懐に飛び込んだ。

 

「「マスター!!!!?」」

 

「……え、マスター(エボルト)ぁぁぁぁ!!!!?」

 

大量のコーヒー豆を空中に散乱させながら向かい側にある建造物の壁にめり込んで行くのは……ビルド世界のラスボスだった。

 

 

 

 

 

 

 

――「エボルト」

 

そう声に出さなかった自分を誉めて欲しい。

もし、声に出していたら一瞬であの世行きになっていただろう。

万丈達と温厚な関係を見るに彼がブラッドスターク、そして地球外生命体エボルトだという事は明かされる前の筈。

ライダー界トップクラスの策略に長けたこの宇宙人は本当にヤベイぞ。前半の雑な伏線張りが全てこいつを隠すためのカモフラージュだったんじゃないかと言うぐらい………兎に角、言葉では言い表せないぐらいヤバい奴なんだ。

実際、口を開いてその名を叫ぼうにも言い切る前にグサッと未知の毒を注入されて終わりだ。

 

「あ痛たた……もうダメだろ万丈、子供にそんな危険な物を渡したら」

「「本当に申し訳ございませんでした!」」

 

ラスボスに頭を下げないで……私も下げているけど。

万丈、そいつお前の両親と恋人の死んだ元凶だぜ?

 

地球規模の犠牲を払いながら結局倒し切れなかったり、ただでさえ宇宙クラスのぶっ壊れ性能なのに知略ステータスのブーストときた。

(最終回後)明確な弱点の存在しない無限に強くなる化け物。

 

万丈……私は怖くてエボルトの顔が見れないが、気付けよ。一般人がフルボトルパンチ受けてピンピンしてるわけないだろ。絶対内臓ぐちゃぐちゃになるよ。心臓損傷レベルの大手術が必要だから。

どさくさ紛れて地下室に入れたのは嬉しいけど、生きた心地がしないよ全く。

 

なぁ、兄様(ソウゴ)もそう思うだろ?

 

「……あれ?」

 

ムケイは、右を見て左を見て

嫌な予感に「まさか…」と首を振りつつ、階段を勢いよく上がり冷蔵庫から顔を出して――気絶している戦兎をみて息を飲んだ。

 

 

「みんな!ビルドの偽物が暴れてるってニュースで!?」

 

扉が開き、皆のアイドル『みーたん』が現れた感動よりもその衝撃は大きく。

ビルドドライバーを片手に持ち咄嗟に応戦しようとした後の見られる戦兎をもう一度見て――

 

「ブンベイア、ザゲラレナイノガ!」

 

例の発作が出た。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

☆☆☆☆

 

一方その頃。

振り落とされたソウゴを回収したツクヨミは2018年へと戻り

 

「ねぇ!うちの妹、置いてきちゃったんですけどー!?」

「ちょっと静かにして!」

 

手刀によってソウゴの意識を奪いクジゴジ堂のソファーへ寝かして一旦離れた。

本来なら過去のオーマジオウ、つまり常磐ソウゴを殺害し最悪の未来を変えるべく襲撃に来るであろうトチ狂った仲間のゲイツを止める為に動いたのだが、もう一人『常磐ムケイ』という少女が過去に置いてきぼりになってしまったのをソウゴの発言で思いだし、慌ててタイムマジーンを起動させた。

 

「2017年、11月30日!」

 

あぁ、もう!オーマジオウに妹が居たなんて私聞いてない!

 

決して穏やかではない心内の中、動く彼女。

 

 

「我が魔王に“妹”だと!?

馬鹿な……そんな情報は何処にも、何処にも記されていない!」

 

けれど、彼女以上に心穏やかではない男性が『クジゴジ堂』天井上で取り乱していたそうな。




常磐ムケイ(十歳)
好きなもの 平成仮面ライダー全般
嫌いなもの 仮面ライダージオウ
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