最低最悪な魔王とライダーオタク   作:ライダーオタク

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ウンメイハシャケラレナイノカ!

あの野郎……ビルド先輩とクローズ先輩撃ち逃げしやがった。

呆然とすること数秒、件のベットに運び終えた私は不味いコーヒーを啜りながら般若のごとき笑みを浮かべる。

 

「……で、君はお客さん?」

 

流石地球外生命体というわけか、スマッシュを即殺出来るボトルパンチを受けてけろっとしているエボルトは、不味いことで有名のお手製珈琲を差し出して、そう問い掛ける。

 

「そうです。兄様と訪れたのですが……あの仮面の化け物が暴れているというやつですね。あれを見た途端に飛び出してしまって」

 

「保護者がいないんじゃあ、支払いには期待出来ねえなぁ」

 

別に珈琲一杯分ぐらいの金額なら常に持ち歩いているのだが、エボルトの反応を見るにただ飲めそうだし、勘違いさせておくままとする。

 

『都市伝説の仮面ライダーが暴走?』

 

垂れ流しのテレビから丁度アナザービルドの暴れる様が中継されていた。

 

そう言えば、エボルトはこの事に何も思わないのだろうか?

 

原作のエボルトなら、つまらない輩が『仮面ライダー』という自分の計画を台無しにしようとしている事に面白くないと感じ、排除しようと動く筈だ。

この世界――物語後編で平行世界というご都合主義に振り切ったジオウ時空はディケイドとは違い、下手に原作ライダー達の世界を再現したせいでハリボテ感のある悲惨な状態になっているが、致命的なキャラの改変までは見られなかった。

ジオウ本編にこそ何らかの理由(大人の事情)で姿を現さなかった彼も戦兎達が動けない今ならブラッドストークとして事態の終息の為に行動を起こすのではないか。

 

ちらりとムケイが視線を向けると、エボルトは鼻歌でリズムをとりながら新たな珈琲を淹れていた。

 

……ま、珈琲は不味くてもエボルトは好きだから役得なんですけどね。

 

どうやらエボルトはこの件にノータッチらしい。

ブラッド族の裏切りの時も戦兎達に任せていたし、意外と面倒さがりやなのかもしれない。

それとも、戦兎と万丈がハザードレベルを上げるにはいい機会とでも思っているか……。

 

ムケイは何とかして金○哲夫ボイス聞けねぇかな……などど余計なことを考えつつ、不味い珈琲を飲み終える。

 

 

「俺の珈琲を飲み干してくれるとは嬉しいねぇ~!」

 

そりゃただの不味い珈琲ならまだしもエボルトが淹れた珈琲と、あったら死んでも飲みますよ。

 

「嬉しいから、特別にこれをサービスしちゃうぜ」

 

え、何か戴けるんですか?

……え、ちょっ、これ………

 

「今噂の仮面ライダーのストラップ。非売品だから、転売はやめろよ」

 

少し色落ちしてるけど『ビルドウォッチ』じゃないですか!??????

 

 

 

 

 

☆☆☆☆☆

 

「何か、いける気がする!」

 

「ウガァァァ」

 

仮面ライダージオウに変身した常磐ソウゴと、相対するアナザービルド。

物語はやはり、寸分違いなく開幕してしまった。

 

ウォズはその事にまず安堵の息を溢し、敬愛する我が魔王の実妹たるムケイをどのように扱うべきか視線を彷徨わせて逡巡する。

 

彼女はこの本に記されていない完全なるイレギュラーだ。

本来なら排除すべき……しかし、それでは我が忠誠に罅をいれることになる。

 

我が魔王はお世辞にも肉親への情が厚い人間とは言い難い。

まさにそれこそが最低最悪の魔王たる素質なのだが、それでも肉親を手にかけた男の言葉を信用するほど人でなしではない。

この私が常磐ムケイを葬れば近い未来私は我が魔王によって処罰されるだろう。

 

それはウォズが考えうる限り二番目に最悪の未来だ。

 

(暫く、常磐ムケイの件については様子見とするべきか)

 

物語に変革をもたらすような存在ならば、また考えればいいだろう。

 

我が魔王は自身の秘められた力を解放され『仮面ライダー』へと至った。

今はその事に祝福を捧げるとしよう。

 

 

「―――祝え!」

 

 

 

 

 

 

 

 

☆☆☆☆☆

 

『ラビット、ターンク』

 

ベストマッーチ!

 

『クローズドラゴーン』

 

……はわわわわ。生変身シーン観ちゃったよ。

ヤバイって!死ぬって!

 

現在私の目の前にはビルドとクローズがいます。

あの後、目が覚めた二人がアナザービルドの所へ向かうのは分かりきっていましたので、こっそり後ろから着いてきたんですよ。

ジオウ本編ではバイクで移動していなかったので、それほど離れた距離でないことは分かっていましたが、まさか喫茶店のニキロ先とは驚きです。

案外世界って狭いんですね。

 

「んっ……なんだよこれ!」

 

今はアナザービルド誕生による本来の歴史が消えかけているのか、それともウォッチに力を奪われているからなのか、ノイズの走る体に戸惑いながら戦う二人を物陰から眺めています。

あれって、歴史が完全に改変させる前にビルド先輩がアナザービルドを倒してしまえばいいんじゃね?

とジオウ視聴者なら一度は考えることですが、基本フォーム縛りのせいで中々に手ごずっているようです。

水泳選手のように地面を泳いでビルド達を翻弄し、弓矢で狙い内にするやつは、虚空から飛び出した白い機械に撥ね飛ばされました。

 

「戦兎!」

 

タイムマジーンの登場ですね。

兄様はやはりジオウに成られたようです。

 

――――あ、青服の小僧が前を。

 

……と、思ったらジオウがゲイツがいますね。

時間を止められたのでしょう。ジオウは変身シーンだけは格好いいので簡略化される前に拝めるのなら拝んで起きたかったですが……まぁ、いいです。

 

「そうか!」

 

兄様がビルドウォッチを掴んだその瞬間に下から奪い取り、そしてそれを戦兎先輩に投げる!!!!

 

「え、ちょっ!?」

 

ぶはははは!!!!油断した貴様が悪いのだぁぁ!!!

 

 

 

 

「―――流石にそれは見過ごせないよ」

 

「ッゥお前!?」

 

その投げられたビルドウォッチは空中で掴み取られてジオウの元へと投げ渡される。

 

「ベルトの人に、ムケイどうして!?」

 

「覚悟があるのならばそれを使うといい、なるべく早くね」

 

「止めろ!使うな!!!!」

 

促すウォズに、絹を割くような悲鳴を上げて暴れるムケイ。

ジオウは私とウォズを交互に見て、

「ぐわぁぁぁ!!!!」

ゴーストアーマーでは分が悪いかアナザービルドに攻撃を受けるゲイツを見る。

 

 

「……ごめん、ムケイ」

 

「く、ヤメロォォォ!!!!!!!」

 

 

 

 

 

『ビルド』

 

 




次回、「やっぱり俺とお前がベストマッチ」
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