最低最悪な魔王とライダーオタク 作:ライダーオタク
「ハァ!」
「オラァ!」
飛躍したアナザービルドを地上から殴りつけるビルドとクローズ。
二つの均衡は激しい衝撃音を生んで、吹き荒れる一陣の暴風に私は圧倒される。
その時の興奮と何と現したらいいか。
殴り跳ばされるアナザービルド。悠然と構える彼らはまさに、愛と平和私守る仮面の戦士、仮面ライダーに相応しい正義の味方の面構え。
感嘆の息が漏れる。
このオタク生。享年含めて約三十年。
初めて彼らと出会ったのは親に連れられて訪れたヒーローショーの一幕。
『俺、参上!』
あの日、あの瞬間から、私は憧れ――それと同時にどうして彼らは画面の奥で見せていたあの派手な技を使わないのだろうか。
変な煙や音ではなく本物を――と、いつまでも夢を見ていた少女の願いはここに叶った。
――あぁ。
と膝をついた体を持ち上げて彼らを見る。
「勝利の法則は決まった!」
「負ける気がしねぇ!」
なんてカッコいいのだろう。なんと心強いのだろう。
自らの心拍数が興奮ではね上がるのを感じる。
「……祝わねば」
「は?」
私の隣にいたウォズは首をひねる。
「……祝わねば!」
――祝わねばなるまいと血が騒いだ。
私はウォズの抱き抱えている本をひったくると、声高々に叫ぶ。
「祝え、愛と平和を守る仮面の戦士、その名も仮面ライダービルド。平成十九番目のライダー再誕の瞬間である!」
☆☆☆☆☆☆
「俺達も行くぞ!」
「え!?……あ、ああ!おう!」
先代ライダーであるビルドとクローズに続いてジオウとゲイツも戦いに乗り込んだ。
遠い未来で革命軍に参加していた影響で戦い慣れしているゲイツは瞬時に二人が自分よりも遥かに強者であるのを見抜いて遠距離からの援護射撃を開始する。
「おりぁぁぁぁ!!!!」
ジオウはドリルを回転させて突っ込んだが、アナザービルドは跳躍して避けて壁へと激突。
『ホーク、ガトリング!』
フルボトルチェンジで飛行・中距離戦闘型のホークガトリングフォームへと切り替えたビルドは宙に浮いているアナザービルドへと容赦のない弾幕攻撃を浴びせ、クローズは持っている剣をぶん投げて落ちてきた所を殴る、殴る、殴る。
「俺だって!」
そこにジオウも加わってアナザービルドは防御する間もない激しい打撃の雨にダメージを蓄積させていった。
「くそ、なんでビルドが復活したんだ!」
明らかな過剰戦力だ。
スペック差や数の差から言って本能の赴くまま暴れまわることしか知恵のないアナザービルドでは勝ち目はない。
このままいけば勝ち確。
だがそう易々と問屋を卸させないのがウール少年である。
彼は話が違うじゃないかと頭をかきむしりながらも、冷静な頭脳で「結局、奴らには時間停止に対抗する術はないのだし、いざとなればアナザービルドを抱えて逃げてしまえばいい」と妙案を出す。
「そうだ、お前らに倒されるぐらいならもっと強く育ててから!」
このアナザービルドは誕生したばかりの雛のようなもの。
人間をボトルに変える力や戦闘経験などを積ませれば今よりもっと強くなるのは分かりきっている。
そうと決まれば行動は早い。
「シャクだが、今回はお前達に勝利を譲ってやる!」と捨てセリフを吐いて時間停止をしようと右手をあげるウール。
「させねぇのよ?」
その股に生えましたJCの腕である。
誰の腕かと問われれば私の腕ですと答えるムケイ。
「…俺の強さにお前が泣いた」
彼女の手のひらはウールの金玉を捉えて、勢いよく引く。
「あっう!?」
☆☆☆☆☆☆☆
「ググガァァァア!!!!?」
火花と煙を全身から放ちながら膝をついたアナザービルド。
立ち上がろうとしたが、あまりにもダメージが高すぎたのか、滑って地面へと転がる。
「さぁ、大盤振る舞いといきましょうか!」
『ラビット&ラビット!』
「俺はもう誰にも止められねぇ!」
『クローズマグマ!』
仮面ライダービルドラビット&ラビットフォーム
仮面ライダークローズクローズマグマ
「グガアア!!!!」
負けてなるものかとアナザービルドも吼えて、水泳選手と剣道のボトルを噛み砕く。
二人と一体はベルトのハンドルを回す。
『『『READYーGO!』』』
高く跳んだ彼らは空中でぶつかり合い、激しい爆炎が包み込んだ。
……ジオウ、ゲイツ、そしてムケイがごくりと息を飲む中、「あちち!」クローズの気の抜ける声が響いて、ビルドと共に降りてくる。
「やった!勝った!!!!!!」
アナザーと正史の戦いは正史ライダーの勝利で幕を閉じた。