最低最悪な魔王とライダーオタク   作:ライダーオタク

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天才ゲームクリエイター2018

バグスターウイルス。

 

電脳ウイルスに分類されるそれは、2000年問題を見据えて科学者達が行った膨大なシミュレーションから生まれた“バグ”であるという説にあやかってそう名付けられた。

 

2002年。当時檀コーポレーションという小さなゲーム会社を掲げる檀正宗は、そのただの電脳ウイルスにいたく興味を持って、一部権利を買収。

以降、息子の檀黎斗にバグスターウイルスの研究を一任していたが……そのウイルスはどこまでいっても『ただの電脳ウイルス』に過ぎず、研究は半年という僅かな期間にて凍結されてしまった。

 

 

――転機が訪れたのは2016年。

 

バグスターウイルスの人体感染の発覚。

 

とある小学校の少年が檀コーポレーションの売り出すゲームをプレイして最後に意識不明の重体になっているという話から始まった。

 

「……なんだ。この影は?」

 

第一発見者は花家大我という当時若手の放射線科医師であり、彼はあらゆる条件と照らし合わせて、それがバグスターウイルスと同じ遺伝子構造を築いているのを導き出したのだ。

 

そして導き出したとはいえ、当時はただの電脳ウイルスに過ぎないという見解だったバグスターウイルスがどういった経緯で人体に感染したのかはさっぱり分からず、ゲームクリエイターとしての傍ら、研究者としての資格を保持していた檀黎斗は、かつてバグスターウイルスの研究者であったことを買われて、その調査へと乗り出すことになった。

 

 

「―――これは!」

 

花家大我に提示された資料を見た檀黎斗は驚きに目を見開く。

 

「これはバグスターウイルスでこそあるが、全くの別物。

私が研究していたものは、短期間にこれほどの変容を見せることはなかった」

 

過去に檀黎斗が研究していたバグスターウイルスをナメクジだとすれば、これはチーター。情報を与えればまるで一つの生命のように貪欲に喰らって急成長する。

それで瞬く間に人体を侵してしまえるレベルとなるのだから、横で聞いていた花家大我は冷や汗を流した。

 

「一刻も早い対処法の確立が必要だ」

 

バグスターウイルスがネット回線を通じて世界各国に広まれば、恐ろしいことになる。

未だ患者が目覚めない……謂わば不治の病でそのようなパンデミックが起これば、医療形態の崩壊は一瞬。適切な延命処置を受けられない死亡者で世界は溢れかえるだろう。

 

「………………」

 

事態が想像以上に大事(おおごと)になって頭を痛める花家大我は、ならばこそ気づくべきだった……檀黎斗の恍惚とした笑みに気付けなかった。

 

 

 

そして、それから二年の時が流れる。

 

『さぁ、いよいよ幻夢コーポレーションの新作ゲーム情報へと映りましょうか!』

 

クジゴジ堂で頬をついてテレビを眺めていたムケイは「(ジオウ時空だと、檀ファウンデーションになっていなかったけ?)」と小さく疑問に思いながら、学校に通う時間になったのでランドセルに手を伸ばす。

 

「ムケイちゃん、いってらっしゃーい!」

 

「いってきまーす」

 

 

『制作発表から二年以上の開発期間経て、ついにあの伝説のゲーム。マイティーアクションXが完成いたしました!』

 

転生してから十年も前の事だし自分の記憶違いかと考え、どうせ『オーズ編』はまだだからと、あまり注目しなかった。

 

「そんなことより、エグゼイドだよね~」

 

だから彼女は画面の中央で色褪せたライドウォッチをストラップのように腰につける男の存在を見逃してしまう。

 

 

 

☆☆☆☆ムケイ

 

父や母は日本人だったので祖父母が外人だったのであろう私の髪は兄様と同じ茶髪という明るい色。

兄様の子供時代の子役の方は黒髪でしたけど、あれは大人の都合というやつですね。

 

私が物心ついた頃には兄様は茶髪でしたし、私も同じ茶髪でした。

そんな異分子を嫌ってか低学年から四年生にあがるまでは、まぁ不当な扱いを受けたものです。

 

教科書を隠されたり、水や泥をかけられたりと、外傷を負うものでなかったからよかったものの、自作したイズフィギュアを破壊された私がアークワンと化してボコボコにして差し上げるまで、そのような不当な扱いを受けてきました。

 

「おお、おはよう。常磐さん」

 

その後は報復を恐れて誰も私に近づこうとはしませんでしたけど、小学校高学年ともなると性に興味を持ち始める年齢となり、美少女な私は少年達にとって注目の的であるという訳です。

 

「きょ、今日はさ。ゲームを持ってきたんだけど」

 

で、それが何か?

 

私はおじさんに負担をかけまいと今までゲームなどのねだったことはないので、転生してからゲーム機器など触ったこともありませんが……当て付けのつもりか?

 

「これは、ね。ネットで噂のクリア出来ないゲームなんだけど……」

 

と、思えばエグゼイドイベントではありませんか。

 

「……二人でやってみない?」

 

まさか。

 

でも、アナザーエグゼイドは見たいので貴方がプレイする様は見届けてあげましょう。

 

 

『化けもんがッ近づくなよ!』

「やったー!」

 

こんな過去の(イジメ)を勝手になかったことにして媚を売るクズ野郎ですけど……一応、兄様に連絡を入れといてあげますよ。

私の寛大さに咽び泣いてほしいですね。

 

 

 

 

 

 

 

「あんなゲームの中にアナザーライダーが?」

 

と、言うわけで放課後に駆けつけた常磐ソウゴに電柱の裏から見守れる中、ムケイの先にいる少年は『誰もクリア出来ないゲーム』と言われているそれを起動する。

好きな女の子に良いところを見せようとでも、意気込んでいたのだろう。

 

ほぼゲーム素人のムケイの目から見ても少年のプレイングは素晴らしいの一言に尽きる。

まさかこのままクリア出来てしまうのでは?

そう思わせる動きであったが、終盤になって途端に上がった難易度に対応しきれずにゲームオーバー。

 

「あぁ~!」

 

少年は残念そうに首を下げるが、そのゲーム機体はポリゴン粒子を凝縮し始めた。

 

「離れなさい!」

 

「うぇ?」

 

咄嗟に少年を引っ張って、首を絞めるように腕を伸ばすアナザーエグゼイドから庇ってやる。

 

「兄様!」

 

『ジオウ!』『ビルド!』

 

そして仮面ライダージオウビルドアーマーに変身した兄様がアナザーエグゼイドへと渾身のタックルをかます。

 

「ムケイ今の内に……て、もう逃げてる!?」

 

モブとしての心得があるムケイはソウゴに言われるまでもなく、少年を連れて逃走していた。

 

『クソ、どいつもこいつも邪魔ばかり!』

 

「アンタはその姿でも自我があるんだね」

 

少し悲しかったが、それなら全力で暴れられると目の前の敵に集中する。

アナザーエグゼイド。こいつはアナザービルドと違って怪物になっている間も自我があるみたいだ。

 

「何で人を襲うんの。今回が始めてって訳じゃないんだろ?」

 

『うるさい!私はこうすることでしか、息子を救えないんだ!』

 

ベルトの人……ウォズの話ではここ二年間で十数名以上の犠牲者が出ている。

まだ死者は出ていないが、このまま目覚めないようなら時間の問題らしい。

 

「アンタなりに考えがあるんだね。

けど、アンタを倒せば眠っている人達は目覚めるらしいから、悪いけど倒させてもらうよ!」

 

『黙れ、黙れ、黙れぇぇぇ!!!!

私はケイスケを救うまで死ぬわけにはいかんのだ!』

 

取っ組み合い、殴って蹴って、距離を取ったジオウは時空ドライバーのボタンを押して回転させる。

 

『フィニッシュターイム!』『ビルド!』

 

 

ボルテックッゥタイムブレイク!

 

 

白い白線を滑ってのドリル突き二連打。

 

『クソぉぉぉぉ!!!!!』

 

アナザーエグゼイドは悲鳴のような雄叫びを上げて、爆発する。

 

「――ふぅ。そのライダーのウォッチがなくても何とかなるもんだね」

 

怪人化が強制解除されてボロボロのコートを羽織った男が倒れ付した。変身を解除したソウゴは一応拘束した方がいいかと男へと近づき――――、

 

 

 

 

 

『はぁ……やっぱりこいつハズレね。

初めの頃は良かったけど、なんか弱くなってるし』

 

 

 

 

 

「―――あれ?」

 

ソウゴの前から男は忽然と姿を消していた。




次回、LIFE POINT99
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