ダンジョンで聖剣を抜刀するのは間違っているだろうか 作:クロウド、
「はぁっ!」
『『『グルオァ!!!』』』
僕は迫りくる三体の半獣半人のモンスターコボルトに剣を構えて走り出す。一体目のコボルトを避け、二体目のコボルトは剣で弾く、そして、三体目に剣を振り下ろす。
―――まず一匹。
続いて踵を返し、僕に噛みつこうと迫ってくる二匹のコボルト僕は剣でそれを受け止め、腹に蹴りを入れて離れたところで胴体を切り裂く。
―――二匹目。
そして、切り裂いたコボルトの背後から最後の一匹が迫ってくる。僕は突きを放ち、コボルトの頭部を貫通した。
―――コレで三匹目。
僕は血のついてしまった愛剣『火炎剣烈火』の血を払うように一振りする。身体から崩れていくコボルトの身体から紫紺色の結晶『魔石』を回収していく。
「ふぅ、今日も調子がいいな」
五層はまだ早いと思ったけど、これなら、アレを使わなくてもなんとかなりそうだな。
『ヴヴォォォォォォォォォォォ!!』
しかし、突如放たれた凄まじい咆哮でそんな僕の甘い考えは吹き飛ばされた。声の方向を見てみると、そこには半人半牛の巨人がこちらに向かって向かってきていた。
「ミノタウロスゥゥゥ!!!?」
ミノタウロス、Lv2相当の力を持つモンスター。
なんでこんな上層に!?あのモンスターってもっと下にいるってエイナさんの講習で習ったのに。
ミノタウロスは一直線に僕の方向に向かってくる。完全にターゲットにされてしまったようだ。そのまま拳を振り上げ迫ってくる。僕は地面を転がり、拳を回避する。
「あっぶな……!」
アレを喰らえば潰れたトマトみたいにぺしゃんこだったな。
ダンジョンのモンスターって下から上に上がってくる事があるなんて聞いてないぞ!Lv1の僕じゃ、アレ相手に逃げられるとは思えないし、仮に逃げられてもコレを上に連れて行くことになるし……。
「―――やるしかないか」
神様から誰かに見られると厄介だからあんまりダンジョンでは使うなって言われてたけど、今回は仕方ないよね。
『聖剣ソードライバー!』
僕が覚悟を決めると、火炎剣烈火がバックルへと変化する。僕がそれを腰に押し当てるとベルトが現れ腰に固定される。さらに、ポケットから手のひらに乗るサイズの赤い本を取り出す。表紙には赤い竜が描かれている。
『ブレイブドラゴン!』『かつて全てを滅ぼすほどの偉大な力を手にした神獣がいた』
取り出すと同時に題名、表紙を開くと内容を一人で読み上げるこの不思議な本、『ワンダーライドブック』。僕は開いたその表紙をもう一度閉じベルトの一番右側のスロットに差し込む。
エネルギーが聖剣に伝わる音が響き、背後には巨大なワンダーライドブックが現れる。僕は火炎剣烈火の柄を掴む。そして、勢いよく剣を抜き放ち剣舞を舞う。
『烈火抜刀!』
「変身!」
『ブレイブドラゴン!』
炎を纏って抜剣された火炎剣烈火で十字に振るうと空中に炎の斬撃として残り、背後の本から飛び出してきた赤い竜が僕の周りを炎とともに旋回する。そしてその炎が消えると僕の姿が仮面の戦士のものへと変わる。左半身が僕の周りを飛んていた竜をもした鎧で覆われ最後にさっき放った斬撃が仮面に刻まれる。
『烈火一冊!』『勇気の竜と火炎剣烈火が交わりし時、真紅の剣が悪を貫く!』
『火炎剣烈火』
それは火炎剣烈火の抜刀と同時に新たなページが展開されたブレイブドラゴンに記された戦士と同じ姿だった。
―――その戦士の名は、セイバー。
「行くよっ、火炎剣烈火ッ!」
愛剣の名を叫びながら僕は強化された脚力で地面を強く踏みしめ駆け出す。
「はぁっ!」
変身し強化された脚力で地面を切ってミノタウロスに肉薄し、胴体を斬りつける。炎を纏った斬撃によって傷口が燃え上がり、ミノタウロスは絶叫を上げる。
僕は追い打ちをかけるようにドライバーで展開されたブレイブドラゴンのページを押し込む。
『ブレイブドラゴン!』
「ドラゴンワンダー!」
右手に炎が収束し、それが竜の姿となってミノタウロスに襲いかかった。全身に火傷を喰らい膝をつくミノタウロス。
「一気に決める!」
『必冊読破!』
ドライバーに火炎剣烈火を収め、柄にあるトリガーを引く。そして、再び勢いよく剣を抜剣する。
『烈火抜刀!』『ドラゴン!一冊斬り!』『ファイアー!』
「火炎十字斬!」
炎の力を極限まで高めた火炎剣烈火を構え、一気に駆け出す。
「はあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
縦横無尽に走り回り、ミノタウロスを斬りつけていく。燃え上がる剣に何度も斬りつけられミノタウロスは絶叫とともに崩れ落ちた。倒れたミノタウロスの身体が崩れ、あとには鮮やかな色の石――魔石――が残る。
「ふぅ……。」
火炎剣烈火を肩に担ぎ僕はキョロキョロとあたりを見回す。
「誰も見てない、よね?よか「あの……」った?」
ギギギと擬音がなりそうな音で背後を振り返る。
そこにいたのは、金髪の女性。整った顔立ちの、おそらくは僕とそう年の違わない長い綺麗な金髪が特徴的な人族の女性だった。その手に握られた細剣からして彼女もまた冒険者なのだろう。しかも、何処かで見た覚えがある、まだオラリオに来たばかりの新米冒険者である僕に見覚えがあるってことは多分ギルドの掲示板かなにかで見たと思う。つまり、かなりなの知れた上級冒険者。
多分、仮面の下の僕の顔はコレ以上ないほどに間抜けな顔になっているだろうと思う。だけど、唖然と知られていたのは一瞬だった。
「見てました?」
「……うん」
「何処から、ですかね……?」
「貴方がミノタウロスを押してるところから、かな?」
なるほど、つまり変身を見られたわけじゃない。正体が知られたわけじゃないと。……よし、今ならまだなんとかなる!
『猿飛佐助!』『ふむふむ……』
僕は反射的に腰のホルダーに収めてあった緑色のワンダーライドブックを火炎剣烈火の剣先の銀色のマークにかざし、そのままトリガーを引く。
『習得一閃!』
「ッ!?」
僕の身体は剣から放たれた疾風が僕の姿を隠した。突如放たれた、疾風に金髪の女性は目をつむり、そのスキにワンダーライドブックの力で壁に同化して隠れる。いわゆる、隠れ身の術と言うやつだ。
「あれ?」
一瞬で目の前から消えた僕に女性はキョロキョロとあたりを見回す。逃げ切れるかどうかまだわからないからここで息を潜めて隠れることにした。ヘファイストス様と椿さんがいうには第一級冒険者でも初見では気づかれないほどに気配も消せるらしい。
「おい、アイズ。ミノタウロスはどうした?」
「あっ、ベートさん……。」
すると、金髪の女性を追ってきたのか今度は鋭い目つきが印象的な銀髪の狼人の男性が現れる。獣人って確か嗅覚が鋭いよね?しかも、この人も絶対強い。気づいてないよね?バレないよね?
「片付けたんならとっとと戻るぞ」
「あっ……。」
狼人の男性の方はすぐに身を翻し、女性の方は僕を探しているのか少し視線を右往左往させるが、僕の姿は見つけられずに仕方なく男性の後を追う。姿が完全に見えなくなると、ライドブックの力を消して姿を表す。
「……生きた心地がしなかった」
ドライバーで展開されたブレイブドラゴンのワンダーライドブックを閉じてドライバーから引き抜くと、変身が解除されもとの僕の姿へと戻った。
「なんとか正体がバレずによかったぁ……。」
安心して脱力し、壁にもたれかかる。そして、手の中にあるブレイブドラゴンと猿飛忍者伝、二冊のワンダーライドブックを見る。コレは僕に凄い力を与えてくれるけど……神様たちいわく他の神様に知られたらどんな手を使ってでも引き入れてもおかしくないほど珍しいスキルらしいからホントにバレなくてよかったぁ。
「きれいな人だったなぁ、何処で見たんだっけ?……そういえば、ミノタウロスの魔石……持っていかなかったよね?」
ひょっとして、まだ近くにいたの感づいて譲ってくれたのか。これ、持っていってもいいよね?僕が倒したんだもんね?でもレベル1の僕がこんな物持ってたら怪しまれるよね。
元々、ミノタウロスはレベル2相当のモンスター。本来なら僕が絶対にかてない相手だっただけど、ホントに不思議な剣だよね、この剣。ベルトになったり、本を読み込んだり。
「そういえば、ヴェルフ。うまくいってるかな?」
剣といえば僕はこの剣について神様の神友である鍛治神ヘファイストス様のもとへいったとき知り合った鍛冶師の友人のことを思い浮かべる。『今ならすげぇ剣が撃てそうな気がする!』って言って、僕からワンダーライドブックを二冊借りていったけど……。
今日はこのへんでもどって様子を見に行こうかな。
セイバーとゼロワンの映画、素晴らしかったです。もうね、最高。ライダー組はもちろん、福添社長もかっこよかったです。
あっ、感想評価お待ちしてます。
闇黒剣月闇の持ち主はアイズでいいか?
-
いいんじゃない?
-
いや、アイズが黒竜の力使っちゃダメでしょ